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第82話 惨敗帰還

「魔王さまバアル…只今戻りました…」


「…

その落胆ぶり…失敗したか?」


「はい…申し訳なく…」


「惜敗か惨敗か?」


「バッファロー六郎は討ち取られ…

ルドウィンを始めとするルードリヒとアデルフォードとバンパイア全員が敵の手に堕ち強制的に配下となりました…

キョウイチロウめの足を薙ぎ、その足を口にしキョウイチロウの力を我が物としようとした蹄鉄騎士団の副将である花子までもが敵の手に堕ちましてございます」


「俺が花子の後にキョウイチロウ左手を切り落としたんだ!」

と得意気なシルシャーナ


「何と!?あの膨大な魔力波動は強制的に配下にした時の影響か!?

しかもバンパイアを軍単位で強制的に配下にするなどと聞いた事がない!

残った団長不在の軍は!?どう成っておる!?

末席とはいえ六魔公である六郎程の強者をどの様にして両足、片腕の無い筈のキョウイチロウが討ち取ったたのだ!」


_| ̄|○ガックリ…

「強制配下にしたルドウィンを使い六郎めを亡き者にされてしまいました」


「何だと!?ルドウィンを使い六郎を!?

となるとバンパイアロードの権能でバンパイア集団は完全にキョウイチロウの手に堕ちたと見て相違ないか!」


「はい…

間違いなく…」


「何と規格外な」


「しかも血液操作にて自らの手足を復活させましてございます」


「ルドウィンを配下にすれば容易い事か…

厄介だなキョウイチロウ」


「残った者たちはシルシャーナ様率いるシルシャーナ槍兵団

ルードリヒが率いていた二軍の闇の眷属の副将ステファンと配下

参謀第三席のアシュリーと旦那のスタンファ

私の蝿王の殲団配下の虫達とそれを束ねる者…」


「まぁ良い…」


「それでは示しが付きませぬ!

六魔公の脱退と参謀の第四席の座も辞任したく…」


「ならん!」


「しかし!」


「四の五の言わず行動で挽回せよ!お前まで本隊を抜けたら魔王軍はどうなる!」


「一兵卒からのやり直しを」


「馬鹿を言うな!バアルよ!残った者達は誰が面倒を見るのだ?」


「かの者を屠るイメージが私には湧きませぬ!」


「ヌルい!

物量によって圧倒はしていたのであろう!

後一撃で何とか成ったのではないのか!?」


「…」


「あれほど侮るなと言ったにも関わらず何故早急にトドメを刺さなんだ!」


「ルドウィンがキョウイチロウの血に興味を持ち我が物にしようとしたからです…」


「くっ!ルドウィンめ!己が欲望を優先した結果がこれか!

殺してからでも血はすすれたであろうに…

美味い血を飲み続けたいと己が欲望に負けて眷属にでもする気であったか、第一の目的を忘れおってからに…」


「気付けばキョウイチロウはバンパイアの集団に取り囲まれており近付く事すらままなりませんでした」


「人選を違えたとは言いたくは無いな…

しかしキョウイチロウの足を薙いだ花子が敵の手に堕ちたのは痛いな…

バアルよ普通に足を薙いだのではあるまい?どの様にして花子は攻撃を当てたのだ?」


「フーバーの武器にございます!」


嗚呼おお♪流石はフーバーよ花子の獲物は両手斧であったな」


「(=`ェ´=)フフフしかもフーバー特製の不可視突起が三本も付いた高性能な斧です」


「してその斧は?よもやそのまま敵と成った花子の獲物になっているとは言うまいな?」


_| ̄|○ガックリ!

「敵の手に…」


「マジかぁ!!!」頭を抱える魔王


「とりあえず今回の敗戦の件の報告ご苦労

バアルよ敗戦処理の将として命ずる

蹄鉄騎士団バッファロー六郎の家族への自ら赴き説明して参れ!

