188話 身代わりの指輪
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------(テンタ視点)------☆
”ビシューン”======
”ビシューン”======
俺は『ウルバリアン』に跨りファイザー銃で攻撃をする。
\バリバリバリ/
マグマドラゴン(ゼット)の硬い岩のような表皮を剥がす
ものの、すぐさま体内からマグマが沸き、冷え固まって
元の硬い表皮になる。
「なら!」
と俺は『ウルバリアン』の機首を開き、内蔵されたプラズマ
カノン砲で攻撃してみる。
〇”バシューン”======
〇”バシューン”======
\\バッコン//、\\バッコン//
今度は表皮だけでなく、体に大きな穴を開けることが出来た。
んだけど……。
これも体内から湧き上がるマグマが噴き出し、冷え固まって
元の形に戻る。
(これもダメか……)
「フン、こんなものかお前の力は!」
と今度はマグマドラゴン(ゼット)が反撃を仕掛けてくる。
口を大きく開け、溶岩弾を俺に向け吐いてくる。
\ボシュ/、\ボシュ/、\ボシュ/
俺はその溶岩弾を華麗に避ける。
「そんな大ぶりな攻撃!」
「ならばこれはどうだ!」
とマグマドラゴン(ゼット)は俺に向け目から破壊光線を
放った。
”ピー”======
「わぉ~!」
不意の攻撃に俺は一瞬焦りはしたが、その攻撃もかろうじて
避ける。
俺もマグマドラゴン(ゼット)もお互い決め手に欠ける
戦いの中、ふと、地上で『ヘカトンデーモンボティス』
と戦うバルジャン(トム)さんとシェリーさん達の戦いが
目に入った。
俺が戦っている2人を見た瞬間、『ヘカトンデーモンボテ
ィス』と戦っていたバルジャン(トム)さんのコンバット
スーツ姿が\パッ/と解け、生身のトムさんの姿に変わる。
(トムさんやばいんじゃないの)
と思った俺は、腰の後ろにある鞘から刀さんを抜き、
「カムイさんトムさん達の援護を!」
とお願いすると、
≪心得た≫
と言って俺の手から刀さんはするりと抜けると、
地上に居るバルジャン(トム)さん達のもとに飛んで行くのだっ
た。
◇
刀さんが、トムさん達の援護に向かった直後、
”ピー”======
再び、マグマドラゴン(ゼット)が目から破壊光線を俺に向け
放ってきた。
「あっ!」
と思ったが、かろうじて避ける俺。
それを見てマグマドラゴン(ゼット)は皮肉たっぷりに
「ずいぶん余裕だな」
と俺に言う。
そんな嫌味に俺は、
「それほどでもw」
と嫌味を返してやるのだった。
◇
------(第三者視点)------☆
バルジャン(トム)が『ソウルスレイヤー』で、『ヘカトンデー
モンボティス』に斬りつける。
\ズバーン/
”ガク”
バルジャン(トム)に斬りつけられた『ヘカトンデーモンボテ
ィス』は憑依した悪魔事魂を抜き取られる。
が、
次の瞬間、\パッ/とバルジャン(トム)がコンバットスーツの
姿から元のトムの姿に変わった。
「しまった!時間か」
その時だあった。
\ボー/
別の『ヘカトンデーモンボティス』が生身のトムに向け、炎を
吐いた。
それを見たシェリーは、咄嗟にトムを庇い『ヘカトンデーモン
ボティス』の吐いた炎を浴びた。
「っん、シェリー!」
思わず焦り叫ぶトムだったが、そんなトムにシェリーは涼しい顔で
「パパ、大丈夫よこの程度の炎なんてw」
と言うとトムは、”ほっ”とした顔で、
「そうだったな」
と返す。
そんなトムにシェリーは、
「パパは早くバビオンに退避して」
と告げるが、そんなシェリーにトムは、
「いや大丈夫だ、この『ソウルスレイヤー』があればまだまだ
戦える」
と言い張るが、シェリーはそんなトムにジト目で言う。
「攻撃力はあっても防御力ゼロのパパではかえって足手まといよ」
娘にそこまで言われたトムは、少し考えたが、やはり娘が心配で、
「しかし、シェリー1人で『ヘカトンデーモンボティス』を十数体
