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デスゲーム界の十傑 ~世界最強の10人によるタイマン~  作者: キタナベ
第1章:デスゲーマー陣営の集結
9/24

9話 : デスゲーム界の神童、皮栗鼠 ライム

 私は皮栗鼠(かわりす) ライム、小学4年生。

 副業でデスゲーマーをしている。

 世界ランキングは、昨日は21位だった。


「世界ランキング、今日は何位になってるかな」


 朝起きてすぐに最新の世界ランキングを確認するのが日課である。


 私には憧れの人がいる。

 その人は世界最強のデスゲームクラン、必殺隊の1人だ。


 私も必殺隊に入れて欲しいと必死でお願いしたときに、


『デスゲーム世界ランキングの10位代になれたら必殺隊に入れてあげるわ♡

 ま、無理でしょうけどねえ♡』


 と言われてから3か月間、私は必死で戦い続けた。

 そして今朝、私の順位は19位になっていた。


「やった。やったぁ!」


 ついに念願の10位代である。


「これであの人との約束の条件は満たした。もう一回会いに行こう」


 学校の友達から得た情報によれば、その人はクランの仲間たちと昨晩から関西に行っているらしい。


「よし、急ごう」


 変身能力で背中に翼を生やした。

 電車で行くよりも自分で飛んだ方が早い。


 2時間ほどの飛行の末、ようやく関西に到着した。


 関西で最も大きなデスゲーム会場は、関西拳闘協会の本部の近くにあるコロシアムである。

 他に情報も無いため、コロシアムの周辺を散策していた。


 見つけた。あの人だ。

 いつものように白いスーツは着ていないが間違いない。


「あ、あの……」


「あ、喰噛! こっちこっち!」


「今行くわ♡」


 声を掛けようとしたが、近くに仲間たちがいたようで、どこかへ向かって歩き始めた。


 後をつけると、タイマン戦が行われているコロシアムに入って行った。


(必殺隊ってタイマン戦に出るイメージ無いけどな)


 コロシアムの観客席を探すと、あの人と仲間はすぐに発見できた。

 人数は5人。


「水巻にすぐ見つかるんじゃないか?」


「大丈夫でしょ、後ろの方の席だし」


 私も顔くらい知っている。

 5人とも必殺隊のメンバーである。

 リーダーの四季咲に廻原姉妹、狙撃手の砂井。


 そして、喰噛 明広さん。


 そのとき、闘士が入場したのか会場がひときわ大きな歓声に包まれる。


「あ、出てきたよ」


「げげ。水巻の相手、タイマン勢最強の火熊じゃん」


「良いなあ、私も戦いたいなあ」


「アタシも戦ってみたいわ♡」


「ボクは絶対嫌だ」


 闘士を見ると、片方はタイマン勢最強の火熊 大輝。

 もう片方は必殺隊の水巻 影雄だった。


 少しの会話の後、戦いは始まった。

 彼らはしばらく観戦するようだったので、私もタイマン戦を眺めることにした。


(へぇ……あの水使い、槍術も使えるのか)


 と思ったら、火熊にあっさり躱されて殴り飛ばされていた。


(あんなのが必殺隊なの?

 昨日戦った廻原 薔薇といい、大したことないじゃん。

 私の実力ならもっと役に立てるのに)


 勝負は結局、水巻の勝利に終わった。


 異能力の撃ち合いのときは互角に見えたが、いきなり火熊が倒れたのである。

 水巻は火熊に気付かれないように何らかのダメージを与えていたのだろう。


「それじゃ、医務室行こうか。水巻を迎えに行こう。

 ついでに火熊にも会いに行きたいし」


 なんで必殺隊が火熊と?


「もしかして、ホテルで話してたタイマン戦の件か?」


「うん、火熊なら仲間に最適でしょ。

 問題は私たちの仲間になってくれるかだけど」


(まさか、火熊を必殺隊に引き入れるつもり?

 私という者がありながら)


「水巻、顔焼かれて痛そうだったわねえ♡」


「そうだな。あんな状態で喋り続けるなんて、さすが水使いだ」


「あれは能力関係ないでしょ」


 そんな会話をしながら5人が観客席を出たので、私も後をつける。

 すると、そのうちの1人が突然消えた。


(あれ……?)


