200話 禍龍再び
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------(テンタ視点)------☆
今まで黙ていたオトアが口を開く。
「悪魔時空も無限結界どちらも消せますよ……」
その言葉に一同”あんぐり”した表情で、
「えぇ―――――――っ!!!」
と叫ぶ。
皆の視線が自分に向けられたのを感じたオトアは、
急に顔御赤らめながらも、
「私、ダリウスと一体化していたでしょ……多分
その時にダリウスの記憶と共に能力も受け継いだみたいなんです」
と恥ずかしそうに言う。
「まじか!オトア」
と俺も驚き横に居るオトアを見る。
「確かに……ありうるか」
とトム(バルジャン)さんが、オトアの発言に顎に手をやり
言うが、側に居たミリー(トム妻)さんが、
「なら、あの門を消せるんじゃぁ~ないの?」
と疑問を口にすると、オトアは、
「あれは無理です」
と即答する。
その言葉にトム(バルジャン)さんが、
「何故だ?」
と聞き返すと、オトアは、
「あれは術者でないと消せないんです」
と答えると、トム(バルジャン)さんが、
「消せないはず……」
とオトアに聞き返そうとした時、横から再びミリー(トム妻)さんが、
「ああ、そうね、召喚魔法なんかは術者でないとね」
と以外にもオトアの意見に同意するのを聞いて、トム(バルジャン)さん
は、
「そうなのか?ミリー」
とオトアではなくミリー(トム妻)さんに聞き返すと、ミリー(トム妻)さん
は、
「ええ、召喚魔法のような魔法は召喚者しか消せないのよ」
とトム(バルジャン)さんの方を見て言うと、娘のシェリーが、
「じゃ、あの門はずーとあそこにあるの?」
と疑問を口にすると、オトアはシェリー(トム娘)に向かって、
「そんなことはないですよ、術者が消すか、術者が亡くなれば」
その言葉にシャリーの妹のタミーが、
「結局、ダリウスを倒すしかないのか……」
とため息交じりで言う。
するとトム(バルジャン)さんは、気分を変える様に
「まぁ、でもあの門から悪魔達が入って来るのさえ防げれば、
ダリウスに攻撃が集中できる……って事だ」
と皆に言うと、一同、頷くのだった。
◇
「ボギ110、俺のスーツを」
とボギ110(アンドロイド)に命じると、
「スデニ、ヨビノスーツヲゴヨウイシテイマス」
と答えたので、
「よし、……それじゃ~オトアのスーツを大至急用意……」
と言いかけると横に居たオトアが俺の服の袖を引っ張り、
「私……恥ずかしいけど、この格好でないと力が出せないみたい」
と言って来る。
その言葉に俺はまじまじとオトアの姿を見る。
ビキニアーマーにマント姿、オトアのその姿を見て、
(あら、大きいとは思っていたが、この姿だとひときわ、
目立つよな……オトアの胸)
と思い俺は不用意にも顔を赤らめてしまった。
その様子にオトアも気づいたのか、マントで自身の体を覆い、
「エッチ!」
と俺に言って顔を赤らめる。
(ごめんごめん)
そんなオトアに俺は心で謝る。
そして、気を取り直して、
「ボギ110、ウルバリアンは?」
と問うと、
「ウルバリアンハ ゲンザイ シュウリユウデ ツカエマセン」
と答えが返って来た。
(参ったな……スカイバリアンも大破してるし……)
と俺が考え込んでいると、突然、操縦席の方から大きな声が
聞える。
「え――っ、何だって!!」
それはガンボー(ガイゼル)さんの声だった。
操縦席のモニター越しに驚いているガンボー(ガイゼル)さん
にトム(バルジャン)さんが声を掛ける。
「どうしたガイゼル」
その声にガンボー(ガイゼル)さんが振り向き言う。
「ゴライジャー達と仮面ソルジャー達、それにデビライザーの3人が
やられた」
その言葉の後、再びモニターの方に向き直り、各機のアンドロイド達に
命令を飛ばす。
「ボギ098、ボギ084、ボギー039は、各員を転送で収用しろ!」
その時、ガンボー(ガイゼル)さんが見ているモニターの分割画面に映る
サイキックレディー(メル)さんが、
「どうしたの!?」
と驚きガンボー(ガイゼル)さんに聞き返すと、
「いや、柱達とダリウスを相手していたゴライジャー達がやられた」
とガンボー(ガイゼル)さんが答えると、
「え――っ、やられたですって!」
とモニターの向こうで驚くサイキックレディー(メル)さん。
しかし、その後冷静になって言う。
「いくら柱達が強いって言っても柱達だけでは……少々キツイわね」
そして少し考えるように、
「私達が応援に行くしかないわね」
と言ってから俺とオトアの方を見て言う。
「本当に何とかなるのオトアちゃん?」
その言葉にオトアが、
「はい」
と答えるが俺が、
「何とかなりそうですが、ただ、そこに向かうための……」
と言いかけた時、操縦室の後ろで寝ていた犬の耳が、
