79話 ブレスレット
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東支部から戻り、グロル・アノルさん(トパーズ柱)や悪特隊
東支部の人達が禍龍が閉じ込められていた海底にある陵の
調査用の船を準備する間、俺は、ガンブレイブのメンバーと、
『天堂』でのリゾートを楽しんだ。
浜辺が例の俑兵に潰されたので、海水浴はできなかった
が、代わりに『温泉』と呼ばれる『天堂』の浴場施設で、大きな
お風呂に浸かったり、昭和の時代劇テレビをお芝居に仕立てた
『桃太郎将軍』や、昭和の推理ドラマの『名探偵ポアル』等の
お芝居を観劇したり、『天堂』の豪華な料理
を楽しんで約3日は、かなり贅沢三昧を楽しんだ。
ああ、そうそう、俺も含めガンブレイブのメンバーはそれぞれ
クエストの報酬を受取ったんだけど。
例の俑兵退治に参加したうち、冒険者を引退してるミリ
ーさん、アナさんを除く、シェリーさん、タミーさんにチーム
ブラザーのマイケル(メカイダー)さんにルーク(メカイダー
ダブルオー)さん達4人で、クエスト代として、5百万クリス
タル(1億円)……1体あたり5千クリスタル(10万円)
それを4人で分ける……と言ってもギルドに支払分(3割)や、
チームに納める(2割)は引かれるが、一人当たり70万
クリスタル(1千400万円)の収入になったみたい。
本来、100体ほどしか倒してなかったんだけど、グロル・
アノルさん(トパーズ柱)が倒したことは秘密にしたい教会
の都合で、4人に千体分報酬が支払われた。
因みに、冒険者を引退してるミリーさん、アナさんには、
報奨金と言う名目で、それなりの金額が出たらしい。
そう言うのもあって、皆ほくほくの顔をしている。
(これで、シェリーさん、タミーさんにおごれとは言われ
なくなるかな……)
そして、シェリーさん、タミーさんはこれで一気に冒険者
レベルがアップして、レベル10B級になっていて、これは
俑兵千体を冒険者の4人で倒した……ってこと
で、いきなりレベルが5つも上がった。
これは、チームブラザーのマイケル(メカイダー)さんにルー
ク(メカイダーダブルオー)さん達も同じで、彼らも冒険者
レベルが同じように上がりB級からA級へと一気に上がった。
ただ、実際の戦闘は100体程度倒しただけなので、2人
のブランチレベルは6に上がっただけで、もらえるライフが
1から2にしか上がらなかった。
で、
俺の方はと言うと、海坊主報酬5万クリスタル(100万円)
のうち、俺の取り分25,000クリスタル(50万円)
シェリーさん、タミーさんは、サブなので12,500クリ
スタル(25万円)ずつ。
だが、例によってギルドの手数料や、チームの手数料を引かれ
るって言っても今回からA級に上がっているから、ギルドに
支払う手数料は3割→1割になってるので、22,500
クリスタル(45万円)そこからチームに払う手数料が、
2割なので俺の手元に入るのは1万8千クリスタル(36万
円)なのだが、レツダイ日当日当1人1,000クリスタル
(2万円)やスカイバリアン用の魔晶石1本5千クリスタル
(10万円)×6に海坊主をおびき寄せるのにオーク約3体
分の肉片代1,500クリスタル(30万円)を引くと、
結局-27,010クリスタル(54万200円)の赤字
となる訳だが、そこに籠村でのクエスト代が入る。
籠村でのクエスト代は、まず参加料が500万
クリスタル(1億円)で、これを俺と、トムさん、ガイゼル
さんの3人で割るっと言ってもトムさんがリーダーなので、
トムさんが、200万クリスタル、(4千万円)で、俺と
ガイゼルさんが150万クリスタル(3千万)ずつとなり、
戦闘で倒した魔物や悪魔の報奨金は、悪魔猿@3万クリス
タル(60万円)×40体+レッサーデーモン@5万クリ
スタル(100万円)×40体と、悪魔猿@3万クリス
タル(60万円)×60体+レッサーデーモン@5万ク
リスタル(100万円)×60体にデーモンオーガジェ
ネラル2体@7万クリスタル(140万円)×2体+
レッサーデーモン@5万クリスタル(100万円)×
2体と、デーモンオークジェネラル@6万クリスタル
(120万円)×3体+レッサーデーモン@5万クリ
スタル(100万円)×3体それに加えて、オー
ク@4万クリスタル(80万円)×297体、オーガ
@5万クリスタル(100万円)×198体にベビル
デーモン級(サボテン頭の男)@50万クリスタル
(1千万円)となり、ギルド手数料1割とチーム手数
料2割を引いて、2329万2千クリスタル(4億
6,584万円)となり、海坊主のクエストの赤字
を補っても余りある収入となる。
