83話 妖刀魂吸刃(ようとうこんきゅうじん)
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------(第三者視点)------☆
テンタ達が、吉原に向かう頃、3軒の遊郭の店の人間を皆殺しに
した次郎左衛門は、吉原の大通へと出た所でようやく
町方が駆け付ける。
「御用だ!」
「御用だ!」
六尺棒を持った町方が、遠巻きに次郎左衛門を囲む。
そして、次郎左衛門を押さえつけようと持っていた六尺棒を
突き出すが……。
\シュパッ/
自身を押さえつけようと突き出された六尺棒を、一瞬にして切り裂く。
「なっ…」
瞬時に六尺棒を切られ、驚く町方の人々……。
と次の瞬間、
\シュパッ/
と次郎左衛門を取り囲んでいた町方は全員斬られ、
「うっ……」×6
\バタン/×6
その場に全員倒れこむ。
そこへ、東町奉行所の同心(魔人)の1人が駆け付けた。
そして、一度に6人を倒した次郎左衛門を睨みつけ
「おう、町人にしたら、なかなかの腕前だな」
と言う。
身長210Cmで、着てる羽織も着物にも袖がなく、腰には4本の大刀
を刺していた。
その同心は、次郎左衛門を睨みつけながら、その次郎左衛門
を遠巻きに取り囲んでいる町方達に言う。
「こいつの相手は、俺がする、貴様らはあたりの奴らを非難させろ」
その言葉に次郎左衛門を取り囲んでいた町方は達は、
「へい!」
と言って、この吉原の他の遊郭の立ち並ぶ建物へと向かって行った。
それを目で確認した東町奉行所の同心(魔人)は、
「剣士変!」
と叫ぶと、一瞬眩い光を放つ。
すると、手が2本増えて4本の姿に変わると、すぐさま腰の刀を抜き、
構える。
彼は、東町奉行所同心、通称『四本の旦那』こと、名前は
四肢四十郎である。
それを空ろぐ目で見ていた次郎左衛門は、すぐさま
刀を構えた……と思ったら、その同心、四肢四十郎に飛び掛かった。
サッ☆彡
\カン/、\キン/、\カキン/
4本の刀を持つ四肢四十郎にすさまじい剣技で襲い掛かる次郎左衛門。
「くっ…」
1本しか刀を持っていないはずの次郎左衛門が、4本の刀を持つ
四肢四十郎を押している。
そこへ、目明しの平次と子分の六五郎が到着する。
「四本の旦那!」
平次がその同心(魔人)四十郎に声を掛けるが、
\カン/、\キン/、\カキン/
防戦でそれどころではない四十郎。
「…っ、おう、平次か、なんかこいつ変だぞ」
\カン/、\キン/、\カキン/
「へい、確かに魔人の旦那が町人に押されておられるなんて……」
と顎に手を当て考え込む平次に、
「…っ、んなことより、応援を呼んで来い平次!」
\カン/、\キン/、\カキン/
「ああっ、へい」
四十郎の言葉に平次はそう返事をし、側に居た六五郎に言う。
「おい、ろく、呼子を」
「へい」
六五郎はすぐさま懐から呼子の笛を出して吹く。
\ピコロピー/
時代劇の呼子の笛とは全然違う音色の笛。
その間に平次は、斬られて倒れている町方の同僚の様子を見る。
「……切り口がねぇ、だが、死んでいる」
\カン/、\キン/、\カキン/
その間にも必死で次郎左衛門の相手をしている
四十郎だが、その四十郎に向かって平次は言う。
「旦那、お気を付けなさって、その刀ただの刀じゃねーですよ、
切り口がねーのに死んでやす」
\カン/、\キン/、\カキン/
その言葉に4本刀の四十郎は、次郎左衛門の攻撃を
かわしながら言う。
「ああ、それだけではないっ、…この剣技、こいつの力と言うより、
刀自身の力のようだっ!」
それを聞いて平次は四十郎に聞く。
「それってーと……」
平次の質問に四十郎は答える。
\カン/、\キン/、\カキン/
「おそらく……妖刀だな」
そこ言葉に平次は、
「えっ、なんですって!」
と驚くのだった。
◇
\カン/、\キン/、\カキン/
あまりの次郎左衛門の剣技の迫力に周りの平次を含む
町方(町人達)は、手が出せないでいた。
\タッ/、\タッ/、\タッ/
そこへ呼子の笛の音を聞いた東町奉行所の同心(魔人)2人
が応援に駆け付けた。
