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自由な旅をする為に。  作者: マイペースなたまご
2/9

第零・五話 始まり

レオンが勇者の力を授かる少し前...


神父「ダン、来なさい」


ダン「はい」

ダンは返事をすると祭壇の前まで進み、歩みを止めると片膝をつき瞼を閉じ天を仰いだ。


神様「お主には時に干渉する力を分け与えてやろう。お主なら面白いことになるであろう。期待しておるぞ」


そう言い切ると体の内がほんの少し温かくなった気がした。


ダンは席に戻ると能力について考え始めた


(ときにかんしょうってどういう意味なんだろう。ときってなんだろう。かんしょう?)



そんなことを考えてるうちにレオンの番がやってきた。レオンが一連の動作を行うと不思議なことが起こった。

誰かの声が教会に響いたかと思うと今度はレオンの体が光りだし、天井があるはずの所から光が降り注ぎその中から大きくて鋭い何かが出てきたのだ。


(レオン凄く光ってたけど大丈夫かな。それにあの大きなものは何だろう)



光が収まりレオンと話したり大人の話を聞いているとどうやらレオンは勇者という凄い人になったらしい



その夜ー



ダン「ときにかんしょうって何だろう」

と呟くと何かが変わった気がした。


(なんだろう。何かがおかしい)


辺りを見回して見ても変化はない。いや変化していないというのが正しいようだ。


ダン「止まってる。何もかも。これが時に干渉するということ?」


ダンはこの止まった世界で色んなことをしてみた。



走ってみたり草をちぎってみたり石を投げてみたり泳いでみたりとにかく色んなことをしてみた。



わかったことはこの止まった世界でも動けば疲れるしお腹が空く。しかし眠くはならない。走れば走った分だけ体力がつく。

物を触ると触っている部分は触っている間は動く。手から離れると止まる。

生き物には触れない。触ろうとすると透過する。その生き物が干渉しているものも同様に触れることは出来ない。

そして元に戻れと祈ると時間は動きだす。時間が進むと肉体の変化と干渉し続けている物はそのまま残るが他の干渉した物はすべて元に戻る。

草はちぎれていないし石は元に合ったところに戻っている。そして時を動かすと何故か時を止めた場所にワープする。その時に干渉し続けていたもの、つまり体に触れていたものは一緒に同じ場所にワープする。

ということが分かった。


ダン「面白いことを思いついた」



次の日ー



ダン「よしやってみよう」

時を止めるのに特に制限はなかったということを知ったダンは時を止めた世界で何年か過ごすことにした。



ダン「おれの体が変化するということはこの世界で大人になれば皆驚かせるんじゃないかな!」



結果から言うと約五年過ごしてみたが成長という変化は無かった。


ダン「不思議な力だなぁ」


自分の能力を何となく理解したダンは余りいい力ではないと思い秘密にすることにした。



力を授かって二日目、ダンはあの時一緒にいたこども達と会うことにした。



ダン「おはようトーヤ、ルルカ」


トーヤ「ようダンじゃねえか。どうした?」


ルルカ「おはようダン君。教会以来だね。」


ダン「皆の授かった力ってどんなのなのかなって気になって聞きに来た」


トーヤ「そうかそうかお前も気になるのか。ふっふっふ聞いて驚け俺の授かった力は」

そう言うと背中に装着していた長い木の棒を取り出し器用に振り回して見せた。


トーヤ「俺は槍を上手に使えるようになる力だ」

ルルカとダンで拍手した。


ルルカ「ルルカはね。何でもわかるの」


ダン「何でもわかる?」


ルルカ「うん、知りたいって考えると頭の中に浮かんでくるの」


ダン「なにそれ凄ぇ!」


トーヤ「だろ!凄いだろ!」


ダン「なんでトーヤが威張るんだよ」

トーヤの一言で一頻ひとしきり笑ったところでスズの所へ移動した。


スズ「あらおはよう、ダンじゃない。どうしたの?」


ダン「おはようスズ、今皆にこないだ授かった力について聞いて回ってるんだ」


スズ「いいわよ。教えてあげる」

そう言うとスズは消えた。


ダン「え、何が...」

と言ったところで触れるギリギリの所まで近づいたスズがいきなり現れた。


ダン「うわぁ」

と叫び尻もちをついた。


スズ「失礼しちゃうわね。人の顔見て驚くなんて」


ダン「ごめん、つい。でも凄いな、消えることが出来るなんて」


スズ「あら、それだけじゃないわよ。私は黒魔法の才能を与えられたのよ」


ダン「凄ぇ魔法使えるのか!ってか黒って何だ?」


スズ「魔法は知っての通り体から出るエネルギーを放出すること。そして魔法には赤、青、黄、白、黒の五色あるの。一部例外はあるけど。その中でも私は黒魔法が得意になったの」


