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言葉のナイフ
失った者が力になる世界。
尊厳、愛、障害。
まるで均衡を取ろうとするかのように、人間の感情が変化をもたらした奇跡だ。
「死ね」
男が言葉を発した途端、ナイフが飛ぶ。
子どもの頃から言葉のナイフでボロボロにされてきた尊厳が、こうした能力になったのだろう。
「あぁ……やっちゃってー」
「仕事しますよ、先輩」
「分かってるよ、ユキ」
「死ね」
ユキを庇い、腹にナイフが刺さる。
だが次の瞬間、ナイフも傷も無かったことになる。
「どうして……」
「どうしてだろうね」
「先輩、捉えます」
地面から氷が生成され、男の足元を凍らせる。
「ユキ、ナイスだ」
動けない男を拘束し、連行する。
「いい仕事するね」
「当たり前のことです」
「はいはーい」




