興味
私は現在、図書館の…精神世界の本が置いてある棚に潜んでいる。
オカルトに興味があるわけではない。
この棚は、ほとんど人が寄り付かず、図書館の読書テーブルがよく観察できる事にある。
私、八乙女陽晴璃。高校一年生。文芸部の所属。
ミステリー作家志望なの。
そして、現在、私が興味があるのは、同じく文芸部の先輩で、2年の有明清貴。
夏休み前に急に関東から転校してきたの。
転校時期でもない時に突然現れた天才。
顔だって、わりとイケメン、しかもメガネ。
気にならないわけもないでしょ?
放課後のこの時間、先輩はここで静かに本を読むの。
ラノベじゃないわ。イーリアスとか、なんか分厚い本よ。
でも、殆ど内容なんて覚えてないと思うの。
だって、ほら、月曜の3時は木曽先輩がやって来るんだから。
木曽 葵。
2年生の先輩。女の子。
美人…って訳じゃないけど、男の子にはわりと人気がある。
昔の言い方だと、家庭的?って言うのかな?なんか、80年代アイドル見たいな女の子って感じがニッチな人気に繋がってる。
オジサン世代のいう、清純派って感じなの。
でも、絶対、あざといと思うわ。
だって、今時、制服のスカート、膝下12センチはあるわね。
普通なら、ダサくなるんだけど、ウエストから少女らしい細い腰の線に繋がっていて、シルエットがとても上品に見えるのよ。
私?私は膝上2センチ。
可もなく、不可もなく、普通サイズよ。
スカート丈は、昔よりうるさくなくなったらしいけど、短い方は指導が入るのよ。でも、長い方は注意されないのよね…って、木曽先輩、ギリ、アウトだと思うんだけど?
教室だと浮くと思う。でも、人の居ない図書館に木曽先輩がたたずむと、レトロな世界に迷いこんだ気持ちになる。
昭和のお嬢様って感じで。そんな木曽先輩を観察するのは私の楽しみでもあるわ。
そして、その楽しみは…有明先輩も味わっているのだと思う。
だって、ほら、窓を拭く木曽先輩を盗み見ているの、ここからだと良く分かる。
はじめは、ちょっと、嫌だったんだけれど、有明先輩、恋をしてるって分かった時から、ドキドキが止まらないの。
だって、いつも冷静でなんでもこなす先輩が、遠目にもわかるほどオロオロしてるもの。
ほら、今、声をかけようと本を閉じて、でも、木曽先輩が振り向くと、ノートを見るふりをするの。
みてはいけない…気もするけれど、気にしないのも難しいわ。
特に、文化祭が近づいくこの季節は。
文化部の恋愛イベント率大幅アップする季節だもの。