95話 悪魔子爵ゴースンとの決戦(後編)
カクヨムにても同時掲載しています
https://kakuyomu.jp/works/16817139558796768457
------(第三者視点)------☆
雷神丸(雷蔵)を伴って、風神丸(嵐)と風神丸(嵐)
配下の魔人と共に禍龍が居る場所へとたどり
着いた、風神丸(嵐)は、辺りを見て驚いた。
「おっ、上様(魔王)~!」
「そっちは、鋼鉄神(磁久)と清景ではないか!」
そう叫びながら、その上空に居る大きな龍を見て、
「おのれ~、貴様の仕業か!」
と叫ぶなり、腰の刀を抜く、
「あっ、いや、あれは……」
と雷神丸(雷蔵)が声をかけようとするが、それを無視して、
「風神大竜巻!」
と叫び、大きな竜巻を放つ……が、禍龍は、自身に
迫る大竜巻に、大きな大きな口を開け、(((ガオォ――))))
と吠えると、風神丸(嵐)が放った大竜巻が一瞬に消えるだけでなく、
吠えた声は、あたりに響き渡りると……。
「んっ……」
「うっ……う~」
倒れていた魔王をはじめ鋼鉄神(磁久)と清景それに
鋼鉄神(磁久)の配下達が次々に目覚めだした。
「な・何と!」
驚く風神丸(嵐)に、雷神丸(雷蔵)が声を掛ける。
「あれは、味方だ、あれはテンタ殿の仲間の禍龍殿だ」
それを聞いた雷神丸(雷蔵)は、上空に佇む、禍龍に
たいして、ジャンピング土下座をして、
「も・申し訳ござらなんだ!」
と謝罪するのだった。
◇
------(テンタ視点)------☆
悪魔子爵ゴースンは、レッサーデーモン達の方を見て、
「な・なぁ、何なんだあれは!!」
上空で次々とレッサーデーモン達を斬りつけ消滅させる
カムイ(ブレード人)さんに、
「か・刀が独りでにレッサーデーモン達を斬りつけておる!」
と驚愕し叫んだ。
ボーと空を見ているゴースンに、クリスタルマンエメラルド
(ガレンさん)が、いきなりドロップキックをお見舞いした。
\ドーン/
「んっが!」
クリスタルマンエメラルド(ガレンさん)のドロップキックを
受けた、ゴースンは、そのまま吹っ飛び、地面を転がる。
「っくそ、儂を愚弄し寄って!」
と言うとすくっと立ち上がり、放っていた闘気を消し、右腕を
クリスタルマンエメラルド(ガレンさん)目掛けて、稲妻を
放つ。
\バリバリバリ/
しかし、それを軽くよけ、額のクリスタルからビームを放つ
クリスタルマンエメラルド(ガレンさん)。
”ピー”
\\ドッカーン//
クリスタルマンエメラルド(ガレンさん)が放ったビームは、
稲妻を放った右腕を直撃し、ゴースンの右腕を粉々に砕いた
……が、
砕かれたゴースンの右腕はすぐさま再生し、ゴースンは再び
闘気を放つ。
どうやら、ゴースンには超速再生の能力があるようだ。
「なかなかやるな」
とニヤッと笑うクリスタルマンエメラルド(ガレンさん)に
「貴様こそ」
とこれまたニヤッと笑い返すゴースン。
そこにお邪魔するように俺が手りゅう弾のピンを抜き、2個目
をゴースンの頭上から投下する。
”ヒュ~ン”
\バーン/
俺が落とした手りゅう弾は見事ゴースンの頭頂部に命中する。
頭に手りゅう弾を受けたゴースンは、手りゅう弾が命中した
頭頂部を押さえながら、こちらを見て、
「ええ~い、うっとうしい!」
と怒りを込めて言うと、再び放っていた闘気を消し、俺に向
けて、胸にある両目から怪光線を放った。
”ピー”
しかし、俺はすかさず、
「リフレクターソーサー!」
と叫び背中のスリットから2枚の円盤を出すと、ゴースンの
放つ怪光線を跳ね返した。
\ピシャッ/
俺が跳ね返したゴースンの怪光線は、ゴースンの頭に当たり
、ゴースンの頭を吹っ飛ばす。
\\ドッカーン//
しかし、ゴースンの頭を粉々に破壊するもすぐさま再生し、
ゴースンは再び闘気を放ち防御をする。
それを見て
(んー、こりゃ倒すの大変だわ)
と思う俺だった。
◇
\ガシン/、\ボスッ/、\ビシッ/、\バコッ/
クリスタルマンエメラルド(ガレンさん)と悪魔子爵
ゴースンは、再び肉弾戦を繰り広げていた。
さて、最後の手りゅう弾をどのタイミングで使おうか
