地龍王の迷宮
「マズったなぁ……これは久々にガチだな。」
俺は周りのモンスター達を一瞥しながらつぶやく。
「ま、一気にケリをつけるか。ファーファー頼むぞ。」
(了解よ)
ファーの力が俺の中に流れ込んでくる。
「来い、ケイオス!」
右手を中心に光の粒子が現れ、俺の手に漆黒の刃の剣が握られる。
『闇の爆炎!』
俺がケイオスを振る度に、黒炎が周りのモンスターを薙ぎ払っていく。
しかし、いくら倒しても、後から後から湧いて出てくるモンスター達。
俺がいるのはとてつもなく広い広場だ。
周りをモンスターで囲まれているため、目視での確認はできないが、遠くの方から、カナミやミリィの魔法を唱える声が、リィズの双剣がモンスターを斬り裂く音が、ソラの歌と銃声が聞こえてくるので、彼女たちも同じフロアにいるのは間違いないだろう。
「間が空いているのは、ある意味助かったかもな……『灼熱の大爆発!』」
俺を中心にして周りに大爆発が起きる。
『暴風龍!』
モンスターの一団が暴風に晒され舞い上がる。
暴風の圏内にいる者達はその風の刃でズタズタに斬り裂かれ、その鮮血が風に巻き込まれる。
さながら紅い台風と言った感じだ。
『炎の柱!』
巨大な炎の柱が、周りのモンスターを巻き込み、のみ込んでいく。
炎の柱は1本だけではない。
俺は呪文を唱える度、柱の本数は増えていく。
俺は、周りがモンスターだらけな事をいい事に、広範囲魔法をふんだんに使っていく。
しかし、魔力量に余裕のある俺でも、これだけ時間がかかっているうえ、まだ敵が減っていない。
これ、普通の冒険者や、あの勇者たちでは歯が立たないんじゃないか?
とりあえず、俺はモンスターを排除しながら、他の子達との距離を詰めていく。
できれば、早めにソラと合流したい。
ソラはそれなりに戦えるとはいえ、基本は支援が中心になる。
単体でこれだけのモンスターに囲まれると分が悪いだろう。
似たような理由で、広範囲攻撃技を持っていないリィズも気にはなる。
『灼熱の大爆発!』
広範囲の大魔法を使って、モンスターのいないエリアを広げつつ、移動していく。
……ダンッ、ダンッ、ダンッ!……ダンッ、ダンッ、ダンッ!
銃声の音が大きくなってくる……ソラが近い。
「ソラ、大丈夫か!」
俺は大きな声で叫ぶ。
……ダンッ、ダンッ、ダンッ!……おにぃちゃん?
……ダンッ、ダンッ、ダンッ!……ボクは大丈夫……ダンッ、ダンッ、ダンッ!
銃声にまぎれてはいるが、しっかりとソラの声が聞こえる。
『大いなる風の龍!』
俺は近くに寄ってきたモンスターを吹き飛ばす。
「ソラ、当たるなよ!……『雷神!』」
辺り一面に雷が落ち、モンスターたちが地面に倒れ伏す。
「おにぃちゃん!」
視界が開け、俺の姿を認めたソラが飛びついてくる。
「ソラ、がんばったな。」
「うん、コレくらい大丈夫だよ!」
「このまま、他の皆とも合流するぞ……。」
「……みんな、聞こえる?」
俺が、ソラに声をかけている途中、通信の魔道具から、カナミの声が聞こえる。
「応える余裕がないなら、そのまま聞いて……今、ミリィと合流して防御結界を張ったわ。今から上空に魔法を打ち上げるから、そこを目指して合流して!」
ドォゥーン!
