#020 WE ARE S,O,M,S,
M417を構えた417-0分隊員達が銃口を、地面をのた打ち回っている3年生達に向け始めた。
直後、躊躇いもなく引金を引き、いくら模擬弾とはいえども当たると痛い股間や弁慶の泣き所を容赦なく撃ち始めた。
「――グギャアァァァァァァ‼」
「いでぇえ・・・‼」
「アッ・・・、アッ・・・。 私のアシガァァ!」
その光景は模擬戦ではなくまるで地獄絵図のような光景だったが、アルヴェニアの指示がない限り無限に襲い掛かるシニガミの様だった。
異様な光景に飲まれていた男性の教師陣は我に返るとすぐに試合中断を提案したが、誰もその提案を受け入れようとしなかった。なぜなら、3年生達は女性の教師や演習先の王女様にも問題行動を起こしていたからだ。それを学院長から聞いたアルトリア・ラーミスやカトリーナ・メルフォンなどが今回の模擬戦を計画したからである。
つまり、模擬戦ではなく3年生達――とくに問題行動が目立った生徒達の公開死刑戦という事だ。
「カ、火球もまともに撃てない平民クラスがぁ! 粋がるな! クラエェ!【サンダーボルト】!」
しかし詠唱が終わる前に何者かによって術式が破壊されると、詠唱をしていた生徒の鳩尾から鮮血が迸り始めた。
「・・・え?」
そのまま、頭部からも鮮血が迸り仰向けに倒れて起き上がろうとしなかった。
生徒を撃ち抜いたのはM24を構えたアルトリア・ラーミスだった。空薬莢となった.338Lapua-Magnum弾が排莢口から排出されると隣で捕捉機能付属双眼鏡を覗いているカトリーナに声をかけられた。
「――頭部に命中したわよ」
「・・・そうか。 次の対象は?」
「左に1度で上に3度の男性教員、見えた?」
「――あぁ、確認した」
アルトリアが引金を引くと、男性教員の頭が吹き飛ぶのが照準器越しに見えた。
「ヘッドショット、ナイスキル」
「・・・だろ?」
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男子生徒や男性教員が阿鼻叫喚としている中、特別作戦傭兵分隊《S,M,O,S,》の部員や顧問の学院長などは冷酷な眼差しで命を刈り取られていく彼らを見ているだけだった。さらに、そこにこの国で特に女性や王女様から最低評価の王子様や男性の王国騎士団などが加わるとさらに過激になって行った。
観客席からアルトリア・ラーミスが狙撃し演習場内からは417-0分隊に加勢と言う理由で参戦しに来た416-0分隊と416-1分隊が射撃と言う名の粛清を始めた。
「ヒギャアァァァァ!」
「――ゆ、許してくださぁい‼ グフッ・・・!」
「へ、平民に、貴族のこの僕が負ける事は無い! 仲間の仇、晴らしてや――ガフッ!」
まさに地獄――いや、地獄よりもひどい光景だ。
観客席に術式を向けると背後からハチの巣同然に風穴を開けられ地面に倒れ込みまた、仲間の仇を討とうとした者は慈悲を与えられることなくアルトリアのM24によって頭部を撃ち抜かれて一撃即死であの世行き確定になる。
アルトリアの狙撃による支援の最中、016-4分隊員達も副武器に装備していた5,45×39ミリ弾を30発も撃てるAKS-74Uで突撃して行くのに続いてアルトリアとカトリーナも観客席から飛び降りて5,56×45ミリNATO弾を単発で30発撃つことが出来るAR-15に持ち替えて演習場内に降り立った。そして、同じく隣に降り立ったカトリーナに「背後は任せろ、相棒。 暴れて来い」と言った。
カトリーナはその言葉を聞くと口角を釣り上げて、後ろを見ずに男性教員と3年生エリート20人枢軸側と魔法に苦戦している特別作戦傭兵分隊《S,M,O,S,》の部員や顧問の学院長などの連合側の戦線に突撃して行った。
「お、お前がここに来てから、学院が――水泳部が崩壊したンだぞ!」
「それは、それは・・・。 先輩方が人の心を持って居なかっただけでは?」
アルヴェニアとアルヴェニアの所属する水泳部の主将の3年生が口論をしていると、水泳部の主将であるノスダート・レオジックが頭部から鮮血を流し始めて地面に倒れると同時に絶命した。
「ナ、何・・・? キサマ、黙って聞いていれば――ガフッ・・・!」
「ノスダート! クソ、また見えない攻撃――カフッ・・・!」
そばに居た別の3年生にも不可視の攻撃が命中して、共に絶命した。アルヴェニアは後ろを振り返ると視線の先にAR-15の銃口をこちらに向けて構えているアルトリアと目が合った。
『アルヴェニア、無事か?』
「ええ、無事です」
骨伝導無線越しに聞こえて来たアルトリアの心配する声に対して無事を知らせると短く『そうか』と返って来たのと同時に全体チャンネルで『――総員、傾聴。 これより、反攻作戦に移る。各分隊、敵集団と交戦している1年生と2年生の男子生徒を敵と誤認するな! 016-4分隊はそのまま支援射撃を続行しろ、以上だ。送れ!』と聞こえて来た。それを合図に演習場内が一度静かになるが、あちこちで突然、岩や瓦礫などが地面から姿を現しだしたので彼女らは素早くそれらに身を隠した。
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なぜ突然、障害物が地面から姿を現したのかと言うと、アルトリアの指示で学院長に「障害物を頼む、方位1-9-0」と命じていたからだ。それに、今更だが学院長はアルトリアの実姉でもあり頼れる顧問だ。
「各分隊、射撃開始!」
アルトリアの号令と共に障害物から射撃を始めた部員たちは、悲鳴が聞えて来ようが逃亡を図ろうと背を向けた先輩達に鉛の雨を降らしていった。




