第113話 アンナと師匠
少し時間は、さかのぼる
「師匠!アンナ!只今戻りました」
「おぉアンナ!久しいのぅ息災か?」
「すこぶる!師匠は?如何お過ごしで?」
「元気ぞ♪
フム…アンナよ少し雰囲気が変わったか?」
「(=`ェ´=)フフフ
師匠からご教授頂いた神居ですが更にパワーアップ致しましたわ!」
「ほほぅ」
立ち上がる石川五右衛門
「見せてみよ」
「師匠が、私の技を見定めて下さると!?」
「勿体ぶらずに見せてみよ」
「はい!神居改!」
ズゴーーン!ブワーー!!
「ほほぅ、我が神居に衝撃波を加えたか…
やるなアンナ!」
「(*/∀\*)イヤン!
師匠に褒められた!嬉し!」
「しかし…
未だ未だ神居改、だったか?免許皆伝には程遠いな!
誰に教わったアンナよ!?」
「分かりますの!?」
「自分で編み出した技ではあるまい?
其方から別人…異世界人と言ったら分かりやすいか?
その者からの力の流れを感じる!
何か得ておるな!何奴だ!?」
「(;゜д゜)…」
「何じゃ?」
「本当にお分かりになられるので?」
「ワシを誰だと思うておる!分からぬ筈がなかろう、して?何奴だ?」
「異世界からの来訪者で私の旦那様の加護を受けていますわ」
「ほほぅ」
片目を閉じアンナを見詰める石川五右衛門
「何ですの?」
(_・ω・)_バァン☆
「旦那だと!神居の強化の話しの前に結婚しましたの報告が先であろうが!!!
イツ!?何処で!?どう言った経緯で!?
どうなったらそうなる!?其方は17歳ぞ!親の同意は得たのか!?」
「ブー!ブー!師匠、女性のプライベートに干渉し過ぎですわ!
親には報告してませんし!
って言うか今わたくしは旦那様の配下で従者で臣下ですのよ
もう、ハインデルの姫騎士じゃありませんわ」
「はぁぁ!?
駆け落ちか!?」
「彼の元に押しかけ的な流れからの部分進化してもらって従者になり彼の物に…と言った感じかしら?」
(_・ω・)_バァン☆
「戯けぃ!!婚礼と言う物は万人に祝福されて然るべきものであるぞ!
それを!いけしゃぁしゃぁと!
国元を捨てただと!?
簡単にほざきおる!」
「えっと( ̄▽ ̄;)私が一方的に旦那様と言っているだけでして…」
「はぁ!?向こうは?認知していないのか!?」
「此方に召喚された時のお歳は42歳だった旦那様は一度、魔王に殺されて大日如来様のお力にて復活、その際九歳児に若返っていますので」
「アンナ!待て待て待て待て!
その男と言うのはキョウイチロウ殿の事ではあるまいな?」
「あら?キョウイチロウ様をご存知なので?」
「アホぅ!
我れらがジーパングォに天子様をご降臨させるべく天孫降臨の儀を執り行う者を名を知らぬジーパングォの民はおらんわ!」
「あら?キョウイチロウ様は有名人ですわね、流石は私の旦那様♪」
「アンナよ…
それは妄想と言うものぞ…
そもそも父と母が居なくば、お前と言う存在は無いものと知れい!感謝を忘れるで無い!
親の一時の迷いで、それを捨てるとは、あり得ん話しぞ!」
「違います!キョウイチロウ様もまんざらでも無い感じですし…
父と母にはちゃんと感謝しています!」
「まんざらでも無い?九歳児のキョウイチロウ殿がか?」
「それは…
既に六児の父ですし…中身は42歳ですし…」
「はぁ!?
もう一度申してみよ!何だと!?」
「キョウイチロウ様は嫁が八人、妊婦が六人!」
「頭が痛く成って来た…アンナよお前は九人目か?…」
「大丈夫ですか?師匠?」
「大丈夫か?だとぉ!?誰のせいだと思っておる!」
「えーと…私?(๑・ω-)テヘペロ♪」
「…
まぁ追ってキョウイチロウ殿とは話すとして、ハナとアルザス2世に報告だけはしろ!」
「いやですわ!
父も母もキョウイチロウ様に一般兵まで全員進化してもらえば魔王軍に勝てんじゃね?と大はしゃぎ!
