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狐の面は月見て笑う  作者: 衣桜 ふゆ
『氷』たちの紅
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Ⅱ.秘密、過去①のオマケかもしれない。

「夜分遅くにすみません。」

玄関の方で、手はず通りにセリフを言う萌黄の声が聞こえる。

月夜の中では姐さん的存在なのに、こういう風に言っているとおしとやかなお嬢様に思えるから不思議だ。

「ん、なんだお前は。」

門番らしい声。

すると萌黄はオドオドしたように言う。

「あの、ここの方に用事があってきたのですが…。」

「…今夜はお嬢様が特に怯えていらっしゃるんだ。ご主人様も相手にしてくれないだろう。」

門番は少し毒気を抜かれたようだったが、萌黄のことをかたくなに拒む。

零は木の上からその様子を見ているのだが、萌黄の変化がよぉっくわかった。

「まったく、めんどくさい奴ね。貴重な薬剤をこんな序盤で使わせないでくれるかしら」

低い声でそういうと、手のひらサイズ(萌黄の手のひらだから結構小さい)の小瓶を取り出し、振りまいた(・・・・・)

…振りまいた?

えっ、もしかして俺被害者?

振りまくとか危なさ過ぎる。

慌てて袖で口元を覆った。

萌黄は、そのままだが。

「…ふぅ。」

萌黄がため息をつき、門番が倒れる。

それからきっかり30秒数えて、零は口元から手を離した。

萌黄はそんな零を見、鼻で笑った。

「あら、零。これくらいの睡眠薬、なれておかなきゃ私と共闘なんてできないわよ?」

「…………や、萌黄。お前大丈夫なん?」

「…あなた、馬鹿なの?薬を扱う人間が少量の薬で気を失ってどうするわけ?」

…少量なんだ。

零は返す言葉が見つからなくなり、沈黙した。

「ところで零。」

「あ?」

「中で、どうするつもり?」

「…気を失わせりゃいいだろ。」

「鋼糸でできるの?」

「峰の方で縛ればいいんじゃね?」

「・・・気を失いはしないじゃない」

「そこはお前に任せる」

そこら辺が、萌黄といて便利なところだと思う。

「自分勝手ね、零」

「無理なもんは無理なんだよっ」

あ、今思い出した。

騒いだらまた見つかるし。

てか、朔さん警備を厳重にしたとか言ってなかったっけ?


「おい!今こっちで声がしたぞ!」

「チームF、標的を確認した。」

見知らぬ(当たり前)おじさんたちの声が飛び交う。

しかもなんか連絡取り合ってねぇ?

「逃げるぞ萌黄!」

「は?仕事はどうするつもりよ零!?」

「いいから!見つかるよりゃマシだろ!?」

意味なし。

逃げるときも騒ぎながらだし。

もしかしたら氷美のときよりもやばいかもしれないなぁーなんて。

「零!口と鼻と耳をふさぎなさい!」

口と鼻と耳!?

「無理だろ馬鹿!俺の手は二本だ!!」

「こっちじゃねぇか!?」

「逃げ足の速い奴らめ…!」

警備員の人達とおいかけっこの始まり。

後ろでさらに萌黄がいろいろと喋ってるので、ばれやすくなった。

零がツッコミをいちいちするせいかもしれないが、そこは零の性格なので仕方ない。


後日。

『体力のつけたい方、おすすめです!』

なーんて見出しであるサイトの記事となった。

走り回る零たちの姿が、黒く影になって映っていたりして。

その記事を作った人は、黒い鳥の名を持つあの人だった。


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