107話 テンタ謹慎
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------(テンタ視点)------☆
生暖かい……ザラとしたものが頬をつたう。
何度も何度も。
「んっ!」
(い・い痛い!)
ハッとして目が覚める。
”ニャー”
目の前に猫……三毛猫。
「やっと気が付いた」
「あっ、えっ・何でオトアがここに?」
俺は慌てて、\ガバッ/と ベッドから起き上がる。
「何でオトアが……それにここはどこだ?」
俺がパニッくってそう言うと、三毛猫は、
「落ち着いて、テンタ君、テンタ君は魔力切れを
起こして、もう3日も寝込んでいたのよ」
と俺に言う。
「んっ、3日?魔力切れ……」
俺は、寝ぼけた頭をフル回転させる。
(……俺は悪魔を倒して……)
とようやく思い出してきた。
そうなのだ、俺……達は悪魔を倒した後、
急いで最下層の部屋を出て、洞窟の入り口に戻る途中
……そこから記憶がないって事は、おそらくオトアが
言う通り俺は魔力切れを起こし、気を失ったんだろう。
と考えていると、三毛猫が、
「もっとも、私も1日寝込んでいたんだけどね」
と笑いながら言うので、俺が、
「オトアも寝込んでいたって……どういうこと?」
と三毛猫に俺が尋ねた時だった。
\コンコン/
「入るぞ~」
とガイゼルさんの声がした。
「あっ、はいどうぞ」
と俺が咄嗟に言うと、
「んっ、テンタ起きたのか」
と言うと同時に
\ガチャ/
と俺が寝ている部屋にガイゼルさんが入って来た。
「体の方は大丈夫か?」
俺を見るなり、ガイゼルさんが俺に言う。
「あっ、はい、少し体はだるいですが……」
と俺が言い返すと、ガイゼルさんは
「おお、そうか、ちょっと待て皆を呼んでくる」
と言って部屋を出て行こうとするガイゼルさんに
俺は、
「あのう~、ここはどこですか?」
と聞くと、部屋を出て行こうとしたガイゼルさんが
俺の方に振り向いて、
「んっ、ああここか、ここは柱達の
別荘だよw」
その言葉に俺は、
「えっ、柱達の元別荘ぉ~?」
と状況がいまいち読めてない俺は驚くのだった。
◇
どやどやと、皆が俺の居る部屋に入ってこようとするが
……。
俺の寝ている部屋は約3畳くらいの小さな部屋。
そこに俺の寝ているベッドがあるので、一度に沢山の人が
押し寄せても入り切れるものだはない。
ってことで、代表してミリー(トム妻)さん、ガイゼルさん
に、支部長の仮面ソルジャーバイオレットこと
黄雷さんそれに……赤い髪で、昔の海賊って
感じの衣装のハイエルフ?
(だれこの人)
と思ったら、向こうから挨拶してくれた。
「カラン・アノルだよろしく」
「あ・はいよろしくです」
と言いながら握手を交す。
彼の名前を聞いて、俺はピンときた。
(アノルって、クリスタルマンさんと同じ苗字……
ってことはこの人も柱なんだ)
「ホント、意識をとりもどしてよかったわ」
と安心したように言うミリー(トム妻)さん。
「ご迷惑かけました」
と俺がミリー(トム妻)さんに謝ると、ミリー(トム妻)
さんは首を横に振りながら、
「ううん、テンタ君が謝ることではないわ、テンタ君が
居なければあの悪魔を倒せなかったんですもの」
と言い、さらに
「謝るのは私の方よ、あなたにかなり無理をさせてしまって」
と言い、俺に謝るミリー(トム妻)さんに、横からカラン
(クリスタルマンルビー)さんが口を挟む。
「そうですよ、いくらテンタ君がA級……いや、三日月魔王国
での実績を入れたら、S級相当の冒険者だからと言って、それは
あくまで、エードラム様と一体化したオトアちゃんと合体した時
の話です、いくら、テンタ君にブレード人の力を手に入れたと言
えども、単独では、ベビルデーモンの相手をするには少々無理が
あると言うものです」
と言い出した。
(まぁ、確かに)
と思い俺は、カラン(クリスタルマンルビー)さんの言葉にそう
思って
「あっ、はい……」
と恐縮していると、カラン(クリスタルマンルビー)さんの横で
俺以上に恐縮しているミリー(トム妻)さんと南支部長。
(どうしたんだろう?)