異世界人に頼り過ぎですわ!
そもそもレベルが低い者にキョウイチロウ様の加護を与えて進化させた所で、規定レベルに達していないと使えないスキルばかりですよの
そして魔族の脅威に晒されている当人である私達が異世界召喚にて強制的にキョウイチロウ様達を此方の世界に呼び付け魔王を討伐して人族を救ってくれなどと…勝手が過ぎます!
ですから私は国元を離れ、ジーパングォに戻りキョウイチロウ様の魔王討伐の一助となるべくして再度修行をと師匠の元に来たのです!」
「(。=`ω´=)ぇ??アルザス2世がお前の旦那に魔王討伐と国防を丸投げしようとした?」
「はい!」
「他力本願にも程がある!!」
「その…キョウイチロウ様からもよく聞く言葉なのですが…
私には他力本願の意味が分かりませんわ」
「ほほぅ…
然り、我らの世界の言葉であったのぅ…
阿弥陀仏の本願の力によって救われるという、仏の力に依り頼み願いを叶えようとする事を指す言葉だ
私的には一向一揆を扇動して自力では何もしない奴らの事を他力本願と言っておるが…
まぁ他人の力を頼り頼むだけで何もしない奴を指して使う言葉よ」
「フムフム、勉強になります
それと…」
「何じゃ?」
「キョウイチロウ様は今後のこの世界を危惧しています、ご自分が年老いた時に誰が人族を守るのか?
又、異世界人をその都度召喚するのか?
自分達の手で守れるようにしないと根本的な解決にはならないと」
「然り…」
「師匠も異世界から強制召喚されたお人であらせられますでしょう、その頼り過ぎを危惧されおられます」
「しかし、アンナはクォーターとはいえ勇者の末裔、そのアンナですら魔王軍には歯が立たぬ…
修行で何とかなる物なのか?」
「何を弱気な事を!」
「愚問だったな…」
「キョウイチロウ様は自覚なさっておいでです、今回の魔王は強大、時代の変換点にはそれに見合う者が現れる…と…」
「かなり重たい荷物を背負わせる事になるな…」
「かと言っても、わたくし達の国!わたくし達の世界の話しですわ!
手をこまねいて!指を咥えて異世界召喚に頼るしか方法が無いなどと、師匠のお言葉をお借りすれば他力本願にも程がありますわ」
「うーーーむ…
確かに傍観者で他人事と言う訳にもいかぬか…」
「そうです!早く修行を!」
「しかし…」
「何か不都合が?」
「大有りじゃ!」
「師匠の元では修行出来ないと?」
「そう…だな…
アンナよ我が故郷にはシオヤアブと言う昆虫がおってな」
「はい、それが何か?」
「シオヤアブは我が居た世界の最大の蜂であるオオスズメバチであろうと、世界最速で最大のトンボであるオニヤンマであろうと、背後から忍び寄り神経節を一撃で刺して即死させる最強の槍を持つ昆虫が居る」
「興味深いですわ、そのアブが何か私と何の関係が?」
「シオヤアブの天敵はカマキリと蜘蛛だ!
最強の槍をもつシオヤアブでさえ!
待ちの捕食者には手も足も出ず殺され捕食される」
「師匠が言いたいのは?攻撃は最大の防御では無いと?」
「そうだ!最強の槍を持つ生き物でさえ奇襲には耐えられんし、最強の盾も防具も装備してはいないのだ!だからしなくてはならない事があるのだ」
「私にどうせよと?」
「神居改を極める前に防御魔法だ!」
「プロテクトですか?」
「そう!常日頃から防御に気を配り日常的に防御壁を構築し続けるのだ!
更に出来れば回避!」
「不意打ちされても、致命傷を避けろと?」
「然り!
攻撃は最大の防御?
攻撃する前に不意打ちされたら?
肉を斬らせて骨を斷つ?
刀身に毒を塗られていたら?肉を斬らせてはイカンとならんか?」
「防御か回避ですわね…後、出来れば解毒?」
「それもあるが取り敢えずは神居改の強化の前に防御を意識せよ!」
「それは?師匠の元では修行出来ませんの?
それに何故?解毒は後回しに?」
「出来るが、応用は出来ん!
それと致死性の高い毒は喰らってはならん!回避で避ける事が出来る事の方が重要だ!