\ピクピク/と動いたかと思うと、突然目を開け、むくっと起き上がった
課と思うと、\ワン/と一声吠えた。
俺は犬の方に振り向くと、犬は俺に念話を飛ばす。
≪我が行く≫
その念話に俺が、
「大丈夫なのか?」
と聞き直すと、再び元気よく\ワン/と吠える。
「わかった」
と俺が答えると、俺は再びモニターに映るサイキックレディー(メル)さん
の方に振りかえり、
「門の方は大丈夫です、柱達の応援をお願いします」
と告げると、サイキックレディー(メル)さんは、
「わかった」
と一言返し、そのまま通信を切るのだった。
◇
犬は、先のマグマドラゴン(ゼット)との戦いで瀕死の
重傷を負い、自身の全魔力を使い、かろうじて生き延びたものの、自身の
魔力を使い果たしたため、復活後犬の姿に戻り、ひたすらバビオンの操縦席の
片隅で眠っていたのだが、どうやらその魔力が回復したらしい。
と言ってもまだ全魔力の3分の1程度らしいので、本格的な戦いはできない
らしいいが、俺とオトアを乗せて飛ぶくらいはできるらしい。
そこで、まず、犬をそのままバビオンの外に転送する。
外に出た犬はすぐさま元の龍の姿に変身……と同時に俺とオトアは、
禍龍の頭の上へと転送されるのだった。
俺は、禍龍の頭の上で隣に居たオトアに
「じゃぁ、頼むよオトア」
と声を掛けるとオトアは、
「うん」
と頷き、その場ですくっと立ち上がると両手を広げ、目を閉じた。
と……見る見る右手にバリアーのような障壁が吸い込まれ、反対の左手には
悪魔時空の元の物質である黒い雲のようなものが吸い込まれて行く。
数秒も経たずに、周りには青い空が広がり、元の姿へと変わった。
\ギョエー/、\グエー/
悪魔界の門から出てきていた悪魔達が次々に日の光に焼かれ消えて行く。
門の扉付近に居た悪魔達も次々に蒸発して行った。
そして、門は悪魔界側から閉められるのだった。
「やったなオトア」
と俺がオトアに声を掛けると、
「うん……でも念のため」
とオトアは頷きながら、そう言い、自身の右手を空中に浮かぶ門の扉の
方に向けると……門の扉にはバリアーのようなものが出現する。
「これで大丈夫……かな?」
とオトアは呟くのだった。
◇
-----(第三者視点)------☆
変身が解けたチーム『ゴライジャー』やチーム『仮面ソルジャー』それに
チーム『デビライザー』のザマタン(エディー)、イマタン(ジェシー)、ガマタン(チャド)
達が虹色の泡となって、それぞれの起動兵器へと転送されて行く。
それを見たダリウスは、
「ふん」
と鼻を鳴らす様に言うと、残されたクリスタルマン達5人とボロボロの翼でかろうじて地上から
飛び立ったデーモンレディー(マヤ)を見て、
「残ったのは6人か……」
と言いながら薄笑いを浮かべると、
「無の具現たる深淵よ 漆黒の奈落へとこの者達を陥れよ」
とと呪文を唱え、
「暗黒奈落!」
と叫ぶと、ダリウスの頭上に大きな黒い穴が出現する。
その穴は周りの空気や、地面に生える草木に果ては地面の土まで吸い込んで行く。
「っっく……」
「……んがっ」
「な・なんの!」
「っくっそ」
「くっ……」
「やばい、吸い込まれそうだわ」
それぞれ、クリスタルマン(ニム博士)、クリスタルマンエメラルド(ガレン)、
クリスタルマントパーズ(グロル)、クリスタルマンサファイア(ルフーン)、
クリスタルマンルビー(カラン)それにデーモンレディー(マヤ)達がそれぞれ
空中で穴の中に吸い込まれまいと必死で踏ん張る。
と、その時だった。
急に空が晴れ渡る。
「な・なんだと!」
驚くダリウス。
次の瞬間、地上に現れたチーム『アメヒロ』のサイキックレディー(メル)が、
「サイキック・リバース!」
と言って念力でダリウスの造った穴を小さくして行く……が、小さくはできるものの
サイキックレディー(メル)の念力をダリウスの悪魔闘気が相殺するため消すことは
できないようだ。
と、\ピシューン/====
とダリウスの顔のあたりを稲妻が通過したと思ったら、その稲妻は何かをダリウスの
顔付近に落とした。
と稲妻が落としたのは肉の塊……と言うかそれはサイキックレディー(メル)と同じ
チーム『アメヒロ』の 超人マッスル(バル)だった。
超人マッスル(バル)は落下しながらも、ダリウスの額に向け渾身のパンチを放つ。
「うんっ!」
\バッキーン/
パンチを放った後の超人マッスル(バル)はそのまま地上へと落下するが、地上に
落ちる寸前、再び稲妻が現れ落ちる超人マッスル(バル)を拾い上げ、地上へと
降ろすと稲妻が消えそこに居たのは、光速サンンダーマン(エル)だった。
ダリウスは、超人マッスル(バル)の渾身のパンチを受け、額が少し腫れると共に
少し体が揺らぐものの、そのまま立っていた。
そして、チーム『アメヒロ』の3人を改めて見て、
「おのれ~お前ら!!!」
と怒りを表すのだった。




