92話 魔王出陣!
カクヨムにても同時掲載しています
https://kakuyomu.jp/works/16817139558796768457
------(第三者視点)------☆
時間は少し戻ります。
東月磁久が、会敵する少し前。
森の中へと先に進んだ風神丸こと下月嵐と200名の配下
の魔人達は、森の上空に居る200体のデーモンカラス天狗に気づく。
風神丸(嵐)は、自身を追いかけてくる配下の魔人達に振り返って
言う。
「空を飛べるものは儂に続け~い、他の者達はこのまま進軍いたせ!」
「ははっ!」×200
後ろの配下の魔人達にそう言うと、そのまま上空のデーモンカラス天狗の
いる方へ飛んで行っった。
そして、風神丸(嵐)の後を50名ほどの魔人が、背中に翼を
生やして着いて行き、残りの配下の魔人達はそのまま森の中に進軍する
が、そこに20体の般若の仮面をかぶった忍者20体が現れる。
この般若の仮面をかぶった忍者はテンタ達が以前月港の
吉原で倒したものと同じ、デーモンスケルトンが、太陽光線を浴びない
ように般若の仮面をかぶっているものだ。
デーモンスケルトン達と会敵した下月嵐配下の魔人達
は、すぐさま戦闘態勢を取り、後方の魔人達がデーモンスケルトン達に
向って矢を放つ。
シュッ彡、シュッ彡、シュッ彡
\ズボッ/、\ズボッ/、\ズボッ/
魔人達が放った矢は、デーモンスケルトン達にあたるものの、矢が刺さっ
ても、何事もなかったように前列の魔人達に切りかかるデーモンスケル
トン達に、
切りかかられた魔人達も驚きながら、自身の持つ刀や槍で応戦するが、
刀で斬ったり、槍で突いても平気なデーモンスケルトン達に焦る魔人
達だったが、1人の魔人が苦し紛れに、
自身の持つ脇差をデーモンスケルトン目掛け投げつけると……。
\パッカーン/
たまたま、デーモンスケルトン被っている般若の面に当たり面を割った。
すると、面を割られたデーモンスケルトンは慌てて手で顔を覆うが、
森の木々の合間から指す日の光を浴びて、顔から紫の煙を噴き出し、
やがて倒れ……服だけを残して消えて行った。
「なるほど」
それを見ていた別の魔人はそう言って、さらに仲間たちに大声で
告げる。
「面ですぞ、面を狙いなされ!」
その声に応戦中の魔人達が頷く。
しかし、弱点を見破られたデーモンスケルトン達は、すぐさま
森の東の方に逃げて行く。
それを追いかける下月嵐配下の魔人達であった。
◇
デーモンカラス天狗と会敵した風神丸(嵐)は、すぐさま
「風神大竜巻!」
と叫び、デーモンカラス天狗200体に向け、大きな竜巻を
放つ。
しかし、デーモンカラス天狗達がすぐさま闘気を放たために
その大きな竜巻は、デーモンカラス天狗達が放つ闘気触れ、
一瞬にして消滅する。
「な・何っ!」
それを見て、驚く風神丸(嵐)。
しかし、
「魔法攻撃が効かぬのなら、肉弾戦あるのみ、皆の者かかれ~い」
と自身の配下に言い、自らも腰の刀を抜き、デーモンカラス天狗
200体に向け突撃する。
風神丸(嵐)と配下の魔人達の突撃を見たデーモンカラス天狗は、
一斉に、口から、火炎や電撃を撃つ。
デーモンカラス天狗からの攻撃を配下の魔人が浴びる寸前、風神丸
(嵐)は咄嗟に、
「風刃!」
と言いながら刀を振ると、風の刃が飛び出し、口から、火炎や電撃
を撃つデーモンカラス天狗数体を切り裂いた。
それを見た風神丸(嵐)は、
(なるほど、奴等も魔法攻撃する時には、こちらの魔法攻撃が通る
ようだな)
と心で呟き、先ほどの大竜巻のような大技ではなく、刀を使った
肉弾戦に加え、風刃のような小技を連発させ、デー
モンカラス天狗達を倒して行くのだった。
◇
鋼鉄神こと東月磁久は、2体のデーモン鵺のうちの1体に
両手の刀の刃で斬りつけるが、デーモン鵺の表皮は固く刀の刃が通らない。
「っくそっ!」
そこへもう一体の鵺が口から炎を吐き攻撃するが……。
それを察知して鋼鉄神(磁久)は後ろに飛びのいた。
そのため、謝ってもう一体の鵺の背中を焼いてしまった。
背中を焼かれた鵺は、自身の背中を焼いた鵺を睨みつける。
それを見た鋼鉄神(磁久)は、
「超電磁砲!」
と叫ぶと、腹の中央部にある穴から、電磁力の力で大きな鉄球を撃ちだした。
”ズキューン”
\\ドッカーン//
すると背中を焼かれた鵺の顔が吹っ飛び、鵺に憑依していた
レッサーデーモンごと爆発四散する。
そして頭を失った鵺はそのまま崩れ去るのだった。
