97話 チームガンブレイブ南支部へ
カクヨムにても同時掲載しています
https://kakuyomu.jp/works/16817139558796768457
------(テンタ視点)------☆
三日月魔王国から、晋国の東支部に戻った俺達は、悪特隊
東支部のメンバー及びガレンさん(エメラルド柱)と別れ、
ギルド会館で、チームに支払うお金の清算手続きをしていた
ところ、突然、東支部ギルマスのゴライジャーチームリーダー
のチャックさん(サンライジャー)に声を掛けられた。
「シェリーにタミー、それにテンタ大変だ、トム(バルジャン)
が、行方不明になった!」
その言葉に、シェリーさん、タミーさんに俺と三毛猫は、
驚き、
「えっ、パパが!?」
「行方不明……」
「トムさんが行方不明っていったい……」
「いったいどういうことですか!?」
驚きながらも効く三毛猫に、チャックさん
(サンライジャー)は、
「いや、詳しいことはわからん、兎に角南支部へ
向かってくれ」
と言う。
俺達は、意味が分からなかったが、兎に角チームへの
支払い手続きを早々に済ませ一路南支部へ、東支部の
転移魔法円を使い向かうのだった。
◇
転移魔法円で南支部に着いた俺達は、そのままギルド会館の
支部長の部屋へと案内された。
因みに、ここ南支部は、大陸の南にあるデンスアーラ共和国
(獣人系の国)の北に位置している場所だ。
支部長の部屋には、現在の支部長である『仮面ソ
ルジャー』チームの黄雷さん冒険者名仮面ソルジ
ャーバイオレットさんをはじめ『仮面ソルジャー』チームの
他のメンバーである楊黒暗さんこと仮面ソル
ジャーブラック、周雪さんこと仮面ソル
ジャーホワイト、それに呉火さんこと仮面ソル
ジャーレッドの面々。
因みに、ここ南支部の支部長は、他の北や
東の支部の支部長達と違い、チーム全体で
支部長をするのではなく、『仮面ソルジャー』
チームの中で、交代で1人がギルマスをすることになって
いる。
その『仮面ソルジャー』チーム4人に加え、悪特隊南支部
の5人と『ガシャーン』チームのブルーノ・サルチェ(金髪の男性)さん
とルナ・ローレン(金髪の女性魔法師)もいる。
お互い自己紹介の後、席に着いた時だった。
\ガチャ/
\バーン/
勢いよく支部長の部屋の戸が開け放たれたと思ったら、
いきなり、
「トムが、行方不明ってどういうことよ!」
「何があったんべ~か!」
とすごい剣幕で部屋に入って来るミリー(トム妻)さんと、アナ
(ガイゼル妻)さん。
それを見たシェリーさんとタミーさんは、
「「マ・マァ!」」
と驚き声をあげる。
その2人を目の端に留めながらも、支部長である黄雷さん
の所まで詰め寄ろうとするミリー(トム妻)さんと、アナ
(ガイゼル妻)さんを落ちすかそうと悪特隊南支部
のキャップであるククレ・アウアさんが立ち上がり、
「まぁまぁ、落ち着いてください」
とジェスチャー交じりで言うが、それを無視して、席に座ってる
黄雷さんの元までやって来るが……。
自身の側で座っている自分を睨みつけるミリー(トム妻)さんと、
アナ(ガイゼル妻)さんを席に座ったまま見上げ、
「今からその話をするところだ、2人共席に着いてくれないか」
と冷静に言う黄雷さん。
そう言われて、ミリー(トム妻)さんと、アナ(ガイゼル妻)
さんが、逆切れするのか……と思いきや。
「ああ、そうね」
とあっさり認め席に着く2人。
そして、アナ(ガイゼル妻)さんは、入り口で立たまま様子を
伺っていた自身の夫であるガイゼルさんとチーム『ガンブレイブ』
のマネージャーのヴィクセンに向かって、
「2人共、はよ~、座らんかね」
と声を掛けるのだった。
アナ(ガイゼル妻)さんに言われ、ガイセルさんとヴィクセン
さんが、座るのを待って、支部長である黄雷さん
が言う。
「では、今からバルジャン(トム)件について話そうか」
◇
「まず、事の経緯をガシャーン(ブルーノ)から」
と支部長である黄雷さんに指名され、
立ち上がったガシャーン(ブルーノ)さん。
金髪の白人男性でトムさんと同じコラクル国出身の
45歳。
彼もトムさん同様転生者で、以前は西川鉄也と言う日本人
で、転生前はアニメの声優をしていたらしい。
しかし、若くしてすい臓がんを患い亡くなったとのこと。
そしてこちらに転生して、ブランチ能力をもらい現在は、
現役のS級冒険者。
