160話 陽動
カクヨムにても同時掲載しています
https://kakuyomu.jp/works/16817139558796768457
-----(第三者視点)------☆
時間は少し巻き戻って、テンタが磔台に上がる前日の夜。
ここは、ルベン国王都ズムの避難民を救出するために、
ガシャーン(ブルーノ)が王都地下に掘ったトンネル上に
ある2か所のアジト……1つは歌劇場、もう一つは今は
使われていない大きな倉庫であるが、その倉庫に、聖ク
リスタル国CIC情報局のルペン四世に
その妻のふみ子ちゃん(ミーア)と、ジェイミー(ソマーズ)
にチーム『ガシャーン』の2人、それにチーム『アメヒロ』
3人に、チーム『ガンブレーブ』の6人が明日のテンタ救出
と王都の残りの市民の避難について話をしていた。
「で、闘技場の方はどうだ」
とルペン四世が、ジェイミー(ソマーズ)
に尋ねると、
「はい、闘技場の方を担当してくれている、悪特隊西支部
ダン・キャップの話だと市民の内ほぼ5万に収容を完了し、
王都の障壁さえ解除されれば、いつでも転移できるとの
事でした」
と答えるジェイミー(ソマーズ)に、ルペン四世(カリオ
ストロ)が続けて聞く。
「じゃ、歌劇場から避難する市民たちの状況は?」
その言葉に、ジェイミー(ソマーズ)ではなくにチーム
『ガシャーン』のガシャーン(ブルーノ)が答える。
「それは、さっきまで担当していた俺が答えよう」
「そうか」
ガシャーン(ブルーノ)の言葉に、ルペン四世(カリオ
ストロ)が、そう返すと、ガシャーン(ブルーノ)が、
説明を始める。
「歌劇場から脱出させる予定の市民はあと1500弱
くらいだ、今は明日朝一番から避難を始めるため、歌劇
場に待機してもらっている」
との言葉に、ルペン四世は、
「そうか、じゃぁこっちの状況と似たようなもんだな
歌劇場とここの倉庫に残る市民総勢3千弱か……
明日朝1番から避難させたとして……どんなに急いでも
昼過ぎまではかかる……よな」
と少し考えていると、チーム『ガンブレーブ』のバルジ
ャン(トム)がそれに対して、
「時間が掛かってもいいんじゃないか?」
と考え込むに、ルペン四世に向け言う。
その言葉に、ルペン四世のその妻の
ふみ子ちゃん(ミーア)が、
「今までは運よく悪魔達に気づかれてないけど……
いつ悪魔達が気づくか分からないのよ」
と言い返すと、そんなふみ子ちゃん(ミーア)に
”おいおい”って感じで手を広げ、バルジャン(トム)
は言い返す。
「明日、俺達ガンブレイブで、テンタの救出に王城に
乗り込むんだぜ、そしたら、王城に居る悪魔達は、乗り
込んだ俺達の迎撃で、てんやわんやになるはずだ、とて
も歌劇場とここの倉庫に手が回らないと思うがな」
と答えると、その言葉に同じ『ガンブレイブ』のガンボー
(ガイゼル)が、
「いや、確かに城の悪魔達はそうかもしれんが、外に居る
怪獣や魔導騎兵達は、そうでないかもしれないぞ」
と言うと、バルジャン(トム)はそんなガンボー(ガイ
ゼル)の言葉に、”あっつそっか”って顔で頭を”ボリ
ボリ”かきながら、
「それもそうか」
と言うと、ガンボー(ガイゼル)の言葉に同意するように
、と、バルジャン(トム)の妻のミリーも、
「それに万が一そのかいじゅーや魔導騎兵が避難する市民
の方ではなく、私達のいる王城にでも攻めてきたら、私達
とてもじゃないけどテンタ君を救出するどころではなくな
るのよ」
と言うと、バルジャン(トム)も”確かに”って顔で
「そうだよな」
と返す。
それらのやり取りを聞いていたチーム『アメヒロ』のサイ
キックレディー(アルウェン)が、口を挟む。
「なら、陽動をすればいいんじゃない?」
その言葉に、ルペン四世とその妻の
ふみ子ちゃん(ミーア)や、チーム『ガンブレイブ』
のバルジャン(トム)やガンボー(ガイゼル)が声を
揃えて聞く。
「陽動!?」×4
そんな驚く4人にのサイキックレディー(アルウェン)が、
「陽動と言ってもほんの少し時間を稼ぐだけだよ」
と少し動揺しながら言うと、ガンボー(ガイゼル)が、
「どういうふうにだ?」
と聞くと、サイキックレディー(アルウェン)が、
「本来の計画に少しつけ加えるだけ……つまり、本来の
作戦は、テンタの処刑直前に闘技場事避難民を転送し、
そのどさくさにチーム『ガンブレイブ』がテンタを救出
……でしょ、そして、西からチーム『バンダム』、東から
クリスタルマン達柱が、王都を守る魔導騎兵やら怪獣達を
殲滅しそのまま王城に居るダリウスを倒す、そしてその間に
