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"ソレ"は数多の異世界を渡り救い導き破壊するもの(?)  作者: 佐藤黒子
ありふれた異世界転移
2/3

彼にとってこれは平凡な日常の一コマ

 「いや~~~、朝から酷い目にあったなぁ(涙目)」


 「酷い目にあったとはなによ!!人がわざわざ部屋まで行って、いつまでたっても起きないアンタを起こしてあげたのに!!!」


 「玲奈君、何を勘違いしているのかな??()()は寝ていたんじゃない…そう!ちょっと異世界に旅行しに行っていただけなんだよ!!(ドヤァ!)」


 「はっ???」


 「いやぁ~~~、凡人には分からないかぁ~~~(笑) 俺は目を閉じてベッドで横になれば行けると言われる、夢の世界という名の異世界に…」


 "ドゴッッ!!!!!"


 「うっ!!!!!!」


 "K.O.!!!"(カーンカーンカーン!)


 これは誰がどう見ても100%、虎太郎が悪い。彼が夢の世界などと世迷い言を言ったその瞬間、玲奈渾身の右ストレートが虎太郎の腹部に突き刺さった。華の女子高生の軽いパンチと侮るなかれ。

 彼女は、武道家の父親の影響で、幼少期の頃からその道で鍛錬を積んできたムキムk「あ?????」…可憐な武闘家美少女JK玲奈ちゃん、その人なのである!!


 「ひ、酷い差別を見た…(汗) こ、これが生まれながらにして、優劣が決まってしまう現代社会の闇なのか…(ガクッ)」


 「ほら!ふざけてないで早く顔を洗って朝ご飯を食べちゃいなさい!!」


 「い、イエスマイマム…(汗)」


 とまぁ、これが鈴木虎太郎のいつも通りの朝である。本当に、これが至って平凡で普通な男子高校生の日常の一場面なのか、甚だ疑問が残るところではあるが、残念ながら彼にとっては普通のことなのである。


 「相変わらず俺に対する扱いが酷くない??(汗)」


 「もう一人で何言ってる?早くしないと本当に学校遅刻しちょうわよ」


 「あ、すまん。今から急いで準備するわ!」


 そう言うと、虎太郎は今までのだらけ具合が噓のように、機敏な動きで準備を開始し始めた。

本当にここまでのくだりは一体何だったのだろうか…



   ・・・それから20分後・・・



 「いや~~~、何とか学校に遅刻せずに済みそうだなぁ~」


 「ほんとあんなに動けるなら、最初からそうしなさいよね!」


 全くその通りである。この虎太郎という男、平凡だと自他共に認めているものの、平凡だからといって別に全てが悪いわけではなく、寧ろ要領は良い方である。

 良く言えば、物覚えが早く何でもそれなりにこなすことができ、悪く言えば、器用貧乏。何でもは出来るが、ただどれも平均レベルでそれ以上は上がることがない、そんな人間が鈴木虎太郎という少年なのである。


 「もう、アナタは別にやればできるんだから、もっと色んな事に挑戦してみればいいのに。それこそ武道とか…(ボソッ)」


 「いやいや!そんなめんどくさいこと、俺には出来ないって!」


 「でも、小さい頃は私と一緒に武道を学んでいたじゃない!」


 「あ~~~…あの時は自分が何でも出来るって思ってたからな~。武道も習えば直ぐに上達する!って思ってたしさ。まぁ、実際にはそんなことはなくて、玲奈の方が上達するまで早かったんだけど。」


 「虎太郎…」


 これもまた世の中ではよくあることである。「俺は天才なんだ!!」と言って自信満々殿様気分でいても、ふと周りを見てみると、そこには自分よりも才能のある人間で溢れかえっていて、自分が井の中の蛙だと気付いてしまうとき。

 特に幼少期などは、視野が狭く精神もまだ成長していないため、そういったことが非常に起きやすいのが現実であった。ただ、そこで気付けるだけまだマシで、気付けないまま成長してしまうと立派な自尊心モンスターの出来上がりで、周囲に只々被害をまき散らす手の付けられない怪獣になってしまうのである。



    ・・・閑話休題・・・



 「まぁ、俺の場合は長期的に物事を続けられないから武道を辞めたんだけどね(笑)」


 「はぁーーー、虎太郎のそういうところが治れば、もっと周りの人達に評価してもらえるのに…」


 「俺が長期的に続けられることは唯一つ!そう、それは…寝ることである!!!!(ドドン!)」


 「自信満々に言うことじゃないわよ!!!」


 玲奈の言うことは最もで、虎太郎は普段からこんな感じでだらけている為、一部を除いて基本的に周囲から彼に対する評価というのは高くないのだ。

 まぁ、それ以外にも男子生徒たちからは「なんであんな奴と玲奈さんがずっと一緒にいるんだ!!!」「あいつは玲奈さんに相応しくない!!!」といった、嫉妬からよりそういった目で見られているのだが、それに関しては、玲奈本人も気付いていないことであった。(そもそも玲奈は、自身の容姿を周りが見たときにどう映っているのか、性格上あまり気にしない為、よりそういったことには鈍感であった)


 「まぁ、けどそんな俺がこうやって学校に遅刻せずに毎日通学できるのも、玲奈がいつもいてくれるからなんだよな~。玲奈、いつもありがとな!!!!」


 「はっ!????(赤面) え、いや、だって幼馴染だし、小さい頃からずっと一緒だし、家も近いし、虎太郎をほっとけないし、お、幼馴染だし…(テレッ!)」


 「いやなんでそこだけそんな早口なの!?? しかも、幼馴染って2回言ってるし!そんな重要なこと!?? お前は俺の母親か!!!!」


「むっ!それは重要なことよ… それに虎太郎のことは、アナタのお母さんとお父さんから虎太郎をよろしくねっ!って、頼まれてるし!!」


 「親公認の母親代わりだった!??? え、そうなの!? 俺、母さんと父さんから何も聞いてないんだけど!??」


 「そうじゃなきゃ、私がアンタの家の合鍵なんか持ってるわけないじゃない」


 「そうでした(汗)!!!なんかいつも普通に部屋に入ってくるから、違和感を感じなかったけど、よくよく考えたら俺の家の鍵持ってないとそもそも入ってこれないじゃん!!!」


 「ほんと今更ね…」


 などとこれまたいつも通り、二人の中では漫才(?)を、傍から見たらとてもイチャイチャとしながら、彼らが通う高校「春風高校」へと向かって歩いて行くのであった。

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