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自由な旅をする為に。  作者: マイペースなたまご
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第零話 スポットライト

ある日を境に突如として、この世界は魔王を始めとし様々なモンスターで溢れかえっていた。


これを見ていた神様は言いました。「非力な人族にはこの世界はさぞ生き辛かろう。五年間生き延びた暁には我の力の一部を分け与えてやろう」と。




この話はそれから長い年月が経ったある村の出来事が始まりである。




その村は昼間はこども達の遊び声で絶えないくらい大きな村である。



ある年、その村にある男の子が生まれ、その子にはレオンと言う名前がつけられた。

レオンはとにかく成長が早く、生まれて三か月程で立って見せ、それから数か月後には歩き始めた。


それからというもの周囲の大人をびっくりさせるほどの数々の異端な成長ぶりを見せながら、あっという間に月日が経ちレオンを含めた六人のこども達が五歳になった。


そう、待ちに待った神様の力を授かる日である。



この儀式は一年に一度冬の終わり、雪が解け草木が花開く時期に村の教会で行われる。



やり方は簡単で神父様に一人づつ名前を呼ばれ、呼ばれたこどもは祭壇の前に膝をつき目を閉じたまま天を仰ぐ。


すると頭の中で神様のお言葉が聞こえ、その者に合った力が分け与えられのである。



トーヤ、ダン、ジュディ、ルルカ、スズの五人の儀式が終わり、残るはレオンだけとなった。



神父「レオン、前に来なさい」

優しい声が教会に響いた。


名前を呼ばれるとレオンは祭壇の前まで歩みを進め、到着するなり片膝をつきまぶたを下ろし顔を空へと傾けた。



???「お主には強大な力を持つこの世界の敵になりうるものに対抗出来る力を分け与えてやろう」


普通神様の声は授かるはずのこどもの頭の中でしか聞こえないのだがレオンの時だけは違った。

その声は頭の中には留まらず、教会の中全体に響いた。


そして神様が言い終えると同時にレオンの体は光輝き、天から神々しい光とともに一本のつるぎが降ってきた。


レオンがそれを受け取ると発行していた体が徐々に収まり、レオンの体より大きかった剣も小さくなり五歳のこどもの両手に収まるくらいの大きさとなった。


突然のことで静まり返った教会内も儀式が終わったと同時に騒がしくなった。


「今の光は何だ!?」「神様の声が私にも聞こえた…?」等と大人たちが騒いている中ある一人がこう呟いた。



「勇者...」



その考え方はすぐに教会中に伝播した。そんな中一際騒がしいグループがあった。こども達だった。



ジュディ「ねぇねぇレオン君今のなに!?」


レオン「なんだろう...僕にもわからない」


トーヤ「大人たちは勇者、勇者って言ってるよ!」


ルルカ「ゆうしゃってなあに?」


スズ「わるいやつから皆を守るすごい人だよ」


レオン「勇者...そんな人になれるのかな…」


ダン「お前ならなれるんじゃない?レオン凄いやつだし」


ジュディ「そうだよ。絶対なれるよ。レオン君にぴったりだもん」


レオン「なんだよその理由」

レオンがそう言うとみんな笑った。




それからというもの村に王都から王女様が来たり、軍の人が来て村のこども達に戦い方を教えてくれたり王都に行って学校に通ったり、と色々なことがありあっという間に時が過ぎた。



そして十年程経ったある日、あの時同じ日に力を授かった六人で秘密基地に集まった


レオン「三日後僕は魔王討伐を目指して冒険に出ようと思う」


トーヤ「そうか、もうそんなに時間が経ってたんだな」


ジュディ「そんな...レオン君と離れるなんて嫌だよ...」


ルルカ「もう会えないの?」


スズ「レオンを困らせちゃ駄目だよジュディ。笑顔で見送ってあげなきゃ」


レオン「話はここからだよ。そこでなんだけどさ、みんな一緒に行かない?一緒に過ごして十五年、皆と離れて暮らすなんて想像も出来ないんだ」


ジュディ「行く!絶対行く!レオン君の力になりたい!!!」


トーヤ「俺も行くぜ。冒険とか面白そうだしな!」


ルルカ「ルルカは少し後からでいい?まだやりたいことがあるの」


スズ「私は行かないわ。ちょっと思うところがあるの。応援はしてるわ」


ダン「俺も行かない。そんな大層な目標を掲げた冒険なんて疲れそうだ。俺は俺で自由に世界を旅するんだ」

ダンが言い終えるとその場が一時笑顔に包まれた。


ジュディ「ダン君らしいわね」


スズ「そうね。私はダンについていこうかしら。魔王討伐より魅力を感じるわ」


レオン「それも楽しそうだ。じゃあジュディ、トーヤ、ルルカこれからもよろしく。ダンとスズはまたどこかで会えることを期待してるよ」


トーヤ「と言ってもまだあと三日あるけどな」

この一言でまたレオン、トーヤ、ダン、ジュディ、ルルカ、スズの六人のいる秘密基地が笑いと笑顔で満たされた。



それからの三日間は各々旅の準備、気持ちの整理等を済ませつつ毎日夜には六人で集まり静かに騒いだ。



そして三日後の早朝、太陽が顔を覗かせた頃


レオン「僕はこの世界を守るため」


トーヤ「俺は強いやつと戦うため」


ジュディ「私は皆笑顔で居てもらうため」


ルルカ「ルルカはある薬草を見つけるため」


スズ「私は真実を知るため」


ダン「俺は自由な人生を生きるため」


レオン「行くぞ!」


レオン、トーヤ、ダン、ジュディ、ルルカ、スズ「おー!!!」



こうしてルルカを除く五人は旅だった。



ここではこの話に出てきた六人のこども達の中の一人、勇者としてこれから活躍するであろうレオン達では無く、自由に世界を旅し好きなように生きることを心に誓ったダンにスポットを当てていく。


彼について話すにはある日まで戻らなければならない。



時は(さかのぼ)り今から十年前のあの日、冬が終わり、雪が解け草木が花開く時期の教会での出来事である。


登場人物の軽い見た目紹介 十五歳ver


レオン 白緑びゃくろく色の髪をした男の子。六人の中で一番目に背が高い。


トーヤ 橙色の髪をした男の子。六人の中で三番目に背が高い。


ダン 茶色の髪をした男の子。六人の中で四番目に背が高い。


ジュディ 金色の髪をした女の子。六人の中で六番目に背が高い。


ルルカ 水色の髪をした女の子。六人の中で五番目に背が高い。


スズ 黒色の髪をした女の子。六人の中で二番目に背が高い。

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