第127話 落胆
ドーン!パリパリ、パリパリ
「おぉ!デセスペーロ・ブエノ!?帰投したか!?」
「魔王様!?何か様子がおかしいです!」
「デセスペーロ・ブエノ?お主では無いの…か?」
パリパリ、パリパリ…シュン!
「デセスペーロ・ブエノ!?我の元を去ると言うのか?
デセスペーロ・ブエノ!!!」
キョウイチロウの言いつけを守り、2秒で離脱する魔槍
「魔王様!」
「手紙?」
「触れるな!何かしらの罠かも知れん!」
「しかし…このままと言う訳にも」
「マーモンを呼べ!バアルもだ!」
「はい!魔王様!」
「何?何?」
「マーモンよ、来たか?」
「何事なんッスか?あぁ?バアルも居んの?」
「うむ、魔王様に私も呼ばれてな」
「今、デセスペーロ・ブエノが帰投した」
「フムフム…
で?魔王様?魔槍は何処に?」
「手紙を置いて去りおった」
「はぁ!?帰って来たんじゃ無いんっすか?」
「そこに置いてある手紙に罠が無いとも限らん!
マーモン分かるか?」
「(-ω- ?)んっ?コレ?」
「マーモン!軽々しく持つで無い!」
「普通の手紙ッスわ」
「何の罠も無いと申すか?開けたら何か…」
「それも無さそうですね…(-ω- ?)んっ?」
「何だ!?罠か!?」
「いや、手紙の下にもう一通手紙がありますね…
宛先はフーバー?」
「おい!フーバーを呼べ!」
暫くして…
「何なのですか?魔王様?又、非常呼集などと?」
「そうボヤくで無いフーバーよ、デセスペーロ・ブエノがワシ宛とお前宛の手紙を置いて去りおったのだ…」
「それはそれは…」
「どうしたフーバー?」
「魔王様におかれましては…失礼を承知で言わせて頂きます」
「申せ」
「流石はキョウイチロウ…としか申し上げられませぬ」
「どう言う事だ?」
「今回、魔王様が情報収集を慌てたあまりに、デセスペーロ・ブエノは敵に捕縛されましてございますれば、キョウイチロウはその失敗を犯さなかった…
としか言えません」
「グヌヌヌヌヌ」
「ドノヴァン様?ワシの鍛えた魔槍が長期滞在したとしたら?」
「フム( ;-`д´-)そうじゃのう…我の魔法で異界門にて異界に閉じ込めてキョウイチロウと同じ方法を取ったであろうな」
「然り!キョウイチロウは、それをさせぬ為に滞在時間を最短とし話す機会を設けず、手紙を置いて立ち去らせたかと」
「浅はかな我よりキョウイチロウの方が思慮深いと申すか!?フーバーよ!」
「事実と照し合わせれば明白かと」
「グヌヌヌヌヌ」
「手紙には罠は無いとマーモンは言っておったが、お前に何か感じる物はあるか?」
「フム( ;-`д´-)…多少でございますが微量な魔槍の残留思念が残っていますな…本人以外が開けるとチリとなり燃え尽きて内容は確認出来ないかと」
「そのような手紙が存在するのか!?」
「内容を把握しないといけませんので、試す事は叶いませんが、魔王様に何かかあっては一大事です。ワシが先に読みましょう…
…」
手紙を、開けるフーバー…罠や呪いの類は無く普通に開けて手紙を読む
「読み上げる事は可能か?」
「出来ます」
「頼めるか?」
「はい、では」
魔工匠フーバー殿へ
今回、貴方様のお作りに成った魔槍を強奪する事をお許し下さい。
このような素晴らしき魔槍を強奪するのは気が引けましたが、敵意丸出しで此方に来られては、此方も対応するしかありませんでした。
誠に申し訳無いのですが鹵獲させて頂きました。
今後、魔槍は我らにとって甚大な被害をもたらすであろうと言う認識にいたり、私の槍とさせて頂きます。
「…
謝罪ばかりの手紙ですな…
そしてデセスペーロ・ブエノは敵方の手に堕ちたと言う事になります。」
「何と!?其方の申した通りに成ったと言う事か!?」
「はい…遺憾ながら…
魔王様の手紙には何と?」
「フム( ;-`д´-)」
魔王ドンゴロス様へ
この度、デセスペーロ・ブエノは名をエスペランサ・ブエノと改め、キョウイチロウ様のご加護を受けて神槍となりました。
魔王様は、武器レベルと言う物をご存知でしょうか?
貴方様の所に居た時の私は、その御身のデモンズ・ブラッドを使用した魔槍としての威光を示すだけの存在でした。
キョウイチロウ様のご加護を受けた妖刀村正様の手解きにより私は武器レベルが1日にして42まで上がりました。
魔王様の元に居た時には考えられなかった成長です。
私は今、歓喜に満ち溢れています。
魔王様がお婆婆様の強化スケジュール時に私を連れて行くかパーティーに編成して頂いて、私の武器レベルの成長を促し共に強く成ろうとさえしていて下されば、このような事態にはならなかったと思います。
今後、更なるレベル上げとスキルアップにて強き私の姿をお見せしたいと思います。
お覚悟を
「何と言う事か…」
「…デセスペーロ・ブエノよ…
己が成長の喜びを知ってしまったか…」
「キョウイチロウぅ!」
「あの三千度のマグマにすら耐えうる魔王様のデモンズ・ブラッドをキョウイチロウは浄化したと申すか!?」
「然り!(y゜ロ゜)y
そして…かの魔槍デセスペーロ・ブエノは絶望と言う名を冠した武器でしたが…
エスペランサ・ブエノという希望を冠した新たな名を得て…
我らに甚大な被害を及ぼす存在になってしまいました…」
「何と言う事だ…其方が命懸けで作った武器を…
我は、みすみす敵に献上したと…」
落胆の色の隠せない魔王…
「魔王様!!!」
「何事だ!?今は重要な案件にてフーバー殿が謁見中であるぞ!」
「良い!申せ!」
「魔槍にミルヴァーナ様が攫われたとの報告が!」
「何ぃ!?」
「魔王様!」
「次は何だ!?」
「龍人の里に白髪の山羊族と、白髪のミノタウロスが現れ住人を攫って行ったとの報告が!」
「くっ!キョウイチロウか!?
グヌヌヌヌヌ…」
「奴め!一体何処まで我らを愚弄し切り崩すつもりか!
魔王様!このままでは全軍前進の準備を待っている時間はありませぬ!
今すぐ進軍のご決断を!」
「バアルよ!この状況下で如何にして進軍を進めると申すか!?部隊の再編成どころか、新設したドラゴニュートの部隊の団長としたミルヴァーナごと部隊がまるまる攫われたのだぞ!
魔女もお婆婆も居らん!
戦力低下が著しくて攻める事もままならん!」
「魔王様…
攫われただけなら未だましかと…」
「…
裏切ったと捉えた方が良いと?」
「はい…」
「くっ!?」
「奴らは我らの切り崩しと並行して妖精族と神獣族との交渉も進めていると目されています!」
「次から次へと…
キョウイチロウめ、やってくれる…
魔槍が鹵獲され落胆している暇もよこさぬとは…」
「魔王様…
今一度、円卓会議の要請を!軍団長との意思疎通を測り対策を練るべきかと!」
「分かった!明日、円卓会議を開催する旨を各団長に通達せよ!」
「ははぁ!」
かくして落胆の色の隠せない魔王軍であったが、かねてよりの作成を実行するにはどうするか会議を開く事となった。
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