回避出来なかった時の為の防御壁よ」
「応用が効かない?
それに…即死…もしくは身体に痺れが出て動けなくなる毒を喰らったら…確実に殺されますわね」
「アンナが向かう先は死地!
魔王軍は何をしてくるか分からん!
試合のような綺麗な戦いだけでの対応は無理だ!
魔王軍が!ありとあらゆる汚い手を使って来るとも限らん!」
「どうすれば?」
「風魔の里だな、小太郎殿の教えで勝つ事に貪欲で正攻法など完全無視の不意打ち、足踏み、服を掴んでの体制崩し、目潰し、鼓膜破り、関節技、毒、あらゆる手段を用いた訓練をしており、実戦にて経験を積むべく魔族領にてルール無用で跋扈しておる!
奴らならば或いは」
「修行先に風魔の里に参ると言う事ですか!?」
「此度アンナが来るとの知らせを受けて五つある里、全ての長に話しは付けてある!全ての里にて免許皆伝を手にするのだ!
共に行くぞ!
それよりアンナよ!えらく大人しいが?村正はどうした!?その拵え袋(刀を鞘ごと入れる袋)の中身はまさか村正では無いとは言わぬよな!?」
「はい…
そのまさかにございます」
「何と!?何故!?」
「はい…
キョウイチロウ様との訓練中にわたくしの未熟さ故に村正自らが無理な体制から何度もキョウイチロウ様の一撃を防いでくれて…
村正を酷使している事に気付けず…
折れて、村正はに天に召されました
先程師匠が申した通り、私の防御力や回避能力が高ければ、あのような事態には至らなかったかと…」
_| ̄|○ ガックリ!
「何とした事じゃあ〜!
村正ぁぁぁぁぁ!」
「邪魔をするぞ!アンナは居るか?」
「何奴!?」
「武甕槌さま!?どうして前線に!?」
「村正がジーパングォでひと段落したら石川五右衛門に会いたいと申してな」
「武甕槌!?さ…ま!?アンナよ!説明せぃ!」
「(;゜д゜)アッ…はい…斯々然々」
「何と!?あの剣の神であらせられ、媒体が無いと降霊出来ない筈の武甕槌さまをキョウイチロウ殿は顕現させただけでなく、加護まで受けておると!?
何と規格外な御仁よ」
「ふふーん♪」
「何故?アンナが得意気なんだ?」
「旦那を褒められて嬉しく無い嫁が居まして?」
「えっと…
妄想よな?」
「師匠!酷い!」
泣き真似しながらへたり込むアンナ
「いや…あっ…アンナよ…スマン…」
焦る石川五右衛門
「目薬ですわ!」
「アンナ!戯れが過ぎるぞ!
石川五右衛門は仮にも師匠であろう?」
「ごめんなさい…」( ・´ω`・)ショボーーーン
「(=`ェ´=)フフフ
良い、久しいやり取りに少しホッコリしたわぃ」
「師匠♪大好き!」ε=(ノ≧∇≦)ノ
「これこれアンナよ♪お前との戯れも良きものだが、先ずは村正よ話しは出来まするか?武甕槌殿?」
「村正」
「はい…」
擬人化して顕現する村正
「(-ω- ?)んっ?
Σ(・ω・ノ)ノ
何と!?それもキョウイチロウ殿のお力か!?
…
しかも女性?」
「女刀はキョウイチロウ様の潜在意識下での意向故に致し方ありませんわ」
「何と妖艶な…
脇差しから、普通の刀に成ったと聞いたが…
其方?本当にあの村正なのか?」
軽口を叩き、冗談やオヤジギャグの多かったチャラい村正はそこには居なかった
「失礼ですわね!キョウイチロウ様のイメージではイケメンでイケボの佐々木小次郎に成る予定だったと仰っておいででしたが…
正真正銘!村正本人ですわ!」
「イケメンとイケボの意味は分からんが…
何処からどう見ても女性よな?しかもチャラさのカケラも無い!」
「イケメンとは容姿端麗と言う意味で、イケボは素敵な声の持ち主と言う意味だそうですわ
チャラいと柄からも外され抜き身で放り投げられ地面に放置されますの」
(ノω・、)
「フム( ;-`д´-)イケメン、イケボ、それは分かったが…
村正お前の服装よ、和装とは似て非なる物のように見受けられるが?
