story.12
君がこの世界に興味をなくしてしまったら私は、
---------------------------------------------
まぁ、なんと言ってもあの日、あの子に出会って、私は大きく変わったんだ
あなたは、忘れていませんよね?
story.12
カーディガンのポケットからケータイを乱暴に取り出す。『そろそろ、そっちに行く。』とだけ打ち込み、送信ボタンをタップする。
画面越しに綺麗なうーくんの顔がちらりと見えた。さっき貰ったアメをくわえている。まだやることがあるのか、とげんなりした顔だ。
「これだけは、やらなきゃいけない検査なの。ごめんね?」
機嫌を伺うように、機嫌を直すように、前を向いたまま話しかける。
「うぇぁ?あぁ、いいよ。」
突然話しかけられたからか、返事になっていない返事が返ってきた。少しスピードを速めて、私の隣に駆け寄ってきたところをみるとそんなに機嫌はナナメっていないみたいだ。
「検査?って、何すんの?」
アメを口の中でころころ転がしながらうーくんが聞いてくる。いちごの、甘い匂い。
「『ポイント』はかるんだよ!これはココに来たら原則的に絶対しなくちゃいけないんだよねぇ。」
「あぁ、アレね。ゲームの。」
もうゲームのところはとがめないようにしよう。所詮はうーくんの興味が失せた時点でアウトになってしまうのだから。
「ほら、うーくん。ココ。」
『天界』の中でも一際大きな部屋に入る。受付の人はすぐに分かったみたいで、少し待ってて、と言うと奥に消えた。
「うぉー・・・すごっ」
うーくんは周りをきょろきょろと見回したあと、顔をしかめた。
「うーくん?」
「これってどんくらいかかる?長いの?」
「うーくんは・・・長い、かな。」
うーくんはもっと顔をしかめて新しいスナック菓子の袋をパンッと開けた。そうなのだ。さっきいちいちメールしたのだってこのため。うーくん1人のために普段めったに表にでない本部の上の人間が何人もくるのだから。幼馴染としては鼻が高いけど、うーくんの気持ちが沈まないか心配だ。
「じゃぁ、一緒に校内まわれないねぇ。」
「・・・っうーくん!」
感激。超感激だ。顔をしかめた理由がそうだったなんて!榊が聞いたら、それだけじゃないだろう、とか気持ちの下がることを言ってくれるのだろうが、そうじゃない。そうじゃないんだよね、うーくん。
「何を言っている、園守。」
目の前に本人。