通信が切れると同時に、大きな爆音とまばゆい光が北の方に見える。
「ソラ、聞こえたな?あっちを目指すから遅れずについて来いよ。」
「ウン、分かった!」
その時、雷が落ちるのが見えた。
たぶんリィズだろう。
応える代わりにオクタエッジの魔力を開放したに違いない。
無事を知らせると同時に、応えるだけの余裕はないという事だろう。
位置は、俺達とカナミ達がいると思われる光のあったあたりの間ぐらいだ。
「俺だ、レイフォードだ。ソラも一緒だ。リィズの位置は確認した。俺達とカナ達のちょうど中間だな。リィズ、無理はしなくていい。単独で向かえるならカナ達の方へ、難しそうなら俺達が行くまで待ってろ。」
俺はそう通信をすると、リィズのいるあたりへ向かって進む。
前方から寄ってくるモンスターは、ケイオスで一薙ぎに払い除け、後方から忍び寄るモンスターは、ソラが撃ち倒し……と、連携を取りつつ進んでいく。
しばらく進むと、俺たちに向かってくるモンスターは少なくなり、前方に向かっていくモンスターが多くみられるようになった。
もちろん俺達が近づけば、こちらへとターゲットを変えるのだが……たぶんリィズが戦っている場所が近いのだろう。
そのまま、モンスターを薙ぎ払い、道を作り、進んでいくとリィズの姿が見える。
モンスターがリィズに飛び掛かる。
それを躱し、すれ違いざまに斬り裂く。
そのまま回転の勢いを利用して隣のモンスターを斬り裂き、一瞬の内にバックステップ。
後ろから迫っていたモンスターの背後を取って、オクタエッジを一閃。
振り向き様に、真空の刃を飛ばし、飛び掛かろうとしたモンスターを斬り裂きつつ、近くのモンスター達を牽制。
そして、左から迫るモンスターの攻撃を躱して、カウンターを叩き込む……。
流れるような一連の滑らかな動き……演武とでも言えばいいのだろうか、まるで洗練された舞踊を見ているようでもあった。
しかし、俺達がここに落とされてから30分以上経つ。
流石にリィズも疲れてきているはず。見た目よりギリギリに違いない。
リィズの後ろからモンスターが迫るが、リィズの反応が一瞬遅れる。
モンスターの爪が、リィズの背中を斬り裂く……寸前、ソラのワルサーによって弾かれる。
その隙をついて、リィズのオクタエッジが止めを刺す。
「にぃに、ソラ、助かったっす。」
そう言って、駆け寄ってくるリィズ。
顔にはかなりの疲労の色が見える。
「頑張ったな、後は引き受けるからしばらく休め。」
俺はそう言ってリィズに回復ポーションを渡す。
その間にも、迫ってくるモンスターは、ソラがワルサーで撃ち倒していく。
その銃撃をすり抜けて迫ってくる奴は、俺がケイオスで斬り裂く。
しばらくの間、リィズを中心で休ませ、近寄ってくるモンスターの排除に専念する。
「にぃに、ありがとうっす。もう大丈夫っす。」
「大丈夫か?もう少し休んでてもいいんだぞ。」
「十分休んだっす。それより、ねぇねとカナミが苦戦してるっす。早く助けに行くっすよ。」
リィズは休息をとりつつカナミと連絡を取っていたらしい。
カナミとミリィは防御結界によって、ある程度の安全スペースを確保したまでは良かったけど、モンスターの群れがどんどん押し寄せてきて来たため、結界を維持するので精いっぱいだそうだ。
結界が破られる心配はないが、攻撃手段が限られてしまったためにモンスターを追い払うことが出来ず、モンスターも結界に阻まれて、手が出せず……と、千日手の様相だそうだ。
「じゃぁ、とりあえず先に合流するか。」
俺はソラとリィズに後に続くように指示する。
『大いなる風の龍!』
前方に竜巻が発生し、モンスター達を飲み込んでゆく。
『炎の壁!』
『炎の壁!』
風の竜が通りすぎて、開けた両サイドに炎の壁を出していく。
モンスター達は、炎の壁に遮られ近寄れない。
中には、無理やり寄ってくる個体もあったが、大半は炎に焼かれて力尽きる。
「今のうちに行くぞ!」
俺達は風の竜が作った道をかけてゆく。
『大いなる風の龍!』
『炎の壁!』
『炎の壁!』
大いなる竜巻がモンスターを飲み込み道を作る。
出来た道にモンスターが入り込まないように炎の壁で遮り、その間に通り抜ける。
風と炎のコンボにより、それ程時間をかけずにカナミ達と合流することが出来た。
「カナ、ミリィ、待たせた。」
「ううん、こっちこそ、来てもらってゴメンね。私とミリィだけだと、突破力に不安があったから。」
カナミはそう言うが、ミリィもカナミも、攻撃力がないわけではない。
それどころか、多彩な精霊魔法が使えるミリィとオールラウンダーのカナミが組めば、その辺のアタッカー等及ばないぐらいのダメージを叩き出すことが出来る。
ただ、俺やリィズがアタッカーであるため、普段は回復・支援に回っているだけなのだ。
今回の場合は、味方の位置がはっきりしない事や、この先の状況が読めない事などから、闇雲に動き回るより、安全に合流できる場所を確保することを優先した……賢明な判断と言えよう。
「とりあえず、結界の維持は俺が、周りの警戒はソラがするから、3人は休んでくれ。」
俺は、交代で休むことを告げ、疲労が激しい3人を先に休ませる。
ソラは、俺と早くに合流した分、回復出来ているから後でも問題ないはずだ。
「ソラ、まず大丈夫だと思うが、結界を越えようとする個体があったら、撃ち倒してくれ。」
「ウン、分かった。」
(ファーも少し休むか?)
