151話 ため息をつくシェリー
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------(テンタ視点)------☆
準備をするので、しばらく部屋で待っててほしいと執事長
のギャリソンさんと、メイド長のビューティーさんに言われ、
取り合えずメイドさんに案内され2階の客室に向かう。
2階にある客室は、100ある中の1つに向かうが……。
長い廊下をひたすら歩き、・やまびこの間・はやぶさの間
・かがやきの間・はくたかの間……
でたどり着いたのが、光の間。
ここが俺達の部屋らしい。
部屋に入ると、そこはヴァルカス邸とほぼ同じ広さと作りの部屋
で、少し安心をする俺と三毛猫。
ここで、待っている間に、通常の服に着替えておいてほしいと
言われたので、俺は来ているフロッグコートを脱ぎ、通常の赤の革
ジャン姿に着替えて、20分ほど部屋で待っていると……。
\コンコン/
と俺達の部屋をノックする音に、
「「どうぞ~」」
と俺と三毛猫が、返事をすると、
「失礼いたします」
\ガチャ/
と1人のメイドさんが入って来て、
「ご準備出来ました、ご案内いたします」
と言うので、そのメイドさんに俺と三毛猫と犬が付いて
部屋を出る。
部屋を出て、長い廊下を玄関と反対側に進み、突き当りの階段
を1階へ降りる。
階段を下りたところにある扉から庭に出た。
そこは、広い庭……と言うより、デカイ公園って感じだ。
「広いね~テンタ君」
「うん、庭って言うより、広い公園だな」
「そうね」
と三毛猫とそんな会話を交わしながら、メイドさんの
後を着いて行き、その広い庭の端にある井戸へとたどり着く。
「お待ち申し上げておりました」
そこには、商人姿のギャリソンさんが居た。
(あら、その恰好は?……)
と俺が心に疑問を抱くが、そんなことをお構いなしにギャリソン
さんは、持っていた縄はしごを井戸の中に”スルスル”と落とすと、
「では、参りましょう、ついてきてくださいませ」
と言い残すと井戸の中に降りて行った。
(えっ……ここ降りるの!?)
と思いつつ、俺は肩に載せた三毛猫を左腕で抱いて
降りようとするが……。
なかなかうまく降りれない……と、
「私自分で降りれるからw」
と三毛猫が言い、首のチャームから、
「サーフボード」
と言って、空飛ぶサーフボードを出し、俺の左腕から
飛び出し、サーフボードに飛び移ると、そのまま
ゆっくり井戸の中に降りて行った。
それを見ていた犬が、突然、
\ワン/
と吠えたかと思うと、そのまま井戸の中へダイビング!
「えっ、おい!……」
俺は縄梯子につかまりながらそう叫ぶが……。
犬は念力で自身を”ふわふわ”浮かせながら
三毛猫同様、ゆっくりと井戸の中に降りて行った。
(んーっ、2人とも便利だね)
と思いつつ、俺はゆっくり縄はしごを降りるのだった。
◇
井戸の底に着くと、目の前には、松明を持ったギャリソンさん
が居て……と同時に横穴が見えた。
「こちらへ」
と松明を持ったギャリソンさんに付き添われ、横穴を移動する。
じめじめとした通路……それに薄暗い。
200mほど歩いた先に、上からの光が射すのが見えた。
ギャリソンさんは持っていた松明の火を消す。
そこにはすでに上から縄はしごが降ろしてあった。
「では、上に参りましょう」
とギャリソンさんは俺達に言うと、自ら先にその縄はしごを
登り始める。
それに続いて俺がはしごを登る側で、三毛猫と犬は、
”ふわふわ”と上昇して行くのだった。
(うーん、登るの俺だけ?)
