第四話-ルナとの密会、そして告白
二本立てです
市場調査の件を両親に報告し、ルナを自室に誘う。これは、あれではない。ただ、市場調査に行くからその付添を頼みたいというだけである。
「ナイク様。それで、お話とはなんですか?まさか。」
何を想像しているんだルナは。
「さっき、僕が父様と母様と話していたでしょ。」
「ええ、そうですが。それがなにか?」
「それで一応商家の嫡男として勉強したいと思ったんだ。」
ルナは少し驚いて言う。
「ナイク様は偉いですね。それで、なぜ私を?」
「正直ね。今、図書室で勉強するだけじゃあんまりイメージがわかなくてね。だから実際に市場に赴いて勉強をしたいと思ったんだ。それで、今日のあの演技のご褒美にそれをしたいと頼んだら、護衛ありで行っていいと言われてね。」
何かを察したのかルナは言う。
「それで私を連れていきたいということですか?そうであるならば私はあまり役にたたないと思います。私は若く、勉学などとは離れた生活を送っています。なので、申し訳ないのですが適任ではないと思います。」
ナイクは優しく微笑んで言う。
「それは問題ないよ。ある程度の知識はもう僕はあるし、逆にルナには平民の常識とかをおしえてもらいたいし、それにこれは社会見学みたいなものだからさ。あと、護衛としても適任だし。だから、どうかな?」
「ナイク様がご所望であるならば。同行をお願いします。」
「ありがとうルナ。」
「では、ナイク様。私はこれで。」
「ちょっと待って。ルナ、一緒に寝ない?」
ナイクは自慢の四歳児のアピールでルナを魅了する。
ルナは驚いた顔を一瞬した後、頬を少し赤らめて言う。
「もちろん。」
ルナは派手ではないネグリジェを揺らしながらベッドの上の毛布を少しずらして。ナイクの横に横田っていう。
「寒くないですか。」
「うん。大丈夫。ルナが来てくれたからあったかいよ。」
ルナはもっと頬を赤らめて少し枕の方に顔を埋める。
「ルナ、これから僕が話すことは話半分に聞いてほしいんだけど。聞いてくれる?」
「もちろん。」
ときは遡る
ナイクは転生して数日がたった日悩んでいた。それは自分が転生者だということを明かすかどうかだ。
正直、父や母に明かしてもいいとは思っている。しかし、もし転生者が災いをもたらすだとか、本当に息子なのかだとかの疑念を持たれると最悪殺される可能性があることを危惧していたが、もとより前世でもナイクは悩み事を自分に抱え込むことはなかなかできるタイプではなかった。悩み事ができる度に友達や恋人、家族に相談していた。
ナイクは寝る前にぶつくさ言ったり、紙に日本語で書いたり、火の人形に語ったりしてその気を紛らわせていたが、とうとう四歳の誕生日で限界を迎えた。
それはルナに両親やロハス以上に信頼感を改めて感じたからだろう。ルナには生まれてから色々と世話になった。図書室にこもってご飯の時間を忘れた時でさえも、探し回っていたのはルナだった。ルナはまるで俺の身の回りのことをする専属メイドのようだった。だからこそ、そういう信頼感が芽生えたのだろう。
そこで、ナイクはおとぎ話のようにして人に話す戦略を立てた。両親は昼間は忙しく夜は弟か妹かを作るのに忙しいようで、メイドも昼間は基本的にせっせと働いている。唯一ルナだけがナイクのそばにいた。
そして今、ルナを目前にして相談みたいなおとぎ話をすることになった。
「ある日、ある男は不慮の事故で命を落としました。その男には友達や家族、恋人がいました。しかし、死んでしまいした。」
「それは、可哀想ですね。」
ルナは少し俯く。
「しかし、目を覚ますと赤子になっていました。失ったものを悲しむでもなく少年に生まれ変わった男は新たな人生を謳歌し始めました。
「まずは、魔術を極めその後剣術を極めました。」
ナイクはまるで小さいこどもに読み聞かせるようにゆっくりと言葉を紡いだ。
「それは勇者様のお話に似ていますね。生まれ変わることとか。」
「そうなの?ルナ。」
「はい。私が昔聞いた話では勇者様は前の世界から生まれ変わってこの世界に来たらしいです。まぁでもその話も五百年前のできことなんですけどね。」
「ねぇルナ。僕がさこの家の家督を継いで当主になった暁には僕の付き人で相談者でいてくれる?」
「ええ。もちろん。私は主様とロハスさんからそうするように命じられています。一生を捧げてナイク様の付き人でいます。」
そんなことを言ったルナの表情は少し乗り気では無さそうだった。ナイクはそれを見てもっと信用してもらうと思った。
「ルナ。これから言うことは僕が生まれたころから守ってきた秘密だよ。だから信じられないかもしれないけど信じてほしい。
ルナは少し戸惑った顔をしたが覚悟を決めたように言う。
「私を信用してくださりありがとうございます。」
「僕は前世の記憶を持っている。前世はしがない銀行員だった。銀行強盗の人に拳銃っていう武器で撃たれてそのまま多分死んだんだと思う。そしたら、金の神とかいう紙切れの姿をしたものに会って気づいたらこの世界に生まれてて父様の腕に抱かれてた。」
ルナは鳩が豆鉄砲を食らったような顔をして拍子抜けをしているようだった。そして少し考え込む仕草を見せたかと思うとナイクに向き直って真剣な面持ちで言う。
「そうでしたか。一度亡くなられたのですか。それはなんとも、辛かったでしょうに。しかし、やっとナイク様の優秀さに納得できました。並の四歳児ではあんな素晴らしい演技を披露はできないと思います。それは勇者様みたく何か神様からのお土産みたいなものようですね。ともかく、私は翌日このことを御主人様と奥様に報告します。」
「それはやめて。今回、初めてこのことをルナに話したんだ。だからできれば誰にも言わないでほしい。あまり目立ちたくないし、両親に変な不信感を抱かれたくないからさ。」
「えぇ、わかりました。」
少し驚いた顔を見せたルナはまた考える素振りを見せる。そして少し驚いたような顔をする。
「ナイク様。私にそのことを話していただきありがとうございます。私はこれから死ぬまであなたの付き人として一生を捧げさせていただきます。」
ルナは嬉しさで目に涙を溜めた。それは人一人から絶大な信頼があることを感じたことのほかにその人が従者であるナイクであることにまた喜びを感じた。そして、一生ついていこうと感じるルナであった。




