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いつか魔王になろう!  作者: Red/春日玲音
第一章 魔王になろう

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魔王ダンジョン上層 -前編ー

 真っ暗で何も見えない……。

 「ッ!」

 俺は慌てて飛び起きる。

 「くそー、意識を飛ばされたか。」

 どれぐらい意識を失っていたのかは分からないが、とりあえず、現状の確認を優先する。

 とはいっても真っ暗で何も見えないな。

 「暗視(ナイト・ビジョン)

 俺は視界確保のための魔法をかける。


 ……あかん、真っ暗だ。

 元々、暗視の魔法は通常の人の目に感知できないぐらいの僅かな明かりを、増幅させて捉える魔法である。

 それ故に、完全に光のない所では役に立たない。


 はぁ……仕方がない……「光よ(ライティング)!」

 俺は周りを照らす魔法を唱える。

 闇の中で光るという事は、それだけ目立つという事であり、襲われやすくなるので、できれば使いたくなかったけどな。


 「ウギャッ!ギャッ、ギャッ……。」

 俺がライトの魔法を唱えると、周りで変な叫び声がしたかと思うと、ボトッ、ボトッと、何かが落ちる音もする。

 ライトに照らされて明るくなった周りを見ると、地面にヒクヒクと痙攣しながら倒れているダンジョン蝙蝠の群れがいた。

 「あぁ、ここを根城にしていたのか。」


 ダンジョン蝙蝠は、その名前が表すように、主にダンジョン内に生息する蝙蝠型のモンスターである。

 大きさは、羽を広げても成人男性の掌ぐらいと割と小さく、攻撃力も低いため、20~30羽ぐらいの群れであればそれほど脅威ではないが、ダンジョン蝙蝠の怖さは数にある。

 数百、多い場合は数万という数のダンジョン蝙蝠に襲われると、凄腕の冒険者と言えどもひとたまりもないのだ。

 奴らは超音波を利用して位置を確認したり意思疎通を図っている為、暗闇でも……というより暗闇こそが奴らのテリトリーなのだが、それ故に、急な光に感覚器官が耐えられなかったのであろう。


 俺は、ナパームの魔法で、周りを焼き払う。

 復活されても厄介だからな。

 ダンジョン蝙蝠を処理し終えた後、俺は改めて周りを見回し現状の確認をする。

 俺がいる所は、行き止まりのような何もない小部屋。

 通路っぽい道は一か所だけで、後は岩壁に囲まれている。

 部屋の中には俺一人。

 どうやらバラバラに転移させられたみたいだ。

 

 ダンジョンの入り口をリィズが見つけて、諸々の準備などをしてから入り口をくぐったのが先程の事。

 入った途端に転移陣が起動して、気づいたらここに居たわけだが、腹の減り具合からしても、それ程長い間気を失っていたとは思えない。

 通信の魔道具も、互いの位置を確認する魔道具も反応なし。

 ファーを呼んでみるも、力は感じるが意思の疎通ができない……阻害されているとみて間違いなさそうだ。

 「となると、あの道を進んでいくわけだが……。」

 俺がやるべきことは、一刻も早く他のメンバーと合流することだ。

 何人かで固まっていればいいが、完全に個別で離されたとなると、戦力的に心配な奴らもいる。

 特にブランとソラとレイファは、パーティ戦ならともかく、個人戦となると他のメンバーに比べて、やや分が悪い。

 ブランは近接戦はともかくとして遠距離の攻撃手段がなく、回復手段もポーションのみ。

 逆にレイファは、回復と防御は問題ないが、攻撃手段をあまり持ち合わせていない。

 ソラに関しては、精霊が阻害されている今、どこまでファルスの力が出せるかによって変わってくるが、やはり回復手段がないのがつらい所だ。


 俺は、焦る気持ちを抑えつつゆっくりと慎重に、通路を進んでいく。

 俺の少し前を光の玉が、ふよふよと浮かんで足元を照らしてくれる。

 しばらく歩くと、小部屋があり、その中から人の気配がした。


 バシュッ!バシュッ!

