123話 サプライズ!?
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------(テンタ視点)------☆
動きたくないと言う禍龍を何とか宥め、
夕暮れの空をスクワナ村の巻貝の家を目指し、チャッピー
(キャットピープル)さんをスカイバリアンの後ろに載せ
た俺は進んでいると、スクワナ村の巻貝の家が見えてきた。
「あれ?何してるんだろう」
俺は、巻貝の家の外でテーブルを出し、料理を並べる
チーム『ナル』のマカナ(マリーナ)さんや、ナイア(トリン)
さんそれに、チーム『ポテンツァ』のレオン(獅子族)さん
ジョージ(虎族)さん加え、何か見覚えがある2人を見つける。
「あれ?なんでシェリーさんとタミーさんがここに居るんだ」
と俺が言うと、俺の後ろに居たチャッピー(キャットピープル)
さんが、”クスクス”と笑った。
「どうしたんですかチャッピーさん?」
と俺が不思議そうに尋ねると、チャッピー(キャットピープル)
さんは、
「いえ、何でもないですよw」
と少し笑いをこらえながら言う。
(なんだろう?)
俺はそう思っていると、俺の隣を飛んでいる禍龍が、
鼻を”クンクン”させ、
≪なんかいい匂いがするw≫
と言って、俺を置いて一目散に巻貝の家に向かい、地上付近で
犬の姿に変わり、口を”はぁはぁ”させ尻尾をブンブン振りながら、
側に居たナイア(トリン)さんに思い切り愛想を振りまくのだった。
(おいおい、お前さっきまでもう喰えねぇ~って言ってなかったか?)
「あら、禍龍帰って来たの?」
とナイア(トリン)さん愛想を振りまく禍龍を見つけた
シェリーさんが言うと、それにタミーさんも反応し、2人はそのまま
上空に目を移し、自分達に向かってくる俺を見つけ手を振り、
「テンタ君~、オトアちゃん~おかえりw」×2
と2人声をそろえ叫ぶ。
それを見た俺も手を振りながら、シェリーさん、タミーさんの元に
スカイバリアンを着地させ、後ろのチャッピー(キャットピープル)
さんを下してから、2人のもとに駆け寄り、
「えっ、どうして2人が……ってかトムさん達は?」
と聞くと、その言葉に、シェリーさんが
「ああ、パ・いやお父さんはまだ、元気になったとは言え、体力が
回復していないから、病院にいて、ママはその付き添いでまだ
病院に居るわ」
と俺に言うので、
「ああ、そうなんですか……で、何で2人はこっちに?」
と聞き返すと、タミーさんが、
「その前にコンバットスーツ解除しなよ」
と言われたので俺は素直に”ああ”って感じで頷いて、
「フェードアウト」
「リバース」
三毛猫と分離し、コンバットスーツを解除する。
すると、
「オトアちゃんこっちよw」
俺と分離した三毛猫をタミーさんが抱え、
「テンタ君ここに座って」
と、テーブルの正面の席へ俺をシェリーさんが案内する。
俺は言われるままテーブルの正面の席に座り、座った
俺の膝にタミーさんが三毛猫を置く。
(なんなんだ?)
