5話 : 世界最強の狙撃手、砂井 葉月
デスゲーマー世界ランキングは、デスゲームで稼いだ金額によって順位が決められている。
稼いだ金額には賞金だけでなく、貴族からの投げ銭などの金額も含まれている。
そのためランキングの順位には強さだけでなく、貴族からの人気も関係している。
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「あー、良い天気。良い日差し。海もすっごく綺麗」
ボクの名前は砂井 葉月、職業はデスゲーマー。
クランは必殺隊、世界ランキングの順位は8位である。
普段は週に1~2回、武器持参のバトルロイヤルに参加している。
ちなみに今日は休日で、同じく必殺隊の喰噛に誘われて南海に来ている。
この辺りで凄く美味しいスイーツのお店を見つけたらしい。
集合場所である海沿いの公園を散策していると、長身で金髪のイケメンがやってきた。
ボクと同じ必殺隊のデスゲーマーで世界ランキング3位、喰噛 明広である。
なぜかデスゲームに出るときの白いスーツ姿で、右手にビデオカメラを持っている。
「あら砂井ちゃん。お待たせ、今日も可愛いわねぇ♡」
「おはよう、喰噛。……って、休日にもその服装なんだね」
「ん? 休日?」
「そうだよ。スイーツのお店行こうって言ってたじゃない」
「スイーツなんてそんな甘ったれたとこ行かないわよ?」
「え……?」
「あら、言ってなかったかしら。今日は2人で長期デスゲームに行くのよ♡」
「……嘘でしょ」
なーんて、想定内だ。
実は、こんな感じで喰噛に騙されて長期デスゲームに連れ込まれるのはこれで3回目である。
だから、今回はそんな事態も想定し、愛用の狙撃銃を持ってきておいた。
「あ、今から参加する長期デスゲームは武器の持ち込み禁止よ♡」
「ねぇ嘘でしょ⁉」
一時間後、ボクは長期デスゲームの会場に向かう船に乗せられ、海上を進んでいた。
「デスゲームなら普通に誘ってよ。なんで騙すのよ」
「普通に誘ったって来ないでしょ。砂井ちゃんはバトルロイヤルしか出ないからねぇ♡」
「長期デスゲームとか賞金低すぎて出るメリット無いでしょ。ボクの戦法とも相性悪いし。今回に至っては銃すらも持ち込めないし!」
「苦手分野を克服する良い機会じゃないの。そうねぇ……じゃあ今回は、砂井ちゃんは接近戦だけ。アタシは投石だけで戦うってことにしましょ♡」
「ぐぬぬ……」
ダメだこりゃ。
ただでさえ嫌いな長期デスゲームで、変な縛りまで課されてしまった。
「あ、会場の島が見えてきたわよ♡」
「さっさとクリアして帰ろう」
このときのボクは長期戦を覚悟していたし、喰噛も1週間くらいは滞在するつもりだったと思う。
まさか、島に入って1日で帰ることになるとは、ボクも喰噛も予想していなかった。
登場人物紹介:
・砂井 葉月
19歳。
身長150㎝くらいで、黒髪に黄色のメッシュが入っている。
顔がとても可愛らしいため、貴族だけでなく一般人からも人気が高い。
必殺隊所属のデスゲーマーであり、世界ランキング8位。
狙撃手としての高い実力と人間離れした優れた感覚器官を持ち、「世界最強の狙撃手」と呼ばれている。
異能力は「瞬間移動」。
視界に入っている場所であれば数キロメートル先や上空にでも一瞬で移動することができる。
能力を連続で使用できるため、接近戦にも応用が可能である。