第45話 種族進化(セイラ編5)
「王妃様、セイラ只今帰還致しました…」
「おぉセイラ!無事の帰還嬉しく思うぞ…」
「わたくしの事など…どうでもよいのです…キョウイチロウ様の護衛として多大なる期待を掛けて頂いたにも関わらず守れませんでした…私の不始末です…如何様にも処分下さい…」
キョウイチロウを抱え、目を涙で腫らしても尚、溢れて止まらない涙がセイラの頬を伝う
「キョウイチロウ様…不甲斐ないわたくしをお許しください…キョウイチロウ様…キョウイチロウ様…わたくしはこれからどうすれば良いのです?…」
「セイラ…少し休んだらどうだ?アンナから報告書は預かっている。目を通して些細は把握した、しかし其方、キョウイチロウ殿を抱え不眠不休で王都まで来たと聞いたぞ」
「嫌です!わたくしは!キョウイチロウ様のお側を離れません!キョウイチロウ様は!ずっと一緒にいて下さると…仰って下さったのです…そう…仰って…下さったのに…何故ですか?キョウイチロウ様」
フラフラと足取りもおぼつかないセイラを見かねて、王妃は魔法師団長のカトリーナにセイラに分からない様に指示を出す
「カトリーナ様!動かないで下さいませ!わたくしにスリープなど掛けさせませんわよ!」
気圧されるカトリーナ…
「わたくしのアイテム袋にキョウイチロウ様が王妃様へとお作りになられた料理が入っております。お召し上がり下さい」
「セイラよ…其方ここまでの道すがら何も口にしていないと聞く、其方が食べたらどうだ?」
「駄目ですぅ、それではキョウイチロウ様の思いが王妃様に伝わりません!キョウイチロウ様が楽しそうに王妃様を思い作ったのです…王妃様にお召し上がり頂かなくては意味がありません、アルザス王とお二人でお召し上がり下さります様…お願い申し上げます」
その光景を思い出すセイラの目からは涙が溢れて止まらない…
「わたくしはキョウイチロウ様を客間のベッドへお連れします…暫くラティと三人にして頂けますでしょうか?」
客間に入るセイラ
「あぁぁぁぁぁ〜キョウイチロウ様ぁ!貴方の魔力がこんなにも小さく成って、ラティまで意識が戻りません!キョウイチロウ様!ラティ!声を!声を聞かせて下さい〜!わたくしを1人にしないで下さいまし〜!」
悲痛な叫びが客間の外まで響き渡る…
「キョウイチロウ様…ラティ…わたくしはどうすれば良いのです?答えて下さい!教えて下さい!」
「何と!居た堪れない!カトリーナ!ベルベット!何とかならないものか!?」
「王妃様…こればかりは…キョウイチロウ様のお身体はヒールにて全開していますが、呼吸も心臓も止まったまま意識が戻りません、しかし体温は正常を保ったままで、目覚めない理由が分からないのです」
「ではセイラはどうなりますの!?あの子はこのまま、あの状態で待ち続けたら倒れてしまいます!」
「取り敢えずキョウイチロウ様の作った料理をアルザス様とお召し上がり味の報告をしては如何でしょう、美味しい料理の話しを聞けばセイラの食欲も或いは…」
「あの!食いしん坊のセイラが水以外口にしていませんのよ!」
「取り敢えず…取り敢えず…お召し上がりを」
「分かりました…セイラの食欲が戻る事を祈り食べましょう、それではアルザス様頂きましょう」
「うむ」
「旨い、旨いのぅハナよ…」(ノω・、)
「はい…アルザス様この様に美味しい食事は食べた事が御座いません…本人に…お礼が言えないのが堪らなくツライですゎ」(ノω・、)
「そうじゃのう…」
音声ガイダンス
「セイラの進化条件が満たされました。ハイ・ダークエルフに進化致します。体力、気力が全回復しました。」
「何じゃ!?」
「何事ですの!?」
「コレは??わたくし進化致しましたの?」
音声ガイダンス
「ラフティーナの進化条件が満たされましたラフティーナが進化3に達しました。」
ふぁーーーー
キョウイチロウの傍らに共に眠るラフティーナが光に包まれる…
17歳の見た目だったラフティーナが大人の女性に成長していく…
「嗚呼…キョウイチロウ様…キョウイチロウ様…生きておいでなのですね、早く目を覚まして下さい、わたくし淋しくて淋しくて…もうどうにかなってしまいますゎ」
ファ〜〜〜
キョウイチロウに光がさす
「コレは!?わたくしの進化の際にキョウイチロウ様が受けた神の天啓!?」
「セイラよ聞こえるか?セイラよ…」
「アルザス様!」
