第5話 まだまだ続くチュートリアル
「王よご報告させて頂きます!勇者達は素晴らしいです。皆一様に特殊な固有スキルと武技を保有していまして今からどの様な成長を遂げるのか、どの様に訓練して成長させるか腕がなりまする」
「速読…あれ程とは♪更に速記保持者の魔法構築の速さが常人の3倍なんてあり得ない、コレはもしかすると…もしかしなくても!上達も3倍なのでは!?良い♪良いぃぃ!通常の3倍ふふふ、3倍ふふふふふふ…うふ♪先ずはあのスキルツリーから育てて更に…」
「あのーカトリーナさんや…」
コソコソ小声「大臣頼めるか?」
「魔法師団長カトリーナ!報告を!」
「えっあっはい、彼らの魔法の適性についてご説明させて頂きます。どうやら異世界にて培ったものはコチラの世界でも反映される様でしてハヤト様本来のお力である速読術にて準備した魔法書を全て読み終えてしまいました。しかも彼の使う速記文字はコチラの魔法陣に応用が効く様で通常の速度の3倍で発動出来る様です適性魔法は神聖でお渡しした魔法書をものの数分で読み終えて既に上級魔法が使える状態です。ですので今後は星級、王級、神級と更なる上位魔法を覚えられるかと、これは1000年に1人現れるかどうかという逸材で間違いございません」
「ほほぅ期待以上だな、して他の勇者方は?」
「はい、ケンイチ殿は炎と風の適性がごさいます。更に精霊との相性も良くサラマンダーの召喚が可能な状態です。今後は更なる上位精霊の召喚を可能にすべく成長の楽しみなコチラも又、逸材かと」
「ほうほぅそれは楽しみだな」
「サキ殿は回復魔法適性にプラスして演奏スキルを保持していてバフ効果を付与出来る楽器演奏が可能です。」
「そうか、して何故ミズキ殿は柱の影で膝を抱えておるのだ?」
「はい〜…それがスキルに納得がいかない様でして…やり直しを要求されております。」
「いやぁ、それって無理でしょ?」
「はい無理です。」
「ヤダ!やだ!嫌だ!断固やり直しを要求するぅぅぅ!」
「決まっちまったもんはしょうがねぇだろ!お前は!子供か!スネてねぇで諦めろ!」
「子供だもん!子供だし!うぇぇええん」
「…して…ミズキ殿の適性はそれほど酷い物なのか?」
「いえ!4人の中で最強の前衛職かと思われます!」
「では何故あの様な状態に?」
「彼女だけ特殊スキルなる特別なスキルを発動させましてそれが嫌な様で」
「無理無理無理無理無理特殊スキルなんて要らない絶対使わないぃぃぃぃ!訓練なんて尚更無理…」
「何と!特殊スキル持ちの勇者など聞いた事も無い!それを使わないとは贅沢な悩みぞ、してそのスキル名は何と?」
チラッ「そのスキルとは」
(y゜ロ゜)y「言わないで!話したら絶対訓練内容に組み込まれるじゃん!」
「王様!ミズキの特殊スキルは歌唱だよ」
(y゜ロ゜)y「ケンイチぃぃぃ」
「睨んでも駄目だぞ!お前が歌えば魔族だって魅了できると俺は思う」
「いや(汗)魅了とか魔属性じゃないから無理だけど味方を鼓舞し能力値を底上げする事が可能です。歌って下さればですけど…同レベルの敵と遭遇した時は使わない手は無いかと」
「では!」
「ヤダ!」
「何故!?」
「恥ずかしい!」
「そんな理由で!?我が王国の命運がかかっているのだ、そこを何とか頼まれてはくれないだろうか…」王様涙目
「…勝手な言い分だとは重々承知している。コレは保身ではなく我が国の民を助けると思って訓練に励んではくれまいか?」
「我が王!勇者といえど!王が頭を下げるなどと!国家が頭を下げるも同じですぞ!!!」
「戯け!余1人が頭を下げたごときで民が救われるなら安いものだ!皆もミズキ殿に無理を承知で頭を下げてお願いするのじゃ!」
「我が王の言葉とあらば是非もなし、ミズキ殿!私からもお願いする!」
「私もお願いしますわ!」
「王妃様まで!?」
「えぇい!大臣!お前も早くミズキ殿に頭を下げてお願いするのじゃ」
「…ミズキぃ…コレってアンタが首を縦に振らないと収まりつかない状況だよ、自分で自分の首を締めてるのに気付こうよ」
「あぁん!もぅ分かったったら!やれば良いんでしょやれば!民も王国も救ってみせるから!私頑張るから!」
「え〜と…そこまで大口叩かない方が良かったけど、ヤルって事で王様頭を上げて下さい話しを前に進めましょう」
「では!?ありがとう、ありがとう」
私は蚊帳の外だが、先ずそれは良い、考察するにこの国の王様は良君で間違いない、民を思い自分のすべき事をしっかりと理解していて頭を下げるにも迷いが無い、尊敬に値する名君…
「では、今後の訓練について両団長より説明がある。実践訓練も含め別室にて調整をするので勇者諸君はそちらに!」
「いや、待ってくれ王様!俺が異世界召喚魔法陣から逃げ出そうとしたばっかりに狭一郎さんを巻き込んじまった。狭一郎さんの鑑定にも付き合ってやりてぇんだが良いかな?」
「フム…しかし魔王軍との戦いは勇者の成長を待ってはくれぬゆえ早急に進めたいのだ、狭一郎殿とは未だ話さなければならない事もある。しかるのちそちらに話しをさせに向かわせるので今は訓練を優先してはくれまいか」
「まぁそう言う事ならしゃーねぇか、待ってるからな狭一郎さん報告よろしく!じゃあ後で」