これは当然、俺一人倒したのではなく、禍龍が、倒した分も含ま
れる訳だが……。
それと、俺もシェリーさんやタミーさんと同じく、
自分1人で倒したわけではないのだが、これらの戦果で、
冒険者レベルが20→30に一気に上がり、A級→S級
へと上がる。
因みに、トムさんとガイゼルさんもこの度の戦いで、
暫定A級からS級に復帰した。
◇
3日後、グロル・アノルさん(トパーズ柱)から船の
用意が出来たと、連絡があったので、俺と三毛猫だけ出なく、
ガンブレイブ全員でここ『天堂』を出る。
俺以外はまだ『天堂』に残っていてもいいんだけど、ミリー
さん、アナさんにヴィクセンさん達は、そろそろ、聖クリスタル国に
ある「喫茶ゴン」を開けないと……って事で、全員で『天堂』を
後にして、東支部へと向かう。
東支部について、俺と三毛猫だけ、支部長室
に呼ばれると思ったら、トムさんとガイゼルさんも一緒に呼
ばれた。
呼ばれたギルマスの部屋には、東支部ギルマスのチームゴラ
イジャーリーダーのチャック(サンライジャー)さんの横には、
グロル・アノル(トパーズ柱)と、見慣れない緑髪で、エメ
ラルドグリーン色のブルゾンに白のTシャツジーパン姿の
エルフ……。
(んっ、グロルさんに顔が似てるからハイエルフって事は
……)
と俺が心で思っていたら、俺の横に居たトムさんが、
「ああ、エメラルド柱!」
とその緑髪のハイエルフを見て言う。
(ああ、やっぱり)
トムさんは以前ある事件で、エメラルド柱と顔見知りだった
ようだ。
トムさんの言葉に、エメラルド柱改めガレン・アノルさんが、
「よう、トム元気だったか」
となれなれしく言うガレン・アノルさんに、
「えっ、まぁ、はい」
とトムさんは戸惑いながら返事を返す。
俺達が席に着く。
トムさんの向かいが、東支部支部長のチャック(サンライジャー)
さんで、俺の向かい側には、トムさんになれなれしく話しかけ
たガレン・アノル(エメラルド柱)さんが座り、その隣にはグロ
ル・アノル(トパーズ柱)さんが、座っている。
俺とトムさんがソファーに腰掛けるなり、ガレン・アノル
(エメラルド柱)さんが言う。
「トム悪いが、バルバン(テンタ)を俺に貸してくれないか?」
とトムさんに尋ねる。
「はい!?、って行きなりどう言うことですか?」
とガレン・アノル(エメラルド柱)さんに聞き返すトムさんに、
ガレン・アノル(エメラルド柱)さんの代わりに、グロル・
アノル(トパーズ柱)さんが答えた。
グロル・アノル(トパーズ)さんの話によると、俺が依頼され
た海の中にある陵(禍龍が閉じ込められていた)を東に向かうと、
三日月魔王国と言う国があって、ここでは魔人と呼ばれる人達が
治めている国だそうで、そこの王都である月都から北にあ
る上月藩と言うところがあり、そこの藩主上月 雷蔵さんが、
参勤交代で今月都の西にある月港に詰めているのだ
が、自分が治める上月藩の国家老と連絡が取れなくなったらしい、
そこでガレン・アノル(エメラルド柱)さんが、調査の依頼を頼ま
れたらしいのだが……。
それを聞いて、トムさんが言う。
「しかし、あそこは他国との貿易はするが、外国人は入れない
って言う国では……」
と聞くとグロル・アノル(トパーズ)さんが、
「はい、したがって冒険者なんてのは猶更なんですよ」
頷きながら言うが、そこにガレン・アノル(エメラルド柱)さん
が口を挟む。
「そこは、ほれ、この俺のことだから抜かりはないさ」
と軽く言うガレン・アノル(エメラルド柱)さんにトムさんが、
「抜かりが無いと言われても……」
と言うと、ガレン・アノル(エメラルド柱)さんが、
「いや、あそこの魔王とは、俺はちょっとした知り合いだから
今回は特例として認めてくれているんだ」
軽く言う答えを聞いて、トムさんはさらに聞く、
「……んーっうか、何でバルバン(テンタ)なんですか?」
その言葉にガレン・アノル(エメラルド柱)さんが、軽く答える。
「あっ、だってそれは悪魔が噛んでるからだよ」
その言葉にトムさんと俺が目をむいて驚くが……。
トムさんが俺の方を見て、
「どうする?」
って優しく聞いてくれる。
それに対して俺は、
「やります、やらせていただきます」
と即答するのだった。
その答えを聞いて、満足そうに頷くガレン・アノル(エメラルド柱)
さん。
すると、トムさんの向かいに座っていた東支部支部長のチャック
(サンライジャー)さんが、トムさんに言う。
「それと、トムにはご指名のクエストがあるんだが……」
と切り出した。
「んっ、俺を指名って誰だよ」
自身を指さし言うトムさんに、
「ああ、南支部の支部長からだよ」
チャック(サンライジャー)さんが言うと、トムさんは、
