115話 MARKⅢ
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------(テンタ視点)------☆
「ヤー!」
と俺がジョージ(虎族)さんの胸に突きを繰り出すと、
「とう!」
\カチン/
と俺が突き出した木刀を自身の木刀で叩くとそのまま
ジャンプして、俺の頭上で1回転し、俺の背後に回り込み、
「とう!」
と俺の頭上に木刀を振り下ろすが……。
俺の頭ギリギリで寸止めしてくれる。
「それまで!勝者ジョージ(虎族)殿」
とここで刀さんが宣言する。
「ふぅ~」
(寸止めしてくれた助かった)
ジョージ(虎族)さんは、先のレオン(獅子族)さんと違い
決して俺に攻撃を当てない。
全て、寸止めで止めてくれるので、今の所俺は怪我はない。
それに昼食後、かれこれ1時間お手合わせをしてもらっているが、
俺を相手にアクロバティックな動きを繰り返すジョージ(虎族)
さんにバテてる様子は見られない。
(獣人の人ってタフなんだね)
「もう一丁いこうテンタ殿」
と言うジョージ(虎族)さんだが、俺は内心
(えーまだやるの!)
って思ってはいるものの、
「ハァハァ……、はい、お願いします」
と真逆な答えを返したが……。
そこへ、魔法師のチャッピー(キャットピープル)さんが、
「もうその辺で休憩にしたらw」
とジョージ(虎族)さんに声を掛けると、”えっ”って顔で
魔法師のチャッピー(キャットピープル)さんの方を見て、
「えっ、体が丁度ほぐれたと言うのに」
と文句をつけるが、
「あなたは、大丈夫でもテンタ君は、大丈夫ではないわよ」
と言い返されると、
「えっ、そうなのか?テンタ殿」
と俺に聞いてくる。
内心(休憩しようよ)とは思っていたが、
「えっ、はい、あっーまだいけます」
と答えてしまった。
その俺の言葉を聞いたジョージ(虎族)さんは、魔法師の
チャッピー(キャットピープル)さんの方を見て、
”ほら”って顔をするが、魔法師のチャッピー(キャット
ピープル)さんは、少しあきれ顔でジョージ(虎族)さん
に言う。
「何言ってんのよ、テンタ君の顔を見てごらんなさい、
息も切れ切れだし、汗も噴き出してるじゃない」
と言いかえされ、俺の顔をまじまじと見て、納得したのか
「では、休憩しましょう」
と言ってくれた。
(ふぅ~助かった)
近くの地面に座ると、チャッピー(キャットピープル)さん
が俺にタオルと、水の入った木のコップを渡してくれる。
「はい、これ飲んでw」
同様にジョージ(虎族)さんに木のコップを渡す。
「はいwジョージ」
「おお、すまん」
ジョージ(虎族)さんは汗一つかいていないのでタオルは
ないようだ。
ゴクゴクとコップの水を飲むジョージ(虎族)さん。
俺もタオルで顔の汗を拭いてから、コップの水をいただくと、
”ゴクリ”と飲んで……
(うっ、冷たい)
俺がコップの水の冷たさに驚くと、チャッピー(キャットピ
ープル)さんは、ニッコリ笑って俺に言う。
「それ、魔法でよく冷やしといたからw」
それを聞いて、
「ありがとうございます、おいしいですw」
と俺がチャッピー(キャットピープル)さんにお礼を言い、
コップの水をゴクゴクと一気に飲み干し、
「プッハーw」
と一息ついた時だった。
俺の目の前に赤い光が現れる。
「んっ?」
現れたとも持ったら、そこには等身大のクリスタルマンルービー
が立っていた。
「テンタ君話がある」
現れるや否やそう言う柱に俺は思わず、
「はぃ~!?」
と疑問形で返えしてしまうのだった。
◇
2階のダイニングルームにみんなが集まり、そこで柱の話を聞いた。
柱は、変身を解き、今は人間の姿。
頭に赤いバンダナを巻き、風体は昔の海賊っぽい衣装だ。
不思議に思い本人に聞いてみると、柱の仕事以外に各地で海運業を営んでいるから
だと言われた。
柱もといカラン・アノルさん、の話では、冒険者ギルド
及びクリスタル教会の南支部が謎の空飛ぶ島に攻撃されて壊滅をしたそうだ。
その事実に、そこに居た全員が動揺する。
動揺する俺達にカラン(クリスタルマンルビー)さんが
「幸い冒険者ギルド及びクリスタル教会の南支部居た人達は、
教会とギルドの地下施設に避難して無事だ」
と言うと、それを聞いた俺達は皆安堵する。
俺達が安堵した顔を見たカラン(クリスタルマンルビー)さんは、続けて言う。
「が、しかし、その後、壊された南支部の瓦礫近くに悪魔からの手紙が
あってね、その手紙にはこう書かれていた」
と俺達の顔を見渡しながら言うと、チーム『デビライザー』のリーダー
のエディー(ザマタン)さんが聞く、
「なんて書いてあったんですか?」
その質問に頷いたカラン(クリスタルマンルビー)さんは、
