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自由な旅をする為に。  作者: マイペースなたまご
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第六話 試験

パール「坊や!」


咄嗟(とっさ)に出した水球でダンを覆って勢いを殺し、被害は抑えられた。


パールがほっとして、気を抜いてしまった時後ろから影が五体通り過ぎた。


そこからは一瞬だった。


ジュディが火で逃げ場を断ち

スズが黒魔法ー暗転(あんてん)ーで視界を塞ぎ

レオンが前から切り上げ体が起き上がったところで

ルルカが水球で固定し

トーヤが心臓部を突き刺した


魔物が倒れるとすぐにダンの元に駆けつけた。


パール「すまないが少しどいておくれ。回復を早める。白魔法ー治癒力促進ー。これで疲れはするがすぐにでも良くなるだろう」


ダン「ありがとうパールさん。皆もありがとう。おかげで助かったよ」


トーヤ「ったく...油断してんじゃねぇよ」

そう言いながら腕を引っ張り、ダンを起こしてあげた。


パール「いや今回はあたしのせいだよ。ブラックベアーは基本一体って教えてたから。

唯一、番がいる時だけ二体以上になるってことを伝え忘れてしまった。すまないね。

こうなってしまった以上、続けるかどうかは坊やに任せるよ」


ダン「続けたい。魔法のおかげでどこも痛くないし、何ならさっきより元気なくらいだよ」


パール「わかったわ。少し休んだら出発しましょう」



30分程休憩すると今度は森の更に奥に進み、森を抜け岩山の山頂まで登った。

山頂は広く平たくなっておりそこに一体のレッサードラゴンが森の方を見つめながら佇んでいた。


???「私を倒しに来たのね。いいよ。痛いのは嫌だから一発で終わらせてね」


パール「ダン?聞いてるの?」


ダン「パールさん、ディグリーさん。魔物ってどういう存在?」


パール「魔素から生まれ、動物と同じように生活をする意志を持っていない化け物」


ダン「じゃあこのドラゴンは何?どういう存在?」


ディグリー「魔物と同じだ。さっきから何が言いたい?」


ダン「じゃあ何故このドラゴンは喋ったの?意思は無いんじゃ無いの?」


ディグリー「はぁ?喋るわけねぇだろ。なぁパール」


ドラゴン「私は貴方にしか話しかけてないよ。これは念話って言って選んだ人にしか聞こえないの」


パール「確かに魔物が喋るなんて聞いた事ないよ。ただドラゴンは別。

括りとしては魔物とドラゴンどちらとも同じ所にまとめてあるけど、実際には全く違う種だ分類だよ」


ディグリー「そうだったのか...」


ダン「同じ世界で意志を持ち、考え、話し、行動している。そんな君を、魔物達を俺はこれ以上傷つける事は出来ない」


ドラゴン「そう、馬鹿ね貴方」

そういうとドラゴンは飛び去って行った。


パール「あのドラゴンみたいな例はそう居ないんだよ坊や。

確かに意志を持つ魔物も中には居るかもしれない。

でも大半の魔物は人間を見つけると襲う本能ってのを持っているんだ。

そんな魔物から民を守る仕事を生業にしてるのが冒険者って奴なのさ」



その日はそのまま冒険者ギルドに帰り、パールの部屋へと集まった。



ダン「パールさん、俺魔物を倒すよ。人助けのために。少なくとも覚えている今この瞬間は」


パール「良い心掛けだ」

そういうとパールは笑顔を見せた。


パール「さぁ、色々あったが今日の目的はダンの能力の欄に書けるかどうかって話だった。結果は合格だよ。

ダン、これからは冒険者として頑張りなさい。

あんたらもだよ!」



その場に居た七人全員大きな声で返事をしパールにうるさいと怒られた後全員宿に戻った。

その後の男の子の部屋では



トーヤ「今日はどうなるかと思ったぜ」


レオン「本当だよ。無事で良かった」


トーヤ「って言うかダンお前、俺らに追いつけないとかよく言うよな。あんな動きしといて」


ダン「今日はなぜか凄ぇ上手くいったんだ。

