156話 女王と柱の処刑
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------(テンタ視点)------☆
俺達が居るホワイトキャッスルは、現在、ルベン国の
バージョレー領に向かっている。
それに先んじて ジェラグ(サー)さんは、カリオストロ
(ルペン四世)さんの能力でバージョレー領を治める
ガマル子爵の居城へとレポートで向かっていた。
ホワイトキャッスルがグロルの森を南下して飛んでいると、
ルベン国とグロルの森を隔てるためにある城壁が何百メートル
と破壊されているのが目に留まる。
この破壊された城壁をさらに南下すれば王都だが……。
そこをホワイトキャッスルは素通りして東へと進路を取るの
だった。
ちょうど、ホワイトキャッスルが王都東側の城壁を越え、
バージョレー領に入ったころに、カリオストロ(ルペン四世)
さんだけがホワイトキャッスルに戻って来て、現れるなり、
キャプテンブライに
「ガマル子爵とは話が付いたから、子爵の居城ギャロップ城
の隣に着陸させてくれ」
と言うと、キャプテンブライはホワイトキャッスルの舵を取る
ミラと言う女性に言う。
「進路、ギャロップ城」
その言葉を復唱し、ミラさんは舵を切るのだった。
◇
俺達が居るホワイトキャッスルは、今、ルベン国のバージ
ョレー領の中心にあるガマル子爵の居城ギャロップ城の隣に
待機している。
そして、ジェラグ(サー)さんは、ガマル子爵と話を付けた後、
現在、再び、カリオストロ(ルペン四世)さんと共に彼のテ
レポートで、現在俺達が居るバージョレー領の反対側……、
つまり、王都の東側にあるセイユ領に飛んでいた。
セイユ領の領主であるリック・ショコラ伯爵と対策を話合う
為に。
待っている間に聖クリスタル国CIC情報局所属のソマーズ
・ワグナー(サイバティック・ジェイミー)さんが王都偵察に向
かうと言うので、
「なら、俺のスカイバリアンを貸しますよ」
と声を掛けたが、ソマーズ(ジェイミー)さんは、
「飛んで行ったら目立つから、走って行くわ」
と断られてしまった。
(いやいや、ここからだと何十キロもあるのに)
と思ったが、よくよく考えたら彼女のブランチはサイボーグ。
時速100キロで、長時間走っても疲れないってことを思い出し、
それ以上何も俺は言わなかった。
※「リバース!」
「フェードアウト!」
一旦、ここで元にもどった俺と三毛猫。
すると、
「久しぶりね♪、テンタ君、オトアちゃん」
とアルウェン・メル(サイキックレディー)さんから俺達に声を掛
けて来た。
「ああ、はい、お久しぶりです」
「お久しぶりですアルウェンさん♪」
と俺と三毛猫もそう返事を返すと、
「例の砦以来だわね」
と笑顔で言うので、
「はい」×2
と答えたところで、アルウェン(サイキックレディー)さんの隣に
居たエルフの男性2人の内、1人の男性がアルウェン(サイキック
レディー)さんに言う。
「俺達も紹介してくれよアルウェン」
とアルウェン(サイキックレディー)さんに言うが、もう1人の男性が
いきなり俺の方に近づき、俺の肩に載る三毛猫に話しかけ
る。
「ああ、この子がオトアちゃんだね」
そう言いながら、三毛猫の右前足を掴み上下に振りながら、
親し気に、
「初めまして、俺、エル・ダルですよろしくね♪」
と言うが、急に親し気に自身の前足を掴まれ、驚いた三毛猫
は、俺の肩から飛び降りた。
それを見たアルウェン(サイキックレディー)さんはあきれ顔で、少し怒り
ぎみに、
「ちょっと、エル!!いきなりレディーの手を握るって、何考えてるの
失礼よ!」
と言い放つと、エル・ダルさんは、頭をかきながら
「すまんすまん」
と言う。
すると、床に降りた三毛猫に対し、そっと近寄った別のエルフ
の男の人が、しゃがんで、三毛猫を見ながら、
「初めましてオトアちゃん、俺はバル……バル・サリオンです」
と挨拶してきた。
これに対し、三毛猫は、少し驚きながらも、
「オトアです……よろしく…です」
と答える。
なんかお互いぎこちない挨拶となるが……その後は打ち解けて色々
お話をする。
アルウェン(サイキックレディー)さんと同じ緑髪のエルフの方が、
バル・サリオンさんで、ブランチは、アメリカのヒーローで『超人
