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第14話 ハナの懸念


王妃であるハナの母国は異世界転移して来た男が建国した日本様式の国である。

早々に稲作を普及させただけでなく異世界の魔法による一般家庭での低温管理備蓄方法の確率も相まって豊かな国となった。(低温管理出来ると言う事は備蓄米に発生する虫を抑えられると言う事)


キョウイチロウも出身はお米文化圏である。畑作と違い稲作は連作が可能で畑作の様に連作障害が出ない為、長らく平和な世の中が続いている。


お米文化圏は何故?豊かなのか?

それは小麦は連作が出来ないうえに1粒の種からの収穫量が少ない事があげられる。

お米は1粒が成長して20粒の実を付けるのに対して小麦は5粒と少ないので人が暮らす上で必要な量を収穫しようとすると大規模化するしかない、大規模化すると安い人手が大勢、必要になる。それ故にこの世界の小麦文化圏では奴隷文化が根付いた。

お米文化圏では干魃や飢饉がない限り収穫量が安定していた為に備蓄に回せる人が多く生活にゆとりが出た。

その結果、人々の幸福度はこの世界の小麦文化圏よりお米文化圏の方が高かった。

この世界の小麦文化圏での主食は肉で家畜を冬の保存食にする為に秋に大量の加工を行う、その時に屠殺される家畜の量はお米文化圏では考えられない数に及ぶ。

そしてこの異世界の小麦文化圏では崇める神は1人である。

ピラミッド構造の頂点は1人の神、その下に自分達人、その下に家畜と同列に奴隷…

小麦文化圏の奴隷に人権は無かった。


お米文化圏での主食は米、貧困層は無かったかと言うと口減くちべらしされた子供は奴隷の様な身分にはあったが人としての権利を剥奪される事は無かった。

貧困層は貧しいながらも幸せに暮らしていた。


そんな異世界の日本人が建国したハナの母国が戦火に1度も晒されなかったかと言うと何度も危機はあった。

初代は早くから稲作を普及させ国に豊かさをもたらした。

その豊かさ故に他国の侵略を何度も受けたのだ。


この世界の小麦文化圏の宗教を普及させる為の宣教師がスパイとして入って来た…が広まらなかった。

それはこう言ったものである。

ハナの国は多神教を良しとする国柄故に1神教の教えに改宗させる際に村人に質問される。


「あの世に逝ったら祖父母、親兄弟の居る所に行けるか?」との質問に対して宣教師は


「無理だ親兄弟祖父母も改宗しなくてはいけない」

と答えた為に


「もう先立って居ない親兄弟祖父母の所に行けないなら改宗しない」


と言う感じで布教は遅々(ちち)として進まなかった。


その後、商人が来て、その後に騎兵が来て蹂躙して版図はんとを広げていたこの世界の小麦文化圏の国も

ハナの国では宣教師が頑張っても布教は広まらない


商人は貧困家庭の子供達を奴隷とすべく買い漁った結果…


当時の国家元首にブチ切れられ1神教の布教事態を禁止にされ、攻撃船が来ても地の利を生かし鬼神の如く雄々しく戦いそれを蹴散らした為に初代頭首が国を立ち上げてからと言うもの、この異世界で数多の国が建国し亡び行く中、ハナの母国はこの世界の国で1番長い歴史を誇っている。

その国の王族に産まれたハナは幼少期より内政の英才教育を受けて育った為に嫁いだ先でも深く政治に関わって来た。

軍事や安全保障の分野は王であるアルザス2世が取り仕切り

外交を含む政治全般は王妃が取り仕切って来た。

治安も安定し、これと言った内乱や暴動も無い、それ故にアルザス2世は王妃に絶対の信頼をして内政をほぼ任せている。


とある深夜…


「アルザス2世様」


「フム( ;-`д´-)ハナか?入れ」


「失礼します。」


「して、斯様かような時間に如何いかがした。」


「少しお話ししたき儀がありまして」


「よい、余とお主の間柄、堅苦しい事は抜きにして申してみよ」


「はい…過分なご配慮痛み入ります。僭越せんえつながら申し上げます。さる御仁の件についてにございます。」


「キョウイチロウ殿の事か?」


「はい」


「かの者の処遇についてか?」


「正にその件にて、お話しがあり参上致しました。かの御仁のスキルは我々の理解が及ぶ物だけ捉えても異質…

それに殆どが未知のスキルですので蜜にも毒にもなるかと危惧しています。」


「フム甘い蜜を得ようとすれば痛い思いをすると言う事か…しかしキョウイチロウ殿は全てのスキルを開示し取説書まで用意すると言っていたではないか?そこまで其方そなたが心配する程の事か?」


「痛い思いならまだましかと…」


「国家を揺るがす未曾有の大惨事が起こるとでも言いたいのか!?」


「はい、他国を巻き込んでの」


「…あの幸薄そうなキョウイチロウ殿がか?

大人しそうな男だったぞ?

キョウイチロウ殿が戦端の火種を作ると?」


「はい、無自覚にて何かしら」


「何かしら?不確定要素で国家存亡までいく可能性があると申すか?」


「はい、かの御仁は他人をおもんぱかり国家を揺るがす程の何かをヤラかすのでは、と危惧しております。」


「人の良さそうな顔をしておったからなぁ身近な者の大事とあらば行動に移すかもしれないと…」


「その可能性も大いにあるかと」


「してそなたは余にどの様にせよと此処に参った?」


「僭越ながら…かの者を国宝扱いとし!

我が国の管理下の元でしかスキルの使用を許可しない方向で厳重管理するのが得策かと」


「何ぃ!?そこまでの縛りを設けなくては、いけないのか!?」


「はい、それが最善策かと」


「…ふーむ…」

暫し考え込むアルザス2世


「そなたの言い分は…分かった!

内政に絡む物とならばハナの諫言かんげん聞く他にあるまい」


「賢明な御判断かと、では内密に事を進めますので今夜はこれにて失礼致します。」


「共に寝ぬとも良いのか?」


「ふふふ♪おたわむれを、わたくしそう言った雰囲気を貴方様がご準備下さらないとイヤですゎ」


しかり!しかと心得た!期待して待つが良い♪」


「楽しみにしておりますゎ♪それではおやすなさいませ我が王アルザス2世様」


キョウイチロウの管理計画が密かに進んで行くのであった

ここまでお読み頂きありがとうございます!


この小説を読んで、「面白い」「続きが気になる」と少しでも感じましたら、

ブクマと↓の☆☆☆☆☆から評価頂けましたら幸いです (*゜▽゜)ノ


読者様の応援が作者の何よりのやる気に繋がりますので、是非とも!

よろしくお願いいたします!

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