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いつか魔王になろう!  作者: Red/春日玲音
第一章 魔王になろう

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再び魔族領へ

 「いやぁー、レイフォードさんといったかな?こんな素晴らしい店があるなんて驚いたよ!」

 豪快に笑いながら、肩を叩いてくる酔っ払い……実はリンガード共和国でも1、2を争う豪商だ。

 他にも、商売上利権が競合しない、それでいてそれなりの発言力を持った者達を、この新しくできた酒場……「セレナーデ」に招待している。


 ここは、例のサキュバスたちが経営する酒場だ。

 昼は給仕してくれるメイドさんが可愛いと評判の、ちょっと洒落たレストラン、夜は艶やかな女性達がもてなしてくれる高級クラブ……奥には御休憩のためのスペースとなっていて、OPENしてから1週間程度だが、夜の予約が一杯で、それなりの権力と財産、コネがなければ入れないという状態になっている。

 なので、近いうちにセレナーデよりは、少し質の落として冒険者たちでも気軽に利用できる、2号店、3号店を出す計画も立てている。


 ここに彼らを招いた理由はごく単純で、単に宣伝の為。

 また「国王とも親しい冒険者兼生産者のレイフォード」と顔つなぎをするためでもある。

 ポメラ獣人国の建国の際のアレコレで、リンガード共和国はポメラ獣人国を傀儡にしようと企てていたが、その計画を粉砕してしまったために、微妙な関係になっているのを、民間レベルから改善しようというわけだ。

 

 さらに、国王もお忍びで利用しているという噂も撒いておいたため、今後、政治的根回しにも使用されるようになる事だろう……というか、そういう風になるように根回しをしている所だ。

 そして、ここでなされる会話等、全ての情報はサキュバスを通じて、俺の元に来るという仕組みだ。


 というか、ここまでの建前を揃えなければ、俺がこの店に出入りすることを、カナミ達が納得してくれなかった。

 しかし、これで、大手を振ってこの店に来れるというものだ。


 「そう言えば、レイフォードさんと言いましたかな?国王と親しいとお伺いいたしましたが、どのようなご関係で?」

 長身の商人が俺に探りを入れてくる。

 こいつは商人の成りをしているが、リンガード共和国の宰相の手の者だという事は調べがついている。

 「いやぁ、良くはしていただいてますが、親しいかと言われると……どうなんですかねぇ?」

 俺は周りにも聞こえるような声で言う。

 こちらの思惑通り、他の奴らもさりげなく俺の言動に注意を向けている。

 

 「実は、私の婚約者の側近が、国王様の幼馴染だったんですよ。」

 俺は、まずそれ程近くない関係性を伝える。

 「ほうほう……それで?」

 男が続きを促してくる。

 「いや、それだけですよ?」

 俺はとぼけて見せる。

 「イヤイヤイヤ、たったそれだけの関係で、国王の立場にあるものが、あんな親しげな態度をとらないでしょう。」

 こいつは、さっきまでいたダビットと俺が肩をたたき合いながら飲んでいた所を見ていたらしい……まぁ見せつけていたんだが……。

 ダビットが、俺の前で土下座をしたなんてことを話したらパニックになるか……ヤダ、楽しい。

 思わずバカな考えが浮かぶが、それはダメな事ぐらいわかる。

 俺は自重する男だ。


 「あぁ、そう言えば……。」

 「おぉ、やはり何かあるのですな?」

 「えぇ、私が可愛がっているメイド……ウチの中を仕切ってもらっているんですが、彼女も、国王の幼馴染と言ってましたね。」

 「はぁ、幼馴染ですか……。」

 「あとは……、彼女が国王の目の前で襲われたことがありまして、それを救い出したことがありましたね。それで共感を持っていただいたのではないでしょうか?……獣人族は仲間意識が強いですからね。」

 「そうでしょうな……。」

 男は、俺とダビット国王との関係を測りかねているようだが、それでいい。

 単なる幼馴染の知り合い……以上の何かがあると勝手に考えてくれるだろう。

 

 周りを見てみると、すでに何人かの姿が見えなくなっている。

 今も、サキュバスのホステスと一緒に、2階へ上がっていく男の姿が見える。

 そろそろ頃合いかな?