俺は一旦精霊化を解く。
精霊化は、術者の能力を底上げしてくれるが、その分魔力を消費していく。
術者と精霊の親和性が高いほど消費量は少なくて済むが、それでもかなりの魔力が必要となる。
リィズの場合、魔法は使えないが内包魔力はそれなりにあるので、全くの装備無しでも20分程、魔力消費軽減などの上位エンチャントを施したいつものフル装備であれば、1時間は精霊化したままフル稼働できる。
これがソラになると、ファリスとの親和性の高さもあり、フル装備ならば5~6時間は平気で精霊化していられるのだから、内包魔力はかなり多いと言えるだろう。
しかし精霊化の問題は魔力消費だけでなく、長時間精霊化していると意識の混濁が起きるというのがある。
簡単に言えば精霊との意識が交じり合って、自分なのか精霊なのかがわからなくなっていくのだ。
大抵の場合は、精霊のセーフティが働き、混濁する前に強制解除されるが、俺のように魔力が膨大で強制力が強いと、解除前に精霊を飲み込んでしまう恐れがあるので、余り精霊化をしないように気を付けている。
「しかし、洞窟に入った途端落とし穴に落ちるとはな。」
「ウン、でも入り口そんなに広くなかったのに、なんでみんなバラバラになっちゃったのかなぁ?」
周囲を警戒しながらも、俺とソラはおしゃべりに興じる。
「たぶん、落とし穴そのものが魔法の罠だったんだろうな。広範囲に散らばらせるような類の魔法がかけられていたんだろう。」
俺がそいうと、ソラの頭の上のはてなマークが浮かび上がる……様に見えた。
難しかったか?
「簡単に言えば、今まで起きた事の簡単版の魔法がかかってたんだよ。」
「そっか、そう言う事なんだね。」
ダンジョンでバラバラに飛ばされる経験を何度かしていた為か、こっちの説明の方が理解しやすかったようだ。
「それでおにぃちゃん、この後はどうするの?」
「あぁ、まずはこの場所を確保しつつ、出口を探すことだな。扉か、階段か、または転移陣かもしれないが、この部屋を出る道があるはずだからな。」
……まぁ、出るためのフラグが、この中のモンスター全滅って言う線もあるかもだけど……それは考えたくないな。
「それなら、すでに確認してあるよ。」
「カナ、もういいのか?」
「ん、今回私よりミリィの方が無理していたからね。その分、私は楽させてもらっちゃった。」
テヘペロっと可愛く舌を出すカナミ。
まぁ、長丁場になればカナミに頼らざるを得なくなるってわかってたんだろうな。
カナミもミリィも俺より判断力があるんじゃね?