◇
竪穴を登ると、そこは馬車小屋のような所。
1台の馬車が、2頭の馬を繋いだ状態でそこにあった。
ギャリソンさんの説明によると、俺達が通って来たのは、
所謂抜け穴と言うか、いざと言う時に屋敷の主を逃がすための秘密通路
だそうで、これ以外に6つも屋敷の中にはあるんだとか。
今、俺達が居るのは、屋敷の東側にある屋敷の使用人の長屋がある
場所だそうで、ここには、屋敷に使える執事やメイド以外の使用人、
例えば、庭師や、馬の世話係、馬車の御者などが住んでいるそうで、
その長屋で必要な物資を運ぶための馬車小屋の一つだそうだ。
「荷馬車故、少々乗り心地が悪うございますが、どうぞこれに」
とギャリソンさんが俺達に断りを入れ俺達に馬車に乗るように促した。
俺達が馬車に乗るのを確認すると、ギャリソンさんは、
「では、参ります」
と継げ、荷馬車を発車させるのだった。
ここ王都ロンデの商業地域を目指す馬車。
貴族のお屋敷街から馬車で20分程度離れた王都で一番賑やかな場所
らしい。
ギャリソンさんは馬車を馬車留めに預け、俺達は商業施設にギャリ
ソンさんさん案内のもと、街の中を散策する。
ここバーン王国では、アクア・ウィタエ(ウイスキー)と言うお酒が
有名らしく、特にスカイラーク公爵家が治める領地コッチーで作られる
お酒は”コッチー”と言われて大変評判なのだとか。
それを聞いて、俺と三毛猫が、
「それをお土産にしようw」
って事で意見が一致したので、ギャリソンさん案内のもと、アクア・
ウィタエ(ウイスキー)の中でも良質とされる”コッチー”を買いに
酒屋さんに向かう。
と言っても前回同様お酒のことはまるで分らない俺と三毛猫
なので、ギャリソンさんのお勧めを聞き、それを何本か購入する。
しかし、お酒だけだと、それが飲めないシェリーさんやタミーさんが
拗ねると思い、
「何か良いお土産はありませんか?」
と聞くと、ギャリソンさんは、懐から懐中時計を出し、時間を確認すると、
「ちょうど、ティータイムのお時間の様ですので、お茶を飲むついでに
それらも購入されてはどうでしょう」
と提案された。
「そうね、丁度いいんじゃないw」
ギャリソンさんの提案に賛同する三毛猫の言葉を聞いて、
俺も賛同……と言うことで、皆で喫茶店に入った。
皆でミルクティー……いや、三毛猫によるとこれはロイ
ヤルミルクティーとのことだが……。
それと、お茶受けに、三毛猫が、【トライフル】って言う
カスタードやスポンジケーキ、フルーツなどを器の中で重ねて作るデザートで、
俺と犬が、【クランペット】見た目、でこぼこのホットケーキっ
て感じのケーキ!?かな、イーストとベーキングパウダーが材料に使われて
いるため、生地の表面にぽこぽこと穴が開いているのが特徴なのだそうだが、
それに、【キャロットケーキ】しっとりとしながらも重くなく、ニンジンの
ケーキなのにそのニンジンがことのほか甘い。
これらを食べている時、三毛猫が、ふと言う。
「このスイーツ達は、ひょっとしてイギリスの……」
と言いかけると、ギャリソンさんが笑顔で頷き、
「はい、2~30年前の転生者が広めたものですよ」
と言う。
それを聞いて俺は、
(えっ、ここでも転生者が広めた物が異世界での名物になってんだ)
と思うのだった。
◇
先ほどお茶うけに食べたスイーツ達をお土産に買い。
夕方、スカイラーク公爵家御用達のレストランへと向かうのだが……。
「えっ、こんな高級のレストランに!?」
その高級そうなレストランの店構えを見て、俺が驚き声をあげるが、
「大丈夫ですよ」
とにっこり笑い、驚く俺にギャリソンさんは言うが……。
「でも、僕達こんなかっこうですよ大丈夫ですか」
と聞き返すと、
「大丈夫ですよ、今日はこの店は貸きりですからw」
と言われた。
(うーん、貸し切りだからこそダメなんじゃ……)
と心配したが、店に入ると支配人風の男の人が、
笑顔で出迎え、俺達を店の中央のテーブルへと案内してくれた。
料理は所謂、コース料理だったが……。
中でも圧巻だったのが、メインの七面鳥の丸焼き。
大きな七面鳥のお腹に野菜を詰めてそれを丸焼きにしたものだった。
それも1人1羽丸々だ。
俺と、三毛猫が、四苦八苦しながら食べる中、唯一
犬は、それを一飲みで食した。
(お前ね……まぁ、いいか)
◇
夕食後、今度は今バーン王国王都ロンデで3年間もロングラン公演を
続けているとういうお芝居を見に行くことになった。
そのお芝居のタイトルは『銀色の天使』と言うお芝居なのだが……。
これは、何のこともないスカイラーク(アロム)さん初めとするチーム
『バンダム』の面々が以前の大戦(西方大戦)での活躍をお芝居にした
物だった。
スカイラーク(アロム)さん達がが変身する姿。
つまり、バンダム(アロム)、Bファイター(スレンダー)、ザムカス
