第7話 説明長すぎ
「報告させて頂きます。キョウイチロウ様の属性は無りませんでした!あえて言うなら無とでも申しましょうかオーブが指し示す色は無色透明」
「無!?そんな事がありえるのか!?四大属性と聖暗の二属性を含む六属性、バフデバフの赤魔導士を指し示す紫色以外の属性など今まで聞いた事が無いぞ!過去の勇者にその色の記録は?」
「ございません、更にキョウイチロウ様のスキル数が24種類で職業に至っては3つございます。異世界圃場、発酵促進、酵素培養、育成促進、成長促進剤錬金、菌糸培養、酵母菌培養、蒸留、遺伝子組み換え結合、収穫量倍増、品種改良、異世界樹木召喚生産、無病息災、火気厳禁、種族進化、農機具限定鍛治、異世界ショッピング、駆動系機械製造、石油王、家畜飼育、家畜保健衛生管理、異世界動画閲覧、放送、動画配信、職業は庭師と猟友会と杜氏でして、知らない文字列が並んでいるとしか…当人は理解出来ている様ですが私では皆目検討が付かない状況です。MPも2億飛んで1と例がなく」
「MPが2億!?過去に例が無いとはいえ…その様な者だったら勇者と共に魔王討伐に向かえるのでは?」
「いえ…それは無理でしょう」
「何故じゃ!?」
「これも又、前例のない備考欄なるものがございまして…全てのスキルのMP消費が2億でして…はぃ、しかも既存の回復薬では回復も見込めず自分が生産した物でしか回復させる事が出来ません更にMPの回復量ですが1日1しか回復しないと言う最早呪いに近いデバフ効果が付与されていまして」
「何と!?」
「少しお時間を頂いてもよろしいでしょうか?スキルの内容を皆様に私が知りうる限り補足するのに時間が必要です。」
「あぃ分かった!しかし我々でも少しばかりは分かる!すり合わせをして説明書の作成をお願いするのは多少時間がかかっても良い、先程申した通り魔王軍は悠長にコチラを待ってはくれない!我々が忙しくなってからでは遅いのだ!当面の処遇を今即決させて頂くが勘弁して欲しい」
「あっはい、私はついで召喚された身ですのでご迷惑しかかけていません公務を優先させて下されば結構かと」
「ありがたいキョウイチロウ殿には圃場に出来る土地を貸し与えるので国定公園の横にある保養地に行ってもらう!王族の保養地ゆえ施設等も完備されており出没する魔物も低レベル帯だ問題無いだろうしかし1人では右も左も分からない異世界に困る事も多かろう定期的な食料供給と…従者を付けようメイド長を呼んでくれるか?」
「メイド長クリスティー・シタサ・フォンデライアン、王の命によりまかりこしましてございます。」
「よく来てくれたクリスティー頼みがある。」
「何なりとお申し付け下さいませ」
「うむ、そこにいるキョウイチロウ殿は私の客人である。丁重におもてなし出来て且つ護衛も出来るメイドはおるか?更に言えば口は固い者が居れば尚良い」
「うーん…1名…居ますが…」
「おるか?しかしどうした?その含みのある言動は?」
「メイドの仕事は卒なくこなせるのですが…なんと言いますか若干…いや少し…いや多少…うーん些か多方面において戦乙女化すると申しましょうか」
「なんじゃ!言い淀みおって多少のバトルジャンキーなど護衛としては可愛いものではないか!その者で良い呼んでまいれ」
「かしこまりました。」
「私イヤです〜荷が重いです〜そんな平穏無事な場所に行きたく無いです〜もっと殺伐とした血で血を洗う様な…クフフっ」
「アナタ!王の勅命ですよ謹んでお受けなさい!殺伐とした何?メイドがその様な場所でどんな仕事があるっていうの!?もっと現実を見なさい!アナタの仕事はメ・イ・ドよ!メイド!メイドとしての嗜みを持ってと、あれほど言って聞かせても尚、未だ分からないと見えますね!前回のアレでは未だ物足りないとおっしゃるの?もう一度私自ら修行し直させますよ!そんなに再教育を望むならですが…」
( ✧Д✧) キラーン
謁見の間の扉の向こう側で突如として膨れ上がる殺意、それは素人でも分かる程の負のオーラであった。そう、対する相手に絶望を与えるかの様な
((((;゜ω゜))))ガクガクブルブル
「謹んで!!!!!!!」
「よろしい」
えぇ〜メッチャ聞こえてるんですけどキョウイチロウ君ドン引きなんですけどぉそう言うやり取りは聞こえない所で済ませてきてよね〜私の威厳が…
ほらぁさっきまで尊敬の眼差しで見てくれてたのに
( ・-・ )スンってなってるじゃん本当に勘弁してよね〜
「クリスティー・シタサ・フォンデライアン王命によりご要望に添う者を連れて参りました。」
「うっ…うむ入って良い」
「失礼します。」
「失礼いたします。」
そう言いながらカーテシーをする文句タラタラだったメイドは先ほどのやり取りが聞き間違いではと思える程メイド然として実に堂にいっている。美しいとさえ思い見入ってしまう程だ。
「フム、メイド長の見立てに間違いは無い様だなそなた名は?」
「はい、セイラと申します。何なりとお申し付けください」
流れる様な所作、爪先まで洗練され計算し尽くされかの様な無駄のない動きはtheメイド、メイドになる為に生まれて来たのではと思わせる佇まいに他を圧倒するほどのメイドとしての存在感と完璧さを併せ持つ究極メイドが現れた。
「…」
コレほどまでに完璧という言葉が似合うメイドも居ないと思うがいかんせん目が
「…」
比類なく完璧なメイドで優雅ささえ醸すスーパーメイドである事は認めざるをえない事実だがいかんせん目がまるで死んだ魚の様で生者としての光が無い相当イヤなんだろうと分かる、、分かるけど顔に出しちゃ駄目だよ!何!?その虚ろな目は!
「歳はいくつになる?」
「はい今年で220歳になります。」
「人間年齢に直すと22歳か…」
「はいエルフの世界では未だ年端もいかない子供で至らぬ点も多々見受けられますがそれを補って余りうる実力の持ち主にございますれば、今回の件につきましての適任者は彼女を置いて他に居ないかと」
…エルフさんって綺麗だな〜そう思って見ていた。
「種族は…ダークエルフであっておるか?」
「はいそちらで相違ございません」
「では王城で働いていると言う事は地理にも詳しいな?」
「はい多少ならば」
「うむ、良い!地図を渡すゆえこれからでよいのでキョウイチロウ殿に説明してやってはくれまいか?」
「王の命とあらば」
「よろしく頼む!」
「では数日の猶予の元!準備が出来次第向かって貰うがそれでよろしいか?」
「いえ!向かうのであれば今日から、今からでも大丈夫です。」
「えっ!?そんなに慌ててどうする」
「いえ客人扱いとはいえご迷惑をおかけする訳にはまいりません、直ぐにでも自立出来る様に今日から始めたいと思います。」
「フム…ノンビリ農園をと言っていたのにせっかちな奴よ…好きにするがよい!メイド長!馬車を用意させよ!」
「王よ…1つだけ…あくまでも私の見解と想像ですがキョウイチロウ殿の属性とスキルについてお話しが…」
「あい、分かった後ほど私の執務室にまいれ」