 「あー、皆さん、大変申し訳ないのですが、私この後所用がありまして先に失礼させていただきます。

代わりと言っては何ですが、ここの支払いは私が持ちますので、皆さんは心行くまでお楽しみください。

ではこれからも、よろしくお願いいたします。」

 俺は、残っている皆に挨拶をして、店を後にする。


 「ご主人様、お疲れ様です。」

 外に出ると、リナが迎えに来てくれていた。

 「リナか。ダビットたちの方はどうだった?」

 「えぇ、概ね良好に受け止めて頂いています。ただ人の流通が激しくなってきてついて行けないとボヤいていました。」

 「それくらいは何とかしてもらわないと……国王なんだからな。それに、人の流通がないと発展は望めないぞ。」

 「そうですね。」

 リナが笑って言う。


 「サイラス様が来ていただいたおかげで、騎士団の陣容も厚くなりましたし、治安も良くなりました。訓練も、以前にもまして激しくなりまして、皆張り切っておりますわ。」

 私も訓練させていただいてます、とリナが笑って言う。

 メイドが騎士団に交じって訓練ねぇ……シュールだ。


 「後、冒険者ギルドより、返事がきました。

 ポメラにギルドの支所を開いてくれるそうです。

 他、ダンジョンと鉱山の件は、内密にお話をしたいとのことです。……いかがいたしますか?」

「そうだな……」

 俺は少しの間考える。

 「そうだな、一度会ってそれから決めようか。」


 サキュバスたちの忠誠を俺が得たことは、瞬く間に魔族領中に広まった。

 その結果、アドラーの耳にも入り会見が決まった。

 探す手間が省けたのはいいが、また魔族領まで行かなきゃいけないのは面倒だが、仕方がないあろう。

 ギルドとの話を、アドラーとの会見の先にするか、後にするかはちょっと悩む。


 「ご主人様、差し出がましい様ですが、ダンジョンや鉱山の件は、アドラー様との会見の後になされてはいかがでしょうか?」

 リナがそんな事を言ってくる。

 「それは良いが、理由を聞こうか?」

 「はい、アドラー様は魔族の中でも結構な地位にいらっしゃるのですよね?今後、魔族と事を構える気がないのであれば、ダンジョンや鉱山の利権は何かの手札として使えるのでは?と考えます。」

 リナの言葉を聞いて、なるほどと思う。

 魔族に任せるという考えは全くなかったが、言われてみればその通りだ。

 「流石リナだな。」

 俺は、そう言ってリナの頭を撫でる。

 リナは、嬉しそうに相好を崩した。


 ◇


 「という事で、再び魔族領へと来たわけだが。」

 「にぃに、誰に言ってんすか?」

 俺の言葉に、即座にリィズのツッコミが入る。

 良いんだよ「お約束」なんだから。


 「それで、レイさん。私達はどちらへ向かうのでしょう?」

 「セレナの話だと、ここから1時間ぐらい歩いたところにゼブラという街があって、そこに迎えが来てるそうなんだが……。」

 「1時間ぐらいなら、問題なくつけそうっすね。」

 ミリィの質問に俺が答えると、リィズがそんな事を言う……まったく……。

 「リィズちゃん、それはフラグだってばっ!」

 カナミがツッコむ。

 まぁ、リィズがフラグを立てようがどうしようが、無事につけるとは思わないけどな……。


 しばらく歩くと小さな森が見える。

 この森を抜けると、指定された「ゼブラの街」だ。

 「レイにぃ、ちょっと止まって……わかる?」

 森へ入ろうとしたところで、カナミからストップがかかる。

 言われて俺は気配感知の感度を上げる……かなり集中すると、森の入り口から、少し入ったあたりに微かな気配を感じる。

 「誰かいるな……しかし、この微弱な気配……よくわかったな。」

 「うん、結構うまく隠してるけど、抑えきれない殺気と、逸るイメージが漏れてるから……後、気配とは別に、何かゆがみみたいなのも感じるんだけど……殺気に邪魔されてよくわからない。もう少し近づけばわかるかもしれないけど。」