それに装飾を外され抜き身で放り投げられ放置されると言う事は…
(y゜ロ゜)y全裸か!?全裸なのか!?」
「( ; ゜Д゜)黙れ!この変態!全裸の訳あるかぃ!抜き身!全裸とは言ってませんわ!
それと…私にもよく分かりませんが…
キョウイチロウ様、曰く和装メイド服と言うそうです、このスカートと言う服は動き易くて良い感じですわ」
「フム( ;-`д´-)袖口は振袖のような長さではあるが、形は二等辺三角形、袖と肩はセパレートか?その紐を外せば又おもむきの違った服装になるな…
闘う時は刀よな?動き易さは必要なのか?」
「そこもよく分かりませんが、キョウイチロウ様、曰く様式美と言うものだそうで…」
「かの御仁の趣味…と…」
「師匠!女性をマジマジと舐め回すように見過ぎですわ!」
「おぉスマン」
「謝るのは私ではなく村正にですわ!」
「まぁ…何だ…新たな刀として生まれ変われた事、嬉しく思う、良かったな村正
しかし…
武甕槌様、何故アンナの元に村正は居ないのでしょう?」
「ひとえにアンナの未熟さ故」
「ほほぅ…
我が弟子では村正を扱うには役不足と?」
「然り!」
「村正は納得しているのですか?」
「無論!多少はゴネたが、昇天して我の元に来た村正の魂をキョウイチロウの配慮にて強制的に打ち直した刀に戻し、奴の加護を得て擬人化出来るまでに進化しておる、今や歴としたキョウイチロウの従者よ」
「ほほぅ…ほほぅ…
アンナ!脇差しから刀に昇格して進化した程度で、その刀の主人として力不足などとワシの鍛え方が悪かったと見える!
アンナ覚悟せよ!ワシも共に風魔の里へ行き修行のし直しじゃぁ!
まともな修行と思うなよ!(y゜ロ゜)y
貴様の腑抜け切ったクソ真面目な太刀筋を矯正するのだ!生半可な事では無いと知れ!
我が大盗賊として駆け回っていた時の悪事の数々を一から叩き込んでやる!覚悟せよ!」
「はい!師匠!私は非合法な手段を持ってして稼いだ富める悪党からしか盗まない大盗賊であった師匠の矜持は心得ております!」
「それは!あくまでも我の矜持の元の正義である!万人の正義とは程遠い!ゆすり!たかり!殺し!何でもやった!
それでもワシを師匠と呼ぶかアンナよ?」
「それでもです!師匠は私にとって唯一無二!付いて行きます!ご指導ご鞭撻の程を!何卒」
「あい!分かった!魔族と対峙して相手方の家族の心配なぞして手心を加えようとしようものなら、破門とするぞ!」
「かまいません!付いて行きます!」
「ならば是非も無し!
風魔の里に行く前にハインデルの鬼畜貴族を誅殺に行く!
人族の中にも魔族以上の変態と人族にあるまじき悪業の数々を行っても良心の呵責も無いクズが居る
アンナよ!其方の国の病巣を己が手を汚し駆逐する覚悟はあるか!!!!」
「何と申しましたか!?」
「ハインデルの鬼畜貴族を殺すと言った!
其奴らの悪業と同じ方法で惨殺すると申した!」
「ハインデル…の…貴族が…?
有り得ません!」
「アホぅ!」
( *°ω°⊂彡☆))Д´) パーン☆★
「痛い!両親にもぶたれた事なんて無いのに!」
女の子座りでへたり込むアンナ
「有り得ないだと!
では我が嘘を付いていると申すか!
その目で確かめさせてやるわ!
同じ方法で鬼畜貴族を殺せなくばワシに付いて来れぬと見なして風魔の里での修行は白紙じゃ!
風魔の里を甘くみるなよ!
暗殺!暗躍!権謀術数!非合法手段を用いた戦い!
華やかな表舞台とは無縁!そんな修行に付いては来れまいて
奴らが神居改を習得したならば、斬撃を放った後に衝撃波に毒入りマキビシを投げ込む事も躊躇しまいて、卑怯と謗りを受けようとも勝つ事!逃げる事に全力を尽くす!それが風魔よ!
