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第18話 急展開と思考の擦り合わせ

ゴリゴリとセイラとの仲を推し進める王妃の思惑とは如何に

「キョウイチロウ様は異世界へと帰られる身、以前にキョウイチロウ様にお話ししましたが、魔力の無い異世界で我々は生きていけるかと言う問題が発生致します。大丈夫と言う確証が無い限り着いて行く事は叶わないでしょう」


「確かにそうですが…それと添い遂げる事とは話しは別ではありません事?」


「ではクリスティーメイド長にお尋ねします。よしんば私が魔力切れを起こさず生きられる世界であったとしましょう、しかしそこに生きているのは人族のみ、キョウイチロウ様の世界でただ一人のダークエルフで、しかも長寿とくれば?」


「その長寿の訳を知りたいと願う各国がセイラをモルモットにするべく世界をあげたセイラ争奪戦が行われる…と言う事ですわね」


「流石はハナ王妃、頭の回転が凡人のそれとは一線を画すお方、その通りです。

味方は世界にキョウイチロウ様ただお一人!

世界中を敵にわまして勝てる道理はありません、捕まれば有りとあらゆる実験を施され薬漬けにされ死ぬまで逃れる事は出来ないどころか運良く逃げおおせても又、捕まるでしょう、最後は、こちらの世界まで逃げ戻るしかないのなら、いくら好いた人が居ようとも最初から行かない方が得策かと、死んでもサンプルにされ実験に使われるなど耐えられる訳もなく…」


「と言う事は?今セイラが申した通り?セイラはキョウイチロウ殿の事を好いているのは確定事項でよいな?」


「(;゜д゜)アッ……えっ?それは…」


「ウフフ♪( ^∀^)アハハハハ♪先程、セイラにやられた意趣返しでしてよ」


「王妃様もお人が悪い」


「あら?セイラに言われたくありませんわ

自分の胃袋と私の貴女を思う気持ちを天秤にかけて胃袋を取ったのですから」


「それについては、本当に…申し訳ございませんでした」


「よろしくてよ、キョウイチロウ殿?

貴方先程から蚊帳の外に居るつもりでしょうけど当人でしてよ!

1ミリもセイラと恋仲に成れれば良いなと思わなかったとは言わせませんわよ!その辺りどうですの?」


「(。=`ω´=)ぇ?私ですか!?」


「そう!貴方!セイラとの今後を考え異世界に連れて行くつもりであったなら、失念していました。

では済まされませんわよ!

セイラを思い、セイラの事を第一に考え、セイラに生涯を捧ぐと誓わない限りセイラを再度従者に付けキョウイチロウ殿にお渡しする事は叶いませんわよ!

この様にセイラは聡い子です。

ノンビリした時間を無計画に過ごす森のエルフ達と違い、セイラは現実的で先々を見据えて行動していますのよ!」


「え〜と…ラティに対抗心メラメラで買い出しの許可を貰えず、攫う様に有無を言わさず私を連れ出したセイラさんがですか?」


「そこはセイラの可愛い所として捉えなさい、たまには思い人との時間を作る為に衝動的に動きもしますわ!」


「私!セイラさんに揶揄われ続けてるんですけど!」


「それもセイラの可愛い所として捉えなさい、我々人族は人生80年程、貴方は半分以上消化してしまっています。

セイラを伴侶をと考えるには遅すぎるくらいです。なればこそ勢いも必要でしてよ!

それにどこまで想像していましたか?」


「向こうの世界にコチラの住人を連れて行ったとしてと言う考察でしょうか?」


「そうです!先程のセイラとの話しでもそうですが、失念していました。

では済まされませんわよ!そちらの世界の人々はコチラの世界と一緒で人族だけで仲違いせず仲良く暮らしてるとも思えません、差別も格差もあるでしょう?」


「有ります。人種別、宗教別、国家別(共産圏と、資本主義)、に分断され争っています。」


「それは考慮してましたの?」


「失念してました。」


「世界で一人だけのダークエルフ…差別を受けるでしょう?」


「受けるかと」


「守れますか?」


「日本で日本人として我々の文化に染まれればあ或いは…」


「確約事項ではありませんわね?」


「はい」


「あちらの世界を捨て、コチラで生涯を終える事は?」


「今日の今日で決められません」


「考えなさい!現実を捉えるのです!私達の時間は有限ですわよ!」


「確かに夢物語ではありませんものね」


「そうです!王子のキスで目覚め幸せに暮らしましたとさ、などと!

死体にキスする様な変態王子が女性を幸せに出来るとでも!お思いですか?」


「無いですね…そんな死姦マニアが生きている女性を幸せに出来るとは思いません」


「…

であるなら!セイラ程の優良物件は他にはありませんわよ!