 俺が気配を感じると同時に、小部屋の人影が攻撃を仕掛けてきた。

 「っと。」

 魔力の塊が俺をかすめていく。

 この攻撃は……

 「ソラか?そこにいるのはソラなのか?」

 バシュッ!バシュッ!

 俺が呼び掛けても応えなく、代わりに魔力弾が放たれる。

 俺は、浮かべている光の玉へ供給している魔力量を上げる。

 辺りが明るくなり、人物の姿がはっきりとわかる……ソラだ。

 

 「ソラ、俺だ、レイフォードだ!」

 「あぁ、おにぃちゃんかぁ。」

 バシュッ!バシュッ!

 うぉっと。

 「攻撃をやめてくれないか。冗談にしても質が悪いぞ。」

 「えー、おにぃちゃんを、ボクだけのものにするには、これが一番なんだよ。」

 バシュッ!バシュッ!バシュッ!バシュッ!

 そう言いながら、射撃をやめないソラ。

 「ッツ!」

 魔力弾が肩をかすめ、血が流れ出す。


 「いい加減にしろ!」

 「いい加減にするのはおにぃちゃんだよ。諦めて撃たれてよ。」

 バシュッ!バシュッ!

 ……操られているのか?

 「ボク、こんなに、おにぃちゃんの事好きなのに……おにぃちゃんは分かってくれない。」

 ソラが近づいてくる。

 「ボクだって、もう大人だよ……。」

 そう言って、ソラが服を脱ぎだす。

 「ソラ、それ以上はよせ!」

 俺は止めようと駆けよるが、ワルサーで牽制される。


 ソラの上着がはだけて、幼いながらも年齢にはそぐわない大きさの双丘が曝け出される。

 「ほら、ちゃんと見てよ、ボク、もう子供だって作れるんだよ。」

 ソラが近づいてきて俺の首に手を回す。

 クッソ……操られてるって言っても、どうすれば解けるんだ……。

 「ソラ、目を覚ませ!自分が何をやっているのかわかっているのか!」

 「わかっていないのは、おにぃちゃんだよ……ボクがこんなにも求めているのに、いつも子ども扱い……。ボクがどれだけ切ない思いをしているのか……わかってる?」

 潤んだ目で見あげてくるソラ……なんだ……ソラが愛おしい……クソッ……魅了系の状態異常にかかった……油断していた。

 ソラの背中に腕を回す……俺を見上げていたソラが目をつぶる……そのまま俺はソラの唇に……


 「ダメェー!」

 突然の大声が、ソラの口から飛び出し、突き放される。

 その声にハッと、我に返る。

 「初めてのキスがこんなのってイヤだよー。」

 ソラが何かに抵抗するように体を振る。

 俺はポーチから取り出した小瓶をソラに投げる。

 「アッ……。」

 小瓶が割れて、中の液体がソラに降りかかると、力が抜けたようにしゃがみ込む……。

 ソラから黒い靄のようなものが出てくる。

 小瓶の中身は万能薬と聖水だ。

 状態異常か、憑依か分からないので両方かけてみたが、あの靄が正体とすると、憑依の方らしいな。


 「グ、ギギィーー、アトスコシダッタ……」

 ズシャッ!