武器を副将ごと盗られた件、フーバーへの謝罪をもって今回の敗戦の処理とする

六郎の勇猛果敢な戦いぶりとその全てを伝えてやってくれ

後日敗戦の見聞けんぶんを行い対策会議を開催する!お前も参加だバアルよ!

全てがお前の責任と言う訳では無い様だが対策は必須!お前の参加は強制するぞ!代理は認めん!分かったな」


「ははぁ!」


「蹄鉄騎士団!」


「はっ!」


「今回は長を討たれ副将を盗られる事態には成ったがキョウイチロウを後一歩と言う所まで追い詰めたは賞賛に値する!」


「有り難き幸せ!」(ノω・、)


「泣くな!」


「はっ!」


「今後は若い六郎の娘であるバッファロー七緒ななおが成人するまでの補佐を頼む!皆で助けてやってくれ!」


「はっ!」


「当代の蹄鉄騎士団の長であるが…

山羊族の王、バフォメットのギリガン!お前を長代行とする!

くれぐれも蹄族を我が物にせんと七緒を殺害しようとするなよ!

すれば一族郎党この魔王領で生きていけると思うな!

魔王軍の弱体化は相手にとって好都合となる!それは避けねばならん!

長になりたくば実力で勝ち取れぃ!

六魔公の第六席は六郎の弟に一旦家督を譲り存続だ!」


「ははぁ!心得ましてございます!」


ここでもう一度説明しよう

蹄族のミノタウロス(バッファロー属)とは

水牛ミノタウロスの事を指している

そして名前の七緒は七番目の子供と言う事では無い七代目のミノタウロスの長と言う意味で数字が名前に使われている


「七緒!今回の件!誠に残念に思う!

しかしながら蹄鉄騎士団の働きは見事と言う他無い!何か褒美を取らせたいが望みはあるか!」


「はい!叶いますなら、私が大人の身体になった暁に魔王様の子種をご所望いたしたく!」


「ほほぅ…

既に次世代を見据えるとは…

分かった!許す!此度のミノタウロスと蹄族での物量作戦が通用するという事が分かっただけでもお釣りがくる功績!其方そなたが成熟した暁には抱く事を約束しよう!」


「有り難き幸せ」


「しかし初潮が来たと言うだけでは早すぎる!お前の望みを叶えるのは一年後の16歳に成ってからとする!」


「魔王様!七緒だけズリぃ!…です…」


「シルシャーナ!お前は私との約束をたがえるつもりか!

そもそも片腕だけでなく肩から袈裟斬りにしてキョウイチロウを滅多斬りにして息の根を止めておればそこで終わったものを」


「くっ!それは…

しかし!」


「いい加減にせい!シルシャーナ!言葉使いを正す約束を守れないと言う事は我から大人の女性として認めて貰えていないと捉えよ!」


「は…ぃ…」


「ギリガンよお主の采配が今後の蹄鉄騎士団の礎となりより強力な軍となる事を望む!

貴様の望みも叶えてやる!褒美を申せ!」


「はっ!叶うならフーバーが作る六郎様の専用武器に我がデモンズブラッドを加え私専用武器に作り替える事を望みます」


「分かった!七緒!お前には未だ六郎の武器は使いこなせまい!こらえよ!

ギリガンの元で!励め!」


「はい!」


コソコソ小声

「七緒様…」


「ギリガン?」


「ご安心めされよ、其方そなたが六魔公に就任出来た暁には我が武器を七緒様のデモンズブラッドでフーバーめに打ち直して貰って贈呈させて頂く…

形見として大切にされよ

六郎は我の大切な友ならば、今度こそ共にキョウイチロウの息の根を止めてやりましょうぞ」


「ギリガン…ありがとう」(ノω・、)


「涙を拭かれよ!涙はキョウイチロウめを討ち取った暁に嬉し涙とせよ!」


「はい!ギリガンおじ様!」


『なんと素直で可愛らしい事か…

我が愚息に爪の垢を煎じて飲ませたいくらいじゃ

憎きはキョウイチロウ…

我が友の仇は必ず取らせて貰うぞ』


「アシュリー!」


「はっ!」ユラユラ

ドノヴァンお手製の髑髏どくろ兜を小脇に抱え仁王立ちのアシュリー


「友であるアデルフォードの敵堕ち心中察するに余りある!