「んっ!?南支部……って楊黒暗からか?」
と聞くと、チャック(サンライジャー)さんが首を横に振り、
「いいや、今の支部長は、黄雷だよ」
と言うとトムさんは、
「ああ、あそこは交代でチームリーダと支部長をやって
たんだったな」
の言葉にチャック(サンライジャー)さんが、軽く頷くとトム
さんは、
「で、依頼内容は?」
とチャック(サンライジャー)さんに聞くと、
「人探しだそうだ」
とチャック(サンライジャー)さんが答えた。
それに不思議そうにトムさんが
「人探し……って俺そんなクエスト受けたことないぞ」
とチャック(サンライジャー)さんに言い返すと、
「何でもネシア王国の王女様が行方不明なんだと、それをお前に
探す手伝いをしてほしいとのことだ」
その言葉に対して、トムさんがチャック(サンライジャー)さん
に詰め寄り言う。
「だからチャック、何でだ!って聞いてんだろうが」
と言うと、チャックさんは投げやり気味に言う。
「それは、お前のブランチが宇宙保安官だからだよ!」
(あら~またしてもなのね)
◇
支部長の部屋を出た俺とトムさんは、東支部の受付
前で、待っているミリー(トム妻)さん達と合流し、
「悪い、ミリー俺は今から南支部に行かなければならなくなった」
とトムさんがミリー(トム妻)さんに言うと、
「あら、また急に……依頼?」
ミリー(トム妻)さんがトムさんに聞く。
「ああ、俺ご指名の依頼だ」
と(トム妻)さんにトムさんが答え、さらに
「それとテンタとオトアは、道案内の後、三日月魔王国に向かうから
お前達は先に帰っていてくれ」
告げる。
その言葉を聞いたシェリーさんとタミーさんが、
「テンタ君達三日月魔王国に行くの!?」
「私達も行きたい行きたい」
と言って来た。
そんな2人にトムさんが、
「ダメダ、テンタ達が三日月魔王国に行くのは悪魔がらみだ
お前達では足手まといになるからダメダ!」
と言うと、シェリーさんとタミーさんは、少し不貞腐れたように
「だって~私達B級だよB級!」
「そうだよ、もう一人前の冒険者なんだから!」
と言うが、そこにガイゼルさんがニヤリと笑い一言いう。
「B級と言ってもシェリーとタミーは、おまけだけどな」
その言葉に一瞬固まった2人だが、
「でもB級、B級なんだってば!」
「一人前、一人前なんだから」
と駄々をこねている所に、ガレン・アノル(エメラルド柱)
さんが通りかかり、
「いいじゃないか、男2人と猫だけの旅より、カワイ子ちゃん
が2人も加わってくれるなら、俺は大歓迎だぜ」
と慣れられ敷く口を挟む。
そんなガレン・アノル(エメラルド柱)を”ギ”と睨みトム
さんが、
「はしら!!……」
と大きな声で言いかけると、ガレン・アノル(エメラルド柱)
さんが、人差し指を口に当ててトムさんに
「シ―――ッ!」
って言うとトムさんは黙った。
「大丈夫だよトム、このバルバンには精霊様が付いているし、
例の龍もいるんだろう~」
「それにだ!この俺が付いているんだ、娘さん達には指1本
触れさせやしないよトム」
と言われ、黙り込んでしまうトムさん。
そこにミリー(トム妻)が、口を開く。
「そうね、柱が付いてくれてるし……それに第一この子達は
言い出したら聞かないしね……ダメダって言っても隠れてでも
テンタ君について行ってしまうでしょうしねぇ」
と少し冷静な口調で言う。
そして、思い出したように、
「ああ、ガイゼル、この子達用の例の物で来てるんでしょ」
とガイゼルさんに聞くと、
「ああ、ちょっと待ってくれ」
と言って小槌からブレスレットを2つ出してきた。
1つは紫、1つは黄色のブレスレット。
「2人とも今着けてるブレスレットとこれを交換なさい」
とミリーさんに言われ、各自の右手首から今着けている
ブレスレットを外し、ガイゼルさんから新しブレスレット
を受取り嬉しそうにそれをはめるのだった。
2人には、これが何かわかっている。
そう、このブレスレットはコンバットスーツをセットする
(変身する)アイテムだった。
「基本デザインは変わってないが、魔晶石の消費効率が良く
なっているのと、新しい武器がそれぞれ追加されているぞ」
ガイゼルさんの解説をほとんど聞いていない2人だったが、
「「ありがとうパパ、ガイゼルさん」」
と2人共声をそろえてお礼を言うのだった。
因みに、このシェリーさんととタミーさんのニュースーツ
は、実は、2人に内緒で、俺がコンバットスーツを新調した時、
別件でアロムさんに設計依頼し、ガイゼルさんの所で、製作して
いたらしい。
2人が、B級に上がったらこれをプレゼントしようとトムさんは
考えていたらしい。
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