因みに彼のブランチは、アニメ『新造アンドロイド
ガシャーン』と言うヒーローらしい。
この『新造アンドロイドガシャーン』と言うのは、人類の
敵であるロボット王国のロボットに対抗するため作られた
アンドロイドで、3体のロボット犬と共にロボット王国の
ロボットと戦いを繰り広げるって言うアニメで、そのアニ
メで、彼は主人公のガシャーンの声優を担当していたとの
事らしい。
因みにガシャーン共に戦うロボット犬3体は、アマンダ―
、ブレンダー、クレーバーと言う名前で、それぞれ小型戦闘機、
小型タンク、小型サブマリンに変形出来るんだと。
で、話をトムさんに戻す。
ガシャーン(ブルーノ)さんは、淡々と話す。
「俺とトムは、ネシア王国のモモア王女捜索の過程で、どうやら
悪魔が絡んでいることを突き止め、同時に悪魔達がネシア王国の
秘宝を狙っていると言うことも突き止めた、そこで俺とトムは
、ネシア王国のタル王とラム王妃に王家の秘宝の話を聞くと、
島の西にある王家の墓の中の初代王の墓に秘宝は眠っていると
言うことを聞き、2人でその初代王の墓に向かったんだ……」
とこれまでの経緯を話すガシャーン(ブルーノ)さん。
この後のガシャーン(ブルーノ)さんの話を俺が説明すると、
バルジャン(トム)さんとガシャーン(ブルーノ)さんが、
ネシア王国の初代の王の墓に行ってみると、墓の地下に通じる
扉が開けっ放し、しかも2人が地下の墓に入って行くと、本来
その墓には、盗掘防止のため、所謂ダンジョンにあるような
罠があちらこちらに仕掛けられているはずなのだが、その罠が
全て外されていたのを見て、2人はここにモモア王女が居る
ことを確信したそうだ。
そして、地下にある玄室の入り口に数体のサハギン(魚人間)
が居るのを確認し、2人は身を潜め様子を伺っていると、
玄室の中からモモア王女の
「はなして!」
と言う声と、悪魔らしい
「始末してしまえ」
と言う声が聞えたので、ガシャーン(ブルーノ)さんが、
バルジャン(トム)さんが止めるのも聞かず飛び出し、
入り口付近のサハギン(魚人間)を倒し、相棒のルナさん
(金髪の女性魔法師)と3匹のロボット犬と共に玄室に
突入したのは良かったが、悪魔にモモア王女を人質にとられ、
動きが取れなくなったそうだ。
そして、そこへバルジャン(トム)さんが現れ、悪魔から
モモア王女を奪い返したは良かったが、悪魔の1人……
、恐らくアークデーモンが手にした大きな筒のようなものを
向けられ、フラッシュのような光を浴びてしまうガシャーン
(ブルーノ)さん。
光を浴びたガシャーン(ブルーノ)さんは変身が
解けてしまい、能力で出した3匹のロボット犬も消えてしまっ
たらしい。
それを見たバルジャン(トム)さんがガシャーン(ブルーノ)
さん達を庇うように立ち、ガシャーン(ブルーノ)さんに
モモア王女を連れて、ここを脱出するように促され、兎に
も角にもガシャーン(ブルーノ)さんと相棒のルナさんは、
初代王の墓から脱出をしたそうだ。
しかし、その後バルジャン(トム)さんが初代王の墓から
出てくることはなく、モモア王女をネシア王国に返した後、
南支部の支部長黄雷さんに報告。
その後、報告を受けた支部長の黄雷さんは、
自身の『仮面ソルジャー』チームの他の3人と悪特隊
南支部の5人と共にネシア王国の初代の王の墓を捜索したが、
ガシャーン(ブルーノ)さんが、倒したサハギン(魚人間)
の遺体は確認できたが、悪魔とバルジャン(トム)さんは、
痕跡すら残さず消えていた……と言うことらしい。
◇
「で、ガシャーン(ブルーノ)その後お前の変身
能力は戻ったのか?」
今までの経緯を話終えたガシャーン(ブルーノ)さんに支部長
の黄雷さんが聞くが、ガシャーン(ブルーノ)
さんはその問いに首を横に振るだけだった。
「で、トム(バルジャン)は?」
と唐突に聞くミリー(トム妻)さん。
「いや、それはまだわからん」
その言葉に支部長の黄雷さんが答えると、
「やはり……。」
とポツリとこぼすガイゼルさんに、すぐさま悪特隊南支部の
キャップであるククレ・アウアさんが、
「いや、トム(バルジャン)さんは、生きておられる可能性は、
まだありますよ」
とガイゼルさんの言葉を遮るように言うと、
「その根拠は」
とガイゼルさんがククレキャップに聞く。
「根拠はですね……悪魔達のエレルギー源は、基本魂です」