と思い再び俺はシェリーさんに聞く。
「何なんですか?」
が、聞かれたシェリーさんはただ、
「いいから、いいから」
とほほ笑みながら言うだけだった。
◇
しばらくして、テーブルに料理が並び終わると、シェリーさんが
音頭を取り席に着いた全員で”クラッカー”的なものをそれぞれ手
に取り、
\\パァ~ン//☆彡
と一斉に鳴らすと、
「テンタ君、オトアちゃんお誕生日おめでとうw」×9
と全員で合唱された。
(あっ!)×2
俺と三毛猫はそれを聞いてお互いの顔を見つめあった。
そうなのである、今日9月12日は俺と三毛猫の誕生日。
いや、お互い忘れていたわけではない、ってかここに来るまでは
むしろお互いが意識してはいた……が!トムさんの行方不明事件が
あり、その後のバタバタですっかり抜けていた。
そんな俺達にチーム『ナル』のマカナ(マリーナ)さんが、
俺達に
「恋人同士で、同じ誕生日ってすごい偶然ねw」
と言うので、俺と三毛猫が照れて”いや~”って顔を
したら、すかさず同じチームのナイア(トリン)さんがすかさず、
「本当、2人はまさしく運命の人と巡り会えたのねw」
と俺達に微笑みながら言う。
その言葉に俺と、三毛猫が、お互いの顔を見合わせて、
”ポ”っと顔を赤らめると、”ヒュー、ヒュー”とタミーさんが
俺達をからかう。
(やめて~恥ずかしいから)
あまりに恥ずかしいので、話題を変えるべくチーム『ナル』の
マカナ(マリーナ)さんに話題を振る。
「あの~チーム『シエロ』のケインさん(鷹族)達が見当たりませ
んが……」
すると、マカナ(マリーナ)さんは、
「ああ、ケイン達はテンタ君達が出かけた後、南支部長の命令
で、今南支部の後片付けに行っているわ、ああそうそう、ケイン達
がテンタ君とオトアちゃんにおめでとうと伝えといてくださいっ
て言ってたわ」
その言葉を聞いて、俺が”ああ”って顔していたら、タミーさんが
俺と三毛猫に向かって言う。
「さぁさ、そんなことより」
と言ってタミーさんが後ろを振り向くと、巨大な2段重ねのケーキ
を慎重にワゴンで運んでくるチーム『ポテンツァ』の剣士のレオン
(獅子族)さんと、ジョージ(虎族)さん。
(ナニなに何……ウエディングケーキ!?)
あまりのケーキの大きさに驚く俺。
そして俺と三毛猫の目の前までケーキを運んできたところで、
再びシェリーさんの音頭で”Happy birthday”の歌を皆が合唱
すると共に、手に手に飲み物が入ったグラスを持ち、皆で乾杯した後、
タミーさんが俺と三毛猫に声を掛ける。
「さぁ、2人共蝋燭の火を消してw」
17本立っている蝋燭の火を消すよう俺と三毛猫に促すので、
俺は三毛猫を抱え、蝋燭付近まで顔を近づけ、
「せーの」
”ふー”
と2人で蝋燭の火を消すと、皆から一斉に\\パチパチパチ//
と拍手された。
「このケーキと、テーブルの料理はアナ(ガイゼル妻)さんが
2人のために作ってくれたのよw」
と言われ、改めて、テーブルの料理を見ると、主にカザード国
のお祝いの料理が並ぶが、中には『喫茶ゴン』のメニューである、
ナポリタンやカレーも並んでいた。
「いただきます」×2
俺と三毛猫は手を合わせ、アナ(ガイゼル妻)の作っ
てくれた料理を順番に取り、ホークに刺した肉などを三毛猫に
食べさせながら、俺も食事をする中、ふと、ナイア(トリン)
さんの席の方を見ると、ナイア(トリン)さんに料理を食べさせ
てもらう犬と目が合ったので、
≪お前、お腹いっぱいって言ってなかったか?≫
と念話で聞くと、
≪人間の食べ物は別腹だw≫
と言う。
(……お前ねぇ)
と少し呆れる俺だった。
◇
「はい、これは、お父さんからで、これがママから」