 「とりあえず、相手の情報がもう少し欲しいが……ミリィ何とかなるか?」

 「……やはり、カナミはすごいですわね。相手はオーガの上位種らしいですが、何らかの結界が張ってあってドライアード達も認識しにくいそうです。」

 ミリィに確認してみたが、森の精霊でも感知しにくいらしい。


 「テリトリー内であっても阻害する結界か……ちょっと厄介だな。……どうするか?」

 「何悩んでるっす?」

 リィズが聞いてくる。

 「いや、な。そこにいるのわかってるんだから、ここから問答無用で森を焼き払うのはどうかと……。」

 俺の言葉に「わかった!」とワルサーを取り出すソラ。

 「やめてください!」

 ソラを押さえながら、慌てて止めに入ってくるミリィ。

 「森を焼くなんてやめてください。……ドライアード達が怯えています。」

 「やだなぁ……冗談だよ。アハハ……。」

 俺はこっそりとドラグーンをファリスに戻す。


 「にぃにの眼、本気だったっす……。」

 リィズがつぶやく。

 「レイにぃ、森の中に入って「いるのは分かってるんだ、出てきたらどうだ!」ってのはやらないの?」

 カナミが、またテンプレな展開を誘う。

 「それで行くか。」

 「テンプレ」「お約束」は守らないとな。

 俺達は戦闘準備をして森の中へと入っていった。


 「この辺りでいいか……。」

 森の中に足を踏み入れると殺気が向けられるのがよくわかった。

 「おい、お前ら。いつまでコソコソ隠れてるんだ?いるのわかってるんだから出て来いよ!」

 「キャー、やっぱりこうじゃないと!」

 俺がテンプレセリフを吐くと、カナミが喜声を上げる。どっかのツボにハマったみたいだ。


 しばらく待つと、オーガらしき群れが俺達を囲むように姿を現す。

 「俺達の存在に気づくとは……やはりお前かっ!」

 「何のことだ?」

 テンプレ的お約束にしたがえば、こいつらは、俺の事を別の奴と勘違いしてるってことになるが。

 「とぼけるな!姫を返せ!」

 「お約束キター!」

 カナミがさらに喜ぶ。

 「最近、カナミがどんどん壊れている気がするっす。」

 ……同感だ。


 「俺達は、ついさっきここに来たばかりだぜ。大体お前らは何なんだ。見たところオーガ族っぽいが?」

 「俺は、オーガ族を束ねる鬼人のハクレイだ。我らが姫を返してもらう!」

 ハクレイと名乗った鬼人は、そのまま斬りかかってくる。

 俺はファリスを抜いて受け止める。

 

 「はぁ……お約束とはいえ、またこのパターンかぁ。」

 「きっとお姫様って言うのも可愛いんでしょうね。」

 「いい加減にしてほしいっす。」

 「ボクとキャラ被らないといいなぁ……チェムが微妙に被ってきてるんだよね……。」


 俺が、ハクレイとシリアスに切り結んでいる横で、カナミ達が、気の抜ける会話をしている。

 とはいっても隙があるわけではないので、オーガ達も攻めるに攻めれず、遠巻きにしているだけになっているのだが。

 しかし、このハクレイ……強い。

 剣だけの勝負なら敵わない……まぁ、俺の剣の腕は最近ではリナにも負けつつあるから、それ程大したものじゃないんだが。

 それでも何とか拮抗を保てているのは、力と速度をブーストアップして、更に身体強化の魔法をかけているお陰だ。


 キィン!キィン!キィン!

