第33話 異世界の神
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セイラさん曰く、この異世界には神がいるとされているそうだ。
その内の1つ、特に1神教を信仰する宗教国家イース•リ•エールは、揉めに揉めていると言う
その理由とはイース•リ•エール国内に1神教の聖地が3つあるからだと言う
先ずひとつ目はダーヤ教の建設の度に攻め滅ぼされ壊され続けた神殿の成れの果てである一部残った壁、キーリ教の墳墓、イーリ教の岩の祠
各々(おのおの)が信じる神の聖地を欲する為に戦争が絶えない
元々はダーヤ教に始まりその経典に記された神が降臨したのにも関わらず偽物だとしてダーヤ教徒がキーリ教の崇める神を殺害、その後同じ経典の元、イーリ教が誕生、と3つの宗教の神は違えど経典は改編され元は同じ教えである。
自分の信じる神をダーヤ教徒に殺されたキーリ教信者の怒り凄まじく仲違いの仲裁は無理に等しい
ダーヤ教徒であるユーダ人は世界中にいて、その賢さから移住先で巨万の富を得て権力者と深い繋がりを持つ、聖地を我が手に取り戻すべく、ユーダ人は移住先の国の権力者に働きかけ続けていた。その結果大国の全てはイース国に軍事援助を惜しまない
ユーダ人は迫害の歴史を持つ
周りの大国に何度も滅ぼされ、その大国が滅亡する度に国民達は無き祖国に戻り建国を繰り返すも再度滅ぼされる事を繰り返した
そしてやむを得ずユーダ人は異世界中に散って行った。
元々賢い国民であるユーダ人はダーヤ教の教えを守り移住先で銀行経営や鉄道経営を立ち上げ力を付けていった。いつの日か祖国に戻れる日を夢見て…
しかしユーダ人の苦難は続く、移住した先で富を得る。それは先住民に印象が良くない、とある国でユーダ人を排する政権公約を掲げた党が立ち上がる。
そこで行われたのはユーダ人の大量虐殺、理由は先住民の僻み、やっかみ、妬み、嫉み
冤罪をかけられたユーダ人は迫害だけでは済まず大量虐殺されてしまう。
そして、長い苦難はユーダ人を苦しめ続けて2000年もの月日が流れた。
そして国家を再建する機会が訪れる。
大国の後ろ盾を得て再度建国!
建国より3000年、滅ぼされた続けたイース•リ•エールの人々は2000年もの間、異世界中に逃げ伸び機会を窺っていた、そう、祖国再建の日を
しかし、納得いかないのは近隣5カ国と今現在その地に住んでいる人々だ
2000年もの間、異世界中に逃げ伸びていた人達が集まり急にココは元々私達の土地だ出て行け!と言い出したのだから納得出来る筈もない
建国翌日に近隣5カ国全てに戦争を仕掛けられる!
国内は追い出され行き場を失った人々が武器を手に立ち上がりテロ活動を繰り返す紛争地帯と化した。
その後、開戦停戦を繰り返し第4次建国戦争を経て未だ火種は燻り続けていて現段階では解決の糸口すら見えない泥沼状態である。
しかし大国の後ろ盾のあるイース•リ•エールは強く現在の国土面積は建国時の20倍に広がっている。元々居た人々は猫の額程の小さなガーザ地区に追いやられる、その地区も自治区が点在するだけで、ほぼイース•リ•エールの管理下で、後は共同統括地とされるが、名ばかりで実効支配しているのはイース国である
長く続く戦禍は何も生まないどころか日々、凄惨な悲劇が繰り返されている。
毎日のように降り注ぐ砲撃により破壊され続ける建物、そんな終わりの見えない世界にも人の営みはある。
ドーン!!ガラガラガラ!!
爆発音と崩れる壁!
「きゃー!お母さん!怖いよう!」
「大丈夫か!?お前たち!父さん今から外の安全を確認してくる!お前たちはここで待ってなさい!母さん!爺さん婆さん!子供たちを頼みます!」
「お父さん…僕も一緒に行っていい…」
「駄目だ!お婆ちゃんたちとココで待ってなさい!シェルターまでの安全なルートを確認して来るだけで直ぐ戻るから!」
ガチャ!ドアを開けて外に走り出す父…
「待ってお父さん…」数歩、歩みを進める息子…
「さぁコッチにおいで」
ドーン!!
「うわっ!お婆ちゃん!お爺ちゃん!」
目の前で肉片に変わる祖父母!?
「イヤァァァ!!うぇーん!お爺ぃちゃぁん!お婆ぁちゃぁん!」
泣き叫ぶ姉…は母に守られ無事の様だが母親は…
「お母さん?嘘!?お母さん…頭から…血が出て…イヤァァァ!!!!!」
「姉さん!早くコッチに!父さんが迎えに来てくれる筈だから!早く!」
「でも!お母さんが!」
ガラガラガラガラ!!崩れる天井…
手を伸ばすも届かない!崩れて来る天井を見て…僕を見て手を伸ばす姉…スローモーションの様に上から落ちてくる瓦礫の下敷きになる姉と母…
その時の姉の表情が目に焼き付き離れない
父は帰って来なかった。
1人残された息子…
彼の日常は終戦になったとしても戻って来ない…
「イース•リ•エールの奴ら…絶対許さない!皆んな…見ててね、奴らに必ず報復して同じ目に合わせてやるから…」
負の連鎖は続く…戦禍は何も生まない…
それどころか悲劇を量産し続ける。
生むのは次なる悲劇のみと言う現実…
話し合いの余地は無い…
(ノω・、)
1神教は砂漠の宗教だ。
輪廻と言う概念が無い、それもその筈、砂漠で死んだら何も残らない、ただ風が吹き砂塵が舞うだけである。だから生前どれだけの徳を積めるかで死後の行き先が決まる、どれだけ神の近くに身元に召されるかというものが信者の目標になる。
多神教は輪廻という概念がある。
死者が埋葬されるとそこには草であったり木であったり何かしらの生命の息吹きが感じられる。
それ故にそこに木が生えて大木に育てば
「あの木の下には先祖が眠っていて木に産まれ変わって上から私達を見守ってくれている」と言う考えが生まれ、木はその家の御神木となり祈られる対象となる。
( ̄▽ ̄;)キョウイチロウ的には多神教で良いのでは?と思う…
だって1人の神が信者全員の人生に関わっていたら…
多分だが…
過労死すると私は思うのだが…
コチラの世界も紛争があるみたいだ
魔王の脅威に皆で立ち向かえないものだろうか…
私の世界にも神に絡む話しがある。
それはこう言ったものだ、人々がお互いを助け合い協力し幸せに暮らしていた。
そして皆で協力して雲を突き抜ける様な高い塔を建てる。
その高い塔は神の住まう領域に迫る。
怒った神は人類に対して宗教、人種、言葉の壁を設けて互いに協力し合わない様に仕向けたと言うもの、その後は周知の通り各地で宗教紛争、人種争いが頻発し解決の見通しはたっていない。
コチラの世界も平和に幸せに生きられる保証は無いと言う事か…
チートスキルを持っていても死ぬ時は死ぬ…と…
王妃様の言う通り今を大切に生きよう、私に関わる人を手の届く範囲で幸せにするんだ!
そう心に決めるキョウイチロウであった。