マッスル』。
変身すると身長が3mと大きくなると共に体全体が筋肉の固まりっ
て感じになるということだ。
そして、金髪のエルフの方がエル・ダルさんでブランチは『光速サ
ンダーマン』。
変身すると体が電気で構成され、体から放つ強烈な電撃と、光の速
さの移動が出来るらしい。
2人とも前世はアメリカ人で、同時多発テロの時、ビルの下敷きに
なって亡くなり、こちらに転生してきたと言うことだった。
バル・サリオン(超人マッスル)さん、エル・ダル(光速サンンダ
ーマン)さん2人は俺達の馴れ初めってのに興味津々みたいで、
「えっ、お互いそんなに長く片思いだったの!?」
とか、
「えーっ、オトアちゃんのお姉さんに呼び出されて……」
俺と三毛猫を色々質問攻めにし、挙句いちいち
上記のような反応をしてくるので、俺と三毛猫は、
すっかり疲れてしまった。
夜中寝ているのに無理やり起こされたのもあって、俺と三毛猫
は、バル・サリオン(超人マッスル)さん、エル・ダル(光速サンンダ
ーマン)さん2人の質問攻めの後、いつの間にか俺は膝の上に三毛猫
を載せたまま、ウトウトし……。
やがて、ホワイトキャッスルのコントロールルームのソファーで2人共
寝てしまっていたようだった。
◇
”Zzz”
\トントン/
肩を叩かれ……
「んがっ……あっ」
目を覚ます俺。
急に俺が起きるので、膝の上の三毛猫も目を覚ましたようだ。
そんな俺に、アルウェン(サイキックレディー)さんは、俺の顔を覗き込み
「お疲れの所悪いけど、ギャロップ城に移動して会議するってさ」
と笑いながら言われ、俺は
「ああ、はい」
と返事をし、膝の上に載る三毛猫を肩に載せ、ソファーから立ち
上がり、アルウェン(サイキックレディー)さんの後をついてホワイトキャッ
スルのコントロールルームを出るのだった。
◇
ホワイトキャッスルを出て、隣のギャロップ城へと向かう。
ギャロップ城は、外堀と城壁に守られた城で、城正面の跳ね橋から
城の中に入る。
ギャロップ城の中へ入ると、城の衛兵に会議室に案内された。
会議室は、学校の教室の倍ほどの広さに、円形のテーブルがありそこに
それぞれが座るようだ。
会議室の入り口から入り正面の席にはいかにも貴族のお坊ちゃんって
感じの人が座っていた。
この人がジェラグ(サー)さんの学友のガウ・ガマル子爵。
ガマル子爵側から3人、子爵とその側近と騎士団長。
こちらは、 チーム『バンダム』のジェラグ(サー)さんを除く3名と
グロル・アノル(クリスタルマントパーズ)さんに、チーム『ガシャ
ーン』のブルーノ・サルチェ(ガシャーン)さんと魔法師のルナ・
ローレンさん、そして、チーム『アメヒロ』のアルウェン(サイキッ
クレディー)さん、バル・サリオン(超人マッスル)さん、エル・ダル
(光速サンンダーマン)さんの3名にCIC情報局員で、カリオストロ
(ルペン四世)さんの妻のミーア・レム・カリオストロ(ふみ子ちゃ
ん)に加え、俺、三毛猫に犬と言っても、
三毛猫は俺の膝の上で、犬は、床に寝そべっている
んだけどね。
話の内容は、王都に居る悪魔とガレン・ジェラグ元公爵が手にした
であろう巨大魔導騎兵に王城の地下に封印されたであろう数千体の
魔導騎兵……それに王女とエメラルド柱奪還についてだ。
2時間くらい話し合ったか……な。
俺と三毛猫が、ウトウトとした時だった。
「ああ、わかったわ、引き続きよろしくお願いね」
とCIC情報局員で、カリオストロ(ルペン四世)さんの妻のミーア
(ふみ子ちゃん)さんが急にしゃべりだした。
俺と三毛猫は、その声に”ハッ”として目を覚まし、
他の人達は、話合いの中、急に話し出すミーア(ふみ子ちゃん)さん
に注目する中、グロル(クリスタルマントパーズ)さんが、ミーア
(ふみ子ちゃん)さんに問う。
「どうしたミーア……エドガーから念話か?」
その言葉にミーア(ふみ子ちゃん)さんが、
「いえ、ソマーズからです」
とすぐさま否定すると、グロル(クリスタルマントパーズ)さん
は、
「そうか、でソマーズからは何て?」
と聞き返すと、
「王都全体が結界に包まれているため王都に侵入できないそうです」
「そうか、わかった」
ミーア(ふみ子ちゃん)さんの報告にグロル(クリスタルマントパー
ズ)さんが、短くそう答えた。