相手するのは無理だぞ」
と言い返した時だった。
”シューン”======
風のごとく一振りの刀が空から降って来て、
\ズバーン/、\ズバーン/
と『ヘカトンデーモンボティス』達に斬りつけ魂を抜いて行く。
それを見たシェリーは、トムに対し、
「うーん、私一人って訳じゃなくなったみたいよパパ」
と言い返すと、さすがにトムも
「わかった、俺は一旦バビオンに戻る」
と言って、戦場を後にバビオンに戻るのだった。
◇
「スピンソーサー!」
タミーが自身のコンバットスーツの背中のスリットからギザギザの
刃の付いた2枚の円盤を高速回転させながら射出する。
\ズバーン/、\ズバーン/
ギザギザの回転する2枚の円盤は2体の『ヘカトンデーモンザガン』
を切り裂き倒すが……。
「これでは中々数が減らない」
と呟くと、
「禍龍!『ヘカトンデーモンザガン』達を一か所に集めて
くれない?」
と禍龍に声を掛けた。
その言葉に黙って頷いた禍龍は、自身の体を円盤のように
丸く巻き、『ヘカトンデーモンザガン』の頭上に急上昇すると、一気に
自身の体を高速回転させた。
((((くるくるくる))))
”ビユーン彡
禍龍が高速回転することにより、真下に居た『ヘカトンデ
ーモンザガン』達の周りに竜巻が起こり、『ヘカトンデーモンザガン』
達はその竜巻に飲み込まれた。
\ぐゎゎ~/
竜巻の中をぐるぐる回る『ヘカトンデーモンザガン』達に向けタミー
は自身が乗るスカイバリアンの機首をその竜巻に向けると、スカイバリ
アンの機首の装甲版を左右に開き、ミニガンを露出させると、
((((キュイーンキュルキュルキュル))))
「軸線に乗ったわ」
と言った直後、
\\バリバリバリバリ//
\\ぐぇぇ~//
ミニガンを発射させ、竜巻の中をぐるぐる回る『ヘカトンデーモンザ
ガン』達を一気に倒して行くのだった。
「これで、全部倒したわ、後は……」
と地上で『ヘカトンデーモンボティス』と戦うシェリーと、同じく地上で
巨大なドラゴンと対峙しているテンタの方を見て、
「私はお姉ちゃんの援護に向かうから、禍龍はテンタ君の
方を頼むね」
と言うタミーの言葉にまたもや黙って頷く禍龍。
それを見たタミーは、すぐさまスカイバリアンでシェリーのもとに向かう
タミーだった。
◇
------(テンタ視点)------☆
「これならどうだ!」
自身の攻撃をことごとく避ける俺にマグマドラゴン(ゼット)
はそう言うと、
”ピー”======
と目から破壊光線を出すと同時に、口から
\\ズバーン//
と溶岩弾を放つのだが、今までのように大きなマグマの固まり
ではなく、細かいマグマ弾をショットガンのように放った。
俺は、破壊光線は避けたものの、この無数の散弾のような
マグマ弾をよけきれない。
「やばい」
と俺が口にした時だった。
”シューン”======
俺の後方から、風のごとく鉄球が飛んできて、その散弾を吹き
飛ばす。
「ん!?」
俺思わず振り向くと、そこには禍龍が居た。
「フン、邪竜めが」
それを苦々しく地上から見つめるマグマドラゴン(ゼット)。
しかし、次の瞬間、マグマドラゴン(ゼット)の背中が
”パックリ”開いたかと思うとその中から火の鳥……フェニッ
クスが現れ、空中に浮かぶ禍龍に向かって飛んで
行く。
≪何っ!?≫
それを見て禍龍は、一瞬驚くが、すぐさま目から
冷凍光線を飛んでくるフェニックスに向け放つ。
”ピー”======
\\ビシャーン//
禍龍の放つ冷凍光線を浴びたフェニックスは、
一瞬苦しい表情をするものの、そのまま禍龍に
体当たりと同時にフェニックスは姿が消えるものの、
≪ぬあぁ~!≫
フェニックスに体当たりされた禍龍は、そのまま
火だるまになり地上に落ちて行くのだった。
「ふん、たわいもないのう~」
と火だるまになって落ちて行く禍龍を見てそう
言い放つマグマドラゴン(ゼット)。
その時だった。
(((((クルクルクル))))