1人は魔人の男、1人は魔人の女。
魔人の男は、通称『力の旦那』こと、猪突力三郎
そして、魔人の女は、通称『影のお嬢』こと、影山鈴。
どちらも東町奉行所同心である。
力三郎は、身長170Cmでやせ型、ふんどし一丁に黒い羽織
姿で、実はふんどしに見えるのは、相撲の回しなのである。
鈴の方は、身長196Cmで、かなりのムチムチ体系で、赤い着物を
着崩して着ており、男物の黒い羽織を羽織っている。
「なんだい、四十郎町人ごときに魔人のお前さんが押され
てるとは……」
とあきれ気味に声を掛ける鈴。
それに対して、次郎左衛門の相手をしている四十郎が言う。
「なっ、…何言ってやんだい、これはこいつの力じゃねぇ、刀の力だ」
\カン/、\キン/、\カキン/
「ふん、刀の力って四十郎、単にお前の力落ちただけじゃない
のかい」
と今度は鈴の横に立つ力三郎が、からかうように言うと、
来ていた羽織を脱ぎ捨て、回し1枚の姿になり、
「剛力招来!」
と叫ぶと……。
ムクムクっと、身長が170Cmから身長210Cmと身長が伸びたのと同時に、
体全体が太って相撲取りのような体系へと変貌する。
「よっしゃ、代われ四十郎、俺の高速張り手でそいつを
のしてやる」
と言いながら、戦ってる四十郎と次郎左衛門の
間に割って入ろうとするが……。
「待っておくんないまし、力の旦那!」
と平次が止める。
「なんだ平次!」
勢いよく飛び出そうとして、それを止められ少し不機嫌な力三郎に
平次は、倒れた町方達の死体を指さし言う。
「あの刀に斬られても傷がねぇ~んで、旦那!」
その平次の言葉に、力三郎の隣に居る鈴が町方達の死体を
見て、
「ほんに、切り口はまったくないねぇ~」
と言うと、平次は続けて鈴に言う。
「へい、しかし死んでいやす」
その言葉を聞いて鈴が、少し考え、
「ひょっとしたら、あの町人が振り回す刀は……妖刀」
と呟くと、平次は、
「へい、四十郎の旦那もそのように」
と答えると、また少し考える鈴。
そして、ボソッと、
「妖刀魂吸刃……」
呟く。
そして、今だ臨戦態勢で、四十郎と次郎左衛門の間に割って入る
気満々の力三郎に向かって言う。
「力さん、素手のあんたじゃ無理だ、さがっておくれ」
と言うと、力三郎は、がっくっとして、鈴に
「なにお~、俺の高速の張り手が町人ごときに敗れるもんか!」
と少し怒ったように言い返すが、
「あれは、妖刀魂吸刃……少しでもあの刀に触れたら
力さん、お陀仏だよ」
その鈴の言葉に驚く力三郎が、
「何だって、あれが、あの魂を吸い取る刀ってか!じゃ、どうすんだよ鈴」
と鈴に聞き返すと、
「わたしにまかせときな」
と言い、
「平次、六五郎、それに力さん、ここに並んでおくれ」
と3人に指示をする。
「へい」×2
平次と六五郎はすぐさま鈴の言う通り並び、それに少し
遅れて、
「ここで良いか、鈴」
と言って力三郎が並ぶと……。
鈴は、3人の影に向かって叫ぶ。
「影よ~影よ~行け!」
すると3人の影が、地面からムクムクと起き上がり、鈴の前に
かしづいた。
そして、鈴は、そのかしづいた3人の影に命令する。
「あの町人の動きを止めよ!」
すると3つの影は、鈴の命令に従い、戦っている四十郎と
次郎左衛門の所に行き、力三郎の影が、
次郎左衛門を羽交い絞めにし、六五郎の影が次郎左衛門の左腕
を押さえ、平次の影が次郎左衛門の右手から刀をもぎ取ろ
うとしたその時だった。
刀はひとりでに次郎左衛門の右手から離れ空中に浮いたかと思うと、
\スパッ/
平次の影を真っ二つに切り、次いで、六五郎の影をも、
\スパッ/
と同じく真っ二つに……そして最後に次郎左衛門を羽交い絞めにし
ていた力三郎の影を頭から真っ二つに切り裂いた。
それを見た鈴が、驚き叫んだ。
「か・か・影を斬った!」
◇
------(テンタ視点)------☆
シェリーさんと、タミーさんを追いかけ、吉原内の遊郭の
建物の屋根伝いに2人を追った。
俺の後ろから犬も追いかけてくる。
吉原の大通り突き当りのT字路付近の右端建物の屋根で2人