温室育ちの剣術とは程遠い、それを学ばなくては卑怯且つ残忍な魔族の相手は、つとまらん!」
「キョウイチロウ様が進もうとしている道は険しいイバラの道!
共に歩むと決めてハインデルの姫騎士を辞めたあの日の思いは変わりません!
何の躊躇も感情移入も致しません!
無表情で殺してみせます!」
「言ったな…
では金に物を言わせ狂った宴を繰り返す人外の外道を見に行こうではないか
(=`ェ´=)フフフ
覚悟せよ!人はここまで狂えるのかと目を疑う光景が広がっているぞ、今なら知らずに済み引返す事も出来るが…」
「参ります!」
「だが本当に覚悟せぃよ!」
「くどぉございます」
「では奴らの狂宴は明後日と報告が入っておる…
共に参るか」
「はい!」
「(=`ェ´=)フフフ
良い師匠を持ったなアンナよ、綺麗事だけでは片付けられぬ選択を迫られる時もあろう、だがそこで躊躇ったが為に己が命では足りない多くの仲間が犠牲になる最悪の事態に繋がる事もある、そこが見極められず非情になれなくばキョウイチロウと共には歩けまいて…」
「はい…覚悟しております」
「その意気やよし!石川五右衛門と共にハインデルの病巣を覗いてまいれ」
無言で頷くアンナ…その目には確たる意志が見て取れた
「して、武甕槌殿一つお願いがございまする」
「何じゃ?」
「このわたくしめに村正を持たせてはくださりませぬか?」
「村正?」
「良いですわよ」
「村正の了解は得た、その手に持ってみるがよい」
「ははぁ!有り難き幸せ!」
「今の村正の主人はキョウイチロウじゃ、かの者はお主も知っておると思うが規格外の傑物ぞ、その者が自ら鍛えた刀ゆえ、心して持つがよかろう…
しかも村正はキョウイチロウの加護も得ておる、刀だてらに魔法の行使も可能に成った
キョウイチロウは村正と意思疎通を計り無限の攻め手を考案して村正を使わせたら並ぶ者は居ない所まで昇華させておる相変わらずの傑物よ
そのキョウイチロウに認めて貰えねば村正の使い手には成れぬ、その手に取って見てみるが良い、そして村正のスペックに驚け
キョウイチロウは村正の斬撃にも衝撃波にも全ての属性の魔法を自らの意志で付与するぞ!」
村正を手渡す武甕槌
恭しく両手で受け取る石川五右衛門
「ほぅ♪」
「持っただけで分かるか?」
「はい♪」
カチャ、親指で鍔を押し鞘から村正を引き抜く石川五右衛門
目の前で村正を鞘から出して感嘆の声を上げる、そして…
「この砂紋…そして重さ…そり…鍔の装飾…コレは猪鹿蝶の彫り物に金箔か?
柄は縁頭 (ふちがしら)の装飾も細工が細かい、そして握り易いな、鮫皮に丁寧巻かれた柄糸も素晴らしい♪
目貫き…笄… 小柄に至るまで、何と美しい♡」
「全てキョウイチロウ様のお手製ですわ♪
ステータスを見てみますか?」
「キョウイチロウ殿には相当に可愛がられておるようだな、ステータスを見せてくれ」
「ウフフ♪ステータスオープン!」
「(;゜゜)マジかぁ…先程褒めた装飾品や細部に至るまで、何かしらのスキルが付与されているとは…
それに何じゃこのスキルの数は?
最早、異常としか言えん…」
「ウフフ♪キョウイチロウ様は全てのスキルにおいて上限突破していらっしゃいますわ」
「この短期間で!?人智を越えておるではないか!
最早!神の領域ぞ!」
「そうなんですよ〜キョウイチロウ様は凄いんですぅ〜」
「村正が幸せそうで何よりだ♪…
それにしてもスキルの数が多過ぎる!
