エピローグ
さてさて、鬼たちとの死闘から数か月後…。
桃太郎とそのお供は、一度それぞれの道を歩いておりました。
犬は、遠い村に住む正直者のおじいさんに金銀財宝を与えるため『ここ掘れワンワン』と言いに遠くの村へ。
猿は、暴れ熊を片手で屠り去ったという剛の者と勝負をしに足柄山なる場所へ。
そして不死鳥は、自らと同じ姿をしていると言われる「ベンヌ」なる者に会いに埃及なる異国へ。
そして我らが桃太郎は、というと…生まれ育った村でのんびりと暮らしていました。
平和を享受しつつも、どこかに物足りなさを抱えて。
「平和なのはいいことじゃないか」
おじいさんが軍用ヘリの爆弾を補充しながら言います。
「そうそう、何もないのが一番ですよ」
おばあさんが愛用のスナイパーライフルの手入れをしながら同じくそう言います。
もちろん、桃太郎も平和であることが一番だと思っていますが…。
そんな中、キジトラ猫が新聞を持ってきました。
「新聞は読みません、猫ですから。代わりに読んでください」
桃太郎がその新聞を手に取ると…なんと、一面には驚くべき記事が載っていました。
なんでも数日前にあるおばあさんが雀に持たされたつづらを開けると、そこから魑魅魍魎がこれでもかとあふれ出し、今や平安京にはエイリアンが跳梁跋扈しているというのです。
「おじいさん、おばあさん。今まで育ててくれてありがとうございます。僕は平安京へエイリアンを退治しに行ってまいります!」
桃太郎はそう言うと、おじいさんおばあさんが止めるのも聞かず、平安京まで駆けだしていきました。
桃太郎は宿命から解き放たれ、新たなる戦いに身を投じるために、平安京への遥かなる旅路を駆けていきます。きび団子を一つ口に放り込みながら。
「ああ、心配じゃのう。あいつは生粋の箱入り息子…いや桃入り息子じゃ、変な奴に騙されなければよいが」
「心配ですねえ…こっそりついていきましょうか」
おじいさんおばあさんがお決まりの文句のようにそう言います。
その横でまるですべてを見通しているかのように、いややっぱりただ気紛れに行動しているように、キジトラ猫はあくびをしながらにゃーんと鳴きました。