「それより出口かどうかわからないけど、ここから100Mぐらい行ったところに扉があるよ。どういう類のものか分からないから、少し離れたここに結界を張ったんだ。」
まぁ、扉を入れて結界を張ってしまった場合、もしその扉からモンスターが出てきたら、結界の意味ないしな。
「じゃぁ、休憩が終わったら、そっちへ移動して結界を張り直して扉を開けてみるか。」
「移動するのも大変そうだけどね。」
そう言って苦笑いをするカナミ。
確かに結界の周りに張り付くように、大量のモンスターがいるけど……。
「それについては考えがあるから、任せておけ。」
◇
「じゃぁ、みんな準備いい?」
「大丈夫だよ。」
「いつでも行けるっす。」
「タイミングを合わせて前方の結界を解きますわ。」
カナミの言葉に、それぞれが応える。
「じゃぁ、行くよ……ヴィノゥ!」
カナミがタクトを取り出し、空にルーンを描く。
「ᚨᚲᛋᛏᛜ…………『龍の咆哮!』」
カナミの魔力が描いた魔法陣に収束し、前方へと放たれる。
「よし行くぞ!」
『氷の壁!』
『氷の壁!』
『氷の壁!』
『氷の壁!』
俺は次々と氷の壁を出して道を確保し、ミリィ達は左右を確認しつつ走り出す。
「え、ちょっと……。」
「今は時間が惜しいんだよ。」
俺はかなり魔力を使ったであろうカナミを抱きかかえ、皆の後を追う。
「強引だなぁ、もぅ……。」
顔を赤く染めながら、俺に体重を預けてくるカナミ……ん、その方が走りやすくて助かる。
「レイさん、早く、こっちへ!」
ミリィが叫ぶ……氷の壁をモンスター達が壊し始めている……が、モンスターがなだれ込む前に、ミリィの元へ何とか転がり込む。
『絶対障壁』
俺達が辿り着くと同時に防御結界を張るミリィ……何とか間に合ったか。
「ふぅ……この扉だな。」
俺は、目の前の大きな扉を見上げる。
「にぃに、トラップとかはなさそうっす。」
扉周りを調べていたリィズが、そう報告してくる。
「OK……カナ、どうだ?」
「ん、大丈夫。魔力もばっちり回復したよ。」
「じゃぁ行くか。」
俺は皆に合図を送り、扉に手をかけ、ゆっくりと開いていく……。
扉の先は、それなりの広さがある広場になっていた。
俺達は扉をくぐると、すぐに閉める……これで後ろから襲われる心配はない。
そして前方に視線を送る……そこにいるのは1頭の竜。
「まぁ……想定の範囲だけどな。」
扉をくぐったらボス戦だろうとは思っていたので、それなりの覚悟はしていたが。
「竜っすか……龍じゃないだけマシと思えばいいっすかね。」
相手が『龍』ならば、以前も言ったようにまず勝ち目はない。
しかし『竜』であれば戦いようによっては何とかなる相手だ。
竜の鱗は強固ではあるが、剣が通らないわけではなく、また、魔法を弾くわけでも無い。
かなり減衰されるが、ダメージが通るのだから、蓄積していけばいつかは倒せる。
「ミリィはあの竜の足止めを優先、ソラは支援と援護を頼む。」
俺はミリィとソラに指示を出す。
「リィズは、とにかく削ってくれ。ミリィが足止めしてくれるから大丈夫だと思うが、ブレスには気を付けて。後、水と雷はたぶん効きが悪いから、それ以外の属性剣にしておいた方がいい。」
リィズは削り役……と言うより囮だ。リィズが動き回ってくれれば、その分こちらへの注意が減る。
申し訳ないが、竜相手のダメージはやはり魔法頼みになる為に仕方がない。
「俺もリィズと共に前線に出る。カナはとにかく大魔法を打ち込んでくれ。」
この竜戦は、ダメージディーラーは俺とカナミになるだろう。
しかし、リィズだけでは牽制するのは難しいので、俺も前線に出る必要がある。
攻撃を俺達にひきつけ、カナミが魔法を打ちやすく出来るかがポイントになる。
「皆さんに加護を……『精霊の祝福!』……皆さん、お気をつけて。」
ミリィが精霊の加護の呪文を唱える……体が軽くなる。
「よしくぞ!」
俺とリィズは地竜に向かって走り出す。
「樹の精霊さん、お願い……『蔦絡』!」
後ろでミリィの声が聞こえる。
前方の地竜の足元から蔦植物が生えてきて足を絡めとる。
『氷結!』
更にその上から凍り始め、地竜はその場に縫い留められたように動けなくなる。
その地竜に向かってリィズが飛ぶ。
背中に着地すると、そのまま双剣を突き立て斬り裂く。