…」
「キョウイチロウ様の加護はレベルにもよりますがキョウイチロウ様が扱えるスキルと職種は全て使えて、尚且つ私の固有スキルはキョウイチロウ様が使えますわ」
「何と!?アルザス2世が歓喜する理由も納得じゃ!」
「それよりも私は本気を出してもよろしいので?」
村正が静かに石川五右衛門に問う
「我を試すか村正よ?」
「私の真の姿も見ずに美しいとのお言葉だけ頂いては主人であるキョウイチロウ様に申し訳が立ちませんので…
私の力はキョウイチロウ様のお力の一端にすぎませんが、その身で味わってみたくは、ないですか?」
「わざわざ我に問うと言う事は相当な量の我の気を持って行くと言う事だな?」
「キョウイチロウ様の魔力は三億飛んで三ですわよ、未だ未だ上がる余地を残しています、しかし通常レベルの火遁魔力消費でしたら問題ございませんが…
キョウイチロウ様の魔力消費は一つに付き一億
( ̄▽ ̄;)
威力が異常でして火遁如きで村一つ消えます
燃費が悪い、本当に何の嫌がらせか…
この世界はキョウイチロウ様に優しくは無いので私達が頑張らないと主人の負担は増すばかり、見ていて辛うございますので、石川五右衛門!其方は未だ伸びしろを残しています!上限にカンストさせるのです!
そうすれば…」
「そうすれば?」
「キョウイチロウ様のように神々に上限突破なる神の意向が得られるかもしれません」
「我に更なる高みが有ると知らしめる御仁、キョウイチロウ殿…か…
(y゜ロ゜)yワクワクが止まらんぞ!!!!
村正!持って行けるだけ我の気を持って行くが良い!」
「妖刀ですので♪ウフフ♪
技に見合った生気は頂きますわ、それが私の力の源ですので、お覚悟!」
「お手柔らか頼む」
「えらく殊勝で弱気ですわね、でしたら先ずは2割の力解放で行かせてもらいましょうか」
ユラ…ユラユラ…
青白いオーラのような気が、ゆらめき始める村正
「ほほぅ
これが2割解放?最終的にどう成る?」
「私は刀ですがキョウイチロウ様の加護を受けていますので、刀の枠を超えて持ち手と一体化が可能です」
「ほほぅ…
妖刀として気を持って行くだけでは無いと申すか?」
「使い手の能力と私の能力を相乗させ更なる高みに行けるかと」
「フム( ;-`д´-)キョウイチロウ殿はヤバい男よの…」
「ウフフ♪
さぁ持てる全てをふるって見ますか?」
「是非も無し!
魔王軍の拠点に注意喚起を!一刻の後一撃を喰らわす!その後砦は頂く」
「かしこまりました総大将!」
部下の号令の元、敵軍の砦に怒声を浴びせる
「我らは石川五右衛門が配下!
今より我らが総大将が大技を繰り出す!
死にたく無ければ砦の正門から離れたし!」
「ギャハハ♪
人族が何か言ってんぞ!亀みてぇに守るばかりで何もしてこねぇ奴らに何が出来るってんだ!」
「とりあえずこっちの砦の長に連絡だけはしておいてやるよ!
クカカカ♪何もしてこなった奴らが何を今更!ヤレるもんならやってみろや!」
「総大将!警告を終えましてございまする」
「ウム、少しウォーミングアップするか…
武甕槌殿!一撃村正をお借り致しますぞ!」
「村正の同意の元なのだ好きにせよ」
「感謝致します、お前たち!我は一撃のみで使い物にならなくなる恐れがある、後を頼めるか?」
「お任せください!」
「では一里手前から放つ!」
「そんなに手前から!?聞いたか!皆の者!四キロ前線を下げよ!」
「ははぁ!」
「村正は終わったら返して貰うが、コレを」
「コレは?」
「キョウイチロウが鍛えた刀よ」
「何と!?よろしいので!?」
「直接手渡したそうにしておったが、致し方あるまい」
「名は何と?」
「アンナと同じ無名刀だ、だが業物ぞ」
「有り難く頂戴致す!キョウイチロウ殿によろしくお伝えくださいませ」
「うむ、其方の力に成る事は間違い無い!
存分に振るうが良かろう」
一刻後
「石川五右衛門!!参る!!行くぞ村正!持てる全てを出せぃ!全力じゃ!」
「知らないわよ!」
\\\└('ω')┘////フォーー!
「神居改!!!」
「師匠が一度見ただけで!?私の神居改を!?」
衝撃波を伴った斬撃が繰り出される!
ズゴーーン!バッコーーン!ドゴーーン!
衝撃波を伴った斬撃は魔王軍の拠点である砦の正門を破壊!