タム(サー)、陸戦型白兵戦用ダム(ダンバ)さんの姿を着ぐるみ
……と言っても高さ3mはあるが、ギャリソンさんの話だと、
高下駄を履いてるそうだが、それで戦闘シーンなどをを見せてくれるのだが、
一見、昭和の特撮レベルかと思ってみたが、確かに着ぐるみの出来は、
そんなものだが、威力を抑えた魔法を駆使し、ビームライフルのビーム
やビームソードのビームを演出するするだけでなく、バズーカや、ライフル
弾の発射時の爆炎や攻撃が当たった時の爆発なども威力を抑えた爆発魔法
を使っており、また、戦闘シーンやそれ以外のシーンにもアニメ『機動戦記
バンダム』のBGMを舞台下のオケボックスでシーンに合せ生演奏する。
なかなかの演出。
(ロングラン公演も頷ける)
と俺は思うほどだ。
そして観劇の後、俺達はスカイラーク邸に戻り、1日目を終えるのだった。
◇
-----(第三者視点)------☆
一方、ここ北支部とアルセダイン王国(エルフの国)を結ぶ街道では……。
「シルバーバスター!」
「パープルバスター!」
「イエローバスター!」
バルジャン(トム)、シェリー、タミー達チーム『ガンブレイブ』の3人が、
街道に出るゴースト達と戦っていた。
”ビシューン”
\パッ/
ビームを当てるたびにゴースト達は一瞬にして消えるが……。
「ああ~ん、キリがないよ」
シェリーがそうぼやくと同時に、得物をビームガンからビームビュート(鞭)
に変え、
「パープルウイップ!」
\ビシッ/、\パシッ/
と一度に2~3体のゴーストを攻撃して、\パッ/とゴーストを消すが、
ゴースト達は消されても消されても、次々に別のゴーストが現れる。
3人はゴースト相手にもうかれこれ3時間も戦闘を続けていたのだった。
「パパ~ァ、これじゃキリがないよ~」
と隣に居る自身の父バルジャン(トム)にぼやくシェリー。
「確かに、このままじゃちーときついな」
「シルバーバスター!」
”ビシューン”
\パッ/
とビームガンを撃ちながらそうシェリー達に言うと、徐に自身の
ブランチスキルを発動した。
彼のブランチスキルは『ゲームチェンジャー』と言って、自分が不利な
状況から逆転できると言う能力だ。
彼がそれを発動すると、頭の中に何かを感じた。
そして感じるままに自身の視界をそこに向けると……。
街道の右側の崖の一部が崩れ、洞窟……と言うほどではないが、
人1人が、かろうじては入れそうな穴を見つける。
すると、そこからゴースト達が現れているのに気づき、ゴースト達と
戦っているシェリーとタミーに言う。
「ビームガンを合わせろ!」
その言葉にシェリーとタミーがすぐさま反応し、
「トリプルバスター!」
と言うバルジャン(トム)の叫びに合せ3人同時で、その穴を撃つ。
”ビシューン”
そして、3色のビームが同時に崖に開いた穴に吸い込まれると……。
\ビカーッ/
とその穴が光ると同時に、辺り一面に居たゴースト達が一斉に
\パッ/
と消えたのだった。
「あっ」
「やったー」
シェリー、タミーが喜ぶとそれに頷き、
「ああ、やったな」
と言うバルジャン(トム)だった。
その後、3人で、その穴を確認すると……。
その穴には無数のミイラが安置されて、それを見たタミーが
「ここはお墓……だったの」
とバルジャン(トム)に聞くと、バルジャン(トム)は
「ああ、おそらく……それも何千年前かの墓だな」
と答えた。
その後、馬車を引く、ケンタウロスのレツとダイもこの場に
呼び、5人で丁寧にその崖に開いた穴を埋めるのだった。
そして、翌日ギルドの北支部に戻って支部長の冒険者
チーム『シスタームーン』のリーダーで、のミンス
(シスタームーン)にゴーストの討伐の報告をすると、
ミンス(シスタームーン)は、報告に来た3人に向かって、
「ご苦労様でしたw……で、これね」
と言って1枚のクエストの書かれた紙を渡す。
「んっ?なんだこれは……」
渡された紙を見て、バルジャン(トム)は、ミンス(シス
タームーン)に聞く。
「なんだこれって……次のクエストに決まっているでしょ」
と言い返され、バルジャン(トム)は、困惑しながら、ミンス
(シスタームーン)に言う。
「おいおい、待て待て、今日帰ったばっかりだぞ、それに
ここ4日連続でクエストをさせられてるんだ、ちょっとは
休ませろよ」
と言うと、ミンス(シスタームーン)は涼しい顔でバルジャン
(トム)に言い返す。
「なに言ってんのよ、こちとらあなた達に5百万クリスタル
(約1億円)を自腹で払うんだから、その金額分働いてもら
わないとねぇ」
と言い切ったそれを聞いて、
「なっ、……」
「あっ……」
と絶句するバルジャン(トム)と娘のタミー。
そしてタミーの姉のシェリーは、
「こんなんだったら、テンタ君達に付いて行くんだったわ」
とため息をつくのだった。




