第38話 この世界の食事と日本食
ラティが自慢げに
「では♪ご説明させて頂きますね♪今回、わたくしが作ったのは、鳥肉と野菜を煮た物とジャガイモを煮た物とサラダそしてデザートは果物の盛合せです♪」
セイラは
「私はパンを焼きました」
「フムフム…コチラの世界での主食はご飯では無いとすればパンだろうと思っていましたが、イースト菌は使ってますか?」
「イースト菌?」
「知らないんですね…はい分かりました」
「ラティさん煮る際に調味料は何を使いました」
「塩だけですゎ」
「フムフム…食べなくても味が分かりました」
(y゜ロ゜)y「厨房へ行きましょう!!!!!」
「(。=`ω´=)ぇ?」
「(。=`ω´=)ぇ?」
「良いですか!今から同じ食材で調理します!見ていて下さい!」
「そんな!ご主人様に調理させるなどと、メイド失格ですゎ!」
「ラティさんとセイラさんが作った物も温め直して食べますので、取り敢えず見ていて下さい」
「…」
「…」
「コチラの方々は料理、調理と言う物をどの様に捉えているかは知りませんが、日本で料理と言えば!引き算です!!!」
「引き算!?足し算では!?具材に具材を足して塩を足す、時には贅沢してワインを足す、足し算ですゎ」
「違います!それだから料理に足し算は駄目なんです!染み込む塩味、鳥肉の臭みも足されてしまいます!」
「違う!?何故ですの!?現に足してますわ!セイラさんも何か言って下さいまし!」
「私はキョウイチロウ様の料理、調理方法が気になります。お願いしますキョウイチロウ様、ご指導ご鞭撻の程を!」
「セイラさん!?キッチンメイドとしての矜持は!?」
「そんな物は美味しい物の前では些末な事です。料理長さんも仰っていました。食材を無駄にしたら承知しないと、私達は料理は足し算と思っています。キョウイチロウ様の言う料理は引き算と言う言葉に興味が湧いて空腹など何処かへ行ってしまったくらいです。お教え願えますでしょうか」
「はい!では私の世界の日本料理と言う物は私の世界で無形文化財に指定されています」
「料理が!?文化財!?確かに料理は形が後世に残る物では無いので無形文化財と言う事ですね」
「流石はセイラさん理解が早くて助かります」
「その無形文化財である日本料理には調味料として鰹節、昆布、鶏ガラ、と言った物でお出汁を作りそこに食材を入れて味を付けます。その出汁を取る、旨みを引き出す事から引き算と言う事です。
更に!!出汁で味を付ける素材のぉ!今回はラティさんの使った鳥肉本来の!旨みも引き出す!ここでも引き算!
そしてそして更に出汁と素材がお互いの旨みを喧嘩しないで引き立て合うと!!
この3つの引き算によって日本料理が完成するのです!」
メモを取るセイラ
「実に興味深いですキョウイチロウ様、続けて下さい」
ただ見つめるラティ
「…」
「薄い塩水で鳥肉を軽く茹でます!そして鳥肉以外は捨てる!」
「煮汁を捨てる!?捨てるぅぅう!?意味が分かりませんご主人様!鳥肉の旨みは!?」
「黙って聞きなさいラティ、キョウイチロウ先生の講義中ですよ」
「講義!?」
「鳥肉の旨みはコチラの鶏ガラで引き出してます。コチラも臭みにアクを捨てて旨みだけを引き出します。捨てるのは鳥肉の臭みと雑味です。
コレも臭みと雑味を引き出して捨てる引き算ですかね」
「キョウイチロウ先生!質問よろしいでしょうか?」
「ご主人様を先生!?セイラさんどうしてしまったのです!?」
「いえ、私は食の探究者としての矜持がメイドの矜持を上回りキョウイチロウ先生に学ぶ機会を得れた事を神に感謝している所です。」
「セイラさんが!?食の探究者!?イツから!?」
「突っ込み大臣ラティ、少し静かして下さる?講義内容を忘れない様にメモしなくてはいけませんので」
「突っ込み大臣!?そんな者に就任した覚えはありませんゎ!」
「はい、セイラ君!質問をお受けします!どうぞ!」
「セイラ君!?イツから生徒になりましたの!?ノリに着いて行けませんゎ…」
「はい先生、出汁は鰹節と昆布と仰っておいででしたが、どの様な物なのでしょうか?」
「良い質問ですね、知らない事を知らないままにせずに聞けるのはとても良い事ですよセイラ君」
「講義を聞ける喜び♪先生に感謝を!」
「もぅ好きにして下さい…」
呆れるラティ
「鰹節とは鰹と言う魚を燻し燻製より硬く乾燥させた物になります。
それを粉状にして煮込み鰹節は取り除いて出来る旨みだけのスープ、それが鰹出汁になります。
昆布は海藻です。それを天日で乾燥させただけの物です。
鰹出汁と同じでそれを煮て取り出しお出汁にした物が昆布出汁になります。
共に乾燥させる事により凝縮された旨みを有し、昆布には旨み成分であるグルタミン酸が野菜より多く含まれ美味しさの元になっています。」
「フムフム、美味しくなる理由もあるのですね」
