<零の仕事>12
後日談の後日談。そして長いあとがき←
後日。
「封筒づくりいい加減飽きたんだけど!」
「知らないわよそんなこと・・・」
また、零と氷美は二人で封筒づくりをしていた。
零の誕生日から3日ほど経っている。だが、その3日のうちひとつも零は仕事に行かせてもらえなかった。
零としては、早くもらった鋼糸を使いたいし、頑張ると言ったのだから有言実行したい。
偶然か、はたまた何か思っているのか、またはただの嫌がらせか。何を考えているかわからない朔が「駄目」と言ってしまえば、朔はリーダーであるから逆らえないのだった。
いつかと同じように、零は乱暴な手つきでお金と手紙を茶封筒につっこむ。そうやって乱暴に扱って、いくつかの茶封筒は破れてしまっていた。
「氷美たちからもらった鋼糸だって早く使いたいのにさー・・・」
「ちゃんと使えるから、それまで待ってればいいじゃない」
「俺は早く使いたいの!」
駄々っ子みたいな零をなだめるのはこの三日間氷美の役目だ。
悪い面でイライラしているわけではないから、氷美も適当に流すしかない。どうしようもない。
零だってそれは重々承知のはず。いや、承知しているからこそ、こうやって茶封筒に八つ当たりしているのだろう。
「しーごーとーがーしーたーいー!」
「・・・まったく・・・零はちゃんと仕事してるじゃない」
氷美の言葉に、零は眉を寄せる。
「・・・仕事って、封筒づくりのことでしょ」
まぁ確かに、封筒づくりも『月夜』では大切な仕事のひとつだ。それをしないと民家に届けられないから。
だけど、零が言っている仕事というのはそういうことではなかった。
率直に言おう。
戦いたいです。
言うと絶対氷美に却下されるけど。
そんなことを考え始めた零に、氷美は少し笑って言う。
「違うわよ。封筒づくりもまぁ仕事だけど・・・私が言ってるのは零の仕事の話」
「俺の仕事・・・戦うこと?」
「違います。鋼糸取り上げようか?」
「すいませんでしたそれだけは勘弁してください」
必死に頭を下げてから、自分の仕事って何だろうと考える。
氷美に言ったことは自分の本心だったのだが。戦うことが自分の仕事ではないのだろうか。
「・・・まさか零、自分の仕事がなんだかわからないでいたの?」
「・・・えっと」
氷美のわざとらしい驚愕に零は言葉もない。
「じゃあ、俺の仕事って何?」
本当にわからないで零が聞くと、氷美は歌うように言って、微笑んだ。
「誰かを守ること、誰かに守られること」
「この間の件で、十分わかったでしょう?」
「あ、あぁ・・・守ること、守られること・・・か」
零はぼんやりと言われた言葉を復唱した。なんだかその言葉は、とても綺麗な響きがする。
「そう、だな」
「零?」
零は一人で何度も頷いた。勝手に口元が綻んでくる。
「ありがとうな、氷美」
俺の仕事を、教えてくれて。大切なことに、気づかせてくれて。
最近、氷美たちにはずっとお礼を言っているなと思いながら。
「・・・へへ」
零は嬉しくて、不気味な笑いを漏らした。
誰かを守らなくては。誰かに守られなくては。
不思議な考え方だけれど、そう考えるとどこか楽になれる。
* * * * * * * * * *
「ごめんな、もう、大丈夫だから」
あの時見た、どこか儚げで優しい笑顔を、私は一生忘れない。
その顔を見て、私が支えようと、思ったんだーーーーーーーー
零と氷美、互いに思うことがあるのでしょうね。
どうも深月です!
これにて零の仕事、終わりとなります!
最初は1話で終わるような短編のつもりだったのですが、12話にわたる普通の長編ぐらいになりましたww
短編は苦手ですので、書けるようになりたいなと思います。
<零の仕事>の話は、書きやすかった零の、過去や氷美に対する思いを書いたものです。
今回はどうしてもちょっとグロいシーンを避けられず、(というかそれが書きたかったのですが)嫌な思いをした方もいらっしゃるかもしれません。ごめんなさい(´・ω・`)
でも、それのおかげで前書けなかった零君の一面をかけたと思います!
事情こみでの幼馴染、零と氷美はとても書いてて楽しいです。ほっこりします。
それに加えて、最初のうち語られなかった義賊としての仕事、現代にある義賊としての姿も書くことができました。前から悩んでいた部分なので、書けて良かったです。
あ、ちなみにまだ狐は完結しませんよ〜
狐の次の話は、またいつ更新できるかわかりません。
予定としては、まだ明かされていない萌黄の話を書こうかなー、と。
深月は亀さんなものなので、気を長くしてお待ちください。
それでは長くなりましてすみません(´・ω・`)
これからもどうかよろしくお願いします。