「きみ、何者? どこかのクランの回し者かい?」


「っ!」


ほんの一瞬の間に、背後に回られていた。


 砂井 葉月、強力な瞬間移動の使い手である。

 他の4人にもすぐに気付かれた。


「砂井? どうしたの?」


「あ! お前! 皮栗鼠だろ」


「誰?」


「世界ランカーの皮栗鼠 ライム。薔薇の宿敵」


「宿敵じゃねえし!」


 ものすごく怖い。

 やばい……何か言わないと。


「……よ、よく気付きましたね」


「そんな目立つ髪色の奴がずっとついて来たら誰でも気付くでしょ」


「あ、あの……」


 何が怖いって、四季咲がものすごく怖い。

 さっきからずっと私の顔を見たまま微動だにしないのである。


「ん、どうしたの? リーダー」


「その子、喰噛に用があるみたいだよ」


 四季咲がようやく口を開いた。

 というかなぜ分かった。


「アタシに?」


「うん。記憶を辿ってみたんだけど、その子がデスゲーム世界ランキングの10位代に入れたら必殺隊に入れる約束をしてたみたい」


 記憶を辿る?

 そんなこともできるのか。


「そんなこと言ったかしらねえ……言ったかもしれないわ♡」


「喰噛さぁ、あんまり勝手なこと言わないでよ。ごめんねライムちゃん。残念だけど私たち、新しい仲間は募集してないんだよね」


「そんな……」


(あれ?

 でもさっき、火熊を仲間に入れたい的なことを言ってた気がするんだけどな)


「あ、その話聞かれてたんだ」


「四季咲さん、思考も読めるんですね」


「あれはクランメンバーじゃなくて、ある重要なデスゲームのメンバーを集めてるんだよ」


「どんなデスゲームですか?」


「そうだねえ……未知の異世界人と戦う系デスゲーム」


「異世界人?」


「そう。味方が10人必要だから、これから火熊を誘いに行くところ」


 冗談だろうか。

 しかし、あまり嘘を言っているようには見えない。


「そろそろ行こうか。じゃあね、ライムちゃん」


「あの! 四季咲さん」


「どうしたの?」


 と、四季咲はこちらを振り返る。


「お願いします! そのデスゲーム、私も参加させてください!」


「ふふっ、良いんじゃない? その子、昨日の準バトで薔薇と互角の戦いしてたよ」


「ちょ、百合!」


「ライムちゃん。さっきの話、信じるんだね」


 四季咲は少し真剣な表情になり、そんなことを聞いてきた。


「正直言うと、信じてません」


 でも、明広さんに近づくためなら何でもする。

 そのために私は今まで戦ってきたんだ。


「そっかー。いいね、キミ」


 四季咲はこちらに背を向けた。


「これから火熊を誘いに行くからさ。ライムちゃんもついて来て」


「はい!」


 その後、私と火熊は必殺隊が出ようとしているデスゲームの詳細を聞いた。

 そのデスゲームは、


『10人対10人のチーム戦で、どちらかのチームが全滅するまで1対1の勝負を繰り返す』


 という普通の内容だったが、なんと対戦相手は異世界の住人なのだそうだ。

 火熊も私も半信半疑ではあったが、


 火熊は「今後、必殺隊のメンバーをタイマン戦に出さないこと」、

 私は「自分を必殺隊に入れること」を条件に参加を決めた。


「それじゃあ明日は本部で作戦会議しよう!

 早速、関東にある必殺隊の本部に、レッツゴー!」


 このときの私はまだ知らなかった。

 四季咲の話が冗談でもなんでもなく、これから本当に異世界人との壮絶な戦いに巻き込まれることを。




登場人物紹介:


皮栗鼠(かわりす) ライム

 10歳。

 名門であるヨゼラ学園の生徒。


 クランは無所属であり、世界ランキング19位。

 デスゲーム歴は約4ヶ月と短いが圧倒的な強さを見せており、「デスゲーム界の神童」と言われている。

 相手の体の動き(剣術、格闘技など)を見ただけですぐに真似できる才能を持つ。


 異能力は「変身」。

 動物、物、他の人間などに変身することができる。

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