コチラの世界で生涯をと考えに至りませんか?」


「急展開が過ぎます!」


「そんな貴方だから何も決断出来ずに、その歳まで独り身なのですね…」


「それは…」


「男色化ではありませんよね?」


「それは無いです!!」


「何かしらの病気を患っているとかは?」


「それも無いですね」


「でしたら!」


「懸念は多々あります。想像も色々としました…

例えばコチラの世界とアチラの世界では科学と魔法の違いはありますが戦力の面から見ると私の世界の方が優れているので、もしも共産国家がコチラの世界に来る方法を見つければ、版図はんとを描き攻め込んで来るでしょう、そうなれば!此方の住人は蹂躙されるは必至、ハインデルの人々の幸せを願えば私はもう戻らない方が良いのではとか…


夢物語で、ご都合主義に考えればコチラでの出来事は私達の世界では瞬き程の時間であったら良いとか…


帰る際、コチラで数十年に一人の空間魔法の使い手を待つ事になるのであれば最短で十年、私は52歳、それ以上待たされれば私の人生は向こうに帰えれてもほぼ終年間近となっていて何も出来ずに人生を終える事になるとか…


コチラの世界に居てもスキルの危険性を考慮した結果、幽閉されて人生を終えるのでは?とか…

過度な力を持つ私は危険視されハインデル王家に始末されるのではとか…

攫われてスキルを無理矢理自国の為だけに強要させられるとか…

個人の為だけに強要させられるとか…

私が持ち込んだ文明の利器でお手軽に魔王を亡しその後、世界大戦が起こるのでは?とか…

私の持ち込む植物や野菜や菌がコチラの生態系に及ぼす危険性とか…

色々ですね…」


「キョウイチロウ殿もなかなか聡いお方ですわね」


「いえいえ、王妃様やセイラさん程の聡明さではありませんよ、私は自分の短慮に嫌気がさして毎回の様に失念ばかりを繰り返す…浅はかな男です。」


「それで良いのです!

自分が駄目な人間と分かっていれば向上心も湧くと言うもの!

そこで更なる深みに落ちるかもがくかは、自分次第、努力を怠る者ほど奇跡にすがる!

その様な者に幸せは手繰り寄せられはしません!

それすら分からぬウツケ者がどれほど多いか!

奇跡に縋るなど愚行!例え奇跡が起こったとしても努力した者の元にしか起こり得ませんわ!」


「ふふっ」


「何がおかしいのです!」


「いや、何と申しましょうか…ハナ王妃はたまに日本人的な言葉を使われるなと思い、来て数十時間しか経過していないのに少し懐かしく感傷に浸っただけでございます。」


「さようか、で?コレからどうしますの?ノンビリ農業と申しておりましたが生態系崩壊の環境問題が発生するとの懸念があるとも言っていましたね、対策は何か考えていますの?」


「いえ、影響が無い物、少ない物から育成し始めていこうかとは考えています。」


「少ない?とは?」


「はい私達の世界では品種改良という手法にて収穫量を増やしたり、病害虫に強い物に選別したり、実を大きくしたりする技術が進んでおります。

既にコチラに似た様な野菜や果実等があればそれと近い品種を先に育てて交配して新たな品種を作ろうかと」


「何と!?その様な収穫量増大方法が!?

技術面では我々は足元にも及ばぬと言う事か…

分かりました!しかし中庭の件もあります。スキルの使用は申請制にさせて貰いたいと考えていますが宜しいですね?」


「はい可能です。しかし未使用のスキルばかりなので先に説明書の作成を急ごうとも考えています。」


「…」(-ω- )

『聡い…キョウイチロウと言う男…私の思考の外側からの視点で物事を見れる。

………これほどの人材がアチラの世界では、いち会社員だと?

キョウイチロウ殿の世界は、どれほど人材に恵まれて溢れているのだ?』


「欲しい、キョウイチロウ…この者が我が者となれば…」

「王妃様…王妃様、王妃様!!」


( ゜д゜)ハッ!


「ハナ王妃!思考にふけるのはご自由ですが!

お口に出すのはお一人の時にして下さいまし!

ましてや、誤解されてあらぬ噂が立つ様な言動は特にお控え下さい!」


「ヤダっ!?私ったら、何と?」


「欲しい、キョウイチロウ殿を我が者としたいと」


「はぁぁ…それは誤解を招きますわね、皆、分かっているとは思いますが、自分の考えている事とは別次元の視点で物事を捉えて、自分が思い描く事とは別の思考回路を持つ人材は貴重なのです。

私にもっとそんな人材が居ればとのボヤキですわ…」


「お気をつけなさいますよう」


「あぁ〜ハイハイ」


「王妃様!その様な話し方は如何な物かと!」


「本当っっにクリスティーたら!相変わらず昔から硬すぎですわ」


「なっ!?わたくしは貴女様を思って」


( ・-・ )スン「重いから、身内同士の話しに硬さを求められても肩がコリます。」


「( ^∀^)アハハ♪それがハナ王妃の自ですか?