を発見し近寄ると、2人は建物の屋根の上から下の道路で行
われている捕り物を見入っていた。
「出目ですよ、シェリーさん、タミーさん」
俺の呼びかけに2人は俺の方に振り向き、
「ダメって、テンタ君……あなたも入って来てるじゃない」
とシェリーさんが俺に言い返すので、
「俺は2人を止めに……」
と言いかけると、シェリーさんが
「同罪よw」
とにこやかに俺に言い返す。
(いや……同罪って、俺はあなた達を止めるため……)
と思ったが、言っても仕方ないと思い諦めた。
すると、屋根の上から捕り物を見ていたタミーさんが、
「あ・あ影がぁ~!」
と指さし叫ぶので、俺もシェリーさんもタミーさんが指さす
方を見ると、町人2人と魔人の男の1人が並んでいる所から
3人の影が起き上がり、斬りあいをしている魔人と町人の
方に影が向かい、刀を振り回す町人をその3つの影が取り
押さえたのが見えた。
『あれ~、あれ平次さんと六五郎さんじゃなぁ~い?』
とヘルメット内の右モニターのオトアが言う。
『んっ……』
オトアに言われ、魔人と並ぶ町人2人を良く見ると、
確かに平次さんと、六五郎さんだった。
『ああ、本当だな』
と俺がオトアとそんな会話をしていると、再びタミーさんが、
叫ぶ。
『刀が…浮いた!……影を斬った!』
その言葉に慌てて捕り物の方に視点を移すと、刀がひとりでに
浮き、町人を押さえていた3つの影を切り裂いた。
切り裂かれた影はそのまま消える。
(うん?どういうこと)
と俺が思うと、今度は俺のヘルメット内の左モニターのエード
ラム様が言う。
『あれは、妖刀だね』
その言葉に俺とオトアは、
『妖刀!?』
『妖刀ってなんですか?』
エードラム様に聞く。
『人の思念……っていうか意思と能力を兼ね備えた刀かな』
エードラム様の言葉に俺とオトアが、
「思念!?」
「刀に意思があるんですか!」
と驚いていると、いつの間にか俺の横に立つ犬が
言う。
≪この世界ではな、長年使った道具には意思が芽生える≫
その言葉に俺とオトアが、
『意思が芽生えるって、魂が宿るってことか?』
と犬に聞き直すと、
≪まぁ、そうともいうな≫
と言いながら続ける。
≪あれは、恐らく妖刀魂吸刃だな≫
と言うと、俺のヘルメット内の左モニターのエードラム様が、
『でも、少し違っているわよ禍龍』
と言い返すと、犬は、わかってるって感じで、
頷き、
≪ああ、そのようだな≫
と答えた。
『ちょ、ちょ、エードラム様、禍龍どう言うこ
とですか?』
と俺が2人の会話に割って入ると、右モニターのオトアも
『その妖刀魂吸刃ってなんですか?』
と聞くと、左モニターのエードラム様が言う。
『魂吸刃は、その刀で斬ったもの……正確には
斬ると言うより振れた生き物の魂を吸い取り自身の栄養にして
いるって刀よ』
エードラム様の説明に更に犬が説明を付け加える。
≪今まで言われている魂吸刃はそうなのだが、今の魂吸刃は、魔力を
無効に出来るようになっているようだな≫
『なんで魔力を無効に出来るって言えるの?』
と左モニターのオトアが、犬に聞くと、
≪んっ、あの影を切ったからだよ≫
と言う言葉に俺が口を挟むように聞く。
『影を切ったのと魔力とどう関係してるんだ?』
すると犬は、
≪あの影は、そこに居る女魔人が自身の能力で人の影を使って
作ったもの……すなわち魔力を使って作ったってことだ≫
『なるほど……』×2
俺とオトアが犬の言葉に感心していると、
「ねぇ、テンタ君、何自分達で内緒話してるのよ、私達にも説明
してよ」
とシェリーさんに言われた。
犬は、念話でエードラム様とオトアはヘルメット内での会話
なので、外の人には聞こえないのだが、俺が黙って入るものの時折、
頷くのを見てシェリーさんは、頭の中での会話に気づいたようだ。
「あっ、ハイ2人にも説明します、あの刀は妖刀魂吸刃って言って……」
とシェリーさんとタミーさんにもエードラム様と犬から聞いた話を
説明するのだった。
誤 級→ 正 吸 変更しました。
誤 切った→正 斬った 変更しました。




