第39話 報連相
「キョウイチロウ様、わたくし王都の王妃様にキョウイチロウ様がコチラの世界にお残り頂ける旨、報告に行って参りますので少し保養地を離れたいと思います。ですから…」
「ですから?…」
「あの…その…行ってらっしゃいの…」
(*/∀\*)イヤン
イツもの様に照れるセイラ
「行ってらっしゃいの??」
「んもぅ!キョウイチロウ様は意地悪ですわ!何でもありません!!」
「報連相は大事ですもんね」
「はい…そうです…ね」
「あら?セイラさん?報告は夕飯前にしたではありませんか?」
「はい…しましたが詳細を求められまして…」
「詳細?ご主人様の件ですわよね?又、王妃様に揶揄われるかもしれませんわよ、どの様にご説明なされるのです?お風呂場での件を事細かに説明するのですか?
それとキョウイチロウ様は料理のレシピもと仰っていましたが、甘味、塩味、酸味、苦味の4代要素しか無いこの世界に5番目の味覚である旨みが加わるなんて話しをしたら…想像しただけで恐ろしいです。多分ですが国中…いや、世界中の料理人が教えを乞いに殺到するでしょう大丈夫なのですか?
特に料理長辺りはヤバそうですわよ…」
「うっ!それは…」
「セイラさん貴女…簡単に考えてましたわね、王国料理長も究極の味を求める食の探究家ですわよ…
新たな味覚の知らせに居ても立っても居られなくなるに違いありませんわ、そしてその知識を技術を知ろうと乗り込んで来る事間違い無いですわ…そして私達の日常はなくなります」
「はい…確かにそうですね」
「報告如何によっては警備の人手も増員され私達の行動も制限されてしまうかもしれません、ノンビリ3人でお風呂に入るなど出来なくなるでしょう、しかし報告しない訳にはいかない事実もある。となれば報告する事と報告出来ない事の2つを慎重に選ばなくてはいけません、その辺りどの様に考えてましたの?」
「思慮不足でした…」
「私も報告書の作成にお付き合い致しますので、明日伺うと連絡を入れてはどうでしょうか?」
「そうです!三人寄れば文殊の知恵と言いますし!」
「はい?」
「はい?」
「あぁ…コチラの世界にコトワザは無いんでしたね…えーと、私の国の言葉で2人で知恵を絞るより3人の方が良い知恵が早く出て来ると言う例えです」
「そうなんですね」
「相変わらずキョウイチロウ様の世界は興味深いですゎ」
「なので今から報告書の作成をして明日3人で参りましょう」
「(。=`ω´=)ぇ?3人で王都に報告に?……
ではキョウイチロウ様からのわたくしへの行ってらっしゃいのキスは無しの方向ですか?」
「はぁ!?セイラさん!それは!頂戴頂戴が過ぎます!」
「キスぅ!?私がセイラさんに!?」
「えっ!?あの…お嫌なら嫌とハッキリ仰って頂いた方が私的には…わたくしてっきりコチラの世界に残って一緒に居てくださると言う事は…そう言う事だと判断してしまいました。わたくしだけ浮かれていたと言う事でしょうか?」
セイラ涙目
「嫌…ではないです…」
「又!曖昧な!ご主人様!お嫌なら嫌とハッキリ言ってあげて下さい!」
「お嫌でなければ!何故!して下さらないのです!?歯も磨きました!口臭のチェックも万全です!唇のカサつきもチェックしました!それでも駄目ですか?」
セイラ涙目でキョウイチロウに詰め寄る
「唇!?限定!?」
「はいはい!そこまでです!報告書作成の前に魔法電報を打ちますわよ」
「魔法電報?とは何ですか?」
「チッ」
残念そうに舌打ちしながら分からない様に目薬を仕舞うセイラ
「魔力の波長を言語化したものですわ」
「はぁ…魔力版、モールス信号の様な物ですか、ツーツートトト、ツートトトみたいな」
「はい、その認識で合っているかと」
「キョウイチロウ様の異世界で通信と言えばどの様な物になるのですか?」
「我々の世界では電波通信ですかね、声も映像も送信出来ます」
「声だけでなく映像まで!?送れるのですか?」
「はい、私は通信機器自体の作り方については皆目見当がつきませんがそういった物はありますね」
「魔法の無い世界は不便では?と思っていましたが私達の住む世界より便利そうですわね」
「まあそう言った科学が発展したのは、ここ100年くらいですかね、急激な進歩をしてます。自分が世界の何処の位置にいるのか分かるとか、科学は凄いですよ、全てに専門的な知識を有した人が居て、私等は完成品が使えるだけで構造を知りもしない物が沢山あります。ただ残念な事に全ての科学的恩恵は軍事からの転用が多くて戦争の火種も絶えません、科学の進歩と共に死者も増える傾向があります」
「報告書の内容如何によっては、そんな知識の書物を購入出来るご主人様であるからと危険視され、悪用しようとする輩から出て来るかもしれません、その為に王国が更なる庇護をと考えるかもしれません、そうならないためにも報告書は厳選した内容にしなくては、小さな結界内の箱庭生活は嫌ですわ、ですから真剣に報告書を作成しなくてはいけませんね…」
「報告書は皆でやるとして♪私の知り合いで良ければ護衛を増やすと言うのはどうでしょう」
「セイラさん…その方々は女性では?」
「んーー……女性ですね」
「却下ですゎ」
「えぇ!?私達の知らない誰かより気心の知れた人の方が良くないですか?」
「私は知りません」
「でしたらラティも伝手はありませんの?」
「無い事はないですが…」
「ですが?」
「多分、ご主人様の魔力波動を受けているので…」
(*/∀\*)
「( ̄▽ ̄;)あぁ〜初めて保養地に来た時のラティになると」
「みなまで言わないで下さいまし!」
「少し厄介ですが…落ち着いて仕舞えば今のラティと同等と言う事でしょ?ならば良いのでは?戦闘に特化した方はいらっしゃいませんの?ラティの伝手はどう言った方々ですの?」
「親類縁者になりますね…」
「どうしましたラティ」
コソコソ小声「セイラさん」
「何ですの?」
「特に曽祖母様と曽々祖母様は夜の技に秀でておいでです…」
「なんですって!?その妙技を伝授して頂く事は可能ですの?」
「その前に魔力波動の件ですわ、迎えに行ったら…ご主人様が襲われかねないです」
「先に連絡だけでも良いのではありませんの?シルキーを重宝しているご家庭から引き抜くのは偲びないですわ」
「後…武芸に秀でた親族は降霊術か、共に働くと成ればネクロマンサーしか呼べませんわ」
「あら?それは親族にまつわる物さえあれば、なにもネクロマンサーのジョブ持ちではなくてもゾンビパウダーがあれば可能なのでは?」
「(;゜д゜)アッ…可能ですわね、ご主人様の魔力波動を貰い属性進化させれば腐敗無く生前以上のお力の親族が誕生となる筈です」
「それでいきましょう…曽祖母様の夜の妙技は後々(のちのち)その場を離れられないならお聞きするだけでも♪」
「はい♪セイラさん!」
「お話し合いは終わりましたか?早急に報告書をまとめましょう」
「はい!キョウイチロウ様」
「はい!ご主人様」