第七話 結果
武術試験では列の前から一人ずつ試験を受けるようだ。
先生二「次」
レオン「はい!595番、レオンです。よろしくお願いします」
返事と共に勇者の剣を帯刀したまま試験用の剣を構えた。
始まりの合図と共にレオンは走り出し、あと一歩で剣が届くという所で一度回転しつつ飛び上がり、出せる力を振り絞って振り下ろした。
試験官は剣を寝かせて上に構え、レオンの攻撃を受けたが予想以上の威力だったのかそのまま剣を叩き落とされ、拾う暇を与える間もなく剣を首に当てた。
そこで試験官は負けを認めた。
先生二「次」
「はい!596番トーヤだ」
レオンとの戦いを見て感じたのか試験官を舐めきっていた。
トーヤは始まりの合図の後、槍を構えるどころか挑発をした。
トーヤ「今度は守るだけで負けないでね」
挑発に乗った試験官は勢い良く飛び出した。
その動きに合わせるようにトーヤは少し後ろに飛び、剣がの間合いを保ちつつ槍が届く範囲を確保し、間合いに入った所で手足を一発ずつ槍で突き、最後に胸に槍を押し当てた。
試験官は負けを認め、トーヤは挑発した事を謝罪した。
そして少し間が空いたが遂にダンの番が来た。
先生二「次」
ダン「はい。597番、ダンです。よろしくお願いします」
緊張しているのか剣を構えた少し手が固まっていた。
それを見逃さなかった試験官は合図があるとすぐに走り出し、レオンとトーヤへの恨みと怒りをダンにぶつけるべく思い切り上から剣を振り下ろした。
ダンは剣の切っ先を斜め下後ろ向け衝撃を受け流し、試験官が体制を崩し倒れると振り向き首に剣をかけた。
試験官はそこで負けを認めた。
結果は明日発表されるとの事だったのでレオン達は広場を後にした。
ジュディ達、レオン達の試験がほぼ同時に終わったようで出口でばったり出会った。
ダン「そっちはどうだった?」
ルルカ「多分合格」
ジュディ「そっちはどうだったの?」
トーヤ「一人一回ずつ試験官ぼこぼこにしてきた」
と言った後、満面の笑みとピースサインを決めた。
レオン「そこまではして無いよ」
と笑いながら言うので、
トーヤ&ダン「いやレオンが一番酷かったでしょ」
と二人でハモった。
スズ「レオンあなた何したの...」
トーヤ「思いっきり上から剣で試験官の持ってた剣を叩き落としてた」
ダン「しかもちゃんと構えて受けてたのに」
ジュディ「レオン君を甘く見てた試験官が悪いのよ」
スズ「それもそうね。二人はどうだったの?」
ダン「トーヤは試験官を挑発して向かって来たところをカウンターで手足を突いて最後に胸を突いて瞬殺してた」
ルルカ「トーヤ卑怯」
トーヤ「それを言うならダンも同じようなものだろ。俺と一緒で向かってきた試験官の剣を受け流して倒れたところで剣を首に当ててすぐに終わらせてたじゃん」
ダン「あれは俺が二人と仲が良い事見てた試験官が最後の僕に二人分の怒りと恨みを込めての行動で、俺は誘導してないよ」
ルルカ「トーヤ卑怯」
トーヤ「でもちゃんとその後謝ったから良いだろ」
ルルカ「トーヤ偉い」
ダン「そっちはどんな感じだったの?」
スズ「ジュディが他の子が撃っても削れるくらいの岩を粉々に砕いて私がそれを直してルルカがそれをもう一度粉々にして終わり。割と呆気なかったわね」
ダン「スズはそれで良かったの?」
スズ「魔法の威力だけの試験じゃなかったし、先生の反応もそれなりだったからこれで良かったのよ」
トーヤ「って言うか修復の魔法って白魔法だよな。スズって何色の魔法が使えるんだ?」
スズ「秘密」
そんな事を話しているとディグリーの待っている宿に着いた。
ディグリー「お前ら!おかえり、試験はどうだった?」
ダン達は試験でやった事を全てディグリーに報告した。
ディグリー「お前ら結構えげつないな。まぁ何はともあれ良くやった。後は結果が出るのを待とう」
ディグリーに報告した後解散し、部屋へと戻った。
