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神様がいなくても世界は廻る  作者: おさとう
1.全反射の空模様
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story.20

マーブル模様の正午


 story.20


 マシンガントーク炸裂。誰の?りんごちゃんの。私と隣にいる下級生君はりんごちゃんから怒涛の尋問を受けているのだ。

 りんごちゃんの力によって現れた結界に受け止められてから、15分経とうとしている。先ほどの裏庭も、校内も何事も無かったかのように授業が続いている。

 「チッ、何回も同じ事言わせんじゃねぇよ。」

 「アンタの説明が悪いの!!」

 かれこれ、「どうしてああなったのか」を5回は説明している。私には到底りんごちゃんに丁寧に説明する気力も無く、全てを下級生君に任せていた。

 「てめぇの頭がどうかしてんじゃねぇの。つーか何でオマエに説明しなきゃいけないんだよ。このブス。」

 「ブっ!?ブスじゃないけど!!そこら辺の女の子に比べたら相当可愛いんだけど!!」

 ・・・・そうかもだけど実際に言うのはダメだろりんごちゃんや。会話を聞いているとこの2人は仲が悪いんだろうか。榊さんよりも、りんごちゃんが険悪になっている気がする。まぁ、あんなことがあったのに、りんごちゃんについていけるとは元気だ。若さの違いってヤツ?恐るべし1コ下の体力。

 「それに!!なんでうーくんがこんな危ない目にあってんのよ!!それでよく『期待の新星』討伐員やってられるわね!!カス!!」

 「りんごちゃん、失礼だよ。そもそも私が原因だし。」

 そうなのだ。私がこの一件の原因である。こんなことになるのなら、おとなしく詩南さんの所にいれば良かった。反省。

 「うーくんは悪くないよ!!コイツの頭の性能が悪いから!」

 「人のこと言えねぇだろ、授業戻れよ視界からキエロ。」

 「こっちのセリフですぅー!!」

 見た感じ、下級生君も先輩にあたるりんごちゃんに敬語を使っていないところを見ると、生意気ちゃんか。

 

 「おしゃべりはそこまでだ。馬鹿ドモ。」


 背後には鬼の形相をした霧島教頭が立っていた。そういえば、まだ授業中だったことを忘れていた。


-----------------------------------------------------------


 『天界』本部の入り口で、りんごちゃんは無断で授業からいなくなったのことなので、霧島教頭に連行された。無念だ。かわいそうに。

 ロビーに行くと、詩南さんがいた。私達を見つけると安堵の表情を浮かべてコチラに走りよってくる。他にも、榊さんやその関係者らしき人達、研究員っぽい白衣を着た人達など、数人の大人達が集まっていた。

 「冥詞君に遊間ちゃん、良かったぁ・・・。大丈夫?」

 「詩南さん。」

 「冥詞君は、あっち呼ばれてるから。行って。・・・宴ちゃん、無事で良かった。本当に。」

 「あ、あぁ。へーきでした。彼のおかげですね。」

 「・・・・相変わらず、強いなぁ。」

 「強い?・・・・それに、」

 「それに?」

 「むこうの人間、殺そうとはしてなかったって言うか、殺気がなかった、ってカンジで。」

 それだけ言うと、詩南さんは難しい顔をしてしまった。榊さんに促されて、ロビーの椅子に座る。

 「しかし、人、とは。」

 「異例ですね。」

 下級生君がもう事情を話したのか、大人達は議論を始めていた。時々刺さる視線が痛い。

 「稀、だから。」

 隣にいた下級生君が状況を把握できていない私に気付いたのか、ポツリと言葉を紡いだ。突然のことで一瞬間が空く。

 「え?」

 「稀、だから、デス。人ってのは。」

 おぉ、ぎこちない敬語。使い慣れていないな、おぬし。

 「?あの、」

 「いや?ぎこちない敬語だなぁ、と。」

 ぐ、と彼が押し黙るのが分わかる。何コレカワイイ。

 「っ、今まで、DからAまで、あ、後S級の怪物とかが中心で。」

 「??どゆこと。」

 「あっえっと。俺達が討伐してんのは怪物、強さとか大きさで階級別になってるん、ですけど。人、を討伐?って倒すって全く無くって。・・・それで、異例の事態だからこんなに大人が集まってんだと、思います。」

 「へーぇ。すごいねぇ。」

 「アンタが凄いってコトですよ。」

 「ふーん。」

 「ふーん、て。」

 下級生君は少しあきれた様な顔をした。

 「あ、」

 携帯の時計を見やると、ちょうど12時。

 「お昼の時間だ。お腹すいたなぁ、りんごちゃんどこいるんだろ。」

 別に1人で食べてもいいが、それだとりんごちゃんにもの凄く責められる。それは嫌だ。だけど探すのも面倒くさい。

 「え、どこ行くんスか。」

 椅子から立ち上がると下級生君は慌てて私を引き止めた。

 「だって、お昼だし。それに皆、自分達の話でいっぱいいっぱいじゃんか。」

 いつまでも付き合っていられるかっての。それだけ言うと、私が羽織っていたジャージを緩く握る彼の手を優しく解き、鞄を持った。そう言えば、この子の名前、何だっけ。てか、前も同じこと考えたような。まぁいいか。

 「あ、の遊間さ」

 「うん。私は遊間だね。・・・・前も言ったよコレ。」

 「冥詞、冥詞都です。」

 「冥詞くん、ね。覚えた。冥詞君。」

 「はい。」

 「それじゃ、ばいばい。あ、榊さん達なんか言ってたら誤魔化しといて。」

 「はぁ。あ!!」

 「何さ。」

 「誤魔化しとくかわりに、」

 「うん?何欲しい?アメちゃん??」

 「それは・・・良いです。あの、」


 「ああやって綺麗に結界破るコツ、教えてください。」


 熱心なことで。つーか、コツとか無いよ適当だよ。だって私、君よりルーキーだからね?

 

 

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