後でガイゼルさんに聞くと、ブランチキャンセラーの対策をする
ので、対策が終わるまでトムさんの捜索を含め、悪魔に対しての
行動は慎むようにと、きつく言いつけられていたのもかかわらず、
仮面ソルジャーバイオレットこと黄雷さんは、ミリ
ー(トム妻)さんの意見に押され、今回の件を引き起こしたと
言うのと、夫のことを心配するあまり、強引に自分の意見を
押し通したミリー(トム妻)は、俺が意識をなくしている間、
にカラン(クリスタルマンルビー)さんに大説教をされていた
らしい。
ちなみに三毛猫の話では、この時、カラン(クリ
スタルマンルビー)さんは、三毛猫の中に居るエー
ドラム様にも念話で説教していたそうだ。
おかげで、今光の精霊エードラム様は絶賛凹み中らしい。
「それと、テンタ君今あなたのコンバットスーツは、
悪特隊本部でブランチキャンセラー対策の処理
をしているので、あなたとオトアちゃんは当分ここを動かない
ようにねw……」
と一瞬優しく微笑むが……次の瞬間。
「いわば、あなたもここで謹慎です」
と少し強い口調で言われる。
(ああ、今回のこと怒ってるみたいルビー柱)
◇
その日の夕方、皆で夕食を取る。
俺が今いる所は、デンスアーラ共和国(獣人の国)の南にある海岸沿いの
村で海を挟んで遥沖合にうっすらと瓢箪型の島であるネシア王国が見え
る。
村の名前をスクワナ村と言い、リーザードマン達の村である。
ここに住むリザードマンは主に漁業で生計を立ててるらしい。
で、昔、カラン(クリスタルマンルビー)さん達クリスタルマン兄弟達
がここを訪れた時に、ギガハーミットクラブ(大ヤドカリ)と言う全高
20mの巨大モンスターが、この村を襲いそれを倒したらしい。
村人には大変感謝されたそうな。
そして当時の村長に是非この村の守り神になってほしいと懇願された
ものの、当時は、この世界をいろいろ見たかったって事もあり、それは
丁重に断ったのだが……。
村人総出で拝み倒され、困った挙句、時折この村に
様子を見に来ると言うことで、何とか納得してもらったらしい。
で、その時に住む家がないと困るだろうと言うことで、倒したギガハー
ミットクラブ(大ヤドカリ)の巨大な巻貝の殻を利用して、村人達が
カラン(クリスタルマンルビー)さん達の家に作り替えたんだと。
以来、時折夏なるとここを避暑地として利用するようになった
らしい。
因みに、そのギガハーミットクラブ(大ヤドカリ)の中身は、
ここの村のリザードマン達が塩茹でにして全員で食べたと言うこ
とだ。
この巻貝の殻の建物は5階建ての構造になっていて、1階の
学校の体育館の半分ほどあるフロアは、俺達の馬車や、チームは
『ポテンツァ』の馬を止める馬車小屋兼馬小屋で、現在はうちの
ケンタウロスのダイさんとレツさんの部屋も作ってある。
2階は食糧庫と、キッチン&ダイニングルーム……多分それなりの
机と椅子さえあれば、
100人や150人は一緒にご飯を食べれる広さだと思う。
3階、4階は寝室で、3階は3畳の部屋が24室、4階は少し大き
めの6畳の部屋が10室ほどある。
5階は、展望室……と言っても誰も使ったことはないそうだ。
皆で2階に集まり、一緒に夕食を取る。
メンバーは、カラン(クリスタルマンルビー)さんをはじめ、支部長
の仮面ソルジャーバイオレットこと黄雷さん、そして、
俺達ガンブレーブの俺、三毛猫に、犬、
ガイゼルさん、アナ(ガイゼル妻)、ミリー(トム妻)さんにシェリ
ーさん、タミーさんに、ネシア王国出身のチーム『デビライザー』の
エディー(ザマタン)さん、ジェシー(イマタン)さん、チャド(ガ
マタン)さんそれに以前ゴブリン戦を一緒に戦ったマヤ(デーモンレデ
ィー)さん、後はチーム『ナル』のマカナ(マリーナ)さん、ナイア
(トリン)さんそれに、チーム『ポテンツァ』のレオン(獅子族)さん