しかし心せよアーデルめは最早敵の手に堕ちた!情けを掛けず邪魔立てするなら切り伏せぃ!」


「そっ…

それは…」


「出来ぬと申すか?

では問おうアシュリーお前がアデルフォードの説得に失敗しキョウイチロウを屠る事が出来ずに討たれたとする…

コシュタ・バワーは人族の手に堕ちる、人族は頭の無いコシュタ・バワーが何を糧に生きているか知っていると思うか?」


「知らないかと」


「然り、人族はコシュタ・バワーが大量輸送に向いていると気付き昼夜問わず酷使するであろう…

人族は三交代制でコシュタ・バワーは人族にムチ打たれて休ませては貰えず…」


「もう充分でございます!!!」メラメラメラメラ

アシュリーの首から立ち昇る黒い霧は怒髪天を衝くと言わんばかりに燃え盛る炎の様になり感情を露わにする


「うっうむ…

我らは我らの矜持にのっとり肥沃な大地を目指している

今は人族がただその地で産まれたと言うだけで闊歩しておるのだ…

人族の絶望の感情は甘露ではあるが我らにとっては甘味程度の物…

奴らは東方の人種に言われた事がある、家畜を大量に殺して冬の備えにするのは可哀想では無いのか?と…

奴らはこう答えた…

ホールケーキを切るのに可哀想と思うか?」


「何と!?」


「そして人族は自分達こそ優れた人種であると他の人種の住む土地に土足で上がり込み蹂躙し家畜同様の物扱いで虐殺した経緯を持つ狂った生き物なのだ我らと共存するには我らが管理下に置くしかないのだ!

我らを下等種族と蔑む人族とは相成れん!

よって圧倒的な力でもって蹂躙する程に無いのだ…

歴代の魔王には融和政策を取った者も居たが無理だった…

奴らは我らよりよこしまで、狡賢ずるがしこく、狡猾こうかつであった…

そんな奴らの手にアデルフォードは堕ちたのだ」


「アーデル!キョウイチロウを屠る邪魔をするのであれば!

ぶった斬りますわ!」


「その意気よ…

保って我らの矜持に準じよ」


「魔王様の御心のままに!!!」


「ミルヴァーナ!」


「はい!魔王様!」


「お前は!マレーフィの元へ行き今回の件を説明し報道させよ!号外作成の依頼をして来い!」


「かしこまりました!」


「闇の眷属!副将ステファン!」


「はっ!」


「此度…ルードリヒの敵堕ち心中察するに余りある!」


「我らもアシュリー殿と同様に目の前にルードリヒ…が立ちはだかるならば躊躇わず屠りまする」


「良い!別に様付けの敬称を無理して取らなくとも良い!

お前たちには…これをやる!」


「こっ!?これは!?手甲にございますか?」


「そうだ!人族はこれに爪を付けて手甲鉤とするがお前たちは自分の爪がある!

故に斯く種族ごとに出し入れする爪の穴のサイズは変えてある!」


「嗚呼♪我らワータイガーの爪は出し入れ出来ますがワーベアは常時爪は出しておりますればなかなか見合う武器が有りませなんだ!

これでしたら攻守に使えまする!

有り難く頂戴して各隊に配布させて頂きます!

必ずや魔王様のお役に立ちまする!」


「ステファン!役立とうとか難しい事は考えるな!

ただ目の前の獲物を屠る獣と化せば良い!」


「魔王様の御心のままに!」


「以上だ!これにて終いじゃ!打倒キョウイチロウ検討会議は後日連絡する!解散!」


嗚呼おお!魔王様のご配慮に感謝を!

我ら魔王様の御心のままに!」


『しっかしルドウィンがらんと…

締めの言葉もわれがせんといかんのか?

面倒よのぅ…』

ボヤく魔王ドンゴロスであった

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