第10話 チート確定
チチチチチチッ
鳥の鳴き声に目を覚ます。
こんな草原に来た覚えはないので、取り敢えず夢と断定しよう…空綺麗だなぁ
「あぁ…夢か、今何時だ?綺麗な」
「夢ではありませんわ」
「えっセイラさん!?の!?膝枕!?」
飛び起きる!
「膝枕はお嫌いでしたか?それと綺麗な、何でしょう?私?ではありませんよね?未だ会ったばかりだと言うのに抱きついたり、あまつさえ綺麗だなんて」チラッ
(*/∀\*)イヤンイヤンと両頬に手を当てて身体を左右にくねらすセイラはチラチラとコチラの様子を伺いながらモジモジする仕草を繰り返している。
「えっいやっあのっそのっ…アレは不可抗力とでも言いますか、でも膝枕は男が夢にまで見るシチュエーションなので嫌でも嫌いでも無いです。むしろありがとうございますと言いたい…です。あと綺麗だなと思ったのは空の事…で」
「はぁ綺麗なのは空ですか、私の事ではないのですね…」
( ・-・ )スン
「と言うか酷くないですか?抱きついた事も男のロマンとまで仰る膝枕までされて不可抗力とかイヤではないとかまるで無かった事にしたいかの様なご様子…野良犬にでも噛まれたと思って諦めろと吐き捨てるクズ貴族の様です、あの熱い抱擁を忘れろだなんてヒド過ぎる!」
「えっと…いや、あの…」
「なんですか?」
「思いました!」
「何をでしょう?」
「あの、その、き…」
「き?」
「綺麗だなと…」
「ですから何がでしょう?空の事ですよね?」
(。´´ิ∀ ´ิ)ニヤニヤ
「セイラさんと始めてお会いした時に見惚れる程、綺麗だなと思いました!」
「ふふふ♪からかいがいのある方ですね冗談はさておき、凄まじいスキル能力でしたね、無属性の無能……力と聞かされていましたから驚きました。」
言い方!言葉の切る場所!おかしいから!とツッコミたいのを押さえつつ…
「いやいやアレはコチラの世界に来て始めて行使したスキルでして」
「はい、メイド長から聞いてます。コチラをお召し上がりください」
(-ω- ?)んっ?
「果物ですか?」
「とりあえず口にしてみて下さいませ」
「分かりました」
モ<"モ<"モ<"(。-ω-)モ<"モ<"モ<"モ<"
音声ガイダンス
「MPが全回復いたしました。」
「はぁ!?」
「ビンゴぉ!!私の仮説は正しかった!」
「あの?セイラさん?どう言う事でしょうか?」
「私、ある仮説を立てました。」
「はぁ」
「メイド長からはキョウイチロウ様のスキル回復量は1日1しか回復しないと聞かされていましたが自分で生産した物に限り回復効果が付与されるとも聞かされています。ですので収穫した果実を食せば幾らか回復するのではと思って食べて頂いたのですが、まさか全回復するとは!」
「いったいイツこの果実を!?」
「あぁ、それですか?キョウイチロウ様がスキルを行使した際に少し収穫しただけですが」
「はぁ!?セイラさんが木々を飛び交ってたあの一瞬で!?」
「はい、その程度は雑作もない事です。」
「はぁ」
異世界ダークエルフの能力ヤバいな!
「…」
「なんでしょうか?」
「今、私の事をヤバい奴だと思いませんでした?」
ギクゥ!
「いやいやいや!とんでもございません!私は決してその様な事は!露程も思ってなど!」
「何故…急に言葉使いが?…本当にヤバいスキル持ちはキョウイチロウ様の方です。」
「私!?」
「そうですよ、1回のスキル行使で中庭を原初の森のようにしたんですよ、多分ですが今頃、王国の調査隊が編成されて色々と収穫され検査が開始されてる筈です。このとんでもないMP回復量の果実は王国にとって利益にしかなりませんもの…ですが」
「ですが?何です?」
「私も食べてみました。アクセラレーター『加速』ブースト『超加速』を使用して消費したMPは回復しませんでした。」
「…それって私だけのMP回復効果と言う事でしょうか?」
「そうとも限りません、キョウイチロウ様の異世界圃場のスキルを行使した場所で私が生産すればあるいは」
「あるいは?」
「私だけにMP回復効果のある物が収穫出来るかもしれません」
「おぉ!それは試す価値はありますねぇ」
「では!早速保養地に向かいましょう!」
「その前に1つ提案が」
「なんですか?」
「その言葉使いです。」
「はぁ?唐突に又なんですか?」
「聞こえてたんですよ、セイラさんとメイド長さんの会話、あの時そんな話し方じゃなかったですよね?ここは王城ではありませんので素のままの言葉使いで結構です。」
「聞こえてたぁ〜あ!?まぁ良いですけど…でも、わたくし会った初日からそんなにフレンドリーに接する事は出来ませんよ」
私の事を散々からかい捲っておいてどの口が仰るw
「そこをなんとか!堅苦しいのは苦手でして!敬意などはらわれた日にはむず痒くて!」
「考えておきます」
「善処の程!よろしくオナシャス!」