「うん、そこには、テンタ君とオトアちゃんをこの空中砦ラブーに
連れてこいと……」
「な・なんですって!」
と言い、驚き大きな声を出すマヤ(デーモンレディー)さんに、チーム
『デビライザー』のリーダーのエディー(ザマタン)さんが、
「まぁ、まぁ」
と言いながら落ち着かせて、カラン(クリスタルマンルビー)さんに
「失礼しました、続きをお願します柱」
と言うと、カラン(クリスタルマンルビー)さんはそれに頷き話を続ける。
「さもないと、デンスアーラ共和国の王都ベスティアの街をこの
南支部と同じように瓦礫の山にすると……」
それを聞いたチーム『ポテンツァ』のリーダーのレオン(獅子族)
さんが席から立ち上がり、
「何だって!王都を瓦礫の山にするってか!」
興奮気味に言い、それに加えて、チーム『シエロ』のリーダーで
鷹族のケインさんが、
「こうしちゃおれん、お前らすぐに王都に向かうぞ!」
と仲間のコンドル族のジョンさん、梟族のリュークさんに
燕族のジーンさんそして、紅一点の白鳥族のジェーンさんに
声を掛け、声を掛けられたチーム『シエロ』のメンバー全員
が頷き、席を立とうとした時だった。
チーム『デビライザー』一人、ジェシー(イマタン)さんが
「ちょっと待ちなさい、確か悪特隊南支部には空からの敵を
迎撃出来る空クジラが居たはずではなかったか?なのに支部が
瓦礫になったってのが腑に落ちないが……」
と言うと、制されたチーム『シエロ』のメンバー達がその場に
立ち止まる中、ジェシー(イマタン)さんの言葉を受けたカラン(クリスタル
マンルビー)さんが答える。
「確かに悪特隊のスカイホエールは迎撃に出たのは出た
が、悪魔達が操る空中砦ラブーが居る高度に到達できず、迎撃に失敗
したんだよ」
その言葉を聞いたジェシー(イマタン)さんが、チーム『シエロ』の
メンバー達に向かって言う。
「空クジラが無理なら、お前さん達鳥人族もなおさら無理だろう」
と言うと、チーム『シエロ』の一人の燕族のジーンさんが言う。
「そんなもの、やってみなきゃわからないだろう!」
と言い返すが、そんなジーンさんの肩に手を置きリーダーで
鷹族のケインさんが言う。
「いや、ジェシーさんの言う通りだ、俺達に空中砦の迎撃は無理だ」
そんなケインさんの言葉に梟族のリュークさんがジーンさんの肩を
持つように言う。
「ケイン何をお前さんらしくない弱気な発言をするんだ」
その言葉に、今度はコンドル族のジョンさんが、リュークさん
に首を振りながら言う。
「いや、ケインの言う通りだ、俺達には無理だ」
それに対して不満げな燕族のジーンさんと梟族のリュークさん
が声をそろえて、
「なんでだ!」×2
コンドル族のジョンさんに言うと、
「悪特隊の空クジラは、俺達の限界高度の
100メット(1,000m)をはるかに上回る高度で
飛べるんだよ、その空クジラが届かねぇって言うんだから、
それよりも低い高度でしか飛べない俺達には到底無理って
言うもんだぜ、お2人さん」
とニヒルに答えるコンドル族のジョンさんだった。
一瞬席を立ちかけたチーム『シエロ』のメンバー達は、
ゆっくりと自身の席に座り直した。
すると、チーム『デビライザー』のマヤ(デーモンレディー)さん
が、徐に聞く。
「柱、まさかベスティアの街を守るために悪魔の言うようにテンタ君
とオトアちゃんを差し出す……気ではないですよね」
すると、カラン(クリスタルマンルビー)さんは、その問いに、
「いや、差出はしないが、テンタ君とオトアちゃんには空中砦ラブー
に行ってもらう」
とあっさり答えると、その答えにマヤ(デーモンレディー)さんが
「えぇ――――――っ!!!、戦闘にはまるで役に立たない今の
テンタ君をですか!?、今のテンタ君にはとてもオトアちゃんを
守りきれないですよ~!」
驚き叫ぶ。
(いや、いくら何でもそんな言い方しなくてもマヤさん)
と思う俺だった。
◇
マヤ(デーモンレディー)さんにえらい言われようの俺だが、そんな
俺にカラン(クリスタルマンルビー)さんがニッコリ笑って、
「テンタ君、はい」
とベルトのバックルを渡してくれる。
「えっ、出来上がったんですかw」
と驚く俺に笑顔で頷くカラン(クリスタルマンルビー)さん。
そして、噛みつくマヤ(デーモンレディー)さんに向かって、
「テンタ君の戦闘力はこれで元に戻ります、したがって役立たずでは
無いと言うことです」
と言う言葉に、マヤ(デーモンレディー)さんが言い過ぎたと思ったのか
どぎまぎしながら、
「あっ、うん、ごめんテンタ君」
と俺に謝って来た。
(いえいえ、大丈夫ですよ)
そして、俺に
「それを着けて赤着して見なさい」
と言うので、俺は受け取ったバックルをベルトに突け、
