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喪失者
「ユキ、ペアなんだから名前で呼ぶくらいしてくれないか?」
「…………」
「コウさん」
「そっけないねぇ」
彼女は元の性格からなのか、それとも環境によるものか、感情が限りなく希薄だ。
その冷たい心が、凍らせる能力になっている。
「今日はありがとうございます。庇って下さって」
「気にしなくて良いよ。痛かったけど」
俺の能力は、一日に一度だけ、自分に起こる事象を無かったことにできる。
失敗続きで、無かったことにしたい出来事は山ほどある。
最愛の人も失った。アイツのせいで……。
けれど、恋人は俺の能力でも生き返らない。
前に進むしかない。
喪失者の事件は絶えない。
心の傷や怒りをぶつけるためなのか……。
「今日も頑張るぞ」
「コウさん、帰りますよ。今日はもう能力使えないんですから」
「分かったよ、ユキ」