「ハナ!コレは神の天啓か!?何故セイラへの呼び掛けが我らにも聞こえるのだ!?」
「王よ!私達はキョウイチロウ様の手料理を食べました!だからでは?」
「聞こえるかセイラ」
「聞こええます。貴方様はどなた様ですか?」
「我はブッダ、仏也」
「ブッタ様!?」
「否ブッダだ」
「何故ブッダ様がわたくしにお声掛けを!?」
「其方の有様を見かねての事よ」
「キョウイチロウ様は!?其方にいらっしゃるのですか?」
「如何にも」
「イツお戻りになられますの?」
「我はキョウイチロウの世界の仏也、故に其方に干渉しずらいのじゃ、我名も何故か間違って伝わっておる。それ故、我の存在自体が其方では希薄なのだ」
「はい!ではどうすれば宜しいのでしょうか?」
「キョウイチロウの祖父母は敬虔な仏教徒で行方不明のキョウイチロウの安否を憂い我に祈り続けておるのだ、それに応えてやりたい、キョウイチロウは其方の世界で生涯を終えると決めたそうだな?相違ないか?」
「はい、キョウイチロウ様は此方の世界に残って下さるとわたくしに仰って下さいました」
「では、キョウイチロウに祖父母の憂いを断つべく挨拶の為に枕元に立たせたいのだ」
「はい!分かりました」
「1つセイラに問う、其方我が御仏の輪廻の輪に入らぬか?さすればキョウイチロウとの来世も叶う筈じゃが、どうじゃ?但し此方の世界でのキョウイチロウとの来世になるかも知れぬ、異世界での来世と望むのであれば、其方にて正しい仏の教えを広める必要がある。キョウイチロウと共に仏教徒として布教が正しく行われれば、其方での輪廻も可能となるが如何いたす?」
「キョウイチロウ様との来世が確約されるのであれば望みます」
「二言は無いな」
「はい!仏様に誓います」
「それでは此方での準備が整い次第キョウイチロウの魂を其方に送ろう、今暫く待つが良い、それではセイラ、キョウイチロウと共に我の布教を頼んだぞ、さすれば我も其方での顕現も可能となるであろう」
ファ〜〜〜
光がキョウイチロウから上空へと戻って行った
「ありがとうございますブッダ様」
「爺ちゃん♪婆ちゃん♪俺だよキョウイチロウだよ♪」
「キョウちゃん!?」
「爺さんや、これは夢ですか?」
「婆さんや、これは夢かいな?」
「本当にキョウイチロウなのかい?」
「うん」
「うん♪じゃ無いじゃろ!キョウイチロウ無事なのか!」
「爺さんそんな頭ごなしに聞くでは無いですよ」
「何じゃ婆さん!お前はキョウイチロウの事が心配では無いのか!?」
「心配に決まってますよ2人で毎日祈ってるではありませんか」
「そうじゃのう」
「で?枕元に立つと言う事はあの世からかい?キョウイチロウや」
「おう!そうじゃあの世か?」
「違うよ、新しい世界で伴侶を見つけたんだ、だからそっちで骨を埋めるよ」
「生まれ変わったらこっちに来るのか?」
「分からない、分からないけど仏様にこっちの世界での布教を頼まれたんだ」
「ありゃぁそら責任重大じゃないか」
「そうじゃそうじゃ責任重大じゃぁ」
「うんだから布教が進めば此方の輪廻の輪に入るかも」
「うんうん頑張りなさい」
「おう!頑張れ!ワシらの自慢の孫じゃ出来る筈じゃ!」
「そうですねお爺さんキョウイチロウなら出来ますわ」
「うん、じゃあもう行くね2人共、元気で仲良く長生きしてね」
「はいはい」
「たりめぇよぉ!婆さん一人にしたら淋しがるだろ!お前はお前の心配だけしとけ!ワシらはお前の心配するけどなぁ( ^∀^)アハハ/\/\/\元気で暮らせよ!毎日婆さんとお前の健康祈ってやるよ!」
「ありがとう爺ちゃん、婆ちゃんも…末永く健康で長生きしてね…」
チチチチ…チュンチュン…チチチチチ
パチっ
「婆さん!昨日キョウイチロウの夢見たぞ!」
「あら?私もですよお爺さん!キョウちゃん元気そうでしたゎ!それに伴侶も見つけたんだって」
「おう!それよそれ!ワシも聞いたぞ!」
「…」
「…」
「何だか幸せそうでしたゎ」
「うんうん、ワシらに長生きしてくれって」
「仏様のお陰かね?」
「そうじゃのう、ワシらの願いを仏様が聞いてくれたんじゃろ、ありがたや、ありがたや、」
「さぁ起きますよお爺さん」
「おう!今日も1日頑張るぞー」
「おー」
( ^∀^)アハハ/\/\/\
( ^∀^)ウフフフフ
「では、参ろうかキョウイチロウよ」
「はいブッダ様、ご配慮ありがとうございます」
「よいよい気にするでない、其方の祖父母の願いを叶えただけよ」