ガイゼルさんの問いにククレキャップはそう答えるが、ガイゼルさんは、
それに対して、
「しかし……」
と言いかけたのを頷きながらククレキャップはその言葉を遮り、
「確かに、悪魔の一部……特に、悪魔男爵バンバ配下のベビルデーモン
のように好んで人の肉を食べる者達が、いるにはいますが……」
その言葉に、
「えっ、」
「そんな」
と絶句するミリー(トム妻)さんとシェリーさんだが、その2人
に一瞬目をやり頷いた後、ククレキャップは、
「しかし、ガシャーン(ブルーノ)さんや、モモア王女が見た悪魔達の
特徴をルビー柱様に報告すると、柱の記憶
では、ガシャーン(ブルーノ)さんや、モモア王女が見た悪魔達の
特徴から、それは、悪魔伯爵シャッキーとその配下のベビルデーモン
達と判明しました」
とここまで話してさらに、
「で、ルビー柱様のお話によると、悪魔伯爵
シャッキーとその配下のベビルデーモン達であれば、魂のみ自身に吸収
することがあれど、肉体を喰らうことはない悪魔達だそうです」
その言葉を聞いて、
「ふ~っ」
と胸をまで下すミリー(トム妻)さん。
その様子を目でちらっと見ながら、ククレキャップは、
「今回、我々がネシア王国の初代の王の墓の調査をしたところ、
バルジャン(トム)さんの遺体の痕跡どころか、血の跡すら見つかり
ませんでした、したがて、バルジャン(トム)さんは生きている可能
性はあります」
と話した。
その言葉にガイゼルさんがすかさず、
「生きてる可能性は何パーセントだ!」
とすかさず聞くが、それに対してククレキャップは、首を横に振り
ながら、
「わかりません」
と答えるのだった。
辺りが落胆の空気に包まれる中、支部長の黄雷さんが
言う。
「バルジャン(トム)の捜索に関しては、今、ルビー柱
(クリスタルマンルビー)が、本国に戻り、他の柱達と
共に考えてくれているので、それを待つしかない」
その言葉に、ガイゼルさんも頷き、
「そうだな」
と呟いた。
そんな重苦しい空気の中、三毛猫が俺に念話してきた。
≪ねぇ、テンタ君≫
(?)
しゃべれるようになった三毛猫がわざわざ念話してきたのに一瞬、
俺は驚いたが、俺も三毛猫に念話で返す。
≪どうした、オトア?≫
≪あのね、エードラム様がここに悪魔の反応があるって≫
「えっ、」
と驚き俺は一瞬声をあげるが、
≪どこにだ、オトア?≫
と念話で三毛猫に聞き返すと、
三毛猫は右前足で、俺の向かい側の壁の左端を指した。
俺は、皆が重い空気の中、すくっと席を立ち、ベルトバックル側右の
赤い☆型手裏剣を取り三毛猫が指す壁に向かって投げる。
((((シュルシュル~))))
\バシュッ/
と何かに手裏剣が突き刺さった……と思ったら、
\ボー/
と炎を噴き出し
「グァァァッ!」
と言う叫び声と共にカメレオン人間のような魔物が現れ、
\ドス/
と倒れこんだ。
「キャー!」×3
驚き悲鳴を上げるミリー(トム妻)さんや、シェリーさんとタミーさん。
辺りは騒然とするのだった。
◇
【デーモンサハギンレオン(魚人+カメレオン)死骸】
HP 0/1350+180
MP 0/420+ 80
運動性 0/120+ 90
攻撃力 0/1150+140
防御力 0/920+ 80
命中 0/88+ 5
回避 0/82+ 10
倒れていたのは、デーモンサハギンレオンで、腕と足が
サハギン(魚人)で、体がカメレオンと言う姿の魔物。
魔物の遺体を見て、支部長の黄雷さんが、
「うーん、今まで見たことがない魔物だな」
と言うと、悪特隊南支部のキャップである
ククレさんが、
「確か、ルビー柱様のお話に悪魔伯爵
シャッキーの配下のベビルデーモンに合成魔物を作るのが得意な
ラ・モール大魔導士が居るとお聞きしましたが……」
と言うと、すかさず、ガイゼルさんが口を挟み
「多分、そいつの仕業だろうて」
と言う。
その言葉を受け、悪特隊南支部のキャップである
ククレさんが、疑問を口にする。
「いったい、奴等は何が目的なんでしょうか」
その言葉に、支部長の黄雷さんが、
「第1に我々の動きを監視する……」
と言う言葉を受けて、ガイゼルさんが、
「それだけではあるまい、何か他の目的があるはずだ」
と言うと、再びククレキャップがガイゼルさんに聞く。
「それはいったい……」
しかし、ガイゼルさんはただ首を横に振り、
「今はわからん」
と答えるのだった。