トーヤ「なぁそういえばさ、読み書きって自分の名前だけだったよな」
ダン「言われて見ればそうだ」
トーヤ「俺たちの十日間は何だったんだよ」
レオン「まぁまぁ、いづれ覚えなきゃいけなかった事だし、早めに終わったって思った方が得じゃない?」
トーヤ「確かに。あとさ、ダンは何で魔法使わなかったんだ?使えば受け流すどころか誰よりも早く終わらせれたんじゃ無ぇの?」
ダン「そうかもしれないけどそれじゃ俺の身につかないし、何よりあの試験は武術で何処まで出来るか見られるから魔法を使ったら意味無くなっちゃうだろ」
トーヤ「それもそっか」
等と話しているといつの間にか夜も更けてきたのでそのまま寝た。
翌朝ー
食堂に集まり朝食を取ると、六人は足早に試験会場に向かった。
会場に着くと既に番号が張り出されていた。
トーヤ「俺の番号どこかな」
ジュディ「あることはもう決まってるのね」
スズ「自信があるのも良い事よ」
ルルカ「見つけた」
ダン「どこ?」
ルルカ「あそこ」
レオン「本当だあった!」
595から600まで一人も落ちずに合格していた。
これを見たスズを除く五人は抱き合い喜んだがスズは
スズ「これで一安心ね」
と達観していたので皆でスズを囲み、今度はスズを強制的に入れて抱き合った。
とそこへ水を差すように、
???「君達がレオン君、トーヤ君、ジュディさん、スズさん、ルルカさんの五人かしら?」
スズ「昨日の試験の時に見てくれていた人かしら」
???「申し遅れました。私、この学園の教師のマリーと言います。以後お見知り置きを」
マリー「突然ですが学園長が君たちの事をお呼びです。
着いていらしてください」
急に言われて戸惑ったが行かない訳にもいかない雰囲気なのでダンにそこに居てくれと言い、五人は着いていく事にした。
少し歩くとある扉の前に着いた。
そのドアをノックし、
マリー「失礼します」
と言って扉を開けた。
学園長「よく来たね。
初めまして私がここの学園長のアメリアだ。よろしく。
まずは合格おめでとう。
早速だが君達五人が同率で首席合格となっている。
そこで君達の中で一人選んで挨拶をしてくれないか?」
ど言われると
レオンとジュディは柄じゃないと丁寧に断りトーヤ、ダン、スズは面倒くさそうにし、ルルカは途中から話すら聞いていないようだった。
アメリア「ふむ、困った。まさか全員拒否するとは。
まぁ良い」
レオン「というか何でダンは呼ばれて無いんですか?
彼も僕達と同じかそれ以上の実力の筈なんですが」
アメリア「彼の実力は君達が思っているよりも低かったってだけの事さ」
トーヤ「なんだよその言い方。だいたい、ダンは自分の得意な武器も使えず、それでも試験官を圧倒したっていうのに」
という所まで言うとスズに遮られた。
スズ「この中でダンが一番の実力者だという事を気づかないこのようなお粗末な学園に首席に選ばれましても不名誉なだけですね。
私の首席とかいうくだらない肩書きは外しといて下さい。
ではこの辺で失礼致します」
と笑顔でこの部屋を退出し、他の四人も同じく辞退すると言い続いて部屋を出た。
アメリア「どういう事だマリー。聞いていた話と違うのだが。昨日武術の試験官を務めたのは誰だ」
マリー「えーっと、トレント先生ですね」
アメリア「今すぐここに連れて来い」
一方ダンが待っている場所では
ダン「おかえり、なんだったんだ?」
スズ「たいした用事じゃ無かったわ。
それよりギルドに行って何か討伐クエストでもこなしましょ」
トーヤ「賛成」
レオン「僕も」
ジュディ「私も」
ルルカ「ルルカも」
ダン「本当に何があったんだ???」
わけも分からないままのダンを連れて一行はギルドへと向かった。
登場人物の軽い見た目紹介
マリー オレンジ色の髪をした女性。普通。
アメリア 洋紅色の髪をした女性。小さい。