 靄が何か言いかけていたが、俺は間髪入れずに斬り裂く。

 靄が散り散りになって消滅するのを確認し、俺はソラに駆け寄る。

 「ソラ、大丈夫か。」

 ソラを抱き起すと、胸元がはだけて顕わになる。

 慌てて、服をかけてやる。

 「エヘッ、おにぃちゃんボクの胸見てドキドキしている。」

 「バカ、まだ正気に戻らないのか?」

 ま、まぁ、確かにドキドキしたけど……って、いかん。

 ソラの顔がゆっくりと近づいてくる……。


 「ゆっくり休ませてやりたいが、他の奴らも心配だからな。悪いけど頑張ってくれ。」

 俺はそう言って、ソラを背負って移動する。

 「エヘッ、おにぃちゃんの背中、おっきいね。」

 そう言って、ソラの身体からクタッと、力が抜ける。

 「おい、ソラ?」

 返事がない、疲れて寝てしまったようだ。 

 まぁ、精神を縛られていたのを無理やり解除したんだからな。

 肉体的にどうあれ、精神的にはかなり消耗しただろう。

 本当は、ゆっくりと寝かせてやりたいが、他の子が気になるのも確かだ。

 かといって、一人でおいていくわけにもいかないしな。

 俺は、せめて心地よく眠れるようにと、歩く速度を落として、なるべく揺れないように進むのだった。


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 おにぃちゃんの背中おっきぃなぁ……安心できちゃうよ。

 ダンジョンに入った途端、わけわからないところに飛ばされて、心細かったんだ。

 でも、きっとにぃちゃんが来てくれるって信じてた。

 そして、ボクが思った通り、おにぃちゃんが来てくれたんだけど……。

 それからの事はよく覚えていないんだ。

 急に目の前が暗くなって……気づいたときには、ボクがおにぃちゃんを撃ってる!なんで!?

 

 ちょ、ちょっと待ってよ、なんで、ボク服を脱いでるの……あ、おにぃちゃん眼を逸らしながら、チラチラ見てるぅ……。

 

 え、何?なんでおにぃちゃんに迫ってるの……おにぃちゃんの顔が近づいてくる。

 ……夢にまで見た、おにぃちゃんとのファーストキス……

 でも、これ違うよ……ボクの意思じゃない……ボクの意思じゃないのに初めてなんてイヤだよ……おにぃちゃんの目の焦点が合っていないよ……こんなのダメだよ……。

 でも、ボクの思いとは関係なく体は動かない……まるで、誰かに縛り付けられているようで……。

 ダメ……ダメだよ……、おにぃちゃんやめて……。

 「ダメェー!」

 ボクは思いっきりおにぃちゃんを突き飛ばす……身体の自由が利かないから、実際には少し押しただけになっちゃったけど。 

 

 おにぃちゃんには迷惑かけちゃったけど、やっぱりボクのピンチには助けてくれる、素敵な人。

 でも、ボクの胸見て、真っ赤になってるおにぃちゃんも可愛かった。

 そして……ボクは自分の唇にそっと指を触れる……

 エヘッ、おにぃちゃん、だーいすき!


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 「お、起きたか?ちょうどよかった、一旦降ろすからな。」

 緊迫した状況ではあるが、ソラが目を覚ましてくれたので、下に降ろす。

 「あいつが弱った所で、これを投げつけてくれ。」

 俺は、こっそりとソラに囁き、小瓶を二つソラに預ける。

 そして、眼前で剣を構えている人物に声をかける。

 「待たせたな……リナ。」

 

  ◇


 俺がソラを背負って歩きだしてから十数分……先ほどと同じような小部屋が見える。

 あそこにいるのは誰だろうか?

 俺が部屋の中に入ると、そこに居た人物が声をかけてくる。

 「お待ちしてましたわ、レイ様。私と勝負です。」

 目の前に立っているのはリナ……ポメラソードを構えて待っている。

 「話を……って言ってもムダか。」

 「よくわかっているじゃありませんか。話をしたいなら私を倒すことです。」

 「ソラを降ろすから少し待ってくれないか?」

 俺はダメもとでそう言ってみた。

 「いいでしょう、ハンデがあって負けたとか、言い訳されても困ります。」

 ソラといい、リナといい……単純な洗脳とか憑依ってわけでもなさそうだな。


 ◇ 


 キィン!キィン!キィン!キィン!

 金属と金属のぶつかり合う音が、部屋の中に鳴り響く。

 「どうしたのです、レイ様。先程の勢いはどこへ行ったのですか?」

 リナが、余裕たっぷりといった表情で話しかけてくる。

 「クッ、手加減、してやってんだよ!」

 キッィィン!