それを聞いたガマル子爵がボソっと言う。
「王都の様子がわからんと手の打ちようがないか……」
その言葉に、グロル(クリスタルマントパーズ)さんが、
「確かにそうですが、バージョレー領側とセイユ領側で東西で
王都に居る戦力を抑え込めば……」
と言いかけるとそれに対して、ガマル子爵の騎士団長が、かぶせる
ように、
「抑え込むにしても、少々難しいかと、現在我が軍の戦力は騎士団
4千名程度、昼過ぎにはコラクル国側の王の第5騎士団と第6騎
士団が応援に駆けつけてはくれますが、それを合わせても8千で
す、この城に籠城するとしても悪魔や魔導騎兵相手にどこまで
守れるか……疑問です」
と不安を口にする。
そんな時、またしてもミーア(ふみ子ちゃん)さんが、
「うん、わかったわ」
と声を出して返事する。
「今度はエドガーからか?」
すぐさまグロル(クリスタルマントパーズ)さんが聞くと、
「あっ、はい、向こうでの話がまとまったのでサーを連れて
こちらに戻って来るそうです」
とのミーア(ふみ子ちゃん)さんの報告に、
「わかった」
と頷くグロル(クリスタルマントパーズ)さんだった。
◇
カリオストロ(ルペン四世)さんと共にジェラグ(サー)さん
が戻って来て、リック・ショコラ伯爵との話の内容を皆に
説明する。
「ショコラ伯爵側の戦力は直属の騎士6千、それにドウブ国側の
王直属の国境警備兵である第7騎士団、第8騎士団合わせて、
1万の兵とこちらからトパーズ柱にチーム『ガシャーン』を
付け防御に徹してもらうと言うことでショコラ伯爵と話は
ついた」
その言葉を聞いたガマル子爵の騎士団長が、ジェラグ(サー)さん
に食い気味に聞く。
「それで、こちらにはどれくらいそちらから廻してもらえるので
すか?」
その言葉にジェラグ(サー)さんは、”うん”と頷き、
「こっちには我々チーム『バンダム』の4人に我々の居城である
ホワイトキャッスルを当てる、それに……」
と言いかけて俺を見て、
「テンタ、禍龍に手伝ってもらいたいのだが……」
と聞いて来たので、俺が犬に話しかけようとしたら、
\ワン/
と吠えた。
恐らくOKのつもりだろう……なので、
「いけるそうです」
とジェラグ(サー)さんに答えると、ジェラグ(サー)さんは満足そうに
頷く。
「あの~私達は?」
そこへ、手を挙げジェラグ(サー)さんに聞くアルウェン(サイキッ
クレディー)さんに、
「ああ、チーム『アメヒロ』の3人とCICの3人にテンタ達は、
私の妹のアルテイシア(王女)とエメラルド柱救出に当たっても
らう」
と言うと、
「わかりました」
とアルウェン(サイキックレディー)さんが、ジェラグ(サー)さん
に返事を返すので、俺も三毛猫も
「はい」×2
と返事を返すのだった。
◇
「ワハハハ、キャスバル達英雄がこの城を守ってくれるなら
怖いものなしだな」
と上機嫌なガマル子爵。
そんな時、何処からともなく\ボワッ/現れる1羽のカラス。
そのカラスは、くちばしに加えていたビー玉くらいのガラス球を
\コトン/
とテーブルの上に落とすと、そのまままたもや\ボワッ/と姿を
消した。
皆が驚く中、テーブルの上に落ちたビー玉くらいのガラス玉は、
見る見る水晶玉くらいの大きさになったかと思うと、そこから
立体映像を映し出した。
その映像には、白いゴリラと共に、映し出されるアルテイシア
女王と、ブロンズ化して固まるガレン(クリスタルマンエメラルド)
さんの姿が映し出されていた。
「アルテイシア!」
「兄さん!」
驚き思わず叫ぶジェラグ(サー)さんとグロル(クリスタルマントパ
ーズ)さん。
そして映像の中の白いゴリラは言う。
「我が名はダックル、悪魔公爵ヤブー様配下のベビルデーモンだ」
と自己紹介した後に、
「端的にこちらの要求を伝える3日後に王女とクリスタルマンエメ
ラルドの2人を処刑する」
その言葉に、
「何だと!」×2
と思わず叫んでしまうジェラグ(サー)さんとグロル(クリスタルマ
ントパーズ)さん。
それをあたかも笑うようにダックル(白いゴリラ)は言う。
「それが嫌なら、そこにおる日向天太と猫をこちらに
渡すことだ……いいか期限は3日かだ、3日だぞ、ウハハハハ」
と言い残すと映像は途切れるのだった。
※5月18日追加