私を身内扱いして下さりありがとうございます♪

あまりの重苦しい空気に押し潰されてしまうかと思っていましたがフフフ、なるほどなるほど…」


「では!?王家の為に働いてくださると!」


「それは、丁重にお断り致します!」


「何と!?では!?どうするつもりで納得したのですか!?」


「新参者の出所不明者が、いきなり重鎮扱いだなんて軋轢あつれきしか産まないじゃないですか?

私で良ければですが外部顧問と言う形で王妃様の、ご相談には乗りましょう、あくまでも影からお支えすると言う形を取らせて頂ければ軋轢は産まれないかと」


「その様な方法がありましたか!では!最後に先程の其方の世界の共産国家が攻めて来たら我々はどうなるかだけ想像で良い、教えてくれますか」


「占領され全てが無くなるかと…」


「全て!?とは皆殺しと言う事ですの!?」


「そうではありません彼らは民族浄化と言っています」


「民族浄化!?」


「まず、反抗的な者を捕えて洗脳教育を施し、指導者や告発者は闇に葬ります。

占領した土地では幼い者を義務教育と称して本国の言葉と風習を学ばせ同化を徐々に進めて、その全てを管理下に置くでしょう、そして次に親族は人質にされ家族単位でバラバラに移住させられます。

祭りなどの伝統文化を破壊する為です…

2世代もの間、祭りが引き継がれなければそこで一代目が年老いて亡くなれば伝統文化は途絶えます。新しい思想を植え付けられた、次世代の子供達は当時の王国の歴史を知る者は一人もいなくなるでしょう、そして本国からの人の移住が進みハーフも増えるでしょう、あちらの伝統文化が流入して、最終的にハインデルという土地の文化と人種は消えてなくなります。

ハインデル王家も本国の指示で王は、すげ替えられ血筋は秘密裏に絶やされるかと」


「なんと周りくどい事を…だが火種を燻らせ続け暴動を起こされ後手に回るより確実ではあるか、それって酷く無い?」


「酷いですね、ですから国としては長続きはしてないです。今の隣国は100年目くらいですかね、トップが入れ替わり立ち替わり国家の体裁を保ってる状態です。

長い政権が続くと腐敗と汚職が進み国が倒れ、新しいトップの元に新しい国が発足すると言う感じです。」


「では私の母国は何故長続きしているのかしら?」


「私の国から来た方が建国したからでは無いでしょうか?」


「今後、我がハインデル王国が長く続くには如何すれば良いと?」


「まずはハナ王妃の母国の歴史を紐解きそれに学ぶべきかと」


「ちなみに其方の日本と言う国は何年続いていますの?」


「我が国は立憲君主制で最長の2600年を超えております。

紆余曲折はありますが文献がハッキリしている物だと最低でも1500年は間違い無いとされております。」


「何と!?我が国もそれぐらい続けられるでしょうか?」


「王のお心次第かと、我が国の歴代の陛下には飢饉が起こり困窮する国民の為に税収を0にしたお方がおられます。

自国の民を思いボロ布の様な継ぎ接ぎだらけの服を着て雨漏りのする建物で質素倹約な暮らしをしておいででした。

1年が経ち2年が経ち国民達は来年こそ税金を納めて陛下に人並みの生活を送って頂く!と頑張りました…が3年目も税収は0にするとの陛下の通達に国民は大激怒、暴動が起こりました!

国民が陛下のお住まいに雪崩れ込んだのです!」


「何と!?!?税収を0にしたのにも関わらず国民は何故その様な暴挙に!?!?」


「国民は手に手に商売道具を持ち、商人は材料を準備しボロボロの荒屋を新築に造り替えて、

女達は陛下の継ぎ接ぎだらけのボロ布のような服を真新しい服に着替えさせたのです。

愛すべき王室の為ならば我が身を削ってでも尽くしたいと思いやる心を持った人々が暮らす国それが私達の国なのです。

王の国民に対する思いが強ければ強い程、安寧は続くかと」


「ふーむ、興味深い…

いずれは其方の国の歴史書も異世界ショッピングで取り寄せる事は可能ですか?」


「簡単に一冊では理解は無理ですね世界の歴史線と比較した物を新たにつくらなければ把握すら難しいかと」


「簡単には…いかぬと言う事か…今後もすれ違いなき様、キョウイチロウ殿とわたくし達との思考の擦り合わせが必要不可欠と…

今回の話し合い…

結論から申せばキョウイチロウ殿が勇者達と共に帰国するのであらばコチラでの記憶は抹消させて貰う手筈になっています!

これで其方の懸念の一つは解消されるでしょう!

話しはここまでです!下がって良い!クリスティー!

人払いをして厨房で好きな食材を持たせておあげなさい!」


「かしこまりました!」


「そののち、妾の自室に王国魔法師団長のカトリーナと共に参りなさい」


「かしこまりました王妃様の御心のままに」

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