 俺は、受け止めた刃をはじき返し、その勢いを利用して間合いを取る。

 純粋に剣の腕だけなら、リナの方に分がある。

 しかも、装備は俺が手掛けたポメラソードだ。

 銘もエンチャントも冗談交じりのモノであるが、性能としては俺のファリスに次ぐ逸品だ。

 よそに出せばアーティファクト級という事で値段がつけれない程のモノであることは間違いない。

 

 「あなたは、いつもそうやって誤魔化すのですわね。」

 剣を振り下ろしながら、リナが話しかけてくる。

 キィン!キィン!

 「何のことだ?」

 俺は剣を受け止めながら応える。

 キィン!キィン!

 「私が、勇気を振り絞って誘いかけても、恥ずかしいのを我慢して挑発しても、適当にはぐらかすヘタレ!」

 キィン!キィン!

 ちょ、ちょっと待て……

 「あんなに素敵な奥様候補がたくさんいらっしゃるから、後回しなのは仕方がないですが、それでもちょっとぐらいお情けをくれてもいいじゃないですか!」

 キィン!キィン! キィン!キィン!

 リナの攻撃が激しくなる。


 「たまに触れてくれたかと思えば、耳と尻尾だけ!私は耳と尻尾以外は魅力ないんですか!身体目的でもいいですけど、それでも耳と尻尾だけというのはあんまりですわ!」

 キィン!キィン! キィン!キィン! キィン!キィン!

 さらに激しくなる、リナの斬撃……クソッ、躱すだけで精いっぱいだ。

 どうすればいいんだ、コレ……。


 「私だって、あなたの事愛しているんですよ!」

 リナが勝負をかけようと大技を繰り出す瞬間。

 『目眩ましの光(ライト)

 リナの目の前に光が現れる。

 突然の眩しい光を浴びて、一瞬怯むリナ。

 キィィィィン………

 一瞬の隙を狙って、リナの腕からポメラソードを弾き飛ばす。

 そのまま剣の柄を使って後頭部を殴る。

 リナの身体が、ぐらりと揺れて倒れる。

 『拘束(バインド)!』

 念のために、拘束してからソラに声をかける。

 「ソラ、さっきの小瓶」

 「ウン、判った。」

 ソラが駆け寄ってきて小瓶の中身をリナに振りかける。

 リナの身体から、ソラの時と同じように黒い靄が現れる。

 「グ、ギギィー……」

 ズシャッ!

 俺が間髪入れずに斬り裂くと、チリのようになって消えていった。


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 困りましたわ……ダンジョンに入った途端、見知らぬところに飛ばされてしまったみたい。

 はぐれた皆様を探しに行くべきか、下手に動かず、誰かが来るまでここで待機するべきか……判断に迷うところですね。

 剣の腕はそれなりに自信はありますが、冒険者としてのスキルは未熟なのは自覚しています。

 それ故に、一人でこういう所に放り出されると……困りますね。

 

 ん?誰か来たみたい……念のため、戦闘態勢を……あ、ご主人様だわ。

 ここです…………ソラさんを背負っているのですか?

 ご主人様に声をかけようとしたとき、背負われているソラさんが目に入りました。

 幸せそうな顔で寝ている姿を見て、一瞬視界が暗くなったのです。

 

 キィン!キィン!

 あれ、なんで私はご主人様と戦っているのでしょうか?

 私が私の意思とは関係なく動き喋っている。

 ちょ、ちょっと、そんな事まで、言わないで!

 ご主人様のあの顔……恥ずかしぃ!

 って、愛してるって大声で……もぅ恥ずかし過ぎよ!

 

 気づいたら、私は縛られて転がされていた。

 「お、起きたか?気分はどうだ?」

 目の前にご主人様の顔……

 「縛りプレイなんてドキドキしますわ。」

 スパーン!