ダン「へえ、魔法ってそんなに色々あるんだな。俺もやってみたいな。今度教えてくれよ!」


スズ「ええいいわよ。なんなら今度と言わず今からでも...」


ダン「今は駄目だ、皆の力が知りたいんだ。じゃあ聞き終わったらまた来る」


スズ「わかった、待ってるわ」


そう約束すると最後にレオンとジュディの所に向かった


ダン「おはようレオン、ジュディ」


レオン「おはようダン」


ジュディ「おはようダン。今日も元気ね」


ダン「いきなり何だけど、二人とも一昨日どんな力を授かった?」


レオン「僕は教会で見た通りこの剣だよ。この剣を身に着けてると力が湧いてくるんだ」


ジュディ「私はあかまほうっていうのをもらったんだけど何なのかわからないのよね」


ダン「レオンは勇者ってやつなんだっけ。剣を持つだけでって凄いな。ジュディは赤魔法かぁ、魔法ならスズに聞くといいよ。俺もさっき教えて貰ったんだ」


ジュディ「ほんと!?流石スズね。私たちと同い年なのに凄く物知りだものね」


レオン「スズは凄いよね。僕なんかより勇者に向いてるんじゃないかな」


ダン「何言ってるんだよ。俺たちからも大人達からも認められてるレオンが一番凄いじゃん!」


レオン「ありがとう。そう言われると嬉しいけどちょっと恥ずかしいね」


ダン「そうだジュディ、二人に聞き終わったらスズに魔法を教えて貰う予定だったんだけど一緒に行く?」


ジュディ「行く!」



こうして皆に聞き終えたダンはジュディを連れてスズの所へ戻った。



スズ「あら随分大勢で来たのね」 


ダン「えっ、俺とジュディの二人だけ...」

そう言いながら振り返るとそこには俺たちをつけて来たレオンとそのレオンをつけて来たであろうトーヤとその後ろをひょこひょこついて来たルルカの姿があった。


その光景を見たダンは吹きつつ笑いながら

「来たいなら声かけてくれればよかったのに」

と言った


レオン「ごめん、ちょっと気になって」


トーヤ「なんかレオンがこそこそしてたから面白そうだなってついてきちまった」

と言いつつ笑っていた。


スズ「まあいいわ。今から魔法をダンに教える予定だったのだけれど他に知りたい人は?」

と言うと一人残らず手が上がった。


スズ「と言っても私もそこまで詳しくは知らないの。だから基本だけね」


説明はこうだった。

まずはダンに説明した内容と同じことを話しその上でこう続けた。

体の中を集中して流れを感じていると最初は血が巡る感覚を感じることが出来る。そしてさらに集中しているとだんだんと血液とは違う何か温かいものが体の中をゆったり巡っていることがわかる。

それが魔法の元となるものでスズはそれを魔力と呼んでいた。

そしてそれに意識を集中させているとだんだんとどこにどうすれば動くのかがわかるようになるらしい。

意識的に魔力が動かせるようになったら今度は体のどこかに集中させる。(手が一番簡単らしい)

一定量の魔力が溜まったら今度は体の外に放出するようなイメージで一気に押し出す。

すると白っぽい何かが集中させた所から飛び出す。


スズ「とこんな感じかしらね」


ジュディ「凄い!何か出たわ!」


ルルカ「ルルカも出たけどすぐに消えちゃった」


トーヤ「俺出ないんだけど」


レオン「出たけどなんかおかしいよ。出たところにとどまってるんだけど」


ダン「俺も出ねぇ...」


スズ「まあ向き不向きがあるけど練習すればすぐ出来るようになるわ。それよりもレオンは凄いわね。その状態を保てるなら動かすことも出来るはずよ。それと魔力が出せるようになったらさっき教えた色についてイメージしてみて。例えば赤は火とかね」

そう言うと手のひらに小さな火の玉を出して見せた。


その後はジュディ、ルルカ、レオンは魔力をある程度操ることが出来るようになり、トーヤも魔力を手のひらから出すことに成功していた。


その夜ー



どれだけやっても魔力を感じることしかできないダンは考えた。ご飯を食べる時もお風呂に入る時も歯磨きをしている時も寝る前も。

そして翌朝一つの単純な答えにだどりついた。

時を止めた中でひたすらやれば習得できるのではと。

この力を授かったダンは本能的にこの状況に慣れなければならないということを理解し、あの考えに至ったのだろう。

ダンは五年間いつもと変わらない日常を止まった世界で過ごしていた。

動かない親、友達、村の人に帰ってこない挨拶をし、返事の無い会話を楽しんだ。

大人になった自分を見せて驚かせてやろうというモチベーションだけで。

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