……と俺が考えていた時だった。
「テンタさ~ん!」
と頭上で声がしたので見上げると、俺の方に向かって飛んで
くる刀……。
そう、カムイ(ブレード人)さんだった。
俺は飛んでくるカムイ(ブレード人)さんを手でつかむと、
「全部終わりましたよ」
とカムイ(ブレード人)さんが言う。
「えっ、もうですか?」
俺はカムイ(ブレード人)さんの言葉に驚き、上空に居たで
あろうレッサーデーモン達の方を見上げてると、
「あっ、いない」
本当に全部倒したようだ。
その時、俺のヘルメット内の左モニターに映るエードラム
様が
『ご苦労様……ああ、ついでにあれもチャチャっとやって
くれない?』
言うと、カムイ(ブレード人)さんは、下に居るゴースンを
見て、
「えー、あー、無理っぽいですね」
と言い返した。
『あら?どうして』
と聞き返すエードラム様に、
『全身が硬い岩でできているので、私の刃が通りません、
刃が通らないと魂は狩れないのです』
と答えると、俺のヘルメット内の右モニターに映るオトア
が、カムイ(ブレード人)さんに聞く。
『じゃぁ、岩でない部分なら刃が通るんじゃありません?』
すると、オトアにカムイ(ブレード人)さんが聞き返す。
「例えば?」
その問いにオトアが少し考えながら、
『……例えば……、胸にある目だとかお腹にある口なんて
言うのはどうです?』
と聞くと、カムイ(ブレード人)さんは、
「ああ、なるほど……でも目も口も閉じられたら無理ですよ」
と答えると、エードラム様が
『閉じさせなければ……いい、ってことねw』
と何やら企んだような表情で言う。
そして、地上でゴースンと戦っているクリスタルマン
エメラルド(ガレンさん)に言う。
『ガレン、ゴースンを羽交い絞めにして』
その言葉に地上のクリスタルマンエメラルド(ガレン
さん)は、頷くと、ゴースンの後ろへ回り込み、ゴースン
を羽交い絞めにする。
それを見たエードラム様が、すぐさま俺に言う。
『テンタ君、それ投げて』
俺は、エードラム様に言われ、左手に持っていた最後の
手りゅう弾のピンを指で抜き、そのまま地上のゴースン
目掛けて投げた。
”ヒュ~ン”
\バーン/
俺が投げた手りゅう弾は、ゴースンの胸あたりに命中し、
「がっ、くそ何をしやがる小僧!」
とゴースンは腹にある大きな口を開けた瞬間、
『テンタ君今よ!』
とエードラム様の掛け声とともに、右手に掴んでいる
カムイ(ブレード人)さんをゴースンの腹にある口
目掛けて投げる。
”ピシューン”☆彡
\グサッ/
俺の投げた刀さんは、見事ゴースンの口の
中に入り、ゴースンの舌に突き刺さった。
「んっがっ、な・なにを……」
ゴースンはその言葉を最後に絶命するのだった。
(ふぅ~、終わってみればあっけなかったな)
と思う俺だった。
◇
戦いが終わりその日の夜、全員で月都に帰る。
月都城内の大広間で、俺達と大名、魔王と、
下級魔人達に別れ、それぞれ戦勝祝いと言う名の宴会が始ま
った。
俺達は、普段大名達と魔王が謁見する部屋に案内され、
そこで宴会が始る。
料理は、馬刺し、鹿肉のすき焼き、猪肉の煮っころがしと、
魔人らしく肉中心のメニューだが、味付けは和風なのと、
白ご飯も出て、俺や三毛猫には、食べやすかった。
ただ、宴会の途中、魔王である望月皇太郎さんが、
直々にきて、お相撲の優勝の時に飲むような大きな杯
(大杯)を持ってきて、飲もうと俺達を誘うが、ガレンさん
は、
「そんなにたくさん飲めない」
と断り、俺やシェリーさん、タミーさんも
「お酒は飲めないんです」
と断ると、すごく寂しそうな顔をする……のを見てなのか
、突然大杯に入った酒を飲み干す犬。
それを見た魔王さんが、その犬の
飲みっぷりを見て気に入り、そのまま2人で飲み比べが
始まった。
魔王さんと犬が交互に大杯の
に入ったお酒を飲み続けるも……20升を前に魔王さん
が先にぶっ倒れて、飲み比べは犬の勝ちと
なったのは良かったのだが……。
次の日の朝、朝ごはんは、ざる蕎麦だったんだけど、その
朝食には魔王さんは現れなかった。
二日酔い……らしい。
(だろうね)
◇
お昼には、俺達は月港に居た。