 何合か打ち合う……途中魔法を打ち込もうとするが、中々隙を見せない。

 ……ちょっとまずいか。

 ハクレイの持つ剣は細身の片刃で、剣というより刀に近い。

 出が早く、受け止めても滑る……というか逸らされる感じで、集中していないとやられる。


 「クッ!」

 何度目かの打ち合いのとき足元に異様な気配を感じる。そのせいでハクレイの打ち下ろしを受け止め損ねて体勢を崩す。


 「危ないっす!」

 リィズが、ハクレイごと俺を突き飛ばす。

 「リズ姉!」

 「リィズ!」

 近くにいたソラとミリィがリィズの元に駆け寄る。

 体勢をたて直した俺の目に映ったのは、先ほどまで俺達がいた場所で、黒い靄と魔法陣に捕らわれたリィズの姿と、それを助けようと飛び込み、同じく捕らわれているソラとミリィの姿だった。

 俺とリィズの間ぐらいに居るカナミは、解呪のルーンを唱えているが効果があるように見えない。

 そして、一瞬の後、俺達の前から姿を消す。


 「リィズ!」

 俺は慌てて駆け寄るが、そこには何の痕跡もない、

 「来い、ケイオス!」

 俺はケイオスを呼び、まだ何が起こっているのかわからないという体のハクレイに飛び掛かる。

 ハクレイは慌てて迎撃体制にうつるが、遅い!

 俺は、ハクレイの刀を打ち払い、ケイオスをその喉元に突きつける。

 「リィズ達をどこへやった!」

 俺はハクレイに詰め寄り、問いただす。


 「ハクレイ様!」

 他のオーガ達がハクレイを助けようと一斉に襲い掛かって来るが一瞬で地面に転がることになった。

 半分は、俺が左手で斉射したドラグーンによって。

 そして、残りの半分はカナミのメイスの一薙ぎによって。


 「リィズ達をどこへやった!」

 俺は、再度ハクレイに問いただす。

 「し、知らん。」

 俺はその態度にブちぎれる。

 左手に持ったままだったドラグーンでハクレイの足を打ち抜く。

 「クゥッ!」

 ハクレイは立っていられなくなり、その場に崩れ落ちる。

 その首にケイオスをあて、俺は更に問いただす。


 「お前らが仕掛けた罠だろ?知らないとは言わせない!」

 俺はケイオスを持った手に力を込める。

 「本当に知らんのだ……我ら鬼人は罠などという姑息なものは仕掛けたりせぬ!」

 「待ち伏せして大勢で取り囲むのは姑息じゃないってか!」 

 ハクレイがきっぱりと言い放つが、俺はそれを切りすてる。

 「言わないならいいさ、あそこに倒れているオーガを一人一人切り刻んでやる……喋りたくなるまでな!」

 「ま、待て、それは……。」

 俺がハクレイに言い放つと、それを必死になって止めようとするハクレイ。

 スパーンッ!

 そこで、俺の頭に衝撃が走る。

 「レイにぃ……ううん、センパイ、落ち着いて!リィズちゃんたちは大丈夫だから!」

 カナミがハリセンを持って立っている。

 「しかし……。」

 「いいから落ち着きなさい! そっちの鬼人さんもとりあえず、武装解除して、いい?」

 「「はい。」」

 カナミの有無を言わさない迫力に、俺とハクレイは 渋々と従うのだった。


 「一応確認だけど、さっきのはオーガさんたちも知らない事なのよね?」

 カナミがハクレイに確認する。

 「あぁ、そうだ。」

 「俺達をあそこで待ち伏せていたのはなぜだ?」

 「姫様がヒューマンに誑かされて、あの森へ行った後、姿を消したという情報があった。姫様の捜索をしているときにヒューマンが来たので、きっと姫様を誑かした奴に違いないと……。」