その様子を見ていた鋼鉄神(磁久)の配下の魔人達は、大いに喜び、
「おー!」×200
と雄たけびを上げるのだった。
しかし、もう一体の鵺の後ろで、その様子を見ていたオミクロン
(コブラの頭に人間の体の男)が、
「調子に乗るな!」
と叫んだかと思うと、鵺の前に出て、口から毒霧を吐く。
”ボー”
すると、オミクロン(コブラの頭に人間の体の男)の吐いた毒霧は、
鋼鉄神(磁久)の右腕を熔かしたのだった。
「っくっ……」
溶けた右腕を庇うように立つ鋼鉄神(磁久)。
「殿!」×200
「兄上!」
右腕を熔かされた鋼鉄神(磁久)を心配し、鋼鉄神(磁久)を
庇おうとして、鋼鉄神(磁久)前に出ようとする配下の魔人達
と鋼鉄神(磁久)の側に近寄ろうとする鋼鉄神(磁久)の妹の
みちに鋼鉄神(磁久)は叫ぶ。
「皆の者狼狽えるでない!」
その鋼鉄神(磁久)の叫びに配下の魔人達と妹のみちはその場に
留まった。
しかし、それを見て薄笑いを浮かべたオミクロン(コブラの頭
に人間の体の男)が、
「ほう、やせ我慢を……しかし、これでどうだ」
と言って指を\パチン/と鳴らすと、後方に居た巨大な鬼である
デーモン大鬼人が、ゆっくりと前に出てきた。
それを見て、鋼鉄神(磁久)は、苦虫を噛んだ顔で、オミクロン
(コブラの頭に人間の体の男)を睨みつける鋼鉄神(磁久)であ
った。
◇
空に居るデーモンカラス天狗を一掃した風神丸(嵐)は、地上の
応援に向おうと目線を地上に向けたその時であった。
「殿、新手が!」
そう叫ぶ配下の魔人の指さす方を見ると、200弱の天狗の群れ
(デーモン天狗)と巨大な天狗(デーモン大天狗)が風神丸(嵐)
達の方に向かてきた。
それを見た風神丸(嵐)は、
「是非に及ばず」
と呟き、200弱の天狗の群れ(デーモン天狗)と巨大な天狗
(デーモン大天狗)に対し、風神丸(嵐)は、
「ろ、儂は、あのでかいやつ(大天狗)を相手する、その方達は
天狗達を相手しろ!」
と部下の魔人に指示をし、風神丸(嵐)はデーモン大天狗を相手す
る。
「風神大竜巻!」
と風神丸(嵐)は叫び、自身の大技をデーモン大天狗に放つが、
デーモン大天狗は闘気も放たず、自身が持つ八つ手の葉のような
団扇をひと仰ぎして、風神丸(嵐)の放った大竜巻より大きな
竜巻を発生させ、風神丸(嵐)の放った大竜巻を吸収し、そのま
ま風神丸(嵐)を襲う。
「な・なにっ!」
それに驚く風神丸(嵐)だったが、すぐさま腰の刀を抜き放ち、
迫りくる大竜巻を、
「真空切り!」
と言って真っ二つにするとデーモン大天狗が放った大竜巻は、
消えてなくなった。
それを見てニヤリと笑うデーモン大天狗だった。
◇
一方、逃げるデーモンスケルトン(般若の仮面をつけた忍者)達
を追って森の東側に来た風神丸(嵐)の地上に残された配下達に
突然、人間の頭くらいある石が高速で飛んできて、魔人達を襲う。
ビーユーン彡
\バコン/、\バコン/、\バコン/
「ぐわぁー」
十数人の魔人達が頭を撃ち抜かれその場に倒れこんだ。
「な。何っ!」
先頭に居る魔人の1人がそう声をあげ、石が飛んできた方を見ると、
そこには、十数体のデーモンスケルトン(般若の仮面をつけた忍者)
達と全長30m巨大な狐……。
「九尾!」
そうデーモン九尾の狐が居た。
ピシュ彡、ピシュ彡、ピシュ彡
風神丸(嵐)の地上に残された配下達はすぐさま弓矢で攻撃するも、
矢でデーモンスケルトン(般若の仮面をつけた忍者)達の面を割り、
デーモンスケルトン(般若の仮面をつけた忍者)達を倒すことは
出来たが、デーモン九尾の狐はその矢を全く受け付けず、それなら
と刀や槍でデーモン九尾の狐を攻撃するも、全く歯型立たず、逆に
デーモン九尾の狐に踏みつけられたり、口から吐いた殺生石で、
次々に魔人達は倒されて行くのだった。
◇
鋼鉄神(磁久)達の戦いを木の上から見ている忍者風の者が居た。
その名を清影魔王直属の鬼番衆。
元々は人鬼達との戦いで、人鬼達動向を探る
のが役目の忍者だ。
「いかんな……このままでは」
と呟く清影の側に”さーっ”と現れる忍者2人。
どちらも清影と同じ鬼番衆の忍者で、1人は、星影
もう一人は、鬼番衆の紅一点の鈴影である。
清影が2人に聞く。
「そっちはどうだ」
と聞かれた星影と鈴影両名とも首を横に振り、
「下月(風神丸)様の方は、カラス天狗を撃退するも、新手の天狗と
大天狗に押されておる」
と言う星影の言葉に、