 いきなりの衝撃。

 不自由な体を何とか動かしてみると、ハリセンを持ったソラさんが、私を睨みつけていました。


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 「目、醒めた?」

 いきなりとんでもない事を口走るリナに、ソラのハリセンが一閃。

 いつの間に腕をあげたのやら。

 「はい、すみません。もう大丈夫です。」

 リナはそう言って俺の顔を見て、すぐ顔を逸らした。

 真っ赤になっている。

 「操られていた時の事、覚えている?」

 「ハイ……少しは……あの、気になさらないでください!」

 俺の質問にリナは答えてくれるが、その直後盛大に頭を下げる。

 「あ、いや……その……俺も悪かった。」

 俺もリナに頭を下げる。

 (戻ったら、ゆっくり……な。)

 拘束を解くため、リナを抱き起したときに、そっと囁いておく。

 リナの顔がゆでだこの様に真っ赤になる。

 そんな俺達の様子をソラが冷ややかな目で見ている。


 「リナ、歩けるか?」

 「これくらいなら大丈夫ですわ。」

 俺は拘束を解いたリナに問いかけると、軽快な返事が返ってくるが、様子を見る限り少し無理をしていそうだ。

 「ゆっくり休ませてやりたいが、他のメンバーと合流しないとな。」

 「わかっていますから、ご心配なさらずに。」

 「おにぃちゃん、おんぶは?」

 「もう歩けるだろ?」

 「ぶぅー」

 ソラが甘えてくるが、リナの手前、大っぴらに甘やかすのは避ける……恥ずかしいからな。

 「たぶん10分ぐらい歩けば、次の部屋につく。そこにいる奴を助けたら、休憩ぐらいは取れるだろうから、それまでは頑張ってくれ。」

 次の所につく頃には、ソラもかなり回復しているだろう。

 リナも回復は早そうだ。

 二人だと少し心配だが、三人いれば多少の事は何とかなるだろう。

 そう考え、俺は歩くペースを少し早めることにした。


 そして、次の部屋につくとランが待っていた。

 「主殿、遅かったのぅ。待ちくたびれたぞ。」

 ランは部屋の中央に陣取って、寝転がっている。

 「……憑依はされていないか?」

 「あぁ、我に憑依しようとした間抜けな奴の事か?」

 「その通りだが……。」

 「ドラゴン族に憑依できる存在などおらぬわ。憑依しかけて消滅しおったぞ。」

 そんなものなんか?

 「一応、聖水と、万能薬振りかけていいか?」

 「フム……そちらの二人の様子を見ると、苦労したみたいじゃのぉ。それで主殿が安心できるなら好きにするがよい。」

 俺はランの言葉を受けて、聖水と万能薬を振りかける。

 別にランを疑っているわけではないが、念のためという奴だ。

 

 「満足かぇ?」

 「あぁ、悪かった。」

 聖水をかけてもランに変化はなかった。

 確かに冷静になって考えてみれば、ドラゴンに憑依するなんて無理な話だ。

 簡単に憑依できるのなら、人族も魔族もドラゴン族の扱いにあんなに苦労するわけがない。

 「いや、しかしここでランに会えてよかった。」

 「何じゃ、主殿にしては殊勝な事よのぅ。」

 「あぁ、ソラもリナもちょっと休ませてやりたくてな。だけど、他の奴らとの合流も優先したいし、二人だけで放っておくのも心配だしな。」

 「そう言う事なら、二人は我が見ておくから、主殿は他の娘らを探してくるがよいぞ。」

 「ランがいてくれて本当に助かる。」

 俺は、ランに二人を預けると、他のメンバーを探すため、その部屋を後にした。


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 本当に、主殿といると飽きぬのぅ。

 我は、部屋を出ていく主殿を見てそう思う。

 この世に生を受けて800年余り。

 様々な人族、魔族たちを見てきたが、主殿ほど先の見えぬ行動をするものは初めてじゃ。

 そして、主殿を取り巻く女たち。

 彼女らの行動も見てて微笑ましい限りじゃ。

 たまに羨ましく思う時もある……我も、主殿に恋をしてみようかのぅ。

 恋をすれば世界が変わるとカナミも言うておったしな。

 

 


 

※ 誤字脱字報告ありがとうございます。

 この場を借りて感謝申し上げます。

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