私達チーム『アメヒロ』とにチーム『ガシャーン』が市民の
脱出の手伝いを騎士達とするんでしょ」
と言うと、ガンボー(ガイゼル)がサイキックレディー(アル
ウェン)に
「その通りだが」
と答えると、サイキックレディー(アルウェン)が、
「それだとタイムラグが生じない?」
と聞き返すと、ルペン四世が口を挟む。
「そりゃ~まぁ、多少はな……」
するとその横に居たのルペン四世の妻
のふみ子ちゃん(ミーア)が、
「でも、それは仕方ないんじゃない?」
とサイキックレディー(アルウェン)に言い返すと、
「でもね、私達が思うように悪魔達が動くとは限ら
ないじゃない」
とふみ子ちゃん(ミーア)に言い返すサイキックレ
ディー(アルウェン)にバルジャン(トム)が頷き
「確かにな……俺のチームで王城に奇襲を掛けた直後に
外に居る魔導騎兵やら怪獣達を王城に呼び戻す……って
ことも考えるかもな」
そのバルジャン(トム)にルペン四世が
サイキックレディー(アルウェン)に聞く。
「じゃ、どうするつもりだ」
その言葉にサイキックレディー(アルウェン)が、聞いて来た
ルペン四世に向かって手で制し、
「ねぇねぇ、ルナさん、魔法で大きな落とし穴作れない?」
とチーム『ガシャーン』のルナ(魔法師)に聞くと、聞かれ
たルナ(魔法師)は、サイキックレディー(アルウェン)は、
「落とし穴?……ってどれくらいの?」
と聞き返すと、サイキックレディー(アルウェン)は、
「大きければ大きいほどいいんだけど、そうね……」
と少し考えて、
「例えば闘技場くらいの大きな落とし穴……」
その言葉に驚き目を見開いたルナ(魔法師)は、サイキック
レディー(アルウェン)に、
「ちょっ、ちょ……それは無理よ!」
と驚きの声をあげる。
それを聞いたサイキックレディー(アルウェン)は、少し
がっかりしたように、
「やっぱ、無理か……」
と言うと、ルナ(魔法師)は当然と言わんばかりに、
「ただ大きな穴を魔法でって言うんなら時間を掛ければ何とか
私でも出来るかもしれないけど……一瞬には無理よ」
と言い返すと、サイキックレディー(アルウェン)は少し考え、
「じゃぁ、大きな穴を作った後、その穴に偽装魔法で……」
と言いかけたが、その言葉を聞いたチーム『ガンブレイブ』
の魔法師ミリーが少しあきれ気味に、
「悪魔に魔法感知使われたら一発でバレるわよ」
とサイキックレディー(アルウェン)に言うと、それを今まで
黙っていた聞いていたガンボー(ガイゼル)が口を開く。
「落とし穴がもし出来るとしたら、どうするつもりだったんだ」
その言葉にサイキックレディー(アルウェン)が、”うん”っと
少し言いにくそうにしながらも、
「いやね、うちのチームとチーム『ガシャーン』で、王都の周り
に居る魔導騎兵やら怪獣達の一部をおびき出してね、その落とし穴
に落として、騒ぎを王城の外でも起こしたら、外に居る魔導騎兵
やら怪獣達が、王城に気が向かないんじゃないかな?って、その
ついでにうちのチームとチーム『ガシャーン』をね、ルペン四世
(カリオストロ)さんのテレポートで、王城の中に送り込んでもら
えば、単にテンタを救出するだけでなく、うまくいったらそこに
居るダリウスも倒せるんじゃないかな~って思ったんだけどね」
と申し訳なさそうに自身の考えを言うと、それを聞いたバルジ
ャン(トム)が、サイキックレディー(アルウェン)に、
「まぁ、確かにいいアイデアだが……肝心の落とし穴が出来ない
んじゃな」
と言いながら、サイキックレディー(アルウェン)の肩に手を置く
のだった。
しかし、それを聞いていたガンボー(ガイゼル)が、
「いや、落とし穴は無理でも、ようはトラップを仕掛ければ
同じことだ」
と言いサイキックレディー(アルウェン)に、
「おかげで俺も一つ思いついたよ」
とお礼を言うと共にチーム『ガシャーン』の2人とチーム『アメ
ヒロ』の3人に向かって言う。
「今からそのトラップを仕掛けに行くからお前達少し手伝ってくれ」
その言葉に嬉しそうに、
「はい♡」
と答えるサイキックレディー(アルウェン)に対しほかのメンバーは、
少し半信半疑で、
「ああ」
「ええ」
「うん?ああ、わかった」
「何をするんだ?」
と返事を返すチーム『ガシャーン』のガシャーン(ブルーノ)に
ルナ(魔法師)そしてチーム『アメヒロ』の光速サンダーマン(エル)
に超人マッスル(バル)に対し、いたガンボー(ガイゼル)は、
「ついてくればわかるよw」
とウインクを返すのだった。
◇