まずは、皆で腹ごしらえってことで、うな丼のお店
『いずもや』さんに向かい、ガレンさんをはじめみんなで
鰻丼をいただいた。
鰻丼は、屋台の鰻串と違い1杯100文(2,500円)
と少し高級だが……。
そんなことはみんな気にしない……って、
なんせ、今回かなりの報奨金が俺達に出たのだ。
俺と、ガレンさん(クリスタルマンエメラルド)には、
千両(約1億円)づづ報奨金が出て、シェリーさんとタミー
さんにもそれぞれ、300両(3千万円)づつ報奨金が出た。
しかも、今回はギルドを通さない仕事なので、ギルドに払う
俺は1割、シェリーさんとタミーさんは3割の上納金が免除
されている上、初めに上月藩から預かった
25両づつの経費代も返さなくていいとなったからだ。
最も、チームに納める2割は免除されてはいないが……。
本来、ここのお金はこの三日月魔王国内でしか通用しない
お金なので、ギルドでは両替や貯金が出来ないのだが、
ガレンさんの計らいで、手数料なしで、出島奉行所で晋国
のお金と交換してくれるらしい。
なので、俺達は懐が温かいって訳で、少しぐらい贅沢しよう
ってことでお昼に鰻丼を食べることにしたのだった。
店に入って、鰻丼を注文した。
しばらくして、注文の鰻丼が各人の前に置かれた。
「う~んいい匂いw」
「おいしそうだねテンタ君w」
俺と三毛猫は少々テンションが高めなのだが、
始めて食べるであろうシェリーさんもタミーさんも
鰻丼の香りに、
「香ばしい匂いw」×2
と匂いを嗅いで期待値が上がっているようだ。
「いただきます」×5
犬以外はそう言って手を合わせいただいた。
「んっ、ナニコレ~おいしいw」
と一口食べて言うシェリーさんに、
「本当、ふわふわでおいしいw」
とタミーさん
もちろん俺や三毛猫もほっぺが落ちそうに
なる。
ガレンさんも久しぶりの鰻丼らしく、ガツガツと食べ
箸が止まらない様子だ。
ただ、例の犬だけは一口で食べてしまい
愛想のないことだ。
(お前さ~もっと味わって食べろよな)
と心で思う俺だった。
◇
お昼ご飯を食べ、本来の目的の場所へと向かう。
本来の場所とは武具屋さん。
実は、カムイ(ブレード人)さんの体(刀)を収める
ための鞘を作ってもらいに行くのだ。
上月藩お抱えの武具屋『立花』
に向かったのだった。
犬は店の外で待っていてもらい、
俺と三毛猫が(カムイ(ブレード人)さん
の鞘を選んでいる間シェリーさん、タミーさんそれに
ガレンさん達は、他の武具を興味津々で見て回っている。
結局、見本の鞘を色々と見て回り、俺と三毛猫と刀
自身であるカムイ(ブレード人)さんと小声で相談した
結果、朱塗りの赤鞘を選び、それを作ってもらうことに
した。
代金は2分(約5万円)……これが安いか高いかは俺には
全く分からないが……。
それを了承し支払いを済ませた。
出来上がりは、3日後だと言うので、それまでの間は、
上月藩の藩邸で泊めてもらえることになって
いる。
俺は小声でカムイ(ブレード人)さんに
「店に居る間、絶対声を出しちゃだめですよ」
と念を押し、鞘を作るため店の人に刀を預け
皆で店を後にした。
で、この鞘が出来るまでの3日間は、上月藩の
藩邸で泊まりながら、月港の町を観光客さながら、
あちこちを見て回る。
月港の町で知り合った貝独楽平次
さんの営む駄菓子屋さんに立ち寄り、葛餅や、ところてんな
どを食べ、月港の町を楽しんだ。
そして、3日後、鞘とカムイ(ブレード人)さんを武具屋
『立花』に受け取りに行った後、月港の町を
後にして、出島に向かい、そこで三日月魔王国のでもらった
お金を晋国のお金に換えてもらい、借りていた着物や刀
等を返すと同時に小槌を返してもらった。
例の瓢箪については、記念にくれるそうなのでそのまま
もらっておくことにした。
そして、行きと同じく迎えに来た悪特隊東支部
専用調査船『シーマリン号』で、東支部の港に帰って行くのだ
った。
ただ、この後トムさんの身に一大事が起こっていることに
俺やシェリーさん、タミーさんは知る由もなかった。
これで第三章は終わりです、次回から第四章に入ります。




