＃００７ Ｍ２００
エフォート・リスタを少女たちに預けた後、「エフォート・リスタが目を覚ました時、俺の事を少しだけ開示してくれ。 ああ、それと・・・俺と会った記憶をエフォート・リスタに託す。俺を見つけたらその記憶を返しに来い」と言い残してタグを地面に投げ捨てて「また会おう、それと俺はＪＡＣＫＡＬだ」と言って背を向けた。その後、ギルドを出て行き宿屋に向かった。
「――という訳で、短い間ですが、お世話になりました」
「そうかい・・・。それで？ここを出たら、行く所はあるのかい？」
「少し、世界を見て来ようと思います」
女将さんが「それじゃあ、ここを訪ねてみたらどうだい？私の古い友人だけどね」と言って、羊皮紙に“リスタ中央本部ギルド”と書き続けて何やら紹介状みたいな書状を書き始めた。
「――はい、気をつけてね」
「なにからなにまで、助かります」
「やぁねー！照れるよ」
羊皮紙を受け取り再度、「また会えたら、良いですね」と言って宿屋を後にした。羊皮紙にかかれているリスタ中央本部ギルドに向かう前に、裏路地に入りそこで１つの樽を実家から持ってきた無限収納袋から取り出した。
「さてと、今度は一味違った武器を造るとしようか」
そう言って樽の中に両手を突っ込み、思い出し始めた。
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使用弾薬は．４０８Ｃｈｅｙ－Ｔａｃ《１０，３６×７７ミリ》弾で、装填数は５発という対人狙撃銃と対物狙撃銃の中間銃であるＭ２００はボルトアクション式だ。
アクセサリーとして２０倍率まで拡大できる照準器に、伏せ撃ち時に反動を大きく抑える効果を持つ二脚がある。さらにＭ２００内部に仕組まれた電子制御機器が弾道命中率を大幅に上昇させている。
「・・・火力を見たいが、魔物が居なさすぎる」
爽やかな風が草原の草花を揺らしながら吹く中、野営用の食事を狩ろうとして近くにある鬱葱とした森林に踏み入れるとオークの咆哮と女性の悲鳴が聞えて来た。
「――ぃぃいいいやぁぁぁぁっぁぁぁ‼‼‼‼‼」
「――フゴゴゴッ！」
アルトリア・ラーミスは瞳の色をスキルによって変え、造ったばかりのＭ２００を取り出した。
「上限突破、視力強化・・・！」
照準器を覗き込むと同時にボルトを押し上げて後退させた後、押し上げたまま前進させた。そして息を整えて引金に中指を添えた。
照準器内にある十字マークのブレがほぼ無くなったのと同時に添えていた中指を引金にあてがい、「あばよ、性獣」と口ずさんで引金を引いた。
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１０，３６×７７ミリ弾が薬莢から飛び出し、銃身内にあるライフリングを通過しながらラグビーボールのような回転を始めていく。銃口から銃弾が飛び出すとき発射に使用されたガスも一緒に飛び出したが、銃弾だけほぼ水平に飛翔し女性魔導士の服を剥ぎ取ろうとしていた性獣の頭部に刺さったがそのまま貫通した。
しかし、撃ち抜かれたオークはそのまま地面に倒れ込み、起き上がらなかった。
「――ガチャン、・・・キンッ‼」
作動管を押し上げて後退させると空薬莢が勢いよく飛び出して、地面に宙返りをしながら落ちた。
「対象命中、――対象視認」
再び照準器を覗き込むと息を整えずに瞬時射撃を行ったが、その弾丸も近くで仲間を狩った何者かに怒り狂って咆哮を上げているオークの頭部を貫通した。
「命中・・・！」
その調子で次々と残りのオークを討伐して行った結果、オーク討伐数３５体という世界でも類を見ない数を叩き出した。