とシェリーさんが、トムさんとミリーさんからの俺と三毛猫
のプレゼントを渡してくれた。
見ると、トムさんから俺には”眼鏡”で、三毛猫のは
小さい小槌型のチャーム(首輪飾り)。
シェリーさんの説明によると、俺宛ての”眼鏡”は、
『翻訳眼鏡』だそうで、今耳に着けている言葉を翻訳する
翻訳機と同様このイディアの言葉を翻訳するもので、”眼鏡”
と言うことで、”文字”を翻訳するものらしい。
(なるほど、これがあればここイディアの文字が読めると
いうものか)
そして、三毛猫のチャームは、俺達冒険者が持つ小槌
同様に物を収納するためのものらしい。
ただし、小型なので、お金の両替機構がなく、物も3つ
しか収納できないらしいが……。
さっそく、、三毛猫の首に着けてる念話の数珠に
俺がつけてやる。
続いて、ミリーさんのプレゼントは、俺には手編みの
白いマフラーで、三毛猫には、手編みの頭からすっぽり
かぶれるフード付き白い服。
ちゃんと尻尾も出せるようになっている。
これから迎える冬の季節に寒さを防げる代物になていた。
そして、今度はタミーさんから、
「これは私達からw」
と渡されたのが、俺と、三毛猫用のパジャマ。
俺用は、シルクっぽい素材の上下のパジャマで、三毛猫
のは……。
(おお)
ライオンを模した着ぐるみパジャマ。
早速着せてみると……。
「かわいいw」
「うふ、似合うわよオトアちゃん」
「いいじゃないオトアちゃん」
あまりの可愛さに俺とシャリーさん、タミーさんがそう声を
あげると、三毛猫も照れながらも、まんざら
でもない顔をする。
「ありがとうございます」×2
と俺と三毛猫がお礼を言うと、
「次はガイゼルおじさんの分」
とシェリーさんが言って、俺達に手渡してきたのが、
俺には『銀色の☆型手裏剣』で、三毛猫には、
「うん?…」
小さなサーフボードだった。
俺の手裏剣は、今まで使っていた☆型手裏剣とは違い、
対悪魔用の手裏剣だそうで、例のチーム『デビライザー』の
ザマタン(エディー)さん達が使う悪魔核を破壊できる波動
が出るレイピア同様、この手裏剣が刺さると、悪魔核を破壊
する波動が出ると言うものらしい。
これが、予備を含めて12枚あった。
そして、三毛猫用の小さいサーフボードは……。
「オトアちゃんちょっと乗ってみてw」
とタミーさんが三毛猫に声を掛けると、俺の膝の上から、
三毛猫をそっと持ち上げ、そのサーフボードの上に
そっと乗せると……。
「うわぁ~!」
三毛猫がそう声をあげると同時に小型のサーフボード
が浮き上がった。
「オトアちゃんイメージしてw」
シェリーさんの言葉に三毛猫がなにやらイメージすると
”ビユーン”=======
と勢いよく空中を飛び回る。
その様子に、他の人々も、\\オー!//と歓声をあげた。
始めはおっかなびっくりだった三毛猫も次第にコントロール
に慣れて行き、\\キャッキャ、キャッキャ//と喜びながら飛ぶの
だった。
◇
「ところで、ガイゼルさん達は今どうしてるのですか?」
と俺がシェリーさんに尋ねると、
「ああ、ガイゼルおじさんは、今カザード国に行ってるわ」
その言葉に、俺が
「えっ、カザード国にですか?」
聞き直すと、そこへタミーさんが会話に入って来て、
「なんでも、ガイゼルおじさんの叔父さんの 鍛冶屋 ガウ
に聖クリスタル教会から対悪魔用の武器が大量に発注されて
……」
とそこまで話した時、今度はシャリーさんが、
「教会だけでなく、あの西支部の支部長チーム
『バンダム』からも巨大ロボ用の武器も発注されててね、今
天手古舞だと言うんで、ガイゼルおじさんのお父さんと息子さん
が営んでいる工房クルーフも手伝いに駆り出されていて、それで
も……って言うんで、ガイゼルさんもそっちに手伝いに行って