「なに!下月(風神丸)様がか!?」
と驚く清影に
「ああ」
と頷く星影。
「鈴影下月(風神丸)様の地上の舞台の方はどうか?」
と今度は鈴影に問う
と鈴影は、
「こちらも、般若の仮面の忍者は倒したが、突然現れた九尾に
全滅させられそうよ」
「なんだって!」
再び驚く清影に今度は星影が聞く。
「東月(鋼鉄神)様の方はどうなんだ清影」
と聞くと、頭をクイっとして、下の様子を示唆すると、
「これは……」
と鋼鉄神(磁久)達の戦いを見て言葉を失う星影。
「このままでは、北の砦と同じ全滅ね」
と清影と星影に言う鈴影。
鈴影の言葉に少し考えた清影は、
「どこまでやれるかわからんが……俺と星影で
時間稼ぎをするから、鈴影は、このことを上様
(魔王)にお知らせしてくれ」
と言うと、鈴影はその言葉に頷き、”サッ”と
消える。
残った星影が聞く。
「しかし我等では空の下月(風神)様の援護はできんぞ」
と言うと、清影はわかっているって顔で
「ああ、だが、せめて、九尾と戦ておる下月様の配下と
ここの東月(鋼鉄神)様の全滅は避けれるのではないか」
と言う清影の言葉に
「出来るだろうか我らに?」
と星影が清影に問うと、
「倒せはせぬだろが、上様(魔王)がこちらに来られるま
での時間稼ぎでよいのだ……それに出来る出来ないではない
星影、やるしかないのだ」
と言う清影に星影は、
「そうだな、じゃ俺は九尾の方に行く、ここはお前に任せて
いいか清影?」
と聞くと、清影は、
「ああ」
と言って頷く。
それを見た星影は、その場から”サッ”と消
えるのだった。
◇
ここは、月都城の魔王の私室。
ここで、魔王は昼食をとていた。
キジの丸焼きにかぶりつく魔王。
そこに突然、女忍者が現れた。
そして、魔王に傅き、
「ご報告がございます」
と告げると、魔王は口をもぐもぐさせながら、報告をしよ
うとする女忍者に手で制して、食べていたキジの肉をゴクリ
と飲み込み、
「んっ、ああ、何だ鈴影」
と女忍者に向かって言う。
「ははっ」
と一度頭を下げてから鈴影と言う女忍者が言う。
「ただいま、北の森で東月様、下月様が会敵しております
が……」
と、東月磁久と下月嵐達の
戦況が思わしくないと報告すると……。
「やはり……ガレン殿の言った通り、悪魔と言う妖は
今までの妖や人鬼達とは違うと言うことだ
な」
と一人呟き、その場を立ち、廊下に出て、
「右太衛門、右太衛門はおるか!」
と大声で叫ぶと、その声を聞いた近衛右太衛門
は、慌てて廊下をドタドタと走って来て、
「お呼びですか上様(魔王)」
と魔王の前に膝まづく。
「やはり、儂が出なければ収まらんようだ」
と膝まづく近衛右太衛門に言うと、右太衛門
は、慌てた様に、
「しかし!……」
と反論しようとするが、それを魔王が制して、
「このままでは、この国が亡ぶ」
と言い放つと、右太衛門は、しぶしぶ
「はっ、致し方ございませんな」
と魔王の出撃を認めた。
そして、その右太衛門に言う。
「支度いたせ!」
その言葉に右太衛門が傅き、
「ははっ」
と頭を下げたまま言うのであった。
◇
ここは、月都城中心にそびえる4層の天守閣内部。
ここの天守閣は、1階から4階まで吹き抜け……と言うより空洞である。
その中心に立つ魔王。
御付きの魔人達が、魔王の着物を脱がし下着一枚になると、魔王は、
「魔神変!」
と叫ぶと、魔王の体は見る見る巨大化し、身長20mの巨人へと変わる。
この時、下着も破れることなく、魔王の体が巨大化すると同時に下着も
大きくなる。
これは、魔法付与された布で出来てるためである。
すると、天守閣の内部の前後左右に備え付けてある鎧が、前後左右から
自動的に魔王の体に装着され、上から兜が魔王の頭に落ちてきて兜を
装着し、最後に仮面が顔に装着されると、魔王が大きな声で言う。
「出陣!」
すると、天守閣が左右2つに別れる。
そして、再び魔王が叫ぶ。
「こい、紅!」
すると、”ピー”と言う鳴き声と共に、何処からか現れる赤い巨大な
鳥。
「とう!」
と叫び、魔王は空中高く跳ぶ。
すると紅と呼ばれる巨大な鳥は、魔王の腰ひもを両足で
がっちりつかむと、そのまま北の森目指して飛ぶのだった。
魔王飛びながら、
(磁久、嵐持ちこたえろよ)
と魔王は心に思うのだった。
鬼番衆の清影と言う名前は、字は違うのですが同じ読みの清景という
親戚の伯父さんの名前がかっこいいなって思ってつけました。