石川五右衛門の一撃で正門が破壊されただけでなく、その後ろにあった建物も破壊し更に…
裏門まで破壊した( ̄▽ ̄;)
「総大将!魔王軍が砦から撤退して行きます!
追撃は如何されますか!?」
「殲滅…せ…よ…アンナも頼めるか?」
「では!全軍待機!」
「はぁ!?それでは総大将の意に反しまする!」
「全権はわたくしに!全軍待機!」
「は、ははぁ!」
「村正!今のわたくしの為に5割でお願い!」
「しょうがないわね、三回までにしときなさいよ」
「三撃?それが貴女がわたくしを見立て出した結論ね?分かったわ!
アンナ!参りますわ!神居改!三連!!」
「何だってんだ!?何が起こった?」
「はぁ!?何が起こったも何も人族が退去勧告して来ただろうが!コッチの大将はもうダメだ!」
魔王軍は砦の長を失い一目散に後退を始めたが…
後方の谷に向かって一直線に逃げる奴らのみ…
アンナの追撃、神居改三連撃が…
逃げ惑う魔王軍に襲いかかる!
「うぁぁぁぁぁぁぁーーー!?」
「わたくしも…限界です…わ…」
「村正の全開では無いとはいえ、三連とは…やるなアンナ…」
「師匠もわたくしも未だ未だ村正を扱うには役不足と言う事ですわ…共に風魔の里での修行…よろしくお願いします…わ…」
「我の未熟さを噛み締める事になろうとは…キョウイチロウ殿…上には上が居ると言うのは実にやり甲斐がある…」
共に気絶し意識を失う
「お主が副将か?村正は連れて帰る、後は頼めるか?」
「魔王軍の砦と敵軍の壊滅を確認致しましたので問題ありません!」
「では」
「はい!お任せください!」
霧散するかのように消える武甕槌
「お前たち!此度の総大将とその弟子である姫騎士アンナ様の所業はキョウイチロウ様のお力の一旦だ!」
「うぉーーー!
キョウイチロウ様万歳!総大将万歳!アンナ様万歳!」
勝鬨を上げるジーパングォの魔王軍前線基地の面々
石川五右衛門とアンナは丁重に運ばれて基地宿舎で安息を取る事となる
後日、一通の手紙が風魔小太郎の元に届く
「フム( ;-`д´-)」
「手紙には何と?」
「石川五右衛門、奴も又、私と同じく異世界に来た強き者、キョウイチロウ殿のお力の一端を見たのだ…
未だ未だ己れに伸びしろがあると気付いた男の取るべき行動は押して然るべきよ」
「石川五右衛門殿も弟子のアンナ様と共に風魔の里
へ修行に出ると!?
前線の防衛は如何されまするか?」
「前線には久しぶりに私が行くか!
落とした砦も我らの物にすべく改修工事が必要になろう、その間の防衛任務は必須!」
「父上!そのお役目!我らに!」
「(=`ェ´=)フフフ
私も疼いておるのだ…我慢ならん、ここ数年、石川五右衛門には守るだけで攻めさせては来なんだが!
奴の一撃と弟子の三撃で砦ごと壊滅ぞ!
我も頂いたキョウイチロウ殿が鍛えた刀を使いとうて仕方がない!」
「では!父上!我らはその砦を再建して防衛拠点に致します!」
「其方たちならば可能か…
しかし魔王軍も黙っていまい、石川五右衛門が修行から新しい拠点に戻って来るまでは私が責任を持って防衛に当たろう」
「父上が我らが再建するまでお守り下さると!?」
「(=`ェ´=)フフフ
昂っておる」
「勉強させて頂きます!」
「幸之助!五大老と意思疎通を計り国政は任せる!頼むぞ!」
「かしこまりました!」
「では参ろうか」
「父上の御心のままに!」
「あの…父上?私たちもお供してもよろしいでしょうか?」
ここで、風魔小太郎に付いて行きたいと申し出たのは、孫娘の二人
「お前たちときたら、女だてらに相変わらずよのぅ…
共を許す!
我らは砦の復旧工事に取り掛かる故、オヤジ殿と共に魔王軍を蹴散らせぃ!魔獣の襲来にも備えを忘れるなよ!