それに刀だからさ。トーヤと同じ槍やレオンと同じ剣じゃ二人には勝てねぇよ」


トーヤ「なんか照れるな」


レオン「でも僕は思ったよ。刀を使うダンには敵わないって」


ダン「やめろよ照れるだろ」


レオン「二人とも照れ過ぎて少し気持ち悪いね」


トーヤ「何をこの野郎!」



この後三人戯れあって騒いだ事をディグリーに怒られ、仲良く眠った。

次の日の朝、食堂にて



ディグリー「なぁお前ら、読み書きって出来るか?」


その言葉に男の子三人は出来ないと答え、女の子三人は出来ると答えた。


トーヤ「お前らいつの間に覚えたんだよ」


ジュディ「私達はスズに教えて貰ったのよ」


スズ「魔法には知識が必要だから字は読めた方が良いのよ」


ディグリー「その読み書き何だが、学校に行くには必要何だが...試験までの期間が後十日しかない...。

すまん伝え忘れてた」


その事を聞いた男の子三人衆は立ち上がり、頭を下げながらこう言った。


男の子三人「俺たちに読み書きを教えて下さい」


これを聞いた女の子達は承諾したが貸一つとされた。



その後の十日間はこうだった。

朝から昼まで体が(なま)らないように鍛錬をし、午後からは寝るまで女の子の部屋に集まり勉強会だった。

ディグリーは宿代と試験を受けるための受験料計六人分稼ぎに依頼を受けてはこなす日々だった。



試験前夜ー



トーヤ「終わったぁ」


スズ「まぁこんなものかしら」


ジュディ「遂に明日ね」


レオン「皆で合格しようね」


ルルカ「約束」


ダン「おう!」



試験当日の朝、食堂にて



ディグリー「頑張ってこいよお前ら」


六人全員良い返事をし、滅多に喋らなかったゴンダにうるさいと叫ばれた。



ディグリーから受験料を受け取り、会場まで着くと受付へと急いだ。



ダン「ここまで来て緊張してきた...」


ジュディ「私も...」


ルルカ「大丈夫」


レオン「ルルカの言う通り、僕達なら大丈夫だよ」


トーヤ「そうさ、戦い方はディグリーさんに教えて貰ったし、読み書きだってスズに教えて貰ったんだ」


スズ「頑張って来たんだもの。心配無いわ」



受付で名前を書き受験料を払うと、受験番号を渡され広場へと案内された。



先生一「魔法が得意な子はこちらに来なさい」


先生二「体術、剣術等が得意な子はこっちだ」


ここでダン達は別れた。



魔法側ー



先生一「ここでは魔法の威力、精度、早さを見せて貰います。的はあそこにある岩を狙いなさい。使う魔法は何でも構いません。

一人ずつ呼ぶので呼ばれた者はすぐに前に出るように。

一番、ナディ」


ナディ「はーい」

元気よく前に出て、赤魔法ー火球ーを岩に向かって撃った。

威力、精度、早さそれぞれ中々のものだった。

が、ジュディには足元にも及ばなかった。

何人も呼ばれた後、三人の番になると順番に魔法を撃ち、ジュディの赤魔法ー火球ーで粉々にし、スズの白魔法ー修復ーで元に戻し、ルルカの青魔法ー水球で再び粉々にした。


三人は文句無しのトップ通過を果たした。

そして一方武術側はというと



先生二「ここではそこの台の上に置いてある武器のみ、もしくは己の体を使って一人一人こちらの試験官と戦って貰う。

古今東西あらゆる武器を揃えたので自由に選んでいいぞ」


レオンは剣、トーヤは槍を選び列へ並んだ。

その頃ダンはというと刀を探していた。


ダン「無い...そういえばディグリーさんが普通に生きてれば見る機会無いとか言ってた気が...」


ダンは一応先生に自分の武器を使っていいかどうかと刀の有無を聞いたが返答はこうだった。


自分の武器は何が細工されているかわからないし、ここにある武器は万が一何かあっても怪我はしにくい構造になっている。

そして刀という武器は知らないとの事だった。


諦めたダンは余っていた剣を持ち、列の最後尾へと並んだ。

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