\\シュパン//
と俺の腰の後ろの鞘に刀さんが戻ると同時に、
”ビシューン”======
”ビシューン”======
2本のビームが飛んでくる。
\\ビシャーン//
しかし、2本のビームを受けたマグマドラゴン(ゼット)
は俺の時と同様、表皮の岩を剥がされるものの、はがれた
表皮は体内から上がって来たマグマがそれを防ぎ、マグマ
が冷えてすぐさま元の岩の表皮へとなるのだった。
「禍龍だけじぇないわよ、テンタ君には私達が
ついているんだからw」
と言うタミーさんの声が俺の後方から聞こえる。
振り向くと、そこにはスカイバリアンに2人乗りするタミー
さんとシェリーさんの姿があった。
俺は、思わず2人に向け言う。
「ファイザー銃はこいつには効かないんです」
その言葉に2人は、
「「えぇぇ~!!」」×2
と声をそろえて驚く。
そんな2人に向け、マグマドラゴン(ゼット)は、先ほど
俺に放った散弾タイプの溶岩弾を放つ。
\\ズバーン//
「危ない!」
俺は思わず俺の後方に居るタミーさんとシェリーさんに
叫んだが……。
「「えっ!?」」
不意を突かれたシェリーさんとタミーさんはそのマグマの散弾
を浴びてしまった。
\\ドッカーン//
「「キャ―――ァ!!」」
2人はマグマの散弾を浴び乗っていたスカイバリアンごと
爆発四散するのだった。
◇
------(第三者視点)-------☆
「シェリーィ~!!!、タミィ~!!!」
バビオンの操縦席で、モニターを見ていたトムが
叫ぶ。
トムは、慌ててバビオンの操縦席から外に飛び出そうと
するが、それを冷静に止めるミリー(トム妻)。
「あなた、よく見て」
「んっ―――!」
ミリー(トム妻)に言われトムがタミーとシェリーが
爆発四散したであろう空中をよく見ると、そこには
2つの光があった。
その2つの光はゆっくりと地上に降りて行き、やがて
地上に降りたつと、その光が消える。
と、
そこにはタミーとシェリーの姿があった。
それをトムの横で見ていたガイゼルがボソっと言う。
「身代わりの指輪……」
それを聞いてトムが”ああ”って顔で胸を撫でおろすと、
ミリー(トム妻)がすぐさま操縦席に座るボギー110
に命令する。
「ボギー110、すぐさま2人をこっちに転送して」
それを聞いたボギー110は、
「イエッサー」
と答え2人をバビオンに転送して収容するのだった。
◇
------(テンタ視点)------☆
俺は考えていた。
(奴をどうやってたおそうか)
と。
奴の体の中は恐らく煮えたぎるマグマの固まりだ。
これを冷やし固めることが出来ればいいのだが……。
普通なら冷凍系の魔法で冷やし奴の体を固めた後、
砕くってのがセオリーだろうが……。
奴等悪魔は、悪魔闘気でその魔法を無効化できる。
第一、俺は魔法が使えない……ではどうするか。
例えば、大量の水をバビオンにある量子プリンター
で作り奴にぶっかける……。
と思ったが、恐らく外側から奴に大量の水をぶっかけ
ても、蒸発するだけ……んっ!?
奴の体内はマグマなんだよな……つまり高熱の固まり
……。!?…!
俺は、すぐさまバビオンに居るボギー110に無線で
『ボギー110、大量の水を奴の体内に転送してくれ』
と頼んだ。
『アイサー!』
とボギー110が俺の命令に返事を返し、そこから約1分
後、大量の水が奴の体内に転送された。
「あん!?なんだ体が……」
大量の水がマグマドラゴン(ゼット)の体内に転送された
直後、マグマドラゴン(ゼット)はその異変を察知するが
……。
\\\ドッカーン///
奴の体内にある高熱のマグマに転送された水が触れた
途端マグマドラゴン(ゼット)の体の中で水蒸気爆発
が起き、その爆発の威力でマグマドラゴン(ゼット)の
体は粉々に吹っ飛ぶのだった。
マグマドラゴン(ゼット)が吹っ飛んだ次の瞬間、地上の
月面のような風景と暗い夜空が\パッ/消えるのだった。
(倒した……んだよな)