「赤着!」
とポーズを取りながらコンバットスーツを装着する。
一瞬赤い光に包まれ、コンバットスーツ姿になったと同時に三毛猫
が俺のバックルに
「フェードイン!」
と言いながら飛び込むと、俺はお約束のポーズを決めながら、
「宇宙シェリフ・バルバン!」
とキメのポーズをとる。
\パチ/、\パチ/、\パチ/
とチーム『ナル』のマカナ(マリーナ)さんとナイア(トリン)さん
が、まばらな拍手をくれた。
そして俺の変身を見届けたカラン(クリスタルマンルビー)さんが、
今回の俺のスーツの説明をしてくれる。
「えー今回のテンタ君のスーツは、従来のスーツのさらに改良型で、
いわばMARKⅢ とでも言っていい代物です。今回の改良点は……
1.ブランチキャンセラーの放射線を防ぐ。
2.コンバットスーツ着用前の武器もスムーズに使える。
3.その他スーツの能力の底上げ
なんです。まず1については悪特隊本部にいつも
協力していただいている魔法大学のウエン・ディア教授にご協力をいた
だいて、タングステンに変わる金属の開発をしていただき、それをスーツ
の内側に張り付けることにより、ブランチキャンセラーの放射線を防げ
るようになっていまして、2に関してもスーツ装着前に背中に背負って
いた刀が装着後自動で腰の後ろに水平に装着できるようにし、また、
スーツ装着前、ベルトにセットされている☆型手裏剣もまた自動で
両足のひざ下外側に3つづつ配置されるようになりました。
そして小槌と銃については従来通り、左太腿装甲版を開くことにより、
取り出せる仕組みですそして、3については、パワーをこれまでの
1.5倍増幅出来、頭部には新たにソニックバスターを設置、また
従来の背中のスリットから出すリフレクターソーサーについてもスーツ
内側に張り付けた金属を従来のリフレクターソーサーの金属でサンド
イッチ状にすることによりブランチキャンセラーが放つ放射線の光を
防ぐだけでなく跳ね返ます。
以上がテンタ君のスーツの説明になります。」
と俺のスーツの説明を熱弁するカラン(クリスタルマンルビー)さん
の説明に、ここに居るみんなが、
「おおー!」
と声をあげるが……。
(多分みんなよくわかってないと思う、特に転生者ではないチーム『シエロ』
やチーム『ポテンツァ』の人達は、単に柱であるカラン(クリスタルマン
ルビー)さんの熱弁に単に圧倒された……ってところかも)
皆がカラン(クリスタルマンルビー)さんの説明に感心する中、さらに
カラン(クリスタルマンルビー)さんが言う。
「今回テンタ君、オトアちゃんにはこれを持て敵達の空中砦ラブーに
行ってははもらいますが、行くのはテンタ君達だけではありません」
その言葉に、チーム『ナル』のマカナ(マリーナ)さんとナイア(トリン)さん
が、
「私達も行きますよ~」×2
と明るくカラン(クリスタルマンルビー)さん言うが、カラン(クリスタルマン
ルビー)さんは軽く首を横に振り、
「いいえ」
と答えた。
するとすかさず、マヤ(デーモンレディー)さんがそんな2人に突っ込む。
「あら、2人は飛べないじゃない」
その言葉にマカナ(マリーナ)さんとナイア(トリン)さんは、”ああ”
って感じで黙ってしまった。
そこでマヤ(デーモンレディー)さんが改めてカラン(クリスタルマンルビー)
さんに、
「私達は飛べますよ」
と言うと、その横に居たジェシー(イマタン)さんがすかさず言う。
「おいおい、確かに俺達は飛べるだけでなく、悪魔に対抗する力を
持っているとはいえ、例のブランチキャンセラーに対しての防御力は
ないんだぞマヤ」
その言葉に、マヤ(デーモンレディー)さんが、
「ああ、そうだったわね」
と答えると、それを見たカラン(クリスタルマンルビー)さんにが、
にっこりマヤ(デーモンレディー)さん達に笑い言う。
「大丈夫ですよw」
そう言いながら、腕輪を5つ出してきた。
「この腕は例のブランチキャンセラーの攻撃を防げる腕輪です、
これを私は5つ持ってきました」
それを見て、ジェシー(イマタン)さんとマヤ(デーモンレディー)さん
が”ほう”っと感心しその腕輪を見つめると、カラン(クリスタルマン
ルビー)さんが、
「今回、空中砦ラブーに行ってもらうのは、私とテンタ君、オトアちゃん
に続き禍龍に、チーム『デビライザー』の4人です、禍龍
いいですね」
と側に居た犬に言うと、犬は大きく
「ワン!」
と答えた。
それを見て、改めてチーム『デビライザー』の4人の方を向き、
「『デビライザー』もいいですか?」
と聞き直すと、チーム『デビライザー』の4人も頷いた。
それを見てカラン(クリスタルマンルビー)さんが、
「では、今からすぐに出発です」
と告げるのだった。