時間は再び進んで、テンタが処刑される朝に戻ります。
ルベン国王都ズムの南にある今は使われなくなった闘技場に
悪特隊西支部の5人が居た。
「準備はいいか」
「はい」
と1人の隊員と話すダン・キャップ。
しばらくすると、王都を覆う障壁が消えた。
そして、天空には、王城でテンタの処刑の模様が映し出された。
「この者の処刑を持って、我完全復活する!!」
とダリウスが高らかに宣言するのを見たダン・キャップが、各隊
員に向け叫ぶ。
「今だ!」
「はい」×4
ダン・キャップの掛け声とともに転送魔法円に魔力を注ぎ込む
ためのレバーを4人の隊員たちが一斉に引いた。
と、
\ピカッ/
と闘技場の立つ地面に転移魔法円が現れたかと思うと、眩い光に
闘技場は包み込まれた次の瞬間。
\パッ/
と巨大な闘技場が跡形もなく消えるのだった。
「よし、我々も撤収するぞ」
とダン・キャップが各隊員に言うと、悪特隊西支部の5人
の面々は、そのまま闘技場北東にある歌劇場に向かうのだっ
た。
◇
一方、その頃王都の南側の東……つまりリック・ショコラ
伯爵が治めるセイユ領側では、沢山の魔導騎兵が一列に並ん
でいた。
ここルベン国王都ズムでは、北にある王城のある大きな湖
の水源を使い、街に水路を整備し、小舟で物資や人を運んで
居るため、道路の幅が他の街に比べ狭くなっている。
せいぜい馬車がすれ違える程度の幅しかなかった。
そのため、身長12mの巨大ロボットとも言える魔導騎兵
は、一列に並ぶしかなかったのだが……。
そこに、水路の底からからゆっくりと顔を出す小型潜水艇
があった。
これは、言わずと知れたチーム『ガシャーン』のガシャーン
(ブルーノ)がブランチ能力で出せるロボット犬の1台の
クレーバーが変形した小型潜水艇である。
その潜水艇には、ルナ(魔法師)が乗っている。
そして、ルナ(魔法師)が小型潜水艇であるクレーバーに
命令する。
「ミサイル一斉発射!」
すると、小型潜水艇の左右に取り付けられたミサイルポット
から、ミサイルが一斉に発射される。
\ボッシュ/、\ボッシュ/、\ボッシュ/、\ボッシュ/
\\ドカーン//、\\ドカーン//、\\ドカーン//
ミサイルが命中した魔導騎兵達は次々に爆発し、倒れて行く
と、ルナ(魔法師)が乗った小型潜水艇は、そのまま水路の
そこに静かに沈む。
それと入れ替わるように、
突然、魔導騎兵達の前に現れるガシャーン(ブルーノ)。
そして、
「流星チョップ!」
と言いながらジャンプして12mもある魔導騎兵の頭を次々に
割ると同時に、
「ブレンダー!」
と3台のロボット犬の内の1台を呼び出し、
「ブレンダーターンク!」
と叫ぶと、
\ワオーン/
とブレンダーが遠吠えで返事をしたかと思うと見る見る姿を変え、
小型タンクに変形すると、
「とう!」
と言いながらそれに乗り、闘技場の方へ逃げ出して行く。
それを見た魔導騎兵達は一斉にガシャーン(ブルーノ)が
乗った小型タンクを追いかけて行くのだった。
◇
方や、王都の南側の西……つまりガマル子爵の治めるバージョレ
ー領側では……。
東側と同じように道に1列に並んでいる魔導騎兵達。
そこへ、突然、身長4mで腕は丸太のように太い体全体が紫の
まさに筋肉お化けのような人間が、道に並ぶ魔導騎兵達に
向って
\ウォー/
と叫びながら正面から突進する。
そして自身の身長の3倍もあろうかと言う魔導騎兵達を次々に
殴り倒して行く。
\バッキーン/、\ドスッ/、\ズドーン/
そして雄たけびを再びあげる\ウォー/。
そんな筋肉お化けに対し、魔導騎兵達が反撃する。
腕から火炎を放つ魔導騎兵や、電撃を放つ魔導騎兵……
はたまた砲弾や手からスパイク付きの鉄球を放つ魔導騎兵。
その直後、
「サイキックリーバース」
と声がしたかと思うと、それらのどの攻撃も放たれた魔導騎兵
に反転し自身の攻撃で魔導騎兵は、次々と
\\ドカーン//、\\ドカーン//、\\ドカーン//
と爆発四散して行く。
そして、その声の主であるサイキックレディー(アルウェン)
は、筋肉お化けに向かって言う。
「行くわよ、マッスル(バル)」
と声を掛けると、その筋肉お化けこと超人マッスル(バル)
は、黙って頷き、サイキックレディー(アルウェン)を肩の上に
乗せ、その場を爆走して去っていくのだった。
当然、それを追いかける魔導騎兵達。
それを超人マッスル(バル)の肩に載りながら振り返り確認
するサイキックレディー(アルウェン)は、
「ウフフ、旨く行ったようネw」
とほほ笑み呟くのだった。




