探検、僕らの学校
保健室で目覚めた俺を待っていたのは激痛のみだった。
「いぎっ…!」
「やっと起きたの?血まみれで寝てたからびっくりしたわー。」
保健のおばちゃん先生は血まみれの生徒が寝てても、そのまま寝かせてくれる、おおらかな人だとわかったが、呑気すぎだろ。
しかし、この背中の痛みは異常だ。
まさか骨とかやってないだろうな。
そう考えていたら、ムカついてきた!
なんだあの野郎!
止めるどころか、被害拡大させた挙げ句ほったらかしってあり得るか!?
許さん!
「痛っ!!」
跳ね起きようとしたが、激痛で固まってしまった。
ますます怒りが湧いてきた。
「あらあら、どこが痛いの?」
「…背中が…。」
「じゃあ湿布でも貼っとくわね。」
あの男『バカダン』って呼ばれてたっけ?
上履きの色からして、おそらく2年で間違いないだろう。
「…先生、バカダンって誰の事かわかる?2年なんだけど。」
「バカダン?聞いた事ないわね。友達?」
「いや、ちょっとお世話になった人で…。」
「ふーん。ちょっとわからないわねー。」
特に有名でもないのか。
その割には三年にはずいぶん敬遠されていたが。
まあいい。
借りは返さないとな。
湿布のおかげか多少楽になったので、保健室を後にした。
もう昼休みになっていたようだ。
早速二年の教室に向かってみた。
この高校は比較的普通の奴の多い学校だが、それでも二年の教室近くに近寄ったら、すぐ囲まれた。
「おい、一年が何のようだ?」
その中の180cmくらいありそうな、強面が威圧的に話しかけてきた。
「こいつ、あれだ。結城だろ。」
「おお、その有名人が2年の教室になんの用だ?」
めんどくせえな。
「バカダンって人探してるんスけど。」
一気に全員の顔が変わったのがわかった。
「お、お前、加藤の後輩か何かか?」
「いや、つーか、今いねえけど。多分屋上で寝てんじゃね?」
「そ、そうだな、昼休みは間違いなく屋上にいると思うぜ、分かったな?」
「ほれ、さ、さっさといけ。」
え~…、そんな感じなのか…。
関わるのやめようかなぁ…。
…何考えてんだ俺!
ナメた態度取る奴に、俺は今まで俺という人間を分からしてきた。
そして俺を分からせる方法は拳しかないと思っていた。
こんな事今まで考えた事も無かったぞ!
…ビビってるって事か?
あの訳わかんねえ男に。
そんな訳ねえ。
そんな訳ねえ。
俺は屋上に向かって走った。
走らないと行けない気がしていた。