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狐の面は月見て笑う  作者: 衣桜 ふゆ
『氷』たちの紅
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Ⅲ.仲間割れ?③~零side~

氷美に逃げられたことに肩を落とす。

でも、まぁいいんじゃないかな…。

だって、最初に立ちつくしていたときよりも表情が少し明るくなっていたような気がするし。

零は静かに扉を開けて部屋の中に入った。


「朔!そなたうるさいぞ!?口を出さなかったそなたもそなたではないか!」

「そんなこと言ったって、追い出すとは思わなかったんだよ!」

「我の意に添わぬのじゃ。それならば追い出してもかまわぬだろう!?」

「かまうよ!しかも君が二度と帰ってくるなとか何とかいうから…!そんなことになったら説得もできないだろう!?」

「あんなやつはここにいなくてもいいのじゃ!しかも、自分から出て行ってやると言っただろうあいつは!」

「売り言葉に買い言葉だ!君がそう言わなかったら氷美だってそういうこと言わなかった!」


開けたとたんに押し寄せてくる会話の津波。

零はその場に立ちつくした。

しかも、朔はともかく、その相手は、何処かで見たことがある。

水色の瞳…藍色の髪…。

白っぽい着物が死に装束見たいって麗音に言って、怒られた覚えがある。

どこでだったか。

ていうか、その前に。

「なんの、話だ…?」

追い出す?二度と帰ってくるな?説得?

氷美の話だというのはわかるが、やはり途中から耳にすると事情がよくわからない。

「あ、お帰り零くん。」

「話をそらすな朔!………あ、そなたは。」

朔が気付き、その少女も零を見る。

まさか…!相手は、俺のことをわかるというのか…!

「…誰だったか…?どっかで見たことがあるのじゃが。」

よっしゃ覚えてねぇ!引き分けだ!

だからなんの勝負?

自分で言って自分でツッコミ(いわゆるノリツッコミ←なんか違う?)、零はやっと動いた。

「雪鶴!零くんを忘れたのか?なんていう記憶力。笑えてくるね。」

隙アリと笑いながら雪鶴とやらに言う朔。

そうそう、雪鶴だ。たしか…剣なんだよな?

ていうか、ということは、俺の記憶力も笑えてくるんだな…。

「…零…?………あぁ!麗音の息子か!名前の音が同じだったな、そういえば。」

なんか微妙に腹立つ。

「改めて、お帰り零くん。」

朔がさっきの喧嘩の表情をおさめ、その場に正座する。

雪鶴はそれを見て眉を上げたが、何も言わなかった。

「あ、はい。ただいまです。」

零がそう答えると、部屋の隅っこにいた萌黄を朔はチラリと見て、黒い笑いを浮かべた。

「で、仕事はどうなったんだい?」

「………………………………。」

言えない。

失敗したなんて言えない。

仕方ないといったら仕方ないだって警備があれで萌黄は目と耳と鼻だかどこだかをふさがなきゃいけない薬を使おうとするんだし鋼糸がこういうときばっかりさびて切れ味が悪くなっていたし、などなど。

しかし、朔に言ったところで一刀両断されるだけだ。

『言い訳だね。』

事実だけども。

そうか…萌黄がやけに隅っこで縮こまっているのはそのせいか。

「…………。」

結構長い沈黙の後、零は観念して―――――というかやけになって、または開き直って―――――言った。

「し、失敗しました!」

「…そうか。氷美よりも零くんが危ないよね。最近仕事いっつも失敗している気がするよ。」

「え゛」

「ふん、氷美よりは生きのいい顔をしているがの。」

「雪鶴。」

雪鶴が鼻を鳴らして言うのを、朔がたしなめる。

「事実ではないか。もうパートナーをするのも嫌になる。」

「雪鶴!」

あ、雪鶴は氷奈さんのパートナーの後、氷美のパートナーにもなっていたのか。

どっかで見たことある日本刀だなと思ったら、そういうことだったのか。

「れ、零。」

萌黄が声をかけてくる。

彼女は氷美の人さらい騒動(?)が治まってしばらくしてから月夜に来たから、雪鶴のことも氷美の過去も知らないのだ。

雪鶴のことかと思ったら。


「今は、どういう状況なの?」


後からこの部屋に来た、俺が知りたい。


…何故だ…。

何故零が登場すると本編と関係なくなっていくんだ…!

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