尻尾が、リィズを振り払うように動くが、すでにそこにリィズはいないので空振りすることになる。
リィズは地竜の背中を縦横無尽に飛び回り切裂いていく。
大きなダメージは与えられないものの、少しづつ切り刻まれていくため、煩わしさを感じるのだろう。
地竜はリィズを振り払うのに必死になっている。
『炎の泡』
カナミの魔法が地竜を襲う。
ファイアーボールとは違い、炎が対象を包み込んで纏わりつくのだ。
今も地竜の顔全体を炎が覆っている。アレでは呼吸が出来ないだろう……何ともえげつない魔法だ。
しかし、さすがは竜である。
ブレスで顔の周りの炎を消し飛ばす。
『真空烈波!』
俺は、すかさず魔法を叩き込む。
真空の刃が地竜の首から頭にかけて切り刻んでいく。
『蔦穿孔!』
足元の蔦が伸びてきて、竜の首を突き刺す。
ミリィの魔法だ。
先程から、強固な足止めをしつつ、援護をしてくれている。
戦闘開始から、かなりの時間がたった。
竜種の中でも堅牢で豊富なスタミナを誇る地竜なだけあって、かなりしぶとい。
しかし、ソラの歌声が俺達の身体を軽くして力を与えてくれる。
おかげで、地竜の攻撃を食らうことなく躱し、カウンター気味にダメージを与えていく。
やがて蓄積されたダメージは、地竜の動きを鈍らせていく。
「気をつけろ!ブレスが来る!」
地竜がブレスを吐く動作を始めたので、俺は注意喚起をする。
「やらせないっす!」
リィズが背中から頭部へとジャンプし、竜の目を斬り裂く。
竜が首を振った反動で、リィズは弾き飛ばされるが、自ら飛んだようなのでダメージは軽減されている。
視界を失った竜は、その場でのたうち回る……そろそろ止めだな。
『暴風龍!』
嵐が地竜を襲う。
地竜の周りに渦巻く風が、その体を切り刻み鮮血が迸る。
嵐の中振り回される地竜に、もうスタミナはほとんど残っていない。
「カナっ!」
「OK!……『龍の咆哮!』」
俺の叫びに答えて、カナミが最後の大技を繰り出す。
カナミから迸る魔力の咆哮が地竜の身体を貫き……そして地竜は動かなくなった。
「ふぅ、みんなお疲れ。」
俺は集まってきたみんなに声をかける。
「何とか倒せたっすね。」
「リィズ、大丈夫だった?」
ミリィが心配そうに声をかける。
先程弾き飛ばされたのを気にしているのだろう。
「大丈夫っす、さっきのは自分から後ろに飛んでいるので、ダメージはないっすよ。」
「でも、これで、ここのボスクリアね……先に進む扉とかあるかなぁ?」
カナミが周りの様子を窺う。
「うーん、とりあえずあれかな?」
俺は指をさす。
地竜がいた場所の奥……そこには、いかにもと言う感じで1本の剣が突き刺さっている。
俺達はその場へ赴くと、その剣には『伝説の剣』というプレートがかけられていた。
「にぃに……なんすかね、このやるせない気持ちは……?」
「まぁ、な……ガチバトルやったせいで、余計に……な。」
「あはは……しょうがない……かな?」
とりあえず、その剣に手をかけて引き抜く。
「……まぁ、一応伝説の剣に間違いはない……けどな。」
俺はその剣を鑑定し、その結果を見てどっと力が抜ける。
本当に、ガイアドラゴンってやつは何を考えてるんだ?
「その剣、なんなの?」
「気になるっす。」
カナミとリィズが、興味津々と言う感じで聞いてくる。
「あぁ、伝説の剣だよ……100%オリハルコン製の。」
「オリハルコンって、存在自体が伝説の……。」
そう、伝説の鉱石オリハルコンでできた剣……伝説の剣で間違いはない。
「ちゃんと現存していたようだな、オリハルコン。」
「それで、にぃに、どんな機能がついてるんすか?伝説の剣だからすごいんすよね?」
リィズが目を輝かせる……しかし……。
悪いな、その期待にはこたえられそうにない。
「別に、何も……ただオリハルコンで出来ているだけ……まぁ、材質が材質だからアダマンタイト製の剣よりは堅いかな?」
魔力も通っていない、なんの特殊技能もついてないただの剣。
「なんすか、それ……?」
リィズがしょんぼり、ガッカリしている。
俺もがっかりだよ……戻ったらインゴットにして何かに使うしかないな。
『フハハハハ……伝説の剣を手にし勇者よ!よくぞここまでたどり着いた。褒美に我との謁見を許そう!入るがよい!』
突然広場内に響き渡る声、
そして扉が開く……。