ジョージ(虎族)さんにチャッピー(キャットピープル)に加え、
チーム『シエロ』のケインさん(鷹族)ジョン(コンドル族)さん、の
リューク(梟族)さん、ジーン(燕族)さんに、ジェーン(白鳥族)
さんと、かなりの大所帯。
各自テーブルに着き、皆で手を合わせて
「いただきます」×15
俺達ガンブレイブメンバーと元日本人の転生者全員が声をそろえて言
う姿にキョトン?とする、チーム『シエロ』とチーム『ポテンツァ』
の面々。
メニューは、手巻き寿司、いろいろの具材を海苔とご飯で巻いて食べ
る。
チーム『シエロ』とチーム『ポテンツァ』のメンバーは生魚って言う
のと食べ方がわからず惑っていたが、それに気づいたチーム『ナル』
のマカナ(マリーナ)さんが、食べ方をそれぞれに伝授していた。
今回手巻き寿司にしたのは、ここは新鮮な魚が手に入るためだが、
米と醤油はガイゼルさんがクリスタル国から持ってきたものを使い
魚を捌いたのは、チーム『ナル』のマカナ(マリーナ)さんとナイア
(トリン)さんで、
すし飯に使うお酢は、ネシア王国産のリンゴ酢を使ったらしい。
(道理でフルーティーな味)
始めは、生魚におっかなびっくりだったチーム『シエロ』とチーム
『ポテンツァ』のメンバーだったが、恐る恐る口にすると……。
「う・美味いw」
って事になってその後はバクバク食べていた。
俺は三毛猫に三毛猫の好きなマグロを
巻いてやり、渡すと、それを頬張りながら、
「おいしいw」
と笑顔になる三毛猫その様子を黙ってみていた犬
は見よう見まねで、念力を使い手巻きを巻き食べていた。
犬も一時期悪魔の毒針攻撃を受けて、死にかけたが、
ギルド職員の魔法師達の解毒魔法で今はすっかり元気になった。
俺と三毛猫横でバクバクと元気に食べる犬を
見て、
(事前に萬豆を食べさせててよかった~)
と思う俺。
皆で楽しく食事をしている中、ガイゼルさんが、カラン(クリス
タルマンルビー)さんに質問をする。
「あの、ブランチキャンセラーの光を防いだ盾って何で出来ている
んです?」
その質問に、手巻き寿司をほうばていたカラン(クリスタル
マンルビー)さんが、
「んっ、ああ、あれはね、オリハルコンの盾の裏に分厚い鉛の板
を貼りつけたものですよ、だから重くて重くて、ブランチの姿で
ないととても持てたものではないですがね」
と答えると、ガイゼルさんが、
「鉛ですか……そんなものでよく防げましたね」
と言うと、”ああ”ってい感じで、
「いやね、兄さん(ニム・アノル)(クリスタルマン)が言うには、恐らく
宇宙線って言うか、一種の放射線のような物だろうと言うので、それを
防ぐには本来タングステンと言う金属が1番いいらしいのですが、この
世界にはタングステンがないので、代わりに鉛を使ったって事なんです
がね」
と返した。
その言葉にガイゼルさんは、
「なるほど……」
と納得をする。
「ああ、因みにブランチ能力をなくしたガシャーン(ブルーノ)ですが、
本国で、グロル兄さん(クリスタルマントパーズ)の
ブランチスキル『状態異常解除』で、治療する予定です、うまくいけば
行方不明のトムのブランチ能力も回復できると思いますよ」
と明るく言うが、その言葉に暗い顔でミリー(トム妻)さんが、
「でも、肝心のあの人を救出しないと……」
とボソッと言うと、そのミリー(トム妻)さんの表情で察したのか、
カラン(クリスタルマンルビー)さんが、笑顔で
「大丈夫、必ず見つけ出して助けます!で、そのことなんですが、
明日ここに本国のCIC情報局員(クリスタル
中央情報局)から、エドガー・ド・カリオストロなる人物が来ますので
、彼が来たら、テンタ君、オトアちゃんを覗くガンブレーブチームの
皆さんは彼共々私と一緒に西支部の方に来てもらいます……いいですか?