それは復旧工事に携わる者の安全にも繋がる!」
「ははぁ!我らを存分にお使いくださいませ!」
「足手まといになるようなら放置するぞ!」
「ウフフ♪父上、我らをそこいらのか弱き女子と一緒にして貰っては困りますわ
誰の教育の元に育ったとお思いですか?我らは物心ついたあの日から忍術は元より女子の仕事の一通り料理、裁縫、花道に茶道を忍術修行の合間に叩き込まれれるという英才教育を受け、全てを免許皆伝した、極僅かな人達の二人ですわよ、足手まとい?父上達がではありませんの?」
「言いおったな!日頃の鍛錬の成果をワシに見せてみよ!」
「言われるまでもなく、胃袋迄も掴んで見せますわ!」
「(=`ェ´=)フフフ頼もしい娘に育ったものよ♪」
「準備をして後日出立する!」
「かしこまりました!」
「良き娘達に囲まれて幸せそうよのぅ
あの馬鹿息子の娘達とは思えん」
「ビクゥッ∑(OωO )
それは酷ぉございます!」
( ^∀^)アハハ/\/\/\一同
後日、
「コレをお前たちに」
「コレは?」
「キョウイチロウ殿作の無名刀の脇差しだ!
加護も下賜されておる故、持つだけで火遁、水遁、風遁、土遁、雷遁、回復に解毒も可能と言う優れ物だが…
レベルが足りていなければ行使は出来ぬ!
使えねば励め!」
「Σ(・ω・ノ)ノ何と!?刀身を見ても?」
「うむ、見て確認するが良いキョウイチロウ殿作とはいえ砂紋の入り方は二つとして同じ刀は無い!
己が刀を見て覚えよ」
スラッ
刀を鞘から抜く五人(風魔小太郎の息子三人と孫娘二人)
「これは…何と申しましょうか…」
「妖艶!じゃろ?」
「正しく!」
「何と言うか…
かの御仁が打った刀は全て妖艶なオーラを放っておってな…
キョウイチロウ殿が打ち直した村正は女刀!
しかも擬人化して魂どころか実体をも得る始末!
気付けば、かの御仁が打った刀は全て…」
「女刀…と…?」
「然り!妖艶な刀身に見合わず、実に強靭!」
「しなやかでいて強い!と?」
「柔軟性に富んでいるのにも関わらず力強いのだ!」
「そんな刀を作るには鍛錬が必要不可欠ですが…
キョウイチロウ殿は過労死する程お忙しいとお聞きしましたが?」
「キョウイチロウ殿は一度同等の品物を作りイメージでコピーして量産化出来る!」
「何と!?」
「お前たちに渡した刀はそのコピー量産刀の為に作ったオリジナル」
「それで一太刀ごとに、おもむきが違うのですね!?
その様な刀を我らが頂いてもよろしいので!?」
「戯けぃ!」
「はぃ!???」
「そんな刀を託されたのだ!それに見合う仕事をせよ!との無言の激励と捉えよ!
その刀に恥じぬ使い手と成って始めてキョウイチロウ殿に恩返しが出来ると知れぃ!」
「浅はかでございました!精進致します!」
「ウム!励むがよい!では参ると致すか…
( ;-`д´-)して?その大荷物は何じゃ?」
孫娘に問いかける風魔小太郎
「女性の嗜み道具一式ですわ、遠征用の荷物ですが少し少ないかな?とも思っていますが何か?」
「総重量は?」
「350kg!!」
「重っ!」
「コレでも二人で相談して半分にしたのですが」
「倍あったのか!?」
「別に半分ですので軽いくらいですが何か問題でも?」
「何が入っている…?」
「ですから女性の嗜み一式、野営道具一式と復興に必要な道具一式、現地で調達不可能な材料などなど…」
「アイテム袋に入らんのか?」
「そのアイテム袋に入れて総重量350kg!」
「フム( ;-`д´-)…
其方たちが自分で持って行く必要があると厳選した品々と言う事であるなら問題はあるまいて」
「必要です!」
「それならば…是非も無し、では行くか!」
「はい!」
孫娘は巨漢女子と言う訳では無いが…
その大荷物を軽々と背負い、涼しい顔で風魔小太郎の縮地に付いて来るのであった
…(;・`д・´)そんな孫娘たちを横目に見ながら…
『実に頼もしい孫娘に育ったものだ…』
感慨深げに並走する風魔小太郎であった
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