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デスゲーム界の十傑 ~世界最強の10人によるタイマン~  作者: キタナベ
第1章:デスゲーマー陣営の集結
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7話 : タイマン勢最強、火熊 大輝

 クランは小人数のものを含めると全世界に200万以上存在する。

 火熊が率いる関西拳闘協会は31人の武闘派で構成されるクランであり、メンバーのほとんどがタイマン勢である。


―――――――――――――――――――


 俺は火熊(ひぐま) 大輝(だいき)、職業はデスゲーマーをしている。

 クランは関西拳闘協会、世界ランキングは9位。


 異能力の「炎使い」は街を一瞬で滅ぼせるほどの破壊力を誇り、今までデスゲームで負けたことが無い。


 自慢じゃないが、俺のようにデスゲームで無双できるような強力な異能力の持ち主は10年に1人レベルの逸材である。


 そして、そんな逸材が10人集まっているのが世界最強のクラン、必殺隊だ。

 「死体使い」の四季咲を筆頭に、全員が関東出身の同い年で構成された異能力者の集団。


 5年ほど前に結成されて以来、世界ランキング上位のデスゲーマーたちを次々に殺害し、今や世界ランキング1位から8位を独占している。


 そんな必殺隊の1人が今日、ついに俺の前に現れた。

 タイマン戦の対戦相手として。


「あんたが火熊 大輝だな」


「水巻 影雄やんけ……」


 水巻(みずまき) 影雄(かげお)

 俺の天敵である「水使い」の異能力を持つ、必殺隊の副リーダーである。

 普段は飛び道具を使うイメージが強い彼だが、今日はトライデントを持って登場した。


「なんと今回! 世界ランキング9位でありタイマン勢最強の火熊 大輝と、世界ランキング5位の水巻 影雄という、世界最高峰の直接対決が実現したぁ!」


 デスゲーマー世界ランキング1桁同士の対決ということもあり、会場の盛り上がりは最高潮である。


「このコロシアムの独特の雰囲気、慣れてないと呑まれそうだな。大勢から直接見られてる感じも苦手だ」


(分かってないなぁ。

 観客からの歓声があるから気分も乗ってくるんやろが)


「正直、影雄くんとは戦いたくなかったんやけどな。あ、下の名前で呼んでもええか?」


「いいぜ」


「すごい気になるんやけど、立ち回りの天才なんて呼ばれてるキミがなんでタイマン戦に出てきたんや?」


「今日は練習のつもりで参加してるんだよ。観客には申し訳ないけど、あんまり期待されても困るんだよな」


「練習?」


「ああ、実は強敵とのタイマン戦を控えていてな。リーダーから特訓しろって言われたんだ」


 タイマン勢最強の俺が練習台って。


「影雄くん、一体どんな奴を敵に回したんや」


「どんな敵かはまだ分からないが、その戦いが終わったら俺はデスゲームを引退しようと思う」


「ホンマか。それは大事な戦いやな」


「俺、その戦いが終わったら結婚するんだ」


「それは死亡フラグやろ……って、なんでちょっと嬉しそうにしてるんや」


 デスゲーム歴18年の俺は知っている。

 あえて死亡フラグを立てまくることによって逆に生存率を上げようとする人種がいることを。

 水巻もそういうタイプのようである。

 投資でいう逆張りのようなイメージなのだろうが、俺には理解できない。


「それではこれより、関西拳闘協会のクランリーダー、火熊 大輝と、必殺隊の司令塔、水巻 影雄によるタイマン勝負を始めます!」


 ここで水巻と殺し合いになるのだけは避けたい。

 だがタイマン勢最強と言われている俺が何もせずに負けたら不自然に思われるだろう。

 逆に、本気でやり過ぎて副リーダーを病院送りにした場合、必殺隊を敵に回してしまう可能性もある。


 こうなったら、ほどほどにいい勝負をして引き分けに持ち込むか、上手いタイミングで降参しよう。


「用意!」


 水巻はトライデントを構え、俺はファイティングの構えをとる。

 ちなみに俺は普段は素手で戦うのだが、今回は強敵なので手甲と兜を身に着けている。


「始め!」


 勝負開始の合図と同時に、水巻はものすごい速さで距離を詰めてきた。

 更にその勢いのまま、俺の首をめがけてトライデントを突き出す。


(動きに無駄が一切無く、躊躇なく急所を狙ってきた。流石は世界ランカーやな)


 俺は姿勢を落として突きを躱し、水巻の胴体に拳を繰り出す。


「ぐほぁっ!」


 腹にストレートをまともに食らい、水巻はコロシアムの反対側の壁まで吹っ飛んでいった。


「あれ? 意外と……?」


「大したことない」と言おうとして思い留まる。

 危ない、それは死亡フラグだ。


『ザッパーン』


 水巻が激突する直前に壁に水の塊を出現させ、衝撃を防いだようである。


「これだから水使いは厄介やな」


「ああ痛ってえ! スーツの下にアーマー着といて良かったぜ。死ぬかと思った」


「影雄くん、回避とかが大事なのはタイマン戦でも同じやからな。今の、俺が本気で殴ってたら死んどったよ?」


「それはどうかな。だがアドバイスはありがとう」


 素直かよ。

 ちなみに、さっきまで歓声で一杯だった観客席だが、


「水巻! 真面目にやれー!」

「お前に大金掛けてるんだぞ! ちゃんと戦え!」


などと、今は水巻に対する罵声や怒号で溢れている。


「ちょっとは本気出してくれんか? このままやと俺の人気まで下がりそうや」


「ああ、そうだな。茶番はここまでだ」


 水巻は地面に落ちたトライデントを拾い上げ、再び構える。


「ここからは、異能力も使って行くぜ!」


「さっき普通に使ってたやろ。まあいっか、それならこっちも使わせてもらうわ」




登場人物紹介:


・火熊 大輝

 28歳。

 身長2mを越える大男。


 関西拳闘協会のクランリーダーであり、世界ランキング9位。

 基本的に素手で戦うが、強敵と戦うときは兜と手甲を身に着ける。

 「タイマン勢最強」と言われている。


 異能力は「炎使い」。

 炎を自在に操ることができる。

 自身の体に炎を纏う、自身を中心に爆発を起こすなど、高い攻撃力を持つ。

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