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狐の面は月見て笑う  作者: 衣桜 ふゆ
『氷』たちの紅
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Ⅰ.制御⑤~零side~

「さ、朔さん?お仕置きって何するんすか。」

零は死にたくないという思いが強まったあまり、氷美のことを放ってそのことを聞く。

気を失った少女を木陰に置くと、朔は困ったように眉を寄せた。

「君ね、もう少し氷美のことを考えてあげないの?」

「…ふっ、死にたくないのは誰でも当たり前でしょう。」

無意味にカッコつけてみる。

ちなみに、朔はまだ氷美の剣を押さえつけている状態。

その状態でよく話せるなぁと心の片隅で思ったのはおいとくとして。

「…氷美、どうするんですか?」

「ん、どうするって?」

さっきから氷美は動かない。

朔を睨みつけているように見えるが、いつもの氷美ならそんなことしないし。

やりすぎる状態では自分を失っている…そんな感じだと零は勝手に予想した。

「剣そのままじゃないすか。」

「あぁ、それ?気を失わせた方がいいかねぇ?」

知るか。

なんか朔のこういう態度がいらつく。

零は自分の指が無意識に動いてしまったのを見ないことにした。

零は鋼糸(こうし)(糸型の剣みたいなもの)を使って戦う。

右手の中指が動くのは、本気になった零が「片づけ」をするときの仕草。

いや、今動いたのは左の中指。

だったら大丈夫だ。それに今は鋼糸を身につけていない。

身につけていたところで朔を倒せるわけでもないが。

「あ、零くん。今僕に殺気をむけたね?」

だってこの人は、どんなにうすい殺気でも気付いてしまう。

「気のせいでしょう。」

「君が言った気のせいが本当に気のせいであったことがないけどね。」

長くて理解しにくいセリフだったから、零は聞き流した。

「じゃ、ごめんね?氷美。」

朔は剣をむけてくる氷美の鳩尾に拳を入れた。

かわいそ。

たぶんこれは、朔のお仕置きである。

いつもなら朔は首筋に手刀をたたき込むだけで気を失わせるが。

鳩尾なら、痛みとか…たまに吐き気を感じたりもする。

え、じゃぁ俺ってもっとひどいお仕置きさせられるの?

やばい。

考えただけで気が遠くなった。

「零くん?」

「…はい。」

朔は何を考えてるのかなぁという笑顔で聞いてくる。

表情がわかりやすくて怖い。

「いーえ、なんでもないです!」

「じゃ、ここの仕事は近いうちにやるということで。」

「は?え、なに、帰るんすか。」

「当たり前。君も氷美も、しつけ直した(・・・・・・)ほうが良さそうだしね?」

零は無言で朔の後に続いた。

こういうことがあるから、この人は月夜のリーダーになれたんだと思う。


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