「私の世界では旨みは成分は分析され科学的に立証されています。」
「科学?魔法と違うキョウイチロウ様の世界の知識ですわね」
「そうです、私の世界には何故?と疑問を持って科学的に立証すべく日々研究に研鑽を続ける人々が居ます。
平和だから出来る事で100年単位で魔王の脅威に怯え戦う為の準備をして戦う事に時間を割くコチラの世界では想像も付かない程、我々の世界は色々な事柄が進歩しています」
「実に興味深いです先生、講義を続けて頂けますでしょうか」
「はい、では異世界ショッピングで鰹節と昆布を注文!それで出汁を作り野菜と共に鳥肉を煮込みますね」
「キョウイチロウ先生!今は何をなさっているのでしょう?」
「はい!次回購入する予定の圧力鍋をコチラの世界鍋で簡易的に作っている所です。後、日本製の水無しで野菜の水分だけで煮込める特殊鍋も購入予定です」
「フムフム興味深いです。その様に蓋をキツく押さえてしまうと爆発してしまうのでは?」
「私、程度の力で押さえたくらいでは蒸気圧は抜けてしまいますよ、大丈夫だと思います。このまま暫く煮れば完成です」
「はい!はい!はい!先生!」
「何ですかセイラ君?」
「わたくし…良い匂いでそろそろ我慢の限界です先生!」
「ハハハ( ̄▽ ̄;)では、ラティの作ってくれた夕飯も温め直して一緒に食べましょう♪セイラさん椅子を三人分持って来て貰えますか?」
「かしこまりましたキョウイチロウ様」
( ̄¬ ̄)ジュル 「匂いがもう既に美味しいです。」
( ̄¬ ̄)ジュル 「セイラさん未だ食べませんのに」
( ̄¬ ̄)ジュル 「確かに良い匂いがしますね」
「それでは器に装って食べましょう♪」
(。・н・。)パクッ
(。・н・。)パクッ
(。・н・。)パクッ
モ<"モ<"モ<"(。-ω-)モ<"モ<"モ<"モ<"
( ゜Д゜)ウマー
( ゜Д゜)ウマー
( ゜Д゜)ウマー
「調理の合間にイースト菌を混ぜ込んで寝かせて焼いたパンも焼けて良い匂いがして来ましたね♪食べてみましょう」
「( ; ゜Д゜)何じゃこりゃー!」
「( ; ゜Д゜)何ですのこのパンはー!」
「(゜ー゜)。。)゜ー゜)。。)ウンウン♪コレがパンです♪焼きたては美味しいですね」
「私のスキル酵母培養で増やしたイーストを使用してます。
酵母菌はこの異世界でのビールやワインに使われている微生物と一緒ですよ」
「(。=`ω´=)ぇ?ワイン?酵母菌?微生物?」
「そうですね、科学的見地から言わせて貰いますとワインはブドウ園やブドウ果皮などに着いている酵母菌が醗酵する事により出来るお酒ですね、酵母はブドウの糖分をアルコールと炭酸ガスに分解する微生物です」
「理解が追いつきませんわ」
「ですわね、でも美味しければ別に良いです」
「でも美味しい物には理由があるんですよ」
「どの様な?理由ですの?」
「私も聞きたいですわキョウイチロウ様」
「結論!料理は愛情!美味しくなぁれ♪と願う心!食材への愛!食べて貰う人への愛!それが美味しい理由です」
「ここまで手の込んだ調理をして最後は私への愛情で済ませるとか、ご主人様には敵いませんね…残念ながら私の料理は獣臭くて雑味が多くてパサパサで旨みのカケラすら感じられません」
_| ̄|○ ガックリ!
「ここまで差をつけられては、我らキッチンメイド失格ですわね」
「料理はキョウイチロウ様、我らはハウスメイドを頑張りましょうラティ♪後、私への愛情ではなく私達への愛情ですわ!」
「セイラさん!諦めないで下さい!キッチンメイドとしての矜持は!?」
ラティどさくさ紛れ自分だけへのキョウイチロウの愛情と言う点には言及なし
「そんな物はキョウイチロウ様の料理の前に粉々に破砕ではなく粉砕されましたわ」
(ノω・、)「キッチンメイドとして私はどうすれば?」
( T_T)\(^-^ )「幸い先生は目の前にいらっしゃるではありませんか♪教えを候いましょう」
「ご主人様不甲斐ないキッチンメイドの私をお許し下さい」
「物は考え様ですよ♪ラティ、何も知らないのは伸び代しか無いじゃないですか」
「ご主人様…その様に考えれば良いのですね、私頑張ります、そして愛してます♡」
「あっ!ラティどさくさに紛れて、ぶっ込みましたわね!
「わっ…わっ……わたくしもキョウイチロウ様の事が…すっ…す…好きですわ」
「(-ω- ?)んっ?キョウイチロウ様の料理が好きですわ?ですかセイラさん?」
「なっ!?キョウイチロウ様!?始めて保養地に来たあの時の仕返しですの!?」
「あぁ〜あの時ですか?空もセイラさんも綺麗でしたよ♪」
「…」真っ赤になって俯くセイラ
やられましたゎ!キョウイチロウ様のお顔を直視出来ません!
恋愛偏差値0セイラ
揶揄われ慣れていない…
特大ブーメランダメージをキョウイチロウから喰らい、ひたすら照れるのであった。