 「そっか……。ちょっとセンパイ、ハクレイさんから、色々と話聞いていて。」

 そう言って、カナミは少し離れたところへ行って、ゴソゴソとアイテムを漁りだす。

 何をやっているかよくわからないが、とりあえず、気になってることを確認しておこう。


 「その、姫様を誑かしたヒューマンについては、何か他にわかっていることはないのか?」

 「すまんが……まったくわからん。」

 「そうか……ひょっとしたら、あの罠にその姫さんも引っかかってたりしてな。」

 「そういう可能性もあるのか……。レイフォード殿、誠に申し訳ない。」

 俺と話をしたハクレイは、俺達が少なくとも姫様の誘拐に関わっていない事がわかると、素直に謝罪をしてきた。

 「しかし、そうなるとリィズ達が合流している可能性もあるのか。」

 落ち着いてくると、今まで見えていなかったことが色々と見えてくる。

 カナミには感謝だな。

 そう思いカナミを見ると何やら誰かと話しているようだ。

 カナミと目が合うと、カナミがちょいちょいと耳元を指さす。

 「あ、そうか!」

 ほんと、どれだけ頭に血が上ってたんだろうか?

 俺は、耳元のピアスに軽く魔力を流して声をかける。

 「ミリィ、リィズ、ソラ、聞こえるか!聞こえたら返事をしてくれ!」

 「……大丈……す。みん……無事……よ。……にぃに、泣か……てもいい……よ。」

 途切れ途切れだが何とか会話ができる。

 よかった、無事だったか。

 

 「どう?つながった?」

 カナミがやってくる。

 「リィズとなら何とかって感じだな。」

 「そっか、じゃぁ、私とミリィが一番繋がりやすいみたいね。」

 カナミの話では、ミリィとなら、ほぼ途切れが少なく会話できるという。

 リィズとは途切れが酷くて、会話が成立せず、ソラに至っては聞こえているのかどうかも分からないそうだ。

 魔力の質の問題だろうか?

 「とりあえず、3人とも無事で一緒にいるって。ただ、どこかも分らない……たぶんダンジョンっぽい感じって事なので、動かないように言っておいたわ。」

 「そうだな、俺達が行くまで大人しく待っててもらおう。」

 あの3人が一緒なら、ちょっとやそっとのモンスターでも問題はないだろう。

 前衛のリィズ、回復もこなす後衛のミリィ、補助と援護のソラ……パーティバランスも優れているしな。

 「あ、後鬼人の女の子を保護したって。名前はセイラ……この子が姫様?」

 後半はハクレイに向けたものだ。


 「そうだ、セイラ様は我らが姫!どこにおわす!」

 バシュ!

 「落ち着け!」

 カナミに詰め寄るハクレイの額に、ゴム弾を打ち込む。

 「カナ、居場所とか特定できそうか?」

 「うん、さっきからサーチしてるから、もう少し待ってね。」


 カナミが探している間に、俺は俺のやるべきことをしよう。

 「ハクレイ、今カナミが入り口を探っている。見つかり次第俺達は行くが……お前も一緒に来るか?」

 大丈夫だと思うが、セイラとかいう鬼人の姫を安心させるためにも、一人ぐらいは見知った顔があった方がいい、そう思って声をかける。

 「いいのか?ぜひ一緒に連れて行ってほしい。」

 ハクレイは一緒に行くことを望むので、俺は了承し他のオーガ達に戻る指示を出すように、その後は装備アイテムなどの準備をしっかりと、と伝えてから、カナミの側に行き横になる。

 カナミは俺に気づくと、俺の頭を自分の膝にのせてから、また眼を閉じ瞑想に入る。

 微かな魔力の残滓を追ってダンジョンに繋がるほころびを探しているんだろう。

 おれはカナミの手を握り、目を閉じる。

 (ファー、俺の魔力をカナミへつないでくれ。)

 (了解よ。とりあえず休んでいなさいな。)


 俺はファーにカナミへの魔力供給を頼むとそのまま意識を手放す。

 

 起きたらカナミを休ませて、そしてダンジョンアタックだ。


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