ミリー(トム妻)さん」
と言うと、その言葉に、少し明るい顔をしたミリー(トム妻)さんが、
「はい……」
と答えた。
それを見たカラン(クリスタルマンルビー)さんが、その他のメンバーの
方を見て言う。
「そのほかのメンバーはテンタ君、オトアちゃんの護衛と言うことでお願
いしますよ」
と言うと、皆は声をそろえて、
「はい」
と答えるのだった。
◇
------(第三者視点)------☆
デンスアーラ共和国(獣人の国)の南にある海岸から海を挟んだネシア
王国の東側の沖合の海底にある悪魔伯爵シャッキー達の拠点で、先日、
クリスタルマンルビーに壊されたブランチキャンセラーの修理をしなが
ら、
「ええぇ~い、忌々しいクリスタルマンルビーめ」
とぼやく悪魔伯爵シャッキーの元に、デッド団長(猛獣使い風の男)が
、やって来て報告する。
「斥候の者の報告では、猫と小僧はもはやあの冒険者達のギルドとか
申すところにはいないようです」
それを聞いた悪魔伯爵シャッキーの隣に居たアルミュール元帥(赤い
フルプレートアーマーで、顔を覆いつくした兜の男)が、報告する
デッド団長(猛獣使い風の男)に聞く。
「では、奴等はどこへ行ったのだ」
すると、聞かれたデッド団長(猛獣使い風の男)は首を横に振り、
「それが、何処にも……」
と答えると、デッド団長(猛獣使い風の男)に対しアルミュール元帥
(赤いフルプレートアーマーで、顔を覆いつくした兜の男)が、
「どこにもおらんはずはないではないか、もっとよく探させ」
と少し癇癪気味に言うが、
「はっ、……しかし……」
と少し困った顔をして返事するデッド団長(猛獣使い風の男)。
そこに、デッド団長(猛獣使い風の男)の後ろから現れたラ・モー
ル大魔導士(死神風顔の半分骸骨の男)が、癇癪を起しているアル
ミュール元帥(赤いフルプレートアーマーで、顔を覆いつくした兜
の男)に向かって、
「探せないのなら、いぶりだせばよいだけですよ」
と助言する。
その言葉に、
「いぶりだす……?」
と聞き返すアルミュール元帥(赤いフルプレートアーマーで、顔を
覆いつくした兜の男)に、ラ・モール大魔導士(死神風顔の半分骸
骨の男)が、ニヤリと笑い言う。
「あれを使えばよいではありませんか」
「あれ!?」×2
ラ・モール大魔導士(死神風顔の半分骸骨の男)言葉に言いている
意味が分からないデッド団長(猛獣使い風の男)とアルミュール元帥
(赤いフルプレートアーマーで、顔を覆いつくした兜の男)に、
「空中砦ラブーで、空から絨毯爆撃をして、奴等をいぶりだす
のです」
と答えると、”ああ”とう言う表情でデッド団長(猛獣使い風の男)と
アルミュール元帥(赤いフルプレートアーマーで、顔を覆いつくした兜
の男)が納得すると、アルミュール元帥(赤いフルプレートアーマーで、
顔を覆いつくした兜の男)がデッド団長(猛獣使い風の男)に向かって、
「直ちに、帥と ダーク大団長(ロビンフット風の男)で、空中砦ラブー
を使い小僧と猫をいぶりだしてまいれ!」
と命令し、それを受けたデッド団長(猛獣使い風の男)は、
「ははっ!」
とアルミュール元帥(赤いフルプレートアーマーで、顔を覆いつくした兜
の男)に頭を下げると、その場から出て行くのだった。
ナヴァローン→ラブーに変更