いるらしいのよ」
話に割り込んできた。
(なるほど……)
そして、シェリーさんがさらに付け加える。
「アナ(ガイゼル妻)とマネージャーのヴィクセンさんは、
喫茶ゴンで手いっぱいだったんで、代わりに私達がここに
来たわけw」
と説明してくれた。
そんな説明を聞いていると、チーム『ナル』のマカナ
(マリーナ)さんや、ナイア(トリン)が、そこへ現れ、
「これは、私達からw」
とマカナ(マリーナ)さんが言うとプレゼントを渡された。
俺用は、『遠目の目薬』、三毛猫用は、カラーチェンジャー。
『遠目の目薬』は言うまでもなく、指すと望遠鏡のように遠くを
見るのに使う目薬。
(んーっ、俺のコンバットスーツに同じ機能があるからいら
ないかな)
なぁ~って思いながらも、にこやかに
「ありがとうございますw」
とお礼を言う俺。
三毛猫用のカラーチェンジャーは、イメージしながら瓶に
入っている液体を振りかけると、そのイメージの色に髪の毛を染め
られると言うもの。
(オトアの場合全身の毛色を変えれると言う訳か……)
「ありがとうございますw」
受取った三毛猫もにこやかにお礼を言う。
そこに、チーム『ポテンツァ』の剣士のレオン(獅子族)さんと、
ジョージ(虎族)さんに、魔法師のチャッピー(キャットピープル)
さんが、現れ
「私達からはこれw」
と渡された。
俺用には……!?
「木刀と、防具!?」
俺が見て固まっていると、笑いながらレオン(獅子族)さんが、
「これなら、俺が打ち込んでも痛くないだろうw」
とこれからも俺に剣術の稽古をつける気満々で言われた。
そして、三毛猫用と言うか俺達2人分のバスタオル俺が赤で
、三毛猫が白。
(これは、助かる)
なんせ、元居た世界と違い、この世界では物は基本手作りなので
大量生産されていない、ゆえに必然的に武器、防具だけでなく日用品
に至るまで、少々お高めなのだ。
「ありがとうございます」×2
と俺と三毛猫がお礼を言うと、少し恐縮気味にチャッピー
(キャットピープル)さんが言う。
「本当は、もっといいものを……って思ってたんだけどね」
「いえいえ、十分ですよ」
俺は恐縮するチャッピー(キャットピープル)さんにそう返すが、
チャッピー(キャットピープル)さんの話によると、俺達が出掛
けた後、シェリーさんとタミーさんが現れ、転生者式の俺達の
お誕生会を開くと聞き、それにはプレゼントが必要だとチーム
『ナル』のマカナ(マリーナ)さんに言われ慌てて、彼女達の
能力で海を渡りネシア王国にプレゼントを探しに行ったのだが、
その途中急にルビー柱が現れ、連れ
ていかれらしい。
なので、その時目の前にあったバスタオルを買うのが精いっぱ
いだったそうだ。
因みに、木刀と防具は、レオン(獅子族)さんと、ジョージ
(虎族)さんが、近くに木材を買いに行き、手作りしてくれた
そうだ。
そんな話をしていたら、我がチームのケンタウロス2名が現れ、
罰悪そうに頭をかきながらレツさんが、
「あの~あっし達とヴィクセンからのはこれなんですがねぇ」
と言いながら出してきたのは2枚の券。
1つは、レツさん、ダイさんからの券で、『一日運転手券』
つまり、1日俺達のために馬車を引いてくれるのだそうだ。
(これは、オトアとのデートに使えるじゃないかw)
と内心喜ぶ俺。
そして、ヴィクセンさんの方は、『一日メイド券』
つまり、1日俺達のお世話を焼いてくれる券と言うことだ。
(いや、これも、これでうれしい)
って心で思いながら、俺と三毛猫は、満面の笑みで
「ありがとうw」×2
とお礼を言うと、レツさんとダイさんは”ほっ”とした表情を
浮かべるのだった。
9月12日